資産運用
(画像=beeboys/Shutterstock.com)

将来の資産形成のためにiDeCoをはじめたいと思っているけど「どの金融機関ではじめるべきか迷っている」という人は多いのではないでしょうか。本記事では一体どのような視点でiDeCoの窓口となる金融機関を選べばいいのか、注目すべきポイントを比較して解決します。

目次

  1. どの金融機関が注目されているのか?【2021年3月現在】
  2. iDeCo(イデコ)をはじめる金融機関選び3つのポイント「手数料・商品ラインナップ・サポート体制」
  3. <ポイント1> iDeCo(イデコ)は手数料が安い金融機関で加入しよう!
    1. 加入時手数料はどの金融機関でも同じ金額、差が生まれるのは口座管理手数料(運営管理手数料)
    2. 運営管理手数料が無料(口座管理手数料が171円)の金融機関8社【2020年1月現在】
    3. 【まとめ】
  4. <ポイント2> iDeCo(イデコ)は商品ラインナップの多い金融機関で加入しよう!
    1. iDeCo(イデコ)は投資信託が多い金融機関で加入したほうがいい理由
    2. 商品ラインナップが多い金融機関【2021年4月現在】
    3. iDeCo(イデコ)は信託報酬が低い商品が多い金融機関で加入したほうがいい理由
    4. 【まとめ】
  5. <ポイント3> iDeCo(イデコ)はサポート体制が手厚い金融機関で加入しよう!
    1. 電話可能なコールセンターがあるか
    2. 店頭でも相談を受け付けてくれるか
    3. サイトが充実していて見やすいか
    4. 【まとめ】
  6. iDeCo(イデコ)をはじめるとどのくらい節税できる?

どの金融機関が注目されているのか?【2021年3月現在】

NPO確定拠出年金教育協会のWEBサイトによるとiDeCoを取り扱う金融機関で「金融機関ページ閲覧数トップ10」は次の通りです。

1位:SBI証券
2位:楽天証券
3位:イオン銀行
4位:三井住友銀行
5位:ゆうちょ銀行
6位:みずほ銀行
7位:三菱UFJ銀行/三菱UFJ信託銀行
8位:りそな銀行
9位:野村證券
10位:大和証券

閲覧数のトップ10を見ると耳にしたことがある名前の金融機関が多い傾向です。「イオン」はショッピングモールでよく知られており、「三井住友銀行」「みずほ銀行」などのメガバンクやゆうちょ銀行、野村証券や大和証券も大手の証券会社です。ただ有名だから良いというわけではありません。実際に考慮すべき判断軸はどういったことなのでしょうか?

iDeCo(イデコ)をはじめる金融機関選び3つのポイント「手数料・商品ラインナップ・サポート体制」

iDeCoをはじめる場合、金融機関(運営管理機関)を選ぶ判断基準として主に「手数料」「商品ラインナップ」「サポート体制」などが挙げられます。基本的には、手数料が安く商品ラインナップが豊富かつサポート体制が充実した金融機関を選んで加入するとよいでしょう。

<ポイント1> iDeCo(イデコ)は手数料が安い金融機関で加入しよう!

iDeCoにはさまざまな手数料がかかります。もちろん手数料が安いに越したことはありません。手数料は大きく「初めにかかる手数料」と「毎月かかる手数料」に分けられます。

加入時手数料はどの金融機関でも同じ金額、差が生まれるのは口座管理手数料(運営管理手数料)

・はじめにかかる手数料
加入するときに1回だけかかる手数料が「加入時手数料」。これはiDeCoを運営している国民年金基金連合会に支払う手数料です。加入時手数料はどの金融機関を通じてiDeCoに加入しても同じで2,829円(2020年1月時点)で金融機関ごとの差はありません。

・毎月かかる手数料
毎月かかる手数料が「口座管理手数料」です。内訳は以下のように3つあり運営管理手数料が金融機関ごとに異なるため、口座管理手数料はどの金融機関を通じてiDeCoに加入するかによって差が生まれます。

【口座管理手数料の内訳】

口座管理手数料の種類支払先金額
収納手数料国民年金基金連合会105円(掛け金の納付1回あたり)
事務委託先手数料信託銀行毎月66円(掛け金を停止してもかかる)
運営管理手数料金融機関金融機関によって異なる

「収納手数料」と「事務委託先手数料」も「加入時手数料」と同じで、どの金融機関でiDeCoを加入しても差はありません。そのためどの金融機関で加入しても掛け金を掛け込んでいる月は毎月171円(105円+66円)が必ずかかります。金融機関ごとに違いがあるのは「運営管理手数料」です。運営管理手数料は安いところは毎月ゼロ、2020年1月時点最も高いところで毎月524円。つまり年間で6,288円も差があります。

iDeCoは長期間積み立てる制度なので運用管理手数料が積み重なると相当な金額になります。例えば毎月524円の運営管理手数料を20年払い続けた場合は12万5,760円です。iDeCoの税制優遇のメリットが薄れてしまいかねないため、運営管理手数料はしっかりと比較したい重要なチェックポイントといえます。

運営管理手数料が無料(口座管理手数料が171円)の金融機関8社【2020年1月現在】

資産残高に関わらず運営管理機関手数料がかからない金融機関は下記の8社です。店舗や営業スタッフを持たないネット証券が多いことが分かります。

  • イオン銀行
  • auアセットマネジメント
  • SBI証券
  • auカブコム証券
  • 大和証券
  • 松井証券
  • マネックス証券
  • 三井住友銀行

※50音順

金融機関によってはキャンペーンで「運営管理手数料をキャンペーン期間中は無料」「一定額以上積立額や残高があると無料」といったところもあります。基本的には条件なしでいつでも運営管理手数料が無料の金融機関が良いでしょう。その他にかかる手数料として他の金融機関で取り扱うiDeCoや企業型DCに資産を移す場合に元の金融機関に移管するための手数料支払わなければならないところがあります。

また将来、年金資産を受け取る際に受け取りごとに所定の手数料がかかりますが、iDeCoの口座開設時に重要視したいのはやはり毎月かかる「運営管理手数料」でしょう。さらに忘れてはならないのが投資信託の運用コストです。詳しくは後述しますが商品ラインナップから投資信託を選んだ場合はその投資信託に設定された「信託報酬」という運用コストを負担する必要があります。

【まとめ】

・iDeCoの手数料には加入時にかかる加入手数料と毎月かかる口座管理手数料がある
・加入手数料はどの金融機関でも同じ2,829円(2020年1月時点)
・口座管理手数料は金融機関によって異なる
・運営管理手数料が無料な金融機関(口座管理手数料が最低金額171円な金融機関)は上述の8社!(2020年1月現在)

⇒iDeCoの加入を検討するときには、金融機関の「口座管理手数料」に注目し、お得な金融機関を選ぼう!

<ポイント2> iDeCo(イデコ)は商品ラインナップの多い金融機関で加入しよう!

iDeCoで購入できる商品は、加入した金融機関で取り扱いのある商品のみです。そのため気に入った商品がある金融機関でしか取り扱いがないのであれば、その金融機関で加入するしかありません。「気に入った商品が見あたらないから今後考える」という人であれば将来の選択肢を増やすためにも商品ラインナップが多い金融機関で加入するとよいでしょう。そのなかでも信託報酬が安い投資信託が多い金融機関なら費用負担を抑えることが可能です。

iDeCo(イデコ)は投資信託が多い金融機関で加入したほうがいい理由

iDeCoの商品ラインナップには大きく分けて「元本保証型」と「投資信託」があります。

・元本確保型
元本確保型とは、定期預金や保険を運用先とする商品です。ただ金融機関によっては「元本確保型」がない場合もあります。ただ適用される金利は2020年1月時点で非常に低いため、運用益に対する非課税のメリットがほとんど得られないことがデメリットです。

・投資信託
「国内株式」「国内債券」「外国株式」「外国債券」など従来の資産クラスをはじめとして「金」などのコモディティ(商品)を取り扱っている金融機関もあります。また一口に外国株式といっても「先進国株式」と「新興国株式」、外国債券でも「先進国債券」と「新興国債券」、REIT(リート、不動産投資信託)も国内REITと海外REITといったように投資対象が細分化されているのが一般的です。「インデックス運用」と「アクティブ運用」といった運用スタイルで分けられている商品もあります。

このように商品ラインナップが豊富だとそれだけニーズに合わせて商品を選び組み合わせることが可能です。そのためiDeCoで加入したほうがよい金融機関は、一般的に商品数が多いほうが好まれています。さらに商品ラインナップのなかに信託報酬の低い投資信託がたくさん含まれていることが理想的です。

商品ラインナップが多い金融機関【2021年4月現在】

  • 岡三証券41本(投資信託34本)
  • SBI証券【セレクトプラン】37本(投資信託36本)
  • スルガ銀行33本(投資信託30本)
  • 三菱UFJ銀行/三菱UFJ信託銀行【標準コース】33本(投資信託26本)
  • ゆうちょ銀行34本(投資信託26本)
  • auカブコム証券27本(投資信託26本)

iDeCo(イデコ)は信託報酬が低い商品が多い金融機関で加入したほうがいい理由

iDeCoで投資信託を選ぶ場合、投資信託のコストはとても重要です。なぜなら運用実績から運用コストである信託報酬が差し引かれるためです。そのため各資産クラスで信託報酬の低い商品が含まれているかが選択のポイントです。信託報酬は投資信託の運用や管理のコストとしてかかる手数料ですべての商品で設定されています。

信託手数料は運用会社などに払われ、投資信託を保有している間継続してかかるのが特徴です。信託報酬は年〇.〇〇〇%と表示されますが実際は資産から日割りで毎日差し引かれます。例えば毎月の掛け金額が2万3,000円で運用利回りが年4%、信託報酬率が年1%の場合の信託報酬を見てみましょう。

毎月2万3,000円、運用利回り年4%、信託報酬率年1%のケース(万円)

1年目3年目5年目10年目20年目
元本27万円82万円138万円276万円552万円
信託報酬控除前27万円86万円149万円331万円821万円
支払信託報酬額0円0円2万円14万円80万円
信託報酬控除後27万円85万円146万円316万円741万円

※楽天バンガードHEADSで試算

シミュレーションでは信託報酬控除前と控除後の差は5年目で約3万円、10年目で約15万円、20年目で約80万円の差がつきました。信託報酬は特に長期になればこれほど運用実績に影響を及ぼします。また信託報酬の分だけ収益が減るため、仮に同じ運用能力を持つ投資信託を比べれば信託報酬が低いファンドのほうが収益率は高いといえるでしょう。

例えば毎月の掛け金が2万3,000円で運用利回りがともに年4%、信託報酬率が年1%と年0.5%の2つの投資信託を見てみましょう。

毎月2万3,000円、運用利回り年4%、信託報酬率年1%と0.5%のケース(万円)

3年目5年目10年目20年目
元本82万円138万円276万円552万円
信託報酬率1%控除後85万円146万円316万円741万円
信託報酬率0.5%控除後85万円147万円323万円780万円
控除後の差0円1万円7万円39万円

※楽天バンガードHEADSで試算

たった年0.5%の信託報酬率の違いで5年目に約1万円、10年目で約7万円、20年目だと約39万円もの差がつくことになります。iDeCoは長期の積立投資を前提としている制度のため、口座管理手数料や信託報酬などの費用はとても重要なチェックポイントだということがよく理解できたのではないでしょうか。

【まとめ】

・iDeCoで購入できる商品は加入した金融機関で取り扱いのある商品だけ
・取り扱う投資信託の種類が多いとさまざまな運用ニーズをかなえやすいため、商品ラインナップが多い金融機関が人気
・投資対象に投資信託を選択する場合、信託報酬の高低差が運用結果に与えるインパクトは大きい

⇒iDeCoの加入を検討するときには、投資信託の「信託報酬」に注目し信託報酬の低い商品が多数そろっている金融機関を選ぼう!

<ポイント3> iDeCo(イデコ)はサポート体制が手厚い金融機関で加入しよう!

iDeCoは老後資産を積み立てて年金資産を受け取るまで長く関わる制度のため、加入時はもちろん加入した後もしっかりしたサポート体制があると安心です。サポート体制として具体的にどのような点に注目したらいいのでしょうか。

電話可能なコールセンターがあるか

ビジネスパーソンにとってウィークデーはなかなか時間が取りにくいと感じている人が多いのではないでしょうか。そのためスキマ時間やあるいは休日のタイミングで知りたいことが解決できることが理想的です。コールセンターは多くの金融機関で対応していますが対応の日時が異なります。例えばイオン銀行やみずほ銀行では平日21時まで休日も17時までコールセンターを使うことが可能です。(年末年始やゴールデンウィーク、メンテナンス日は休業)

【コールセンターの対応状況】

金融機関名コールセンター
平日休日休業日
イオン銀行9:00~21:009:00~17:0012月31日~1月3日、ゴールデンウィークの一部の日およびメンテンスの日
ジャパン・ペンション・ナビゲーター※確認できず9:00~21:009:00~17:00祝日、12月31日~1月3日、システムメンテナンス日
東京海上日動火災保険9:00~20:009:00~17:00日曜、祝日、年末年始
日本生命保険9:00~20:009:00~17:00祝日、振替休日、年末年始等
野村證券9:00~21:009:00~17:00祝日(振替休日を含む)、年末年始
みずほ銀行9:00~21:009:00~17:0012月31日~1月3日、ゴ~ルデンウィークの一部の日およびメンテナンスの日
三井住友銀行9:00~21:009:00~17:00祝日、12月31日~1月3日、土日のシステムメンテナンス日
りそな銀行9:00~21:009:00~17:00祝日、振替休日、年末年始

店頭でも相談を受け付けてくれるか

ネット証券では対面の窓口は原則ありません。そのため直接相談を受けたい場合は窓口を用意している金融機関を選ぶとよいでしょう。店頭で相談を受け付けてくれる金融機関としては、イオン銀行や大和証券が挙げられます。イオン銀行の場合、イオン店舗内の窓口で365日相談可能なので週末の買い物の際などに相談することができ便利です。

また大和証券でも各支店の窓口で相談可能です。三井住友銀行やりそな銀行でも店頭で相談が受けられます。

サイトが充実していて見やすいか

Webサイトの使いやすさも金融機関選びの重要なポイントの一つといえるでしょう。例えば以下のようなシステムが構築されていると非常に利用価値が高いといえます。

  • iDeCoがどのような制度か動画を使って丁寧に解説されている
  • どのようなメリットがあるのかシミュレーションできる
  • 商品選びの際に役立つツールがある
  • 商品の情報が豊富で運用状況が見やすい
  • パソコンの他にスマートフォンやタブレットで状況が確認できる

例えばSBI証券やマネックス証券、みずほ銀行などではロボアドバイザーが使えます。ロボアドバイザーとは、資産運用のアドバイスや資産管理などをしてくれるツールのことです。ロボアドバイザーを利用すると資産運用のアドバイスが受けられたりリスク許容度が確認できたりするのではじめて利用する人には特に参考になります。

またSBI証券のWebサイトは使いやすく情報量も豊富です。運用商品のページでは、ファンド分類や投資地域、信託報酬、トータルリターンなど数多くの検索項目が用意されています。ファンド詳細画面にも豊富な情報量が掲載されており非常に充実したWebサイトの一つです。

りそな銀行のWebサイトも動画を用いて分かりやすく解説しており用語集なども充実しているため初心者にも分かりやすい構成といえるでしょう。

「DC資産運用クリニック」というツールがあり質問に答えていくと自分のリスク許容度とそれにそった運用方法や運用商品を知ることができます。

このようにiDeCoで口座を開設する金融機関を決める観点は一つだけではありません。運営管理手数料や信託報酬といったコスト負担の面や商品ラインナップの充実度、サポート体制などが主な比較ポイントになります。

口座管理手数料や信託報酬はランニングコストの節約となるため特に重要なポイントです。商品数については単に商品数が多いだけでなくその中身が問題となります。

また、サポート体制と一口に言っても「運用について動画やセミナーで効率的に知識が習得できる」「リスク許容度などが簡単にシミュレーションできる」「聞きたいことがあった場合にコールセンターや窓口で相談できる」など、どこに重点をおくかは人それぞれ。気になった金融機関のWebサイトに実際にアクセスして商品ラインナップや信託報酬、各種シミュレーション機能、商品情報、サポート体制等を自分の目で確認したうえで最終的に一つに決めるとよいでしょう。

【まとめ】

・コールセンターの対応時間が自分の働き方に合う金融機関だと便利
・店頭がある金融機関だと分からないことがあるときに相談ができて安心
・使えるWebサイトのコンテンツが充実していていると資産運用に役立つ

⇒iDeCoの加入を検討するときは、金融機関のサポート体制もチェック。サポート体制のしっかりした金融機関を選ぼう!

iDeCo(イデコ)をはじめるとどのくらい節税できる?

iDeCoは公的年金を補う目的があるため、税制面で優遇された制度です。特に掛け金は全額所得控除になるため所得税と住民税が軽減されます。日本は累進課税制度のため所得が多くなるほど適用される所得税率が高くなります。そのため同じ掛け金額でも高収入な人ほど税金の軽減メリットは大きくなるでしょう。

例えば課税される所得が500万円であれば所得税率は20%、住民税率は一律10%のため、年間掛け金額の30%の税金が軽減できます。所得が1,000万円であれば所得税率が33%となるため、住民税率10%と合わせて43%となり年間掛け金額の43%分の税金が軽減可能です。

所得税の税率

課税される所得金額税率
195万円以下5%
195万円を超え 330万円以下10%
330万円を超え 695万円以下20%
695万円を超え 900万円以下23%
900万円を超え 1,800万円以下33%
1,800万円を超え4,000万円以下40%
4,000万円超45%

拠出額が月額2万3,000円の場合、節税額の目安(年間)

年収軽減額合計の軽減額
所得税住民税
700万円5万5,200円2万7,600円8万2,800円
1,200万円6万3,480円2万7,600円9万1,080円
2,000万円9万1,080円2万7,600円11万8,680円

※iDeCo公式サイト「かんたん税制シミュレーションで試算」

上記のように企業年金がない会社員の上限となる月額2万3,000円で拠出した場合、年収2,000万円の人だと年収700万円の人よりも3万5,880円も負担額が減ります。