企業を取り巻く社会環境は、日々大きく変化している。中小企業にとって、激しく変化する時代の流れは、大きなリスクである一方、経営者のリーダーシップによっては「これから儲かる仕事」を獲得できる大きなチャンスと捉えることもできる。

今回は、ビジネス成功に必要なイノベーションと新規事業参入のヒントを経営者視点で解説する。

目次

  1. 「これから儲かる仕事」の現実
    1. 中小企業の現実は厳しい
    2. 開廃業の動向
  2. これから儲かる仕事を見極めるために知っておきたい4つの変化
    1. 変化1.人口減少
    2. 変化2.デジタル化
    3. 変化3.デジタル・プラットフォーマーの出現
    4. 変化4.グローバル化
  3. これから儲かるビジネスに必要な3つの戦略
    1. 1.ECの戦略的な活用
    2. 2.大企業との連携
    3. 3.地方創生ビジネスの発掘
  4. これから儲かる仕事は変化を見極めながら選ぼう

「これから儲かる仕事」の現実

「これから儲かる仕事」は?イノベーションと新規事業参入のヒントを解説
(画像=minianne/stock.adobe.com)

現在、世界を席巻しているグローバル企業の多くは、新規事業参入やベンチャーから始まり、時代をつくりながら事業を拡大してきた。その背景には、経済・社会・自然環境などが、想像以上に大きく変化したことがあげられるだろう。

企業を取り巻く変化は、これからさらに加速し、大きくなることが予測される。変化は、リスクであると同時に新たなビジネスが生まれるチャンスでもある。企業経営者は、時代の変化の兆しを素早くキャッチし経営に活かす必要があるだろう。

中小企業の現実は厳しい

一方で、中小企業の現実には厳しいものがある。時代の変化に対応していく必要性を理解していても、人手不足やそれを補うための生産性の向上がうまくいっていないためだ。

経営者は、目の前の仕事をこなしていく事に多くの時間を費やし、変化を見据えた業務改善や新規事業参入を考える余裕がないという人もいる。

中小企業庁が3ヶ月単位で公開する「中小企業の景況調査」の結果を見ると、中小企業の業況は2017年半ばから緩やかに改善していたが、2019年後半から低下傾向がみられる。

開廃業の動向

中小企業庁が発行している「中小企業のライフサイクル」によると、日本企業の開業率は上昇傾向にあるが、世界の先進国諸国(米国・英国・ドイツ・フランス)と比較して、日本の開廃業率は極めて低い。先進諸国が9〜11%程度で推移しているのに対し、日本は4〜5%程度だ。その分廃業率も低いものの、新たなビジネスチャンスを求めて開業する人も少ないのが現実だろう。

「これから儲かる仕事」は?イノベーションと新規事業参入のヒントを解説

※中小企業庁のデータをもとに筆者作成

「これから儲かる仕事」は?イノベーションと新規事業参入のヒントを解説

※中小企業庁のデータをもとに筆者作成

中小企業を取り巻く環境の変化は激しく、中小企業にとって厳しい状況であると言わざるをえない。しかしながら、そんな中でも成長している企業は存在する。その成功の裏には、イノベーションとビジネスの新たな視点が存在している。

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これから儲かる仕事を見極めるために知っておきたい4つの変化

「これから儲かる仕事」とは何かを考える場合に「変化への対応」という視点は重要だ。変化はリスクであると同時に、大きなビジネスチャンスとなる要素を含んでいる。ここでは、既に起こっていてかつ将来的にさらに拡大すると予想される変化について解説する。

変化1.人口減少

数十年ほど前から少子高齢化に伴う人口減少が注目され、企業の人手不足がリスクとして取り上げられるようになった。しかしながら、リスクとして認知されていても、十分な対応が困難な状況も存在している。中小企業における人手不足は深刻だ。

人口減少の影響は、日本全国で一律に考えるのは避けた方がよい。都市部に比べて地方の中小企業の方が、周囲への影響が大きいからだ。近年は、都市部に人口が集中する傾向が顕著にあり、その格差は今後も継続することが予測される。

現業において、人口減少をふまえた新たなサービスの提供はさらに必要性を増していくだろう。他社との差別化を図るという点においても重要である。中小企業にとって、全く新しい分野に進出することは、困難かもしれないが、新たな視点からサービスをプラスすることは、本業の業績アップにつながる可能性が高い。

イノベーションと新規事業参入の視点で人口減少を捉えると、人手不足を補うソリューションの需要が今後さらに増加することが予測される。システムを導入した定型業務の効率化やAI・ロボットを使った自動化、アウトソーシング事業、人材派遣などの事業は、ますます拡大し続けるだろう。

都市部と地方の格差や人手不足に注目したサービスに着目するのは、「これから儲かる仕事」を探す上で役立つと視点といえる。

変化2.デジタル化

デジタル化の最も顕著な分野は、インターネットの普及である。特にスマートフォンの保有率は全世代においてパソコンを上回っている。企業は業種に限らず、デジタル化を意識した取り組みを避けては通れないだろう。

事実、企業の大部分はホームページやオウンドメディアを開設し、顧客との窓口を設置している。

特に商品やサービスを販売する事業においては、デジタル化時代の購買行動モデルである「AISAS」に注目すると良いだろう。

「AISAS」とは、電通が考案したモデルで、消費者の購買行動が「Attention(注意)」「Interest(関心)」「Search(検索)」「Action(行動・購入)」「Share(評価の共有)」という5つのプロセスで進行するという考え方である。

自社が提供するサービスや商品は、インターネット上で「Search(検索)」され、評価は「Share(評価の共有)」される。イノベーションや新規事業参入の視点においても、「AISAS」を意識したマーケティング戦略は必須だ。

変化3.デジタル・プラットフォーマーの出現

現在の世界を反映する巨大な成長企業に、GAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)がある。GAFAは、インターネット上で行われる、あらゆるアクションの基盤を提供するデジタル・プラットフォーマーと呼ばれる企業だ。

デジタル・プラットフォーマーの考え方は、デジタル化が進む前の世界では存在しなかった新しいビジネスモデルである。今後もこのようなデジタルプラットフォーマーは続々と出現すると考えられており、中国のアリババやテンセントなどが代表格だ。

広義の意味で「アクションの基盤を提供する」というテーマは、中小企業にとってもイノベーションと新規事業参入のヒントになるだろう。

変化4.グローバル化

今では巨大なグローバル企業を有する中国も、かつては新興国の代表であった。中国をはじめとする新興国の台頭は、日本の中小企業にとって、市場を奪われる脅威であった。その一方で、経済成長を遂げた新興国は新たな巨大市場を生みだすまでに成長した。

日本国内での市場が縮小されていく中で、巨大な海外市場が確立されたことは中小企業にとって新たなビジネスチャンスといえるだろう。実際、中小企業の海外展開は毎年順調に市場規模を拡大している。

経営者にとってグローバル市場を意識し、イノベーションと新規事業参入を検討することは「これから儲かる仕事」を考える上で重要である。