近年、スタートアップの新たな資金調達手段として注目を集めている「株式投資型クラウドファンディング」。日本でも様々な企業の事例が増えてきてはいるものの、まだまだ歴史が浅かったり、またEXITの先行事例が少なかったりと、関心はあるものの二の足を踏んでしまう、という経営者の方も多いのではないだろうか。

自身のビジネスにおいて株式投資型クラウドファンディングを検討するにあたって注意すべき点は何なのか、また、株式投資型クラウドファンディングで株主を募ることで、どのようなメリットが期待できるのかについて紹介する。

目次

  1. スタートアップのエクイティ資金調達に活用される株式投資型クラウドファンディング
    1. 投資家が株式投資型クラウドファンディングを利用する目的
  2. 株式投資型クラウドファンディングをスタートアップが利用するメリット
    1. メリット1:「応援団」としての株主を集められる
    2. メリット2:上限1億円までを短期間で集められる
    3. メリット3:プロフェッショナルの支援を受けながら資金調達を行える
  3. 株式投資型クラウドファンディングを検討する際の注意点

スタートアップのエクイティ資金調達に活用される株式投資型クラウドファンディング

スタートアップが株式投資型クラウドファンディングで資金調達するメリット
(画像=kanachaifoto/stock.adobe.com)

スタートアップのエクイティ資金調達について改めて整理する。スタートアップ企業がエクイティ資金の調達を行うにあたっては、ベンチャーキャピタル(VC)、事業会社や事業会社が主催するコーポレート・ベンチャーキャピタル(CVC)、また1名~数名のエンジェル投資家から出資を受けることが多いが、そんな中、2015年に新設された新しい仕組みが「株式投資型クラウドファンディング」である。

スタートアップが株式投資型クラウドファンディングで資金調達するメリット
(画像=image)

株式投資型クラウドファンディングを利用すると、エンジェル投資家と繋がりがなくても、またコミュニティに属していなくとも、日本中の個人投資家に自社のことや事業を知ってもらいながらエクイティ資金を調達することが可能になる。

スタートアップが株式投資型クラウドファンディングで資金調達するメリット
(画像=image)

現状、金融庁の制限として上限1億円までという縛りがあるものの、比較的短期間で多額の資金を調達できることから、シード期~アーリー期を中心とするスタートアップ企業にとって魅力的な資金調達手段の選択肢の一つとして注目を集めている。

投資家が株式投資型クラウドファンディングを利用する目的

投資家側からこの仕組みを捉えると「一般の個人投資家が非上場企業の株を買える」という新たな投資の枠組みであり、擬似的なIPOに近い制度ともいえる。これまで、限られたエンジェル投資家やVCのみにしかチャンスがなく、個人投資家に開かれていなかった「非上場企業への投資」という新しい資産運用市場が開かれたのである。

現在日本には6つほどの株式投資型クラウドファンディングのプラットフォームが存在しているが、そのいずれにおいても1口10万円程度から非上場企業へ投資を行うことができる。また、投資先が新規株式公開(IPO)やバイアウトに至った際には大きいリターンを期待することもできるため、ハイリスクではあるもののその点に興味を持つ個人投資家も多い。

さらに、「エンジェル税制」の対象となる企業への投資を行えば節税にもなるということも投資家から人気を集める要因の一つだ。スタートアップへの投資を促進するため、スタートアップ企業へ投資を行った個人投資家に対し、税制上の優遇措置を行う国の制度が「エンジェル税制」である。個人投資家はスタートアップ企業へ投資した年と、株式を売却した年の2つの時点において税制上の優遇措置を受けることができ、これがスタートアップ企業への投資を後押ししているという背景もある。

株式投資型クラウドファンディング

株式投資型クラウドファンディングをスタートアップが利用するメリット

スタートアップ企業が株式投資型クラウドファンディングを利用するメリットはどのような点にあるのだろうか。

メリット1:「応援団」としての株主を集められる

株式投資型クラウドファンディングで資金調達を行う場合には、企業と個人投資家をつなぐプラットフォーム上において、事業内容や今後の成長性をまとめたピッチをプロジェクトとして掲載し、その内容に魅力を感じた個人投資家からの投資を募るという方法を取る。ピッチから投資まで全ての工程がインターネット上で完結するため、会社の所在地の縛りもなく、日本中のエンジェル投資家から資金を集めることができるという仕組みだ。

企業のビジョンや理念、解決したい課題に共感し、「応援したい」という思いで投資を行う個人投資家も多数存在していることから、純粋にEXITに伴うリターンだけを期待する投資家の集まりというよりも、自社サービスのコアユーザーとなりうるいわばスタートアップの「応援団」としての株主を日本中から集めることができるのである。

スタートアップが株式投資型クラウドファンディングで資金調達するメリット
(画像=image)

また、プラットフォームにピッチ情報を公開した時点で、各プラットフォームに登録している個人投資家に自社の事業内容や事業計画等の情報を届けることができるため、投資や資産運用、またスタートアップ企業の動向に関心の高い方に対し、自社の認知度を高めるマーケティング効果も十分に期待できる点も、他の資金調達にはない株式投資型クラウドファンディングの特徴だ。

メリット2:上限1億円までを短期間で集められる

株式投資型クラウドファンディングで資金調達を行う場合、デットではなくエクイティでの調達となることもあり、これまで一般的とされてきたVC等などの調達方法と比べ、短い期間で資金調達を行えることが特徴といえる。

ちなみに、スタートアップでも1億円までという上限規定が企業規模や事業内容にそぐわず、株式投資型クラウドファンディングの活用を見合わせる企業も少なくないかと思われるが、株式投資型クラウドファンディングによる資金調達について、1億円という金額の緩和策が金融庁のワーキンググループで検討されているらしい。(※出典:2021年2月18日『日本経済新聞』「投資型CFの発行緩和案 金融庁、単独で1億円未満まで」 )。

株式投資型クラウドファンディングと、それ以外の私募債などの資金調達額と合わせ年間で1億円未満と定められていた規定を、株式投資型クラウドファンディングのみで1億円未満とするという内容である。金融庁においても、資金調達を積極化させるべく株式投資型クラウドファンディングを推進する方向で考えていることが伺え、この金額制限が緩和されることによって、利用を決めるスタートアップ企業も増えることだろう。

メリット3:プロフェッショナルの支援を受けながら資金調達を行える

株式投資型クラウドファンディングで資金調達を行うにあたっては多くの場合、プラットフォーム側のサポートを受けられることが多い。プラットフォームは、個人投資家に対して責任を負うため資金調達を行いたい企業について審査を実施する必要がある。審査に伴い、財務のプロフェッショナルによるIR資料作成サポートや、事業計画書の見直しなどの支援を受けられることがほとんどであるため、資金調達を行いながら会社の財務状況を見直し、改善することができる点も珍しい特徴といえるだろう。

株式投資型クラウドファンディング

株式投資型クラウドファンディングを検討する際の注意点

株式投資型クラウドファンディングにまつわる噂として、「株主が増えることでIPOが難しくなる」というものがある。確かに株式投資型クラウドファンディングはまだ歴史が浅く、IPOした企業はいまだ存在しないが、このような噂が聞かれるようになった理由は株主が一気に増加する点にある。一度の募集で数十名、場合によっては数百名もの株主が加わることでIPOの際に主幹事証券会社が行う審査が難航すると考えた人によって「IPOが難しくなる」という噂が出回っているというわけだ。

確かに、主幹事は企業の株主全員について反社会的勢力が紛れ込んでいないかなどの審査を行う必要があるが、これは株式投資クラウドファンディングプラットフォーム企業も同様であり、各プラットフォームに投資家が登録を行う時点で法律によって定められた審査を行っている。そのため、株式投資型クラウドファンディングを通じ新たに株主となった投資家の中に、反社が含まれる可能性は極めて低いといえるだろう。また、万が一にも反社関係者の存在が判明した場合には、その時点で「強制買取条項」を発動することで株主から除外することができる。そのため、実際には株主が増えたとしてもIPOに支障はないといえるだろう。

また、IPOではなくM&AのEXITは一般的に株主が多いと同意を得るのが難しいなどといった理由で進行の妨げになると考えられることも多いが、M&Aにあたっても株式投資型クラウドファンディングを通じて株主になる場合には「経営者と共に株を売らなければならない」という共同売却請求条項が設けられていることが多いため、大きな心配はないといえるだろう。

日本のクラウドファンディングのパイオニアであるCAMPFIREのグループ企業である株式会社CAMPFIRE Startupsは、昨年8月に株式投資型クラウドファンディングプラットフォーム「CAMPFIRE Angels」をリリースした。

CAMPFIRE Angelsを通じた資金調達にあたっては、経験豊富なキャピタリストによる資本政策策定や事業計画作成のサポート、株価算定シミュレーションといったファイナンス面の充実したサポートを受けられるだけでなく、マーケティング面における支援も期待できる。

スタートアップが株式投資型クラウドファンディングで資金調達するメリット
(画像=image)

また、CAMPFIRグループならではだが、株式投資型以外の類型のクラウドファンディングサービスを利用することもできることから、自社にどのタイプのクラウドファンディングが向いているかといった相談にも対応している。株式投資型の調達に最も向いているのはシードからシリーズAにかけてのスタートアップと言われることが多いが、それほかのステージにあるスタートアップ企業においても活用は可能だ。

スタートアップが株式投資型クラウドファンディングで資金調達するメリット
(画像=image)

CAMPFIRE Angelsでは、経験豊富なキャピタリストが事業内容や状況を踏まえた資金調達のアドバイスを無料で行っており、資金調達を検討したいスタートアップ企業はより詳しく情報収集してみるといいだろう。

詳しくはこちら

CAMPFIRE Angels