2021年2月、Bloombergは金融大手JPモルガン・チェースのストラテジストのリポートから、恐怖指数と呼ばれるVIX指数を取り上げて「株価バブルの予兆が見られる」と報じた。実際のところ、VIX指数から何が読み取れるのだろうか?指数の概要やこれまでの変動を検証し、株価が今後どのように推移するか考察する。

目次

  1. VIX指数は「S&P500におけるオプション取引の値動きをもとに算出した指数」
    1. VIX指数は通称「恐怖指数」とも呼ばれる
    2. 経済ショックなどでVIX指数が跳ね上がることも
  2. 2020年は金融緩和と財政出動により株価が大きく上昇
  3. 2021年はますます多面的な視野で株価を考えるのが重要となる

VIX指数は「S&P500におけるオプション取引の値動きをもとに算出した指数」

株価バブルの予兆あり?アメリカの株価の恐怖指数「VIX」から株式市場を考察する
(画像=and4me/stock.adobe.com)

VIX(Volatility Index)とは、アメリカにあるシカゴオプション取引所がS&P500種指数のオプション取引の値動き(Volatility)を基準に算出している指数である。

S&P500種指数は、アメリカにおける時価総額が大きい主要500社を基準に用いた株価指数だ。ニューヨーク市場の時価総額のおよそ75%をカバーしているため、市場全体の動きを表す指標として機関投資家を中心に広く活用されている。

一方、オプション取引とは、将来の一定期日において証券などの商品を事前に決められた価格で売買する「権利」を取引することを意味する。あくまで、売買する権利に過ぎないため、権利を放棄して売買しないという選択肢も取ることが可能だ。

つまり、VIX指数とは「アメリカにある主要企業の株価がどのくらい変動しているか」を表している。

VIX指数は通称「恐怖指数」とも呼ばれる

VIX指数が上昇している状態は、S&P500種指数におけるオプション取引のボラティリティ(値動きの幅)が大きいことを表す。オプション取引のボラティリティが大きいということは、投資家が将来的な株価の大幅な変動を予測していることを意味する。市場が安定していないと、投資家は捉えているのである。

つまり、VIX指数が高いほど、投資家が今後の市場に対して不安を感じていると判断できる。投資家の不安を表す指標であることから、VIX指数は「恐怖指数」とも呼ばれているのだ。

経済ショックなどでVIX指数が跳ね上がることも

通常の状態(市場が安定している状態)だと、VIX指数は10〜20の間で推移している。市場が安定している時期だと、10を下回ることもある。しかし、相場の将来に多くの投資家が不安を抱えると、倍以上に跳ね上がることもある。

具体的には、経済に大きな悪影響を及ぼすと予想される事態が生じた際、にVIX指数の上昇が見られる。過去にVIX指数が大きく上昇した出来事としては、主に下記が挙げられる。

  • アメリカ同時多発テロ(2001年9月):49.35
  • リーマンショック(2008年10月):89.53
  • 中国の景気減速懸念(2015年8月):53.29
  • アメリカの景気悪化懸念(2018年2月):50.30
  • 新型コロナウイルスの世界的な大流行(2020年3月):85.47

政治情勢の悪化や国・世界規模での経済悪化などが、VIX指数の上昇に起因していることが理解できるだろう。2021年2月、JPモルガン・チェースのストラテジストが、実際のボラティリティに対するVIX指数のプレミアムが過去最大規模であることを指摘しており、今後の株価の行方が気になるところである。

2020年は金融緩和と財政出動により株価が大きく上昇

2020年における金融市場は、世界中の国が大規模な金融緩和と財政出動を進めた影響で、実態を伴わない株価の上昇が見られた。日本も例外ではなく、2021年に入ってから、日経平均株価がおよそ30年半ぶりに3万円を記録するほどの上昇を見せている。

コロナウイルスの影響が当初よりも落ち着きを見せつつあると思われる2021年現在、大きく注目されているのが今後の株価だ。金融政策の縮小が予想されることなどを理由に、2021年後半には株価が暴落するという意見も少なくない。

他方、JPモルガン・チェースは、過去のデータを根拠に現在はVIX指数バブルの状態にあり、今後株価が上昇する可能性があると述べている。同社によると、現在の「VIX」と「S&P500種指数の実際のボラティリティ」との間にある格差は、かつてボラティリティ低下と株価上昇の前触れとなった水準と同等であるという。また、過去を振り返ると両指標の格差が現在と同じくらいの水準となった3ヵ月後に、VIX指数が11ポイント低下した一方、相場は平均で12%上昇したというデータもある。

つまりデータを読み解くと、今後は将来に対する不安が解消され、それに伴い株価が上昇するというわけだ。

あくまで過去の情報なので鵜呑みにはできないものの、こうしたデータがある以上、株価がさらに上昇する可能性も踏まえたうえで、2021年の投資戦略を構築すべきだろう。

2021年はますます多面的な視野で株価を考えるのが重要となる

今回お伝えしたように、投資家が将来に向けてどのくらい不安を感じているかを推測するうえで、VIX指数は非常に有用である。

今後について株価の暴落を予想する声は多いが、VIX指数の水準を読み解くと、株価がさらに上昇する可能性も浮上する。2021年は例年にも増して、市場の変動を予測するのが困難だと言えよう。他人の意見のみならず、VIX指数などの指標も参考にして、多面的な視野で株価を予測するのが賢明だろう。