「マーケティング」と一口に言っても、その種類は多岐にわたる。「〇〇マーケティング」という用語が数多く存在する上に、人によってマーケティングとして行っている仕事が異なるため、非常にわかりにくいだろう。そこで今回は、経営者やマーケティング部門で働いている人に向けて、マーケティングの種類について「戦略別」「手法別」「仕事別」という3つの観点で、わかりやすく解説していく。

鈴木 裕太
鈴木 裕太(すずき・ゆうた)
横浜国立大学在学中に中小企業診断士を取得(現在は休止中)。Webメディアの立ち上げ〜売却に携わり、SEO対策をはじめとしたWebマーケティングを幅広く経験。現在はビジネスの分野に特化したライター業と、他社のメディアサイトの立ち上げ支援を行っている。また、情報サイト”BizLabo”の運営も行っており、会社経営に役立つ知識・ノウハウを伝えることにも力を入れている(月間1.5万PV:2020年1月時点)。

目次

  1. 戦略別に見るマーケティングの3つの種類
    1. 1.マスマーケティング
    2. 2.ダイレクトマーケティング
    3. 3.アウトバウンドマーケティング
    4. 4.インバウンドマーケティング
  2. ツール別に見るマーケティングの3つの種類
    1. 1.テレマーケティング
    2. 2.Webマーケティング
    3. 3.SNSマーケティング
  3. マーケティングにおける仕事の種類4つ
    1. 1.マーケティングリサーチ
    2. 2.商品企画・商品開発
    3. 3.宣伝広告活動
    4. 4.顧客管理
  4. マーケティングの種類はさまざま、効果的に見極めを

戦略別に見るマーケティングの3つの種類

マーケティングの種類って何がある?戦略別、ツール別の分類や仕事の観点から解説!
(画像=MIND AND I/Adobe Stock)

「〇〇マーケティング」という用語はたくさんあるが、「どのような戦略を以って行うのか?」という観点では、以下の4つがある。

1.マスマーケティング

マスマーケティングとは、すべての消費者を対象に同じマーケティング施策を行う方法のことだ。マスマーケティングは、テレビや新聞などのマスメディアを通じて行われる。日本では、高度経済成長期にマスマーケティングが盛んに行われ、日用品をはじめとした多くの商品が飛ぶように売れた。

消費者に応じて商品や販売方法などを変える必要がないため、長期的に見ると労力を抑えられる方法と言える。しかし、テレビや新聞などのマスメディアに広告を載せるには莫大な費用がかかるため、十分な資金力を持つ企業でなければ、マスマーケティングを実施するのは難しいだろう。

また、近年は消費者のニーズが多様化しているため、すべての顧客に同じマーケティング施策を実施した場合の効果は小さくなっている。

2.ダイレクトマーケティング

ダイレクトマーケティングとは、企業が外部の業者などを介さずに直接顧客と双方向的のコミュニケーションを図るマーケティング手法である。ECサイトのチャット機能やSNSを通じて直接顧客に対して商品・サービスを宣伝する。

ダイレクトマーケティングは、顧客と直接コミュニケーションを行うことで顧客のニーズや悩みに対して細かく対応できるため、顧客満足度や購買頻度を向上させることができるのがメリットだ。

ただし、自社で個々の顧客に対応するため手間や費用、労力がかかる上に、対応を間違えると逆に顧客満足度や自社の評判が下がるリスクがある。たとえば、顧客があらかじめ「この時間は避けてほしい」と要望を出した時間に電話をした場合、満足度の低下につながるだろう。

3.アウトバウンドマーケティング

アウトバウンドマーケティングとは、企業側から見込み客に対して商品やサービスを積極的に売り込んでいくマーケティング手法だ。具体的には、見込み客リストを使った電話営業やメールの送信、郵送によるカタログ等の配送(ダイレクトメール )などの手段で行う。

見込み客選定さえしっかりしておけば、短期間で結果を出せる点がアウトバウンドマーケティングのメリットだ。また、あらかじめ必要な費用とそこから得られる成果を予測しやすい点もメリットと言えるだろう。

ただし、人件費や広告宣伝費などの費用がたくさんかかるため、資金力に乏しい企業は相対的に不利になってしまう。

4.インバウンドマーケティング

インバウンドマーケティングとは、自社の商品・サービスに興味を持つ見込み顧客を集客し、有益な情報を提供したり、商品・サービスの必要性を教育したりすることで、販売につなげる手法だ。商品・サービスを売り込んでいく「アウトバウンドマーケティング」とは違い、顧客の購買意欲を高めて自らの意思で購買してもらう点がインバウンドマーケティングの特徴と言える。

具体的には、ホームページやSNSを使った情報発信によってインバウンドマーケティングを実践できる。購買意欲の高い顧客に商品・サービスを買ってもらうため、あまり広告宣伝費や労力をかけずに売上を伸ばせることが最大のメリットだ。また、興味を持たない相手に営業をかけることがないため、自社のイメージが下がるリスクも小さい。

ただし、ターゲット顧客のニーズや興味を把握し、それに応じた情報を発信しなければ結果につながりにくいため注意が必要だ。

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ツール別に見るマーケティングの3つの種類

「〇〇マーケティング」と呼ばれるものの中には、マーケティングを実践するためのツールや手法を意味するものも存在する。ここでは、3つの代表的なマーケティング手法を解説する。

1.テレマーケティング

テレマーケティングとは、電話を使って顧客とコミュニケーションを取る手法だ。見込み客に対して商品を売り込んだり、既存顧客に対して商品の使い方を説明したりする際にテレマーケティングが実施される。顧客と直接会話しながら商品・サービスの良さを訴求できる点がテレマーケティングのメリットだ。

会話の流れに応じて臨機応変に商品・サービスの説明ができるため、トークスキルがあれば効率的に成果(売上や顧客満足度の向上)を得られるだろう。ただし、電話をする担当者のトークスキルが低いと成果につながりにくくなる。事前にトークスクリプト(台本)やよくある質問に対する回答を用意しておくことで対応できるが、その準備に手間がかかるのが難点だ。

2.Webマーケティング

Webマーケティングとは、Web(インターネット)を用いて行われるマーケティングである。具体的には、自社のホームページやメディアサイトにコンテンツを載せて集客する「コンテンツマーケティング」や、アフィリエイト広告やリスティング広告などのインターネット広告を使う手法などがある。特筆すべきは、他の種類のマーケティング手法と比べて低コストで実践できることだ。

たとえば、アフィリエイト広告なら成果が発生した場合にしか費用が発生しないため、無駄がない。コンテンツマーケティングなら、ほとんどコストをかけずに売上を作ることもできる。ただし、Webマーケティングで成果を出すにはSEO対策やセールスライティング、Web広告の運用など他のマーケティング手法とは異なる知識やスキルが求められる。

スキルがない人が時間と労力をかけて行っても、思うような成果が出ない可能性が高い。その場合は、外部の専門業者にアウトソーシングするなどの対応が必要になる。

3.SNSマーケティング

SNSマーケティングもWebマーケティングの一種だが、今回は別のものとして紹介する。SNSマーケティングとは、FacebookやTwitter、InstagramなどのSNSを使って実施するマーケティング手法だ。具体的には、SNS上で顧客と直接コミュニケーションを取ったり、顧客に役立つ情報や新製品の情報を発信したりする際に用いられる。

他のマーケティング手法と比べると、リピーターやファンを作りやすい手法と言える。また、発信した情報が短時間で一気に拡散される「バズり」が起きれば、費用や時間をかけずに多くの見込み顧客にリーチできる。ただし、自社にとって都合の悪い情報が「バスる」リスクもある。

マーケティングにおける仕事の種類4つ

最後に、マーケティングにおける仕事の種類を紹介する。マーケティング分野では、主に以下の4つの仕事がある。

1.マーケティングリサーチ

顧客ニーズに合う商品・サービスを販売できなければ、売上を伸ばすのは難しい。そんな顧客のニーズを調査するのが、「マーケティングリサーチ」という仕事だ。マーケティングリサーチでは、自社がターゲットとする顧客に対して、アンケートやインタビューなどを実施し、不満や悩み、要望などを洗い出す。

それをもとに顧客の潜在的なニーズを特定するのが、マーケティングリサーチの目的である。マーケティングリサーチの仕事には、データを正しく分析し正しい仮説を立てる能力や、仮説の検証から分析までをスピーディーに遂行する能力が求められる。

2.商品企画・商品開発

商品企画・商品開発とは、マーケティングリサーチで特定した顧客のニーズに適した商品を企画・開発する仕事である。具体的には、顧客ニーズをもとに商品・サービスの内容や機能、デザイン、大きさ、価格などを決定していく。商品・サービスを形にする仕事なので、他の仕事と比べると企画・開発に関する知見やスキル、技術が求められる。

また顧客ニーズを正確に把握し、それを形にするセンスも必要になるだろう。

3.宣伝広告活動

宣伝広告活動とは、開発された商品・サービスをターゲットとなる顧客に認知・購入してもらうための活動である。どれほど良い商品だとしても、商品の存在を知ってもらわなければ購入にはつながらない。実際に売上を生み出していく仕事として、宣伝広告活動は非常に重要な分野である。具体的な活動としては、前述した広告運用やWebでの情報発信などを行う。

BtoBのビジネスならば、展示会への出展や直接営業をかける方法もある。他の種類の仕事と比べると、幅広いマーケティングのスキル・センスが求められる。たとえば宣伝媒体を選ぶ際は、顧客ニーズや属性をもとに最適なものを選ぶ能力が求められる。またSEO対策やセールスライティングなど、実務的な能力も必要だ。

さらに、施策の効果を素早く検証・改善する能力やデータを正しく分析する能力も必須だ。

4.顧客管理

顧客管理とは、顧客情報(年齢や性別など)を管理し、それをマーケティング活動に役立てる仕事だ。たとえば、顧客の購買頻度や購買商品の内容を分析し、より多くの商品を買ってもらえるような施策を考えるのが顧客管理の役割である。顧客管理の仕事には、複雑な顧客情報から役立つ情報を抽出するデータ分析能力が求められる。

実務ではツールを活用して顧客管理を行うことが多いため、CRMやMA(マーケティングオートメーション)のツールを一通り使いこなせると、なお良いだろう。

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マーケティングの種類はさまざま、効果的に見極めを

マーケティングの戦略や手法、仕事の種類は多岐にわたる。上場を目指して本格的に事業を拡大する場合は、現段階に必要なマーケティングの戦略や仕事を正しく使い分けることが重要だ。「マーケティング」という概念は抽象的で理解しにくいが、うまく使いこなせれば事業を拡大する上で強力な武器になる。マーケティングの戦略や手法、仕事の種類を正しく理解し、積極的にマーケティングに取り組んでほしい。

文・鈴木 裕太(中小企業診断士)