海外展開や上場を目指す上では、事業を拡大する必要がある。事業拡大の方法として多くの企業が取り組んでいるのが、「販路拡大」だ。今回の記事では、販路拡大の重要性やプロセス、具体的な方法を詳しく説明する。ある程度事業が軌道に乗って、海外展開や上場を目指している人は、参考にしていただきたい。

鈴木 裕太
鈴木 裕太(すずき・ゆうた)
横浜国立大学在学中に中小企業診断士を取得(現在は休止中)。Webメディアの立ち上げ〜売却に携わり、SEO対策をはじめとしたWebマーケティングを幅広く経験。現在はビジネスの分野に特化したライター業と、他社のメディアサイトの立ち上げ支援を行っている。また、情報サイト”BizLabo”の運営も行っており、会社経営に役立つ知識・ノウハウを伝えることにも力を入れている(月間1.5万PV:2020年1月時点)。

目次

  1. 販路拡大とは?
    1. 販路拡大はなぜ重要なのか?
    2. 中小企業における販路拡大の事例
  2. 販路拡大のプロセスを3ステップで解説
    1. STEP1.自社の商品・サービスのターゲット顧客を再定義する
    2. STEP2.ターゲット顧客の趣味嗜好や行動を徹底的に調査する
    3. STEP3.ターゲット顧客にとって最適な販路拡大の方法を考える
  3. オフラインで行える販路拡大の4つの方法
    1. 1.飛び込み営業・売り込み
    2. 2.展示会やイベントへの出展
    3. 3.取引先や顧客からの紹介
    4. 4.セミナーの開催
  4. オンラインで行える販路拡大の4つの方法
    1. 1.自社ホームページやメディアでの情報発信
    2. 2.SNSの活用
    3. 3.メールマーケティング
    4. 4.外部プラットフォームの活用
  5. 販路拡大は十分な戦略のもとで行おう

販路拡大とは?

販路拡大とは?戦略策定のプロセスやオンライン・オフラインでの拡大方法を徹底解説!
(画像=unshu/adobe.stock.com)

そもそも、「販路拡大」とは具体的に何を指すのだろうか。まずは、「販路拡大がどのようなものか」について押さえておこう。

販路拡大とは、「商品やサービスを販売する経路(販路)を拡大する」ことだ。「販路開拓」という言葉もあるが、基本的には販路拡大と同義で用いられることが多い。簡単に言うと「商品をより多く販売するために、顧客を増やすこと」が販路拡大であり、新規顧客の開拓や新しい市場(海外市場)への進出などがこれに当たる。

販路拡大はなぜ重要なのか?

販路拡大は、設立したばかりのベンチャーから上場を目指す成長企業、業歴の長い老舗企業まで、すべての企業にとって必要な施策である。ベンチャー企業は、そもそも顧客を獲得しないと商品を販売する先がまったくないので、販路拡大が重要であることは簡単に理解できるだろう。

ある程度事業が軌道に乗っている企業は、既存顧客から得られる収益だけでも事業を継続することができるため、一見すると販路拡大は不要と思えるかもしれない。しかし、既存顧客が支出できる金額には限度があるため、既存顧客にのみ注力しても業績の伸びは期待できないだろう。業績を大きく伸ばすためには、販路拡大に取り組んで新しい顧客を獲得する必要があるのだ。

中小企業における販路拡大の事例

中小企業は、どのような形で販路拡大に取り組んでいるのだろうか?これまで筆者が支援してきた中小企業を見てみると、見込み客への直接訪問や売り込みにより、販路拡大を目指すところが大半であった。たとえば、食品の加工製造業を営む中小企業は、加工した商品を販売する顧客リストを作成し、直接商品を持参して売り込むことで、販路拡大を着実に成し遂げている。

事実中小企業庁が公表している2015年のデータを見てみると、中小企業の販路拡大における取り組みの中でも、「新しい顧客への直接訪問・売り込み」が31.7%と最も多い。このデータからも、中小企業が消費者に直接リーチして販路拡大に取り組んでいることが見て取れるだろう。

参考:販路拡大への取組 中小企業庁

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販路拡大のプロセスを3ステップで解説

販路拡大は、どのように進めていけばいいのだろうか? ここでは、本格的に事業を拡大したい経営者が実践すべき販路拡大のプロセスを紹介する。

STEP1.自社の商品・サービスのターゲット顧客を再定義する

販路を拡大する際、最初に取り組むべきは自社の商品・サービスがターゲットとする顧客を再定義することである。ある程度事業を続けてきた会社ならば、すでに明確な顧客のペルソナを設定しているかもしれない。しかし、販路拡大を行うにあたっては、改めて「自社の商品・サービスはどのような人に使ってもらえるだろうか?」ということを明確にし、再定義すべきだ。

ターゲット顧客を再定義することで、これまで以上に需要が大きい新たなターゲットを発見できるかもしれない。最適なターゲットにまで商品やサービスの販売を広げることで、売上を伸ばすことが期待できる。

STEP2.ターゲット顧客の趣味嗜好や行動を徹底的に調査する

ターゲットを再定義したら、次はターゲット顧客の趣味嗜好や行動を徹底的に調査する。同じ商品ジャンルであっても、ターゲットとする顧客によって最適なデザインや値段、販売方法などが変わるからだ。このプロセスでは、趣味嗜好や行動を徹底的に調査することで、最適な販路拡大のヒントを得ることになる。

STEP3.ターゲット顧客にとって最適な販路拡大の方法を考える

最後に、ターゲット顧客の調査で得られたヒントをもとに、最適な販路拡大の方法を考える。たとえば、インターネットを頻繁に利用する若者がターゲットであれば、直接会うよりもSNSやWebサイトでの集客が適しているだろう。一方でBtoBビジネスでは、取引先からの紹介や展示会への出展などが有効である場合が多い。

基本的には、商品の販売や集客の方法を考えるプロセスだが、場合によっては商品の価格やデザインなどを変更する必要も出てくるだろう。どれほど販売や集客の方法が優れていても、商品の価格やデザインなどがターゲット顧客に好まれなければ、販路拡大の効果が小さくなってしまうからだ。

オフラインで行える販路拡大の4つの方法

販路拡大の意味や重要性、プロセスを知っていても、具体的な方法を知らなければ販路拡大を実行することはできない。そこで、ここからは販路拡大を実践する際の具体的な方法を8つ紹介する。

まず、オフライン(インターネットを使わない)で行える販路拡大の方法を4つ説明する。方法ごとにメリット・デメリットが異なるため、自社に合う方法を見つけてほしい。

1.飛び込み営業・売り込み

多くの中小企業が取り組んでいるのが、飛び込み営業や売り込みによる販路拡大である。商品を実際に見せたり実演したりすることで、商品やサービスの魅力を詳しく伝えられることがメリットだ。

一方で自社の商品やサービスに興味を持っていない相手にも営業をかけることになるため、労力の割に得られる効果は小さい。また、冷たく断られたり無視されたりすることも多いため、精神的につらいこともデメリットと言えるだろう。

2.展示会やイベントへの出展

特定の業界や商品カテゴリーに関する展示会やイベントに出展するのも、効果的な販路拡大の方法だ。展示会やイベントには、その分野に関心のある見込み顧客だけが訪れる。そのため、効率的に販路を拡大し、収益化することができるだろう。商品やサービスについて対話形式で詳しく説明できるので、BtoBの販路拡大では広く活用されている方法だ。

ただし、展示会やイベントの出展には数万円から数十万円の費用がかかる。

3.取引先や顧客からの紹介

BtoBビジネスにおける販路拡大では、取引先や顧客からの紹介も積極的に活用すべきである。すでに信頼関係のある相手から顧客や取引先を紹介してもらえるため、信頼構築のためにかかる時間や労力を削減できる。

ただし取引先や顧客の数は限られているため、大規模な販路拡大には不向きである。また、紹介される会社は取引先や顧客と同業者であることが多いため、異業種に販路を拡大するのは難しいかもしれない。

4.セミナーの開催

自社セミナーの開催も、販路拡大に有効だ。セミナーの内容は、自社の商品・サービスの使い方や魅力を伝えるもの、見込み顧客にとって役立つ情報を提供するものがいいだろう。自社の商品・サービスに興味を持つ顧客に訴求できるため、効率的に販路を拡大できる。

ただし、会場の選定やセミナーのコンテンツを準備するのにコストや労力がかかるため、ある程度社内のリソースに余裕がなければ難しいだろう。

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オンラインで行える販路拡大の4つの方法

次に、オンライン(インターネットを活用する)で行える販路拡大の方法を4つ紹介する。オフラインの方法と同様に、自社に合う方法を検討してほしい。

1.自社ホームページやメディアでの情報発信

最初に紹介するのは、自社のホームページやHPとは別に作ったメディアサイトで、自社の商品・サービスに関する情報を発信する方法である。

記事を公開して検索エンジンでの上位表示を狙ったり、訪問してくれた見込み顧客にお問い合わせや資料請求してもらったりすることで、販路拡大を狙う。Web上のコンテンツは一度作成すれば半永久的に残るため、軌道に乗れば安定的に販路を拡大し続けることができる。

しかし、コンテンツを作成するには労力が必要だ。また、作成したコンテンツで集客できるようになる(検索上位に表示されたり、SNS上でシェアされたりする)には、長い時間がかかる。

2.SNSの活用

近年注目されているのが、SNSを使って販路を拡大する方法である。SNSを多用している若者層に対して効率的にリーチできるのが最大のメリットだ。ユニークで役立つ情報を提供できれば、それがユーザーの間でどんどん拡散され、短時間で多くのの見込み顧客に認知してもらえる。

ただし、SNSをあまり使わない層(高齢者など)がターゲットの場合は、効果が薄くなる。また、不適切な内容を投稿すると「炎上」してしまい、自社のイメージダウンにつながるリスクもあるので注意したい。

3.メールマーケティング

メールマーケティングとは、メールを配信する形で販路を拡大する方法であり、メルマガの配信やステップメールなどの手法がある。一度メールの文章を作成すれば、その後継続的に多くの見込み客に自社の商品・サービスの情報を知ってもらえることができる。ただしメールを送信する相手のリストを取得する必要があり、これには時間と手間、コストがかかる。

またメールの性質上、開封されないことも多いので、タイトルの付け方などに工夫が必要だ。

4.外部プラットフォームの活用

ネットショップやビジネスマッチングサービスなど、外部プラットフォームを活用して販路を拡大する方法もある。すでに見込み顧客が存在するプラットフォームを利用するため、販路を拡大する手間と時間を大幅に削減できる。ただし手数料がかかるケースが多いため、すべての利益を手元に残したい場合は別の方法を模索する必要がある。

販路拡大は十分な戦略のもとで行おう

ビジネスを本格的に拡大したいなら、販路拡大は不可欠だ。販路を拡大するにあたっては、あらためて自社の商品・サービスを必要としている顧客について熟知し、その顧客に好まれる方法で商品・サービスを販売する必要がある。今回紹介した方法の中から、自社に合う販路拡大の方法を見つけてほしい。

文・鈴木 裕太(中小企業診断士)