ビジネスの成否は人と人との縁が大きく左右する。だからこそ、経営者にとって人脈形成は重要項目と言ってよい。成功する経営者はどうやって人脈を築き、ネットワークを広げているのか?人脈形成のための交流の場やテクニックについて解説する。

目次

  1. ビジネスにおいて「人脈」とはどのようなものを指すか
    1. 異業種交流会にはあまりメリットが見込めないことも
  2. 会員が厳選された社交場のほうがビジネスに結びつくことが多い
    1. ビジネスのキーパーソンが集うコミュニティ
  3. 紳士のスポーツであるゴルフは最適な人脈形成メソッド
    1. 経営者が社交場とする名門ゴルフ場
  4. オンライン上にも人脈形成の場が広がっている
  5. クローズドな社交場が人脈形成にとって価値がある
大西洋平
大西洋平
経済ジャーナリスト。出版社勤務を経て独立し、ビジネス誌や金融経済誌、一般週刊誌などに経済・金融・企業経営などの分野を中心とした記事を寄稿。これまでにトップインタビューを行った上場企業数は1000社以上に上る。また、著名なエコノミストや経営コンサルタント、弁護士、会計士、金融市場のアナリストやストラテジストなどの取材も多数手掛ける。

>>会員登録して限定記事・イベントを確認する

ビジネスにおいて「人脈」とはどのようなものを指すか

成功する経営者の人脈形成術。コミュニティやメソッドを紹介
(画像=Monet/stock.adobe.com)

ビジネスにおける「人脈」とはプライベートの友人関係ではなく、あくまで自身の今後の仕事においてプラスアルファをもたらしてくれる人を指す。これによってビジネスの知見が広がり、斬新なアイデアを創出したり、「人脈は金脈」という言葉を体現するような新たな仕事が生まれる繋がりのことを、ここではビジネスにおける「人脈」と定義する。つまり、人脈形成において大半の経営者が求めている出会いとは、開拓したい分野のキーパーソンや事業のスポンサーとなってくれそうな資産家・投資家、自分には門外漢の領域における専門家といったところだろう。

異業種交流会にはあまりメリットが見込めないことも

人脈形成の機会を提供する場として、様々なところで盛んに開催されてきたのが経営者に参加者を絞った異業種交流会だ。その名の通り、多様な業種の人たちが集まって交流を深めることを目的とした集まりで、競合関係にある同業種の相手とは違い、積極的に情報交換できるというのが主催者側のセールストークだ。

異なる業界の人から意見を聞くことで斬新な発想が得られたり、思いもつかなかった方面に販路が拡大したりするような展開が期待できると言われている。気軽に参加できる小規模な集いのほうが単なる名刺交換会にとどまらず、しっかりとコミュニケーションを交わせるから効果的だと受けとめている人も多い。

しかしながら、キーパーソンや資産家・投資家、様々な分野の専門家の立場から異業種交流会について考えてみると、かなり事情が異なってくると言える。数千円の会費を払えば誰でも参加できる場は求めるものを享受できる機会はそう多くはなく、かえって自分たちを上手く利用しようと企んでいる人物が潜入している可能性もなくはない。

したがって、多くの経営者がぜひともお近づきになりたいと思っている重要人物ほど、誰でも容易に参加できる交流会には顔を出さないと考えるのが自明であろう。そもそも1回当たりの参加費用が数千円にとどまるのだから、期待できるリターンも高くないと思っておいたほうが無難かもしれない。

合わせて読みたい
成功者が実践する人脈の作り。一流が絶対しない行動習慣を解説

>>会員登録して限定記事・イベントを確認する

会員が厳選された社交場のほうがビジネスに結びつくことが多い

繰り返しになるが、ビジネスにおける重要人物ほど商談や投資の勧誘は日常茶飯事なのですっかり辟易しているし、すんなりとは信用しない。初対面の相手から持ちかけられた話にはまったく耳を貸さないというスタンスを貫いている人もいるようだ。

では、多くの経営者たちがお近づきになりたいと願う重要人物はどういった経路で耳に入ってくる話なら、さほど面識のない相手に持ちかけられても信用するのか?やはり、素性について客観的な判断材料があることが大前提となってくる。重要人物の多くは厳しい入会資格を設けている社交場を活用していることが多いようだ。一般には閉じられている空間であり、その場に参加している時点で相応の社会的な信頼があることを意味している。

ビジネスのキーパーソンが集うコミュニティ

限られた人たちが集うコミュニティでは「ここだけの話だが……」と切り出す希少価値の高い情報が飛び交うことも多い。こうした社交場の代表例が福沢諭吉設立の「交詢社」だ。慶應義塾大学出身者の集まりと思われがちだが、実際は他校出身者がかなりの割合を占めている。すでに交詢社の社員(同組織では会員を社員と呼ぶ)となっている知人2名に推薦してもらい、審査を通らなければ仲間入りを果たせない。こうした狭き門だからこそ、相手のことを信用して話を聞くことができる。

また、会員制高級クラブの老舗である「アークヒルズクラブ」も政財界の超大物や著名人、高級官僚などが参加している社交場だ。やはり、会員2名からの推薦を受けて審査にパスすることが入会条件となっている。これに対し、IT企業の経営者やクリエイターなど若い富裕層を中心にが集っているのが「六本木ヒルズクラブ」だ。こちらは必ずしも会員の推薦を必要としていない。

日本に進出している外資系企業の経営幹部と交流を深めたいなら、「東京アメリカンクラブ」への入会を試みるのも一考だろう。在日米国人のための組織として1928年に発足したもので、在日米国人やその家族の社交場であるものの、会員3名から推薦を受けて英語の面接や書類審査をクリアすれば日本人でも入会できる。

これらの社交場では、趣味や嗜好が合う人たちが集って様々なコミュニティが形成されているケースも多い。そういった集まりの中で盛り上がった話から、新たなビジネスの構想が具体化していくという展開も考えられる。しかも、こういったケースでは名刺交換から交流がスタートしていないことも多い。まずは、個々の人間同士として信頼関係が築かれ、気がつけばビジネスの話に発展していたという流れを辿っている。「○○株式会社の△△という役職」といった肩書きは二の次で、気心の知れた間柄という太いパイプがすでに形成されているわけだ。

紳士のスポーツであるゴルフは最適な人脈形成メソッド

限られた人しか参加できない社交場と言えば、名門ゴルフ場もその最たるものだと言えよう。しかも、1ラウンド(18ホール)を回り終えるまで膨大な時間を費やすことになり、ゴルフ以外のことにも話が弾むうえ、身なりやプレイのマナーなどを通じて人間性も洞察できる。

知人から誘いを受けて初めて一緒に回ったという相手でもゴルフを通じて気心が掴め、協業などのビジネスの話が一気に進んでいくケースも珍しくないようだ。昔から政財界の重要協議は、もっぱら名門ゴルフ場で進められているとの説もある。一般的なビジネスパーソンの間でも、接待ゴルフを通じたアプローチは昔から常套手段となっている。プレイできる人がかなり限定されている名門ゴルフ場では、もっとケタ違いの商談が進んでいると言っても過言ではなさそうだ。

経営者が社交場とする名門ゴルフ場

関東で入会に関して最も狭き門となっているのは、霞ヶ関カンツリー倶楽部(埼玉県川越市)だと言われている。単に大金を出せば誰でも入会できるわけではなく、厳格な審査が待ち受けている。仮に審査をパスしても、しばらくは週日会員の資格しか得られない。プレイのマナーなどが吟味されたうえで相応しい人物だと認められれば、追加料金を支払ったうえで晴れて正会員入りを果たせるのだ。

もちろん、関西にも敷居が非常に高い名門クラブが存在している。その御三家として位置づけられているのが神戸ゴルフ倶楽部(兵庫県神戸市)、鳴尾ゴルフ倶楽部(兵庫県川西市)、廣野ゴルフ倶楽部(兵庫県三木市)だ。

政財界の重鎮が通うこれらの名門に対し、比較的若い世代の経営者の社交場となっているのがイーグルポイントゴルフクラブ(茨城県稲敷郡)だ。著名な新興企業の創業者たちが資金を出し合って既存のゴルフ場を買収して設立したもので、森インベストが運営を委託されており、IT企業のオーナー経営者などがプレイに興じている。

オンライン上にも人脈形成の場が広がっている

新型コロナウイルスの世界的なパンデミック以降は、経営者たちの人脈形成活動にも影響を及ぼしているようだ。序盤で触れた経営者向け異業種交流会についても、感染防止のためにオンライン上での開催へとシフトが進んでいる。

また、経営者向けのオンラインサロンも多数登場しており、主に若手の起業家などが積極的に参加している模様だ。オンラインサロンはWebサービスやSNSを用いた会員制のコミュニティで、会員と主宰者しか参加できない閉じられた集まりとなっている。自分自身が経営者であったり、経営コンサルタントを生業としている人物が主催しているケースも多く、入会すれば会員同士でコミュニケーションを交わしたり、企画されているセミナーやプロジェクトに参加したりすることが可能となる。有料制・無料制それぞれ存在するが、いずれにしても主宰者の信頼性を確かめたうえで参加すべきか否か検討するのが無難だろう。

一方、SNSについても重要人物の多くは巧みに使い分けているようだ。ビジネスに関わる重要な話についてはFacebookのように誰もが参加しやすいものではなく、審査に通らなければ会員になれない富裕層向けのサービスを通じて話を進めていると思われる。

さらに、経営者同士をマッチングさせるという新手のサービスも登場している。抱えている営業課題や人脈形成に関する希望をヒアリングしたうえで、それらのニーズを叶えるうえで重要なパートナーとなりうる経営者をデータベースから抽出して引き合わせるというものだ。

社交場というリアルなコンタクトと違い、オンライン上でのコミュニケーションは相手の顔色を直接伺うことが難しく、そう簡単には腹を割った話がしづらいという側面があるだろう。前述したマッチングサービスは運営会社が各々の経営者と直接コンタクトを取っており、そのような点で他のオンライン上のサービスと差別化を図っていると言えそうだ。

合わせて読みたい
人脈が広い人の特徴やメリットとは?人脈を増やすコツも解説!

クローズドな社交場が人脈形成にとって価値がある

異業種交流会からオンラインサロンまで経営者向けに様々な人脈形成の場が提供されているが、今後のビジネスを大きく左右しうる重要人物はえてして警戒心が強い。誰もが気軽に参加できる場にはなかなか顔を出さないことが多いので、会員を厳選している社交場に出会いの場を絞るのが効率的だと言えよう。

無論、そのためには入会資格を満たし、必要に応じてしかるべき人物から紹介や推薦を受けなければならない。とはいえ、一般には閉じられている集いに顔を出すことが叶えば、ビジネスに大きなチャンスをもたらすキーパーソンとの出会いも大いに期待できよう。

文・大西洋平(ジャーナリスト)