コロナで日本の消費は大きく落ち込んだ。消費者が買い物などにどのくらい意欲的かをみる内閣府発表の消費者態度指数が新型コロナの影響が本格化する前の2019年12月の39.1ポイントに対し、コロナ後は一時期20台まで落ち込み、その後9月は2ヶ月ぶりに上昇するも32.7ポイントと依然低い水準で停滞していることを見ると、まだまだコロナの影響は長引いていると考えられる。今回はコロナによる消費の二極化や富裕層の消費変化について解説する。

目次

  1. 新型コロナで変わった消費動向
  2. 新型コロナでも潤う富裕層
  3. 富裕層の消費はどう変わった?
    1. 社会や環境に配慮した消費に
    2. 消費のデジタル化が進む
  4. 新型コロナは、消費の世界でも二極化を拡大した

新型コロナで変わった消費動向

新型コロナで消費の二極化が進む?富裕層の消費の実態とは?
(画像=Ivan Kurmyshov/stock.adobe.com)

新型コロナウイルス感染症は、我々の消費動向に大きな影響を与えた。実際の消費動向や消費者態度指数を見ても、低迷が続いており、コロナは引き続き経済活動に大きな影響を与えているといえるだろう。

2020年11月に総務省が発表した家計調査によると、特に落ち込みが大きいのは、外食・旅行・鉄道といった外出に関連する項目だ。さらに、衣料品なども引き続き落ち込みが大きい。

その一方で、ガーゼやマスクなどの衛生用品や食料品、飲料などはコロナによる巣ごもり需要の恩恵を受けているといえるだろう。消費状況からも、コロナは人々から外出と交流の機会を奪ったことが見て取れる。

新型コロナでも潤う富裕層

ただし、コロナ禍においても富裕層の消費は実態が異なるようだ。というのも、富裕層については、この状況でも比較的堅調に消費がなされていることが窺えるからだ。

百貨店の売上高の状況を見てみよう。日本百貨店協会が発表した「令和2年8月 全国百貨店売上高概況」によると2020年8月の百貨店の売上高は、前年比22%のマイナスと全体では厳しい状況であった。しかし、品目別に見てみると、衣料品が23.2%減と苦戦しているのに対し、美術・宝飾・貴金属などは14.4%の減少にとどまっている。

また、高級品についても比較的堅調な消費が見られる。8月20日付の日経新聞によると、百貨店の「大和」香林坊店では「ルイ・ヴィトン」「ティファニー」などの高級ブランドの7月売上が、前年同月比2~3割増えているという。さらに、Go To トラベルで高級ホテルが恩恵を受けたというニュースもあり、富裕層の消費は想像よりも落ちていないと考えられる。

背景にあるのは、大規模な金融緩和による資産価格の上昇だ。コロナが世間を騒がし始めた2、3月頃は大幅に下落した株価だが、世界的な大規模金融緩和に伴い、多くの資金が株などの金融商品に流れ込んだ。

アメリカの代表的な株式指数であるS&P 500が年初来高値を記録し、日経平均が29年ぶりの高値をつけるなど、資産価格は高騰している。現金以外の資産を多く保有している富裕層は、この資産高の恩恵を十分に受けており、それが消費につながったといえるだろう。

富裕層の消費はどう変わった?

では、富裕層の消費はコロナによりどのように変わりつつあるのか。具体的な項目を紹介しよう。

社会や環境に配慮した消費に

まずは、SDGsやサステナビリティといった、社会や環境に配慮した消費の増加が挙げられる。

もちろん、コロナ前からプラダがリサイクルナイロンの商品を打ち出すなど、SDGs消費が増加する傾向はあった。それに、コロナが拍車をかけた形だ。

例として、フードロスへの取り組みを挙げてみよう。コロナにより、国を超えた物資の移動が制限される中、食料品が入ってこないという危機意識が形成されている。また、旅館やレストラン向けの食材を廃棄させないための取り組みが広がるなど、食べ物の無駄をなくそうとする動きは着実に広がっている。

さらに、スーパーのレジ袋有料化なども意識改革に一役買っているといえるだろう。こういった消費動向は、コロナ後、継続していくと考えられる。

消費のデジタル化が進む

また、もう1つの大きな流れは「消費のデジタル化」だろう。外出できないことを背景に、ECの売上は大きく増加した。実店舗が厳しかった企業もECは好調に推移するなど、世界的にECが好調に推移している。これまでも国内のECは比較的顕著に成長してきたが、コロナがそれに拍車をかけた格好だ。

さらに、外出ができないことで、デジタルコンテンツも成長している。たとえば、動画配信サービス会社であるNetflix(ネットフリックス)は、2020年の1~3月期に大きく会員を伸ばした。今後も、人が密集するケースは、少なくともしばらくの間は減り続け、その恩恵をデジタルコンテンツが受けることになるだろう。

また、VRや5Gといった次世代の技術は、デジタルコンテンツをさらに豊かなものにする。若年層を中心に、消費のデジタル化は、しばらく大きなトレンドになるといえるだろう。それは富裕層の消費行動にも大きな影響を及ぼすと考えられる。

新型コロナは、消費の世界でも二極化を拡大した

コロナで消費自体は伸び悩んでいるものの、百貨店の動向やGo To トラベルの動向から、富裕層は引き続き積極的に消費をしていることが窺える。背景にあるのは金融緩和による資産高で、コロナが消費の二極化を拡大したといっても過言ではない。

一方、サステナビリティを意識した消費の広がりや、消費のデジタル化など、消費動向にも変化が見られている。アフターコロナの世界で、富裕層の消費も着実に変化しているといえるだろう。

文・BUSINESS OWNER LOUNGE編集部