ここ数年、GAFAなどと並び、ビジネスにおいて注目を集めているフィンテック業界。日本でもfreeeをはじめとして上場している会社も増えつつある。コロナ禍によりビジネス環境が変わってしまった中で、フィンテック業界はどのような変化を見せているのだろうか。

目次

  1. コロナで大きく変わるFintech
  2. アフターコロナの注目Fintech 6選
    1. アントグループ(ANT GROUP)
    2. Grab
    3. JD Digits
    4. Ola
    5. OPENDOOR
    6. Paytm
  3. コロナ禍でも伸びるフィンテック。キーワードは「多様化」?

コロナで大きく変わるFintech

コロナでFintechも変わる?アフターコロナのFintech注目企業6選
(画像=Rapeepat/stock.adobe.com)

コロナショックによって、金融ビジネスが大きく変化しつつあることを実感している人は多いだろう。金融業界は景気の影響を受けやすいといわれている業界だが、この新型コロナウイルスも金融業界に大きく影響を与えたことは間違いない。

株式会社日本総合研究所が2020年7月14日に公表した「ウィズ/アフターコロナにおける欧米の金融ビジネス」によると、実際、欧米金融機関のビジネス動向は明暗が分かれているようだ

「本年1-3月期における主要欧米銀のビジネスライン毎の収益増減をみると、トレーディング業務等が前期比+10%超の増収となる一方、M&Aアドバイザリー業務等は▲10%超の減収となった。」※1

トレーディング業務や債券引受業務は収益を増やしているものの、法人融資や株式引き受け、アセットマネジメントなどの業務の収益性は減少している。特にアドバイザリー業務の落ち込みは顕著であり、従来型の金融機関は大きな打撃を受けていることが予想できるだろう。

フィンテックはどうだろうか。フィンテックも業種によってその影響度合いは異なるようだ。

「P2Pレンディングを営むフィンテック企業では貸出実行額が大幅に減少。中小企業向けP2Pレンディング大手のOnDeckでは、1-3月期に延滞率が大幅に上昇。同業Kabbageは、政府保証付貸出を推進する一方で、自社サービスである新規の零細企業向け貸出を停止した。個人・法人共に信用劣化が見込まれる状況下、同業務にとって厳しい環境が当面継続するとみられる。」※2

最も厳しいのは、個人間ソーシャルレンディング(P2P)のサービスといえる。また、中小企業向け大手P2PのOnDeckでは、コロナによる信用縮小のあおりをもろに受けた形となっている。

決済ビジネスも、P2P同様にコロナにより厳しい状況となった業種だろう。移動禁止による消費減のあおりを受け、大手非接触決済事業者(PayPalやSquareなど)の収益はコロナ前に比べると落ち込んだ。

しかしながら、「非接触決済をコロナ禍においてはじめて利用した」というユーザーも多くいるように、アフターコロナの世界で、接触が少ない決済ビジネスが脚光を浴びる可能性もあるだろう。今は厳しいが、今後期待できる分野の一つといえそうだ。

一方で、好調な業種が仮想通貨だ。仮想通貨のような資産は、伝統的な株式や債券、金などが不安定、つまり経済が不透明な時に値上がりする傾向がある。実際、今回のコロナショックでも取引量は世界的に増えている。もちろん、各国の中央銀行が金融緩和を行ったマネーが流れたというのもあるだろう。

それと同時に、仮想通貨に対する信頼性は過去に比べて高まっている状況だ。特に仮想通貨においては、コロナショックは追い風だったのかもしれない。

※1※2 株式会社日本総合研究所「ウィズ/アフターコロナにおける欧米の金融ビジネス」

アフターコロナの注目Fintech 6選

コロナ禍が去ったあと、どういったフィンテック企業が生き残るのだろうか。注目すべき企業を6つ紹介しよう。

アントグループ(ANT GROUP)

まず注目したいのは、アントグループ(ANT GROUP)だ。アリババの決済(アリペイ)として始まった同社だが、今や決済にとどまらず、融資や保険、資産運用などさまざまなサービスを手掛けている、金融コングロマリットといえるだろう。11月に上海・香港での上場を予定していたが、現状は上場を中止。時価総額は30兆円を超えるといわれている。

Grab

Grabはシンガポールを拠点とする会社だ。2012年創業で、もともとは「GrabTaxi」と呼ばれるタクシーの配車サービスだった。しかし、そこからフードデリバリーサービスや決済アプリ事業に参入し、さらには、そのプラットフォーム上でサービスを提供する人たちにローンを提供するなど、こちらも多岐にわたるサービスを展開している。

いろいろなサービスを一つのアプリで利用できることから、同社のサービスは、「スーパーアプリ」といわれている。

JD Digits

中国でECサービスを提供する、JD.com(京東集団)の金融部門であるJD Digits。こちらも金融総合サービスを提供する会社だ。クラウドファンディングや法人・個人向けクレジット資金管理サービス、また、仮想通貨なども幅広く手掛けている。

Ola

Olaはもともと、インドで配車サービスを展開する企業だったが、こちらもフィンテック領域に進出し、注目を集めている。Ola Moneyと呼ばれるサービスを提供しており、タクシー料金の支払いだけでなく、携帯電話やガスの料金も支払うことが可能だ。

OPENDOOR

OPENDOORはアメリカで創業された、不動産買取を行う会社だ。この会社の特筆すべき点は、オンライン不動産買取が可能なところにある。ユーザーはシンプルなインターフェイスで、内見を行うことなく、OPENDOORに不動産を買い取ってもらえるのだ。最近では、不動産ローン等のビジネスにも進出しており、不動産テックで事業領域を拡大している。

Paytm

Paytmは、インドで生まれた決済会社だ。インドで3億人以上のユーザーを抱えており、日本ではソフトバンク等が出資していることでも知られている。シンプルなユーザーインターフェースと、設備投資なくデジタル決済を行えるのが強みだ。

コロナ禍でも伸びるフィンテック。キーワードは「多様化」?

コロナで金融業界が打撃を受ける中、フィンテック業界も業種によっては厳しい戦いを強いられている。その一方で、注目が集まる企業を見てみると、Paytm以外はさまざまなサービスを提供していることがわかる。

今後、安定的にフィンテックとして成長していくためには、サービス・業種の多様化がカギになってくるのかもしれない。

文・BUSINESS OWNER LOUNGE編集部