「飲食店の売り上げをどうやってアップすればよいのだろう」と日々考えている経営者も多いだろう。飲食店の売り上げは、「客数」「客単価」「席数」「回転数」などに分解し、その一つ一つに方策を講じることによりアップすることが可能となる。この記事では、飲食店の売り上げの計算方法、業種による平均、売り上げをアップするための具体的な方策について詳しく解説していく。

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飲食店売上の平均はどれくらい?

飲食店が売り上げをアップするための方策とは?売上の計算方法も解説
(画像=murattellioglu/stock.adobe.com)

まずは飲食店の売り上げの平均はどれくらいなのかを見てみよう。飲食店の売り上げを比較する場合には「坪月商」を用いることが一般的だ。坪月商とは、面積1坪あたりにおける1ヵ月の売り上げのことである。一般に飲食店の坪月商は「15万円」が最低限の目標とすべきラインだ。20万円以上あれば繁盛店、逆に10万円以下だと経営は厳しくなる。

参考までに日本政策金融公庫が2018年に発表した「小企業の経営指標調査」によると企業規模50人未満の飲食店の業種別坪月商は以下の通りだ。


業 種
坪月商平均
一般食堂 約17万917円
日本料理店 約15万1,167円
西洋料理店 約17万9,750円
中華料理店 約21万3,833円
朝鮮料理店 約14万6,083円
カレー料理店 約17万5,167円
そば・うどん店 約11万83円
すし店 約16万1,083円
喫茶店 約13万6,083円
お好み焼き屋 約28万6,833円
料亭 約9万500円
バー・キャバレー・ナイトクラブ 約17万8,083円
スナック 約23万4,083円
酒場・ビヤホール 約18万9,416円

出典:日本政策金融公庫『小企業の経営指標調査』

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飲食店の売り上げの計算方法

では飲食店の売り上げの計算方法を見てみよう。売り上げアップの方策を考えるためには「売り上げがどのような要素によって構成されているか」を知ることが重要になってくる。ここでは3通りの要素について解説していく。

  • 売り上げ=客数×客単価
  • 売り上げ=(新規客数+リピート客数)×客単価
  • 売り上げ=席数× 回転数×客単価

1売り上げ=客数×客単価

飲食店の売り上げを最もシンプルな計算式として表現すると「客数」と「客単価」とをかけ合わせたものになる。ここでの客数とは「お客さんが何人来てくれるのか」、客単価とは「1人あたりのお客さんがいくら使ってくれたのか」という意味だ。したがってこの計算式から飲食店の売り上げをアップするためには、以下の2つの方策がある。

  • 客数を増やす
  • 客単価を増やす

2売り上げ=(新規客数+リピート客数)× 客単価

前述の「客数」に着目してみよう。お客さんは、その日はじめてきてくれた新規客と、くり返し来てくれているリピート客とがいる。したがって客数は「新規客数」と「リピート客数」を合わせたものだ。すなわち客数を増やすための方法には、以下の2つの方法がある。

  • 新規の客数を増やす
  • リピートの客数を増やす

3売り上げ=席数×回転数×客単価

客数は異なる分解の仕方も可能で「席数」に「回転数」をかけ合わせたものとも表せる。ここでの回転数とは、「お客さんが1つの席に平均として何回座ったか」という意味だ。50席にお客さんが平均3回ずつ座ればお客さんの数は150人である。したがって客数を増やすためには、以下の2つの方法が必要だ。

  • 席数を増やす
  • 回転数を増やす

ただし回転数については、必ずしも独立した要素とはいえない側面がある。なぜならお店の客単価の高低差で大きく変動する可能性があるからだ。例えば牛丼店のように客単価が低い店では、お客さんはサッサと食べて帰るから回転数は高くなることが多い。しかし逆に高級レストランのように客単価が高い店では、お客さんは会話をしながらじっくりと食べるから回転数は低くなる傾向だ。

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飲食店の売り上げをアップするための方策とは?

飲食店の売り上げをアップするための具体的な方策を見ていこう。

リピート客数をアップするための方策

飲食店の売り上げをアップするためには、リピート客数を増やすことが最も重要だ。リピート客を増やすことには以下のようなメリットがある。

  • 集客にお金がかからない
    一般的に新規のお客さんを集めるためには広告宣伝などに費用がかかるが、リピートのお客さんを集めるためにはその費用はかからない。広告宣伝費などがかからない分、リピートのお客さんからの売り上げは利益率が高くなる。

  • 口コミなどで新規のお客さんを呼んでくれる
    リピートをくり返してお店に対する信頼度が高まったお客さんは、口コミや紹介などで新規のお客さんを呼んでくれることが多い。すなわちリピート客を増やすことは、新規客を増やすことにもつながる。

  • 売り上げが安定する
    リピートのお客さんは、それぞれのペースで定期的に来店するケースが多い。したがってリピート客が増えることにより毎月の売り上げが安定する。売り上げが安定すれば従業員の採用や材料の仕入れなどについても計画的に行いやすい。リピートのお客さんを増やすためには、お客さんの満足度を高めることが重要だ。なぜならお店に満足するからこそ初めてお客さんはくり返し訪れるようになるからだ。

お客さんの満足度を高めるためには、お客さんに対してアンケートを実施することが有効な方策の一つとなる。リピート客は、お店で提供する料理の味はもちろんのこと価格や接客、お店の雰囲気、店舗の立地などさまざまなことが理由となって来店する傾向だ。「リピート客が自店のどのようなポイントに魅力を感じているのか」を把握することにより自店の「強み」をより強化することができる。

またアンケートを実施することにより自店の問題点を把握しそれを改善することも可能だ。一般にリピートしているお客さんは、アンケートなどで積極的に問いかけない限りお店に対して問題点を指摘することは少ないものである。

新規客数をアップするための方策

新規客数をアップするためには、以下のような方策を講じることが重要だ。

  • お店のコンセプトを明確にする
    第一に必要となることは、お店のコンセプトを明確にすることだ。なぜなら他店にはない特徴をしっかりと打ち出すことにより競合店との差別化が可能となるからである。ただしコンセプトを設定する際には、そのコンセプトに魅力を感じる人がお店の商圏に多数いることが重要だ。経営者が自分だけでよいと思っている独りよがりのコンセプトでは、共感を集めることは難しい。

  • 広告宣伝の使用媒体を厳選する
    新規客数をアップするためには、広告宣伝の使用媒体を厳選することも重要である。近年ではSNSなどを広告宣伝に利用しようと考える経営者も多いだろう。しかしSNSは全国・全世界に拡散されるため、お店の商圏内のターゲットにリーチできないことも多い。お店のターゲットとなる見込み顧客を明確に想定し見込み顧客が目にするであろうと考えられる媒体を使用することが大切だ。

  • 来店動機を積極的にアピールする
    お客さんがお店に来るのは、単に「お店がいい」と思うだけでなく具体的な動機がともなうことが多い。「期間限定の特別メニュー」「周年記念の特典」などお客さんの来店動機になり得るキャンペーンを積極的に実施することは、新規客を増やすために有効だ。

回転数をアップするための方策

回転数をアップするためには、お客さんの滞在時間を短くすることが必要だ。しかし滞在時間を短くするためにお客さんに対して「食べ終わったら早く帰ってくれ」と求めることはできない。したがってお客さんの滞在時間を短くするためには、「料理を提供するスピードを早める」ことが唯一の方法となる。

提供スピードを早めるために特に重要になってくるのが、キッチンでのオペレーションを効率化することだ。「調味料を取りやすい位置に置く」「よく使用する食材は冷蔵庫から作業台へ一定量を出しておく」などキッチンオペーレーションの細かい部分を改善していくことでお客さんの満足度を下げることなく回転率を高めることが可能となる。

客単価をアップするための方策

客単価をアップするためには、以下のようなさまざまな方策が考えられる

  • 居酒屋の枝豆や低価格のデザートなど「もう一品」を注文してもらえるメニューを準備する
  • 「料理とアフタードリンク」「お酒とつまみ」などをセットメニューとし、それぞれを別に注文するより安く価格設定する
  • 品質を高めるとともに値段を上げるメニュー改定を行う
  • オーダーを取るときに「ドリンクはいかがですか」「こちらがおすすめのメニューです」などとお客さんに一声かける

ただし客単価をやみくもに上げようとすると客離れにつながることもある。客単価のアップについては、お店のコンセプトやターゲットの属性などを考え合わせて慎重に検討しよう。

席数を増やすための方策

席数は、キッチンの面積比率によりほぼ自動的に決まってくるためむやみに増やすことはできない。ただし客席稼働率を高めることにより実際に入れるお客さんの人数を増やすことは可能となる。例えば4席のテーブルを2人のお客さんで使用した場合には、客席稼働率は50%だ。したがって以下のような方策を取ることも方法の一つである。

  • 1人~2人で来店したお客さんにはカウンターに座ってもらう
  • ランチタイムなど多くのお客さんが来店する時間帯には相席を積極的に推奨する

客席稼働率を高めることは、売り上げをアップすることに直接つながることになる。

売り上げをアップするためのその他の方策

売り上げをアップするためには、以上で見てきたことの他に以下のような方策も有効だ。

  • 接客における対応を向上させ
    接客はお客さんの満足度を高めるための要素として非常に大きなウエイトを持つ。「接客マニュアルをしっかりと整備する」「アルバイトの時給を接客力に応じたものとする」「接客スタッフ同士が互いにアドバイスし合えるようなミーティングを行う」などは、接客における対応を向上させるために有効だ。

  • クレームに迅速に対応する
    クレームに迅速に対応することも売り上げをアップするためには重要だ。クレームは、お客さんの満足度が低いことを意味しているため、お店として実際に改善が急務である。またクレームを放置してしまえばネットの口コミサイトに投稿されるなどして売り上げが大幅にダウンする懸念もあるだろう。そのためクレーム対応についてはしっかりとマニュアルを作成することが必要だ。

またクレームが発生した際にはかならず店長に報告させ、報告を受けた店長がお客さんに対して直接謝罪することが重要である。

  • カード決済を導入する
    売り上げをアップするためにはクレジットカード決済を導入することも有効だ。近年、キャッシュレスでの支払額は拡大の一途をたどり、今後も拡大が予想されている。カード決済を導入すれば客単価と集客力のアップを見込むことが可能となる。

客単価のアップが見込めるのは、カード決済ができれば手持ちの現金を気にすることなく飲み食いができるからだ。職場の仲間や後輩を連れての飲み会で「気前よくおごる」などのケースも、カード決済ができれば増加が見込めるだろう。

また、キャッシュレス支払額の増加は「カードで支払いたい」と考えるお客さんが増えていることを意味している。したがって、カード決済を導入すれば集客力のアップが見込めるのだ。逆にいえば、カード決済できない飲食店は「お客さんに避けられる」可能性すらあるといえるだろう。

しっかりと方策を講じて飲食店の売り上げをアップしよう

飲食店の売り上げは、新規客数やリピート客数、席数、回転数、客単価などに分解して考えることができる。それぞれに対してしっかりとした方策を講じていくことにより売り上げをアップすることが可能だ。ターゲットとなるお客さんのニーズをしっかりと把握し満足度を高めることにより売り上げをアップしていこう。

文・高野俊一(ダリコーポレーション ライター)