リモートワークが新しい働き方として定着した現在、よりリラックスしたライフスタイルを求め、東京以外への土地へ移住する人が増えているという。注目を集めている「週末移住」という新しいライフスタイルと共に、リモートワークと移住増加の関連性を検証する。

目次

  1. コロナ禍のリモートワーク増加で移住は増えている?
    1. 6割の都内企業でリモートワークが定着
  2. 「週末移住」という選択をする人も多い
    1. 週末移住するメリットとデメリット
    2. 「週末移住支援制度」を賢く利用しよう
  3. 「週末移住」でお勧めのエリアは?

コロナ禍のリモートワーク増加で移住は増えている?

週末移住という選択肢も。コロナ禍のリモートワークで都内離れは増加?
(画像=Jacob Lund/stock.adobe.com)

最初に、総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告」から、全国の移住状況を見てみよう。

2020 年の東京の転入超過数(市区町村または都道府県の転入者数から、転出者数を差し引いた数)は3万1,125人と、前年の半分以下に減少した。東京の転入超過数が2014~2019年にわたり、毎年7万~8万人台を維持していたことを考慮すると、異例の事態である。

さらに詳細を見てみると、東京からの転出者数は40万1,805人と前年から4.7%増加したのに対し、転入者数は7.3%減の43万2,930人 と、2014年とほぼ同じ水準へと減少している。つまり、転入超過数の急減は、転出者数の増加と転入者数の減少によるものだ。

一方、東京以外の一部の都市の転入超過数には、相反した動きが見られる。東京近郊の神奈川(2万9,574人/0.1%減)ではそれ程大きな変化はなく、千葉(1万4,273人/50%増)や大阪(1万3,356人/66%増)、福岡(6,782人/132%増)では著しく増加した。

全国単位では、都道府県(自都市)内移動者数が279万1,729人(前年比1.5%減)、他都道府県(他市町村)からの転入者数が246万3,992人(4.1%減)と、それ程大きな変化はなかった。

6割の都内企業でリモートワークが定着

リモートワークの実施率から、リモートワークと移住増加の関連性を検証してみよう。

東京都が都内の企業を対象に実施した調査によると、2020年3月は24.0%だったリモートワーク実施率は、緊急事態宣言が発令された4月に62.7%へと増加した。2021年1月も57.1%と6割近くが実施していることから、その後も新しい働き方として定着していることが分かる。

規模の大きい企業の実施率が最も高く、従業員数300人以上の企業230社の76.5%が「導入している」、2.4%が「今後予定あり」と回答した。従業員数30~99人の企業85社もすでに47.0%が導入しており、5.7%が今後導入予定である。緊急事態宣言期間中のテレワークの実施頻度は、約6割が週3日以上と最も多い。

「週末移住」という選択をする人も多い

確かに、せわしない都会で暮らしていると、大自然の中でのんびりした時間を過ごしたいと感じる人も多いだろう。しかし、住み慣れた大都市から違う土地への引っ越しは、そう簡単には決断できないものだ。仕事以外にも、住居や子どもの教育など、色々と考慮しなければならないことも多い。

そこで注目されているのが、「週末移住」だ。週末や休日だけ違う土地で暮らし、普段とは違う生活を送るという、デュアル・ライフスタイル(二地域居住)である。

週末移住するメリットとデメリット

日常生活から切り離された空間で、心身共にリフレッシュできる点が、週末移住の最大のメリットだ。大人も子どもも、アウトドアライフや地元の人々との交流を通して、都会では味わえない体験を堪能できる。

もちろん、いいことづくめではない。生活拠点を2つもつということは、住居費や光熱費の基本料金、火災・家財保険なども二重に必要になるということだ。そこへ移動費などが加算される。また、移住先に遠方を選ぶと、その分移動時間が増えて、いずれ負担に感じるようになるかも知れない。

メリットとデメリットの両方をしっかりと見比べ、ライフスタイルや予算に合わせた週末移住プランを立てることが重要だ。

「週末移住支援制度」を賢く利用しよう

週末移住を検討する際、賢く利用したいのが、自治体による週末移住の支援制度だ。全国各地の自治体で、住まいから子育て・教育、仕事(起業・事業・就職など)まで、移住に必要な情報や支援を提供している。

たとえば、宮城県七ヶ宿町は、中学生以下の子どもがいる世帯主が40歳未満の世帯を対象に、20年間住んだ場合に土地と住宅を無償で譲渡する制度を提供している。あるいは兵庫県洲本市や福岡県添田町など、家賃助成金制度を設けている自治体も多い。

その他、新築・中古・空き家への入居費用、あるいは住宅購入費やリフォーム工事、ソーラーパネルなどの設備の助成金を受けられる場合もある。インターネットで情報を集め、各自治体に問い合わせてみると良いだろう。

「週末移住」でお勧めのエリアは?

週末移住向きの土地は全国に多数あるが、東京に拠点を置き、移動の負担などを抑えながら、週末だけ違う土地で過ごしたいという人には、東京近郊がおすすめだ。

たとえば、関東圏で人気の移住エリア、千葉県いすみ市は、海と山の自然に囲まれた、都会に近い「身近な田舎」だ。JR大原駅から東京駅までは特急で約70分と、アクセスも良い。また、移住支援プロジェクトの一環として、インターネットで空き家の貸主と借り手をマッチングする「空き家バンク」や、予約制のオンライン移住相談を実施するなど、移住者の受け入れに積極的だ。

雄大な自然と歴史ある街並みで観光地としても人気の茨城県は、東京からの移住者誘致策として、対象者に移住支援金を支給する「わくわく茨城生活実現事業」や、テレワーク者の移住を支援する「テレワーク移住促進事業」、1日1,000円で短期滞在できる「お試し居住」など、魅力的な支援プログラムを展開している。

リモートワークのさらなる普及と共に、週末移住がより多くの人にとって、身近な存在となることが予想される。自分に合った週末移住スタイルは人それぞれ異なるため、これから週末移住を検討する人は、「ワークライフバランスでなにを重視するか?」について、じっくりと考えることから始めると良いだろう。憧れや思いつきで行動に移さず、念入りな事前調査と準備を行うことが、理想の週末移住を実現させるためのカギだ。