高額な年収を受け取る経営者にとって税金や社会保険の負担は決して小さくない。事業資金の出し手でもある経営者にとって手取りを増やすのは経営戦略の一つともいえる。経営者は法人を活用することで負担を減らし手取りを増やす戦略も選択肢の一つだ。本記事では年収別に税金と社会保険の負担額を紹介する。高年収者がいかに税と社会保険を負担しているか確認できるだろう。

年収別の税金・社会保険の負担一覧

年収別の税金額を総まとめ!経営者が手取りを増やすテクニックを解説
(画像=beeboys/stock.adobe.com)
年収 税金 健康保険料(折半分) 税と健康保険の合計 負担率


500万円
所得税: 18万5,600円 
住民税:28万9,300円
28万6,836円 76万1,736円 15.23%
1,000万円 所得税:99万1,800円
住民税:70万8,900円
58万668円 228万1,368円 22.81%
2,000万円 所得税:402万3,700円
住民税:166万9,700円
97万2,444円
666万5,844円 33.32%
3,000万円 所得税:820万3,500円
住民税:271万2,700円
1,188万8,644円 39.62%
5,000万円 所得税:1,673万2,800円
住民税:471万2,700円
2,241万7,944円 44.83%
1億円
所得税:3,970万5,300円
住民税:971万2,700円
5,039万444円 50.39%

年収の半分以上を負担する例も

年収500万円では税と社会保険の年収に対する負担率は15%程度だが、年収が上昇するほど負担率も上昇し、1億円を超えると約50%超える。年収が増えるほど負担が大きくなることが分かるだろう。

税金だけでなく社会保険料の負担も大きい

税金に注目しがちだが、社会保険の負担も大きい。社会保険は健康保険料と年金保険料を合わせた額で、収入から源泉徴収される。年収が1,626万円を超えるまで健康保険料は上昇していき資金繰りに影響があるため念頭に入れておきたい。

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所得税・住民税が計算される仕組み

【2020年分以降】

年収(額面) 1,000万円
給与所得控除を引く 1,000万円―195万円=805万円
所得控除を引く 健康保険料控除:58万668円
基礎控除   :48万円
(住民税の基礎控除は43万円)

所得:805万円-(58万668円+48万円)
=698万9,000円 ※1,000円未満は切り捨て

住民税:805万円-(58万668円+43万円)
    =703万9,000円 ※1,000円未満は切り捨て
税率を掛ける
(復興税含む)
所得税:698万9,000円×23%-63万6,000円
    =97万1,470円
復興所得税:97万1,470円×2.1%=2万400円
    
所得税+復興所得税
=97万1,470円+2万400円
=99万1,800円 ※100円未満は切り捨て

住民税:703万9,000円×10%+均等割5,000円
    =70万8,900円  ※100円未満は切り捨て

給与額面から「給与所得控除」を引く

給与所得控除は事業所得の必要経費に相当する数値で給与収入を得ている人すべてが利用できる。収入によって所得控除の計算式は変わる。給与所得控除の額は、給与の額面に応じ55万~195万円だ。

「所得控除」が大きいほど節税になる

上の表の計算では「所得控除」を健康保険料控除と基礎控除しか適用していない。給与所得控除と同じく所得控除が大きいほど節税につながる。家族を扶養することで受けられる「配偶者控除」や「扶養控除」、また私的保険への加入で受けられる「生命保険料控除」などが代表的だ。

「税額控除」は税金から直接引く

所得控除より強力な節税が「税額控除」だ。所得控除は税金を計算する前に差し引くのに対し税額控除は計算された税額から控除額を差し引くことができる。税額控除の代表が「住宅ローン控除」だ。年間のローン残高の1%を税額から直接引くことができる。例えばローン残高が4,000万円あれば40万円の節税になる。通常は10年間適用でき2020年末までの入居なら消費増税の緩和策で13年間適用が可能だ。

控除額がそのまま節税額になるため、税額控除は所得控除より強力な節税となる。

社会保険は4~6月の平均報酬で決定

社会保険料は4~6月までに受け取った報酬の平均「標準報酬月額」で決定される。固定給のほか、各種の手当も算入される。

実際には源泉徴収で納税

実務的には、給与所得者の税金は源泉徴収で収入から直接引かれるのが一般的だ。月の収入から社会保険料を引いた金額を基準に扶養する家族の人数に応じ簡易的な納税がなされる。年末調整で清算するまで上記の計算と納税額に差異があることが多い。ただし年収2,000万円以下の報酬なら年末調整が行われるが2,000万円超の場合は確定申告で清算が必要だ。

高年収者は税負担が重くなる仕組み

年収が高くなるほど負担が高くなるのは、所得税が累進課税であるためだ。住民税の所得割は、所得の大きさに関わらず10%を掛け算出する。(東京都)健康保険料は年収1,626万円以上で一律だ。一方所得税は所得の大きさに応じて5~45%までの税率が設けられている。所得が大きくなるほど高い税率が適用されてしまうため、高年収者ほど負担が重くなってしまう。

2020年から高年収者は増税された

2020年から、さらに高年収者の負担が重くなる仕組みが設けられた。変更点は給与所得控除と基礎控除だ。給与所得控除は、給与所得者すべてが利用できるみなしの経費である。数値が大きいほど税負担が軽くなるが、2020年から上限が引き下げられ従前の上限は年収1,000万円超で220万円だったが、年収850万円超で195万円となった。

基礎控除はすべての人が所得に関わらず利用できたが、合計の所得が2,400万を超えると減額し始め、2,500万円超で0となるようになった。住民税の計算においても同様だ。給与所得控除と基礎控除2点の変更で、最大73万円分の所得低減がなくなったことになる。年収850万円までの人には影響が出ないよう基礎控除の額が引き上げられる変更もなされた。

増税のターゲットは高年収の給与所得者で高額の報酬を受け取る経営者はその代表だ。

経営者は法人を活用することで節税できる

高い報酬を経営者個人で受け取ると税の負担が大きくなりやすい。法人を活用することで税の負担を軽くすることができる。