「国税の還付金」は雇用形態や所得に関わらず、どのような人にも発生し得るものだ。しかし、還付金は所定の手続きを行わないと受け取れないため、概要を理解しておかないと損をすることにつながってしまう。

そこで本記事では、還付金の概要や計算方法に加えて、全体のスケジュールや受け取り方などをまとめた。また、「少しでも早く還付金を受け取りたい!」を感じている方に向けて、確定申告のポイントも解説している。

これまで還付金をそれほど意識してこなかった方は、これを機に正しい知識を身につけていこう。

目次

  1. 国税の還付金とは?
  2. どんな人が還付金を受け取れる?
    1. 年末調整でも還付金は受け取れる?
  3. 還付金はいくらもらえる?計算方法を簡単にチェック!
  4. 還付金はいつ受け取れる?基本的な流れや受け取り方
  5. 国税の還付金で知っておきたい3つのポイント
    1. 【ポイント1】場合によっては追加で税金が発生することも
    2. 【ポイント2】5年以内であれば、確定申告が遅れても還付金を請求できる
    3. 【ポイント3】なかなか振り込まれないときは、税務署への問い合わせを
  6. 生活環境が変わった人は要注意!確定申告の時期には、還付金を強く意識しておこう

国税の還付金とは?

国税の還付金はどんな人が受け取れる?スケジュールや計算方法に加えて確定申告のポイントも解説
(画像=Eviart/Shutterstock.com)

源泉徴収や予定納税によって所得税を支払い過ぎてしまった場合、その超過分は所定の手続きを行うことで返還される。この納税者に返還される税金が、今回解説する「国税の還付金」と呼ばれるものだ。

還付金はまとめて返還されるため、なかにはボーナスを受け取った気分になる方もいるだろう。しかし、実際には払い過ぎた税金が返還されただけであり、還付金にボーナスとしての意味合いは全くない。

もちろん使途は自由だが、現金が増えたからと言って安易に還付金を使うと、将来的に税金の支払いに困る恐れがあるので注意しておこう。

>>会員登録して限定記事・イベントを確認する

どんな人が還付金を受け取れる?

国税の還付金を受け取れるのは、簡単に言えば「所得税を払い過ぎた人」だ。では、具体的にどのような状況になれば、所得税を払い過ぎる状況になるのだろうか。

個人事業主については、その多くが国税の還付対象に含まれる。個人事業主が受け取る報酬からは、ほとんどのケースで源泉徴収分が差し引かれているためだ。この源泉徴収は、必要経費や所得控除を踏まえない形で実施されるので、必然的に所得税の支払超過が生じる。

では、経営者やサラリーマンのような給与所得者はどうだろうか。給与所得者については、以下のような控除が適用されると、国税の還付金を受け取れる可能性が高い。

控除の名称 控除の概要
・医療費控除 自身や配偶者、もしくはほかの親族のために費やした医療費が、一定額を超えた場合に所得控除を受けられる制度。
・住宅ローン控除 住宅ローンを借り入れた場合に、税金の優遇措置が適用される制度。
・寄附金控除 ふるさと納税や指定寄附金など、特定の寄附をした場合に控除が適用される制度。
・雑損控除 災害・盗難・横領によって、資産(生活に必要なもの)に損害を受けた場合に所得控除が適用される制度。
・特定支出控除 通勤費や転居費をはじめ、特定の経費が一定の支出額を超えた場合に控除を受けられる制度。
・配偶者控除、扶養控除 配偶者がいる場合や、16歳以上の扶養親族がいる場合に適用される控除制度。

上記のほか、株式投資などの副業で大幅な赤字が生じ、「損益通算」によって利益と損失を相殺した場合も、還付対象に含まれる可能性がある。

このように、日本国内ではさまざまな控除制度が実施されているため、給与所得者の中にも還付金を受け取れる人は多く存在する。ただし、個人事業主・給与所得者のいずれも、還付金を受け取るには「確定申告」が必要になるので要注意だ。

年末調整でも還付金は受け取れる?

年末調整だけでも還付金は受け取れるが、さまざまな控除制度が適用される場合には、基本的には確定申告をすることが望ましい。なぜなら、控除制度の中には医療費控除のように、確定申告をしないと適用されないものが存在するためだ。

つまり、年末調整だけで申告を済ませると、本来控除されるべきものが所得から差し引かれない影響で、受け取れる還付金の額が減ってしまう恐れがある。したがって、適用される控除は事前にしっかりと調べておき、必要性が生じた場合にはきちんと確定申告を済ませておきたい。

還付金はいくらもらえる?計算方法を簡単にチェック!

国税の還付金はときに高額に上るケースがあるため、場合によっては「事前にある程度の金額を把握しておきたい」と感じる人もいるだろう。そこで次からは、源泉徴収によって所得税を支払い過ぎていた場合の、還付金の計算方法を簡単に解説していく。

国税の還付金は、「源泉徴収額-所得税額=還付金」の式で算出するため、まずは1年間の源泉徴収額を計算しなければならない。源泉徴収額は以下のように、1回の給与額・報酬額によって計算式が異なるので要注意だ。

○源泉徴収の計算方法
・1回の給与額(報酬額)が100万円未満の場合…源泉徴収額=給与額×10.21%
・1回の給与額(報酬額)が100万円超の場合…源泉徴収額=(給与額-100万円)×20.42%+102,100円

次に所得税の計算だが、以下を見てわかる通り所得税額の計算は少しややこしい。

○所得税の計算方法
【1】給与額(報酬額)から、給与所得控除額を差し引く
【2】さらに【1】の計算結果から、所得控除額を差し引く
【3】所得税率表を確認し、「【2】×該当する税率」を計算する
【4】最後に【3】の計算結果から、所得税率表に記載された控除額を差し引く
(※「所得税率表」は国税庁のホームページ上で公開されている)

上記の流れで源泉徴収額・所得税額の2つを算出すれば、あとは「源泉徴収額-所得税額=還付金」の式に当てはめて計算をするだけだ。ただし、中でも所得税は適用される控除が多いほど計算が複雑になるため、ある程度の手間がかかることは事前に覚悟しておきたい。

>>会員登録して限定記事・イベントを確認する

還付金はいつ受け取れる?基本的な流れや受け取り方

経営者や個人事業主の中には、「還付金を事業資金の一部にしたい」と考えている方もいることだろう。そうでなくても、多くの人は還付金を受け取るまでのスケジュールや、実際に受け取れる時期が気になるはずだ。

事業期間から還付金を受け取るまでのスケジュールは、基本的には以下のような流れになる。

還付金を受け取るまでの流れ 概要
【1】事業期間 給与所得者・個人事業主にかかわらず、事業期間は毎年1月1日~12月31日となる。
【2】確定申告 翌年の2月中旬~3月中旬に、【1】の事業期間について確定申告を行う。
【3】国税の還付 通常は4月~5月の間に、支払超過分の所得税が還付される。

上記を見てわかる通り、国税の還付金は申告後すぐに受け取れるものではない。提出書類の確認や審査に時間がかかるため、確定申告から「1ヶ月~1ヶ月半ほど」の期間を要するケースが一般的だ。

ただし、「e-Tax(電子申告)」で確定申告を済ませた場合は、この期間を2週間~3週間ほどに短縮できる。また、混み合う時期に確定申告をすると、書類の確認・審査にどうしても時間がかかってしまうので、早めに還付金を受け取りたい方は以下の2つのポイントを意識しておこう。

○国税の還付金を早く受け取るためのポイント
・持参や郵送ではなく、e-Taxによって確定申告を済ませる
・大量の申告書が提出される3月は避けて、1月や2月のうちに確定申告を済ませる

国税の還付金で知っておきたい3つのポイント

ここまで解説した以外にも、国税の還付金には知っておきたいポイントがある。想定外の事態が発生してもスムーズに対応できるよう、これを機に基礎知識をしっかりと身につけておこう。

【ポイント1】場合によっては追加で税金が発生することも

国税の還付金は、納税額の過不足を調整するためのものであるため、確定申告(年末調整)をしたからと言って確実に受け取れるわけではない。仮に、源泉徴収額よりも所得税額のほうが大きければ、「追加徴税」という形で追加の税金が発生することもある。

たとえば、ボーナスが膨れ上がって想定以上に給与額が増えたり、控除額がこれまでより大幅に減少したりした場合は、追加徴税の対象になる可能性があるだろう。これらのケースに該当する方は、追加徴税を支払うための資金を準備しておかなくてはならない。

なお、追加徴税は一見すると損に見えるかもしれないが、あくまでも「本来支払うべきはずだった税金」であるため、経済的な損につながらない点はしっかりと理解しておこう。

【ポイント2】5年以内であれば、確定申告が遅れても還付金を請求できる

国税の還付金は、最長で5年前まで遡って請求することが可能だ。たとえば、2020年1月~12月の事業期間分は、翌年1月1日の5年後、つまり2026年1月1日までに申告をすれば還付を受けられる。

したがって、確定申告が遅れてしまった場合や、後になってから適用される控除があることを知った場合は、5年以内であれば諦める必要はない。申告に必要な領収書などを整理したうえで、落ち着いて還付申告を済ませるようにしよう。

【ポイント3】なかなか振り込まれないときは、税務署への問い合わせを

問題なく確定申告を終わらせたにも関わらず、還付金が振り込まれないケースは少なからず存在する。還付金が振り込まれない理由としては、主に以下の点が想定されるだろう。

  • 担当者の確認ミスなど、振り込みまでの間に人的ミスが発生した
  • 確定申告の提出書類に不備が見つかった
  • 申告のタイミングが悪く、特に混み合う時期だった

このようにいくつかの理由が考えられるが、納税者側がいくら考えたところで、その理由を特定することは難しい。したがって、還付金が振り込まれないときには悩むのではなく、管轄の税務署に問い合わせることを検討したい。

なお、還付金はいきなり振り込まれるのではなく、事前に「国税還付金振込通知書」と呼ばれる通知が届く。税務署に問い合わせる場合は、この通知書が届いているか否かを伝えると、スムーズに対応してもらえる可能性がある。

生活環境が変わった人は要注意!確定申告の時期には、還付金を強く意識しておこう

本記事で解説してきたように、国税の還付金はさまざまな人が対象になる。しかし、確定申告をしなければ還付を受けられないケースも存在するため、雇用形態に関わらず還付金は毎年強く意識しておきたいところだ。

結婚をして家族構成が変わった、病気やケガで医療費がかさんだなど、特に生活環境が大きく変わった場合は、控除が適用される関係で還付対象になる可能性が高い。直近の状況はもちろん、時間に余裕のある方は過去5年分の状況も入念に見直しておこう。

文・片山雄平(フリーライター・編集者)