資金調達手段として、注目が集まる「ファクタリング」。融資とは異なる資金調達の仕組みと、メリット・デメリットを知っておくことが重要だ。融資との5つの相違点も併せて確認し、企業に合った資金調達方法を選ぼう。

目次

  1. 資金調達手段として注目の「ファクタリング」とは
    1. 2社間ファクタリングの仕組みとメリット・デメリット
    2. 3社間ファクタリングの仕組みとメリット・デメリット
  2. 「融資」とファクタリングの5つの相違点
    1. 相違点1:資金調達時の審査ポイント
    2. 相違点2:資金調達までの所要日数
    3. 相違点3:コスト
    4. 相違点4:資金の回収先
    5. 相違点5:信用情報への影響
    6. ファクタリングと融資のどちらを選ぶか?
  3. ファクタリングを利用するなら注意点も確認しておく
    1. ポイント1:債権譲渡契約(売買契約)であること
    2. ポイント2:債権の買い取り代金が正当か
    3. ポイント3:利用者に支払いが強制されていないか
    4. 不安がある場合には専門窓口で相談し、安全にファクタリングを利用しよう
  4. 迅速で信用力を守った資金調達ならファクタリングも選択肢

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資金調達手段として注目の「ファクタリング」とは

資金調達手段として注目のファクタリング。融資との違いや活用法を解説
(画像=lovelyday12/stock.adobe.com)

資金調達の手段として、注目が集まるファクタリング。特に中小企業や個人事業主は、ファクタリングの活用により事業をスムーズに進められるケースもある。

ファクタリングとは、企業が持つ売掛債権をファクタリング会社に売却することで、資金を調達する方法だ。売掛債権には、いくつかの種類がある。ファクタリングに利用できる債権の種類を、表1で確認しよう。

表1.ファクタリングに利用できる売掛債権

ファクタリングに利用できる売掛債権 ファクタリングに利用できない売掛債権
・製品売買代金
・サービス提供代金
・運送料
・輸送料
・調剤/診療/介護報酬
・譲渡禁止特約付き債権
・下請代金支払遅延防止法に規定される債権
・個人に対する債権

売掛金に対する買掛金が売掛金より大きい場合や売掛先の支払い能力が不足している場合などは、ファクタリング対象の債権でも売却できないケースがある。手持ちの債権をファクタリングに利用できるかは、実際にファクタリング会社に確認することが重要だ。

ファクタリングには、大きくわけて「2社間ファクタリング」と「3社間ファクタリング」の2つがある。まずは、それぞれの仕組みとメリットおよびデメリットを確認しよう。

2社間ファクタリングの仕組みとメリット・デメリット

2社間ファクタリングは、企業とファクタリング会社の2社間で行うファクタリングである。仕組みを下図で紹介する。

資金調達手段として注目のファクタリング。融資との違いや活用法を解説
(画像=image)
  1. 売掛債権をファクタリング会社に売却
  2. ファクタリング会社から、手数料を引いた売却代金が支払われる
  3. 取引先から売掛金の支払いを受ける
  4. ③で回収した売掛金をファクタリング会社に支払う

・2社間ファクタリングのメリット
2社間ファクタリングのメリットは、取引先の合意が不要な点。原則として、ファクタリングの事実を取引先に知られることはない。また、比較的早く現金が手に入るのも2社間ファクタリングの特徴だ。

・2社間ファクタリングのデメリット
2社間ファクタリングのデメリットは、後述する3社間ファクタリングよりも手数料が高い点。取引先に承諾を得なくてよいぶん、ファクタリング会社が負う債権回収リスクが高くなるからだ。一般的に2社間ファクタリングの手数料は、10~20%程度とされる。

3社間ファクタリングの仕組みとメリット・デメリット

3社間ファクタリングは、企業とファクタリング会社・取引先の3社で行うファクタリングだ。仕組みを下図で紹介する。

資金調達手段として注目のファクタリング。融資との違いや活用法を解説
(画像=image)
  1. 売掛金が発生している取引先に、ファクタリングを行うことを申し出る
  2. ファクタリングを承諾する
  3. ファクタリング会社と売掛債権売却の契約
  4. ファクタリング会社から、手数料を引いた売却代金が支払われる
  5. 取引先からファクタリング会社へ、売掛金期日に入金される

・3社間ファクタリングのメリット
3社間ファクタリングのメリットは、取引先に承諾を得ることで透明性が確保され、手数料が低く設定されること。3社間ファクタリングの一般的な手数料は、1~10%程度となっている。また、売掛金が直接ファクタリング会社に入金されるため、ファクタリングを利用した企業が資金を回収する手間を軽減できるのもメリットの1つとして挙げられる。

・3社間ファクタリングのデメリット
3社間ファクタリングのデメリットは、取引先にファクタリングを行うことを知らせる必要がある点。利用する際には、今後の取引に及ぼす影響も考慮する必要があるだろう。また、現金化までの所要日数が2社間ファクタリングよりもかかることにも注意したい。

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「融資」とファクタリングの5つの相違点

企業が資金を調達するもう1つの方法に、「融資」がある。融資とは、金融機関からお金を借り入れることで資金調達する方法。ファクタリングと融資の5つの相違点を、表2にまとめる。

表2.ファクタリングと融資の5つの相違点

ファクタリング 融資
資金調達時の審査ポイント 売掛先企業の信用力 借り入れる企業の信用力
資金調達までの所要日数 即日~ 2週間~1カ月
コスト 手数料 金利
資金の回収先 売掛先企業 借り入れた企業
信用情報への影響 なし あり

相違点1:資金調達時の審査ポイント

ファクタリングと融資の相違点の1つめは、資金調達時の審査ポイント。ファクタリングでは売掛先企業の信用力、融資では借り入れる企業の信用力が重視される。審査が行われるのは、資金を回収できなくなる事態を防ぐため。よって資金の回収先が異なるファクタリングと融資では、審査されるポイントが異なるのだ。

審査を受けるには、いくつかの資料の提出が必要となる。ファクタリングおよび融資で必要な主な書類は、表3のとおりだ。

表3.ファクタリングおよび融資に必要な書類

ファクタリング 融資
・登記簿謄本(法人の場合)
・会社経営者の本人確認書類(個人事業主の場合)
・通帳
・決算書の写し(法人の場合)
・確定申告書の写し(個人事業主の場合)
・売掛債権を証明する書類
・納税証明書および保険料支払証明書
・直近2期分の申告決算書(個人事業主の場合)
・直近2期分の確定申告書・決算書(法人の場合)
・見積書(設備資金申込時)
・創業計画書
・企業概要書
・登記簿謄本(法人の場合)

・ファクタリングの必要書類
ファクタリングで審査されるのは売掛先の信用力だが、審査には利用する企業の確認書類も必要だ。法人なら登記簿謄本および決算書の写し、個人事業主なら免許証などの本人確認書類と確定申告書の写しを用意しよう。

売掛債権を証明する書類には、契約書や検収書・発注書などが該当する。納税証明書および保険料支払い証明書は、税金や保険料の滞納により売掛債権が差し押さえられるリスクを防ぐために提出が求められる。

・融資の必要書類
融資では、借り入れる企業の決算書や確定申告書が必要。直近複数年分の書類の提出を求められることもある。

相違点2:資金調達までの所要日数

相違点の2つめは、資金調達までの所要日数だ。ファクタリングと融資では、ファクタリングの方が早く資金を調達できる。急ぎで現金を用意するなら、ファクタリングが有力な選択肢となるだろう。

相違点3:コスト

相違点の3つめは、資金調達にかかるコストだ。ファクタリングでは利用時に手数料が掛かり、融資では借り入れた資金に対し金利が発生する。

ファクタリングの一般的な手数料は、先述のとおり2社間ファクタリングが10~20%、3社間ファクタリングが1~5%だ。一方、融資の平均的な金利は1~5%程度。担保の有無や審査結果などによっても、金利に差が出る。

相違点4:資金の回収先

相違点の4つめは、資金の回収先。ファクタリングの場合は、債券をファクタリング会社に売却した時点で、資金を返済する必要はなくなる。

相違点5:信用情報への影響

相違点の5つめは、信用情報への影響だ。信用情報とは、融資やクレジットカードの申込状況や返済状況・延滞履歴などの記録。日本信用情報機構(JICC)などの信用情報機関に登録され、融資実行の際などに金融機関がチェックする。

信用情報が利用される目的は、延滞や踏み倒し歴のある債務者への融資を防ぐこと。また、借入額を金融機関で共有することで、返済能力以上の融資が行われることを防ぐ効果もある。

・ファクタリングは信用情報に影響しない
ファクタリングは、あくまでも売掛債権の売却により代金を受け取るのであり、借入をするわけではない。そのため、ファクタリングを行っても信用情報には記録されない。また、すでに融資を受けていてもファクタリングを利用することができる。

・融資を受けると信用情報に記録される
融資により資金調達をした場合には、信用情報に記録される。返済をしっかりと行えば信用情報にキズが付く(ブラックリストに載る)ことはないが、完済までは他の借り入れが難しくなる可能性には注意が必要。また、すでにほかの借り入れがある人は、融資を受けられない場合もある。

ファクタリングと融資のどちらを選ぶか?

ファクタリングと融資のどちらで資金調達をするべきか、企業の状況により異なる。とにかく早く資金を用意したい場合や、すでに融資を受けておりさらなる借り入れが難しい場合はファクタリングを検討しよう。

一方、現在借り入れがない場合や資金の受け取りを急がない場合などは融資も選択肢。融資を活用することで、コストを抑えた資金調達ができるだろう。

ファクタリングを利用するなら注意点も確認しておく

金融庁によると、貸金業登録を受けていない者がファクタリング業者を装い、金銭の貸し付けを行っているケースが発生している。契約時には、以下の3つのポイントを確認したい。

ポイント1:債権譲渡契約(売買契約)であること

契約書に債権譲渡契約(売買契約)と記載されていない場合、不当な貸し付けが行われる可能性がある。

ポイント2:債権の買い取り代金が正当か

ファクタリングでは、売掛債権の金額から手数料を引いた額が利用者に支払われる。高額な手数料が引かれ、買い取り代金が著しく少なくないかを確認することが重要。

ポイント3:利用者に支払いが強制されていないか

売掛先の企業が売掛代金を支払えなくなった場合に、利用者に支払いが強制されていないかも契約時に確認するべきポイントだ。

不安がある場合には専門窓口で相談し、安全にファクタリングを利用しよう

ファクタリング業者や契約内容に不安がある場合には、契約前に専門窓口で相談すると安心だ。以下に、いくつかの相談窓口を紹介する。

ファクタリング相談窓口

窓口名 詳細
金融庁:金融サービス利用者相談室 電話:0570-016-811
日本貸金業協会:貸金業相談・紛争解決センター 電話:0570-051-051
消費生活センター等の消費生活相談窓口 電話:188(消費者ホットライン)

迅速で信用力を守った資金調達ならファクタリングも選択肢

中小企業や個人事業主が資金調達をする方法には、融資とファクタリングがある。金融機関から資金を借り入れる融資は、コストが低めだが資金の調達までに日数がかかる。また、資産状況によっては、借入できないこともある。

売掛債権の売却により資金を作るファクタリングは、融資に比べコストが高い。しかし、資金調達までの日数が短く信用情報に載らない特徴がある。迅速で信用力を守った資金調達なら、ファクタリングも検討してみてはいかがだろうか。

文・N .ヤマモト