目次

  1. バイデン大統領就任後のアメリカをどう見る?
  2. アフターコロナの世界、今後の注目分野は?
  3. ESG投資を本格的に
  4. 時代の流れはアクティビストファンドの運用へ
  5. これまでとは違う、マネックスならではのアクティビストファンド
  6. 個人の経済活動を後押しし、グローバルに認知される会社へ

バイデン大統領就任後のアメリカをどう見る?

【【特集#03】「マネックス証券成長の舞台裏と世界経済の今後を占う」
(画像=松本 大 氏)

司会 バイデン大統領が就任してから1ヵ月が経過しました。この1ヵ月を見て、松本さんはどのようにお考えでしょうか。

松本 まあまあやっているんじゃないでしょうか。すごくつまらないですけどね。もともと、あれだけ大国の大統領は、つまらないほうがよくて、オバマとかトランプとか、劇場型をやり過ぎましたよね。あれだけ大国なので、もう地道にコツコツと、官僚やスタッフ中心に、やるべきことをやるべきだと思います。その通りにバイデンはやっていて、面白みのない政治をしっかりやってくれています。それはアメリカにとっても世界にとってもいいことだと思います。問題は、一部の噂では、認知症なんじゃないの?ということが言われていることですね。そのようなリスクというのは、ゼロではないと思いますから。基本は、つまらなくよくやっていると私は見ています。

司会 それはそれで、今の世界の流れからすると、ある意味順当な流れということのご理解でよろしいでしょうかね。松本さんのお考えとしては。

松本 僕は、面白いので、トランプが好きだったんです。でも、あの人がずっとやって、あんなに大騒ぎしていると、エネルギーロスが大き過ぎて大変ですよね。だから、いいんじゃないですかね。

司会 トランプ大統領、話題は尽きないという。本当にそういう方でしたからね。

アフターコロナの世界、今後の注目分野は?

司会 また少し角度を変えまして、今後世界的に注目が集まってくる分野とか、活動といった意味では、どのようなものがあるでしょうか。

松本 今回のファイザーとモデルナのMRNAワクチンは、本当にここ数十年最大の発明だと思うんです。あれはプログラミングですからね。たかが1キロバイトくらいに4000文字くらいの文字情報ですから。それをDNAプリンターに入れてタンパク質が出てきて、それを培養して打つだけで、ウイルスを使っていません。今までのワクチンは、ウイルスを弱毒化して打っていたので、うっかりその病気になることもあったわけです。でも、今回のMRNAワクチンは、ウイルスを使っていないので、うっかりその病気になるということは、理論的にないわけです。これは本当にすごい技術です。しかも、本来ならば、そのような形での新しい医療技術の承認は10年かかることもありましたが、背に腹は代えられないので1年で進めたわけですよ。これまで発明はあっても、国の承認が10年かかったのが、1年になったのです。これは驚愕のできごとです。

一方で、NASAの探査機が、火星にパーサヴィアランスって、生物を探しに行っていますよね。これで地球外生物が発見されると、たぶん生物学とか医学というのは本当に飛躍的に進むと思います。結局、今の我々の生物学とか医学というのは、地球上生物学、地球上医学なので、限界がある。だから、医療、バイオ、健康、そのあたりでこの1年で起きたことというのは、コロナ自体はバッドニュースですが、映画「ブレードランナー」のレプリカント(人造人間)の時代が来たような感じです。レプリカント作れるよ、というように、RNAやDNAを操作したりするので、そのあたりは注目ですね。ぶっとびの技術ですよね。

司会 医療、バイオ、健康、このあたりは特に注目を、ということですね。

松本 日本は少し遅れている感じがありますが、世界は、というかアメリカはブレードランナーの時代に行ってしまった感じです。やっぱりアメリカという国はすごい、と私は思っています。

ESG投資を本格的に

司会 あとは、ESG投資っていうのが、最近言われているので、そのあたりのお考えもお聞かせください。

松本 たとえば、CO2削減が本当に環境をよくすることにつながるのかという議論はありますが、菅さんも2050年までにカーボンニュートラルにすると宣言しましたし、世界中の大投資家、ブラックロックなども、「ESG投資です」と言っていますね。

ESG投資とは、CO2削減するプロジェクトに投資するということもあれば、ESGに対応している企業の株を買う、もしくはESG対応していない上場企業の株は買わないということです。だから、今は「べき論」を言う時代は終わりました。ESGやESG投資は意味があるんですか?ということを議論する時代はもう終わったのです。特に、菅さんがリヤド・サミットでカーボンニュートラル2050を宣言したのと、バイデンが大統領になってパリ協定に再署名したことで、完全にそうなりました。

司会 もうなってしまった、ってことですね。

松本 もう「べき論」をするのは時間の無駄ということです。ですから当社も、今はESGに向けいっぱいにアクセルを踏んでいて、2021年1月に発表しましたけれども、専門家5名を雇って、インパクトファンド、サステナブルファイナンスの特別な部署をマネックス証券に作りました。マネックスというグループでガバナンスをやっていますとか、環境に配慮しています、ではなく本業でそのようなESG投資関連のものを作り、本業のなかでESGに貢献しますということを始めました。マネックスグループとしてESGにどれだけ対応しているかということも、2年前とか1年前とは比較にならないようなコミットの仕方をしています。

あと、今までESG関連、インパクトファンド、サステナブルファイナンスは、やはり欧州主導でした。ところが、バイデンがパリ協定にサインをしたので、目ざといウォールストリートがどんどん入ってくると思います。今までは、欧州のフランス系の投資銀行などがメジャープレーヤーで、我々もそこから人を採用しました。これからは、ゴールドマンや、モルガンスタンレーのようなところが、どんどん始めると思います。当然、日本の機関投資家にも売ってくる。そうするとなんとなく、アメリカってルールづくりの天才ですから、なんとなくマーケット全体でESG関連のものを買わなきゃいけない雰囲気になるでしょう。日本の個人投資家にもやっぱり影響が出て、あと1年か2年たつと、全然今とは違うレベルでESG関連のものに投資するようになってくると思うんですよ。

司会 そのような意味では、ESG関連ものにまだそれほど注目していない個人の方は、逆に言うとESGをチェックしておいたほうがいいよという話にもなるのでしょうかね。

松本 そうですね。
本当にESGは、私もなかなか腹に落ちなかったのですよ。私は、案外科学が好きなので、地球温暖化は、本当に進んでいるのかという問題とか、百歩譲って温暖化していると認めても、それがCO2と本当に相関があるのかとか。太陽の黒点運動の影響のほうが大きいのではないかとか、あるいは地球自体の周期などいろいろ考えたりしました。でももう、そんなことを言っている時代ではない。そんなことを言っていると、古い時代の、たとえばダイバーシティなんて要らないよとか、男女平等なんて要らないなんて、今どき言っているのと同じぐらいありえないことになるのです。考えること自体が無駄ですよね。ESGはそんな感じのことなのです。これは乗っかるしかないです。

時代の流れはアクティビストファンドの運用へ

司会 なるほど。私も今乗っかろうと思いました。
さて次のご質問です。特に今、松本さんがいらっしゃる業界のなかでは、アクティビストとか、アクティビストファンドとか、株主として企業価値を上げていくためにそのようなもの言う株主の方がいらっしゃるという話もありますが、そこの部分に関しても、少しお話していただけますか。

松本 今、私もかなりの時間をそのアクティビストファンドの運用に費やしています。要は、日本の企業に投資をし、その企業の経営者と直接会って、一緒にディスカッションし、変革を起こしてもらうのです。それには、いろいろないいことがあります。まずは、インデックス投資よりもリターンがいい。たとえば、ウォーレン・バフェットはとても有名です。でも、ウォーレン・バフェットに比べ、カール・アイカーンなどのアクティビストの生涯成績のほうがはるかにいいんですよね。だから、アクティビスト運用はまず、個人投資家とか投資家にとっていいですと。

それから、そのような変革を求めることで、日本の企業が新しい時代にフィットしていく。我々は古い形のアクティビストとして単に資産を売るという話だけじゃなくて、いろいろなビジネスのポートフォリオをどのように変えたほうがいいか、という話をしていくのです。だから、企業がよくなっていくんですよね。

それは日本の企業、日本の社会にとってもいいことだし、引いては日本の株式市場全体にとってもいいことです。そのようにして株価が上がってくると、日本の企業のエクイティファイナンスのコストが下がるので。日本の企業の国際競争力にもプラスになり、いいことばかりです。

これまでとは違う、マネックスならではのアクティビストファンド

松本 ただ、今までのアクティビストというのは、ネタが資産売却に偏り過ぎていました。私は全然違っていて、単になんかやってくださいではなくて、真剣にディスカッションして一緒に考えていくのです。実際に経営者の人と直接会って1対1で話をします。それは、ツテがないので海外のアクティビストファンドにはできないことです。

私とうちの会社、特に私のことは、今までの人脈などで、だいたいみなさん知ってくれています。急に出てきた、なじみのないアメリカのニューヨークに住んでいる若いファンドマネージャーのように、思いつきのプレゼンをやるのとは違うのです。実際に日本の上場企業を20年以上経営してきたという実績もあるので、全部わかったうえで、「大変ですよね、こういう状況は。よくわかりますよ、自分も。だけどこういうふうに変えたほうがいいんじゃないですか?こういうことできますよ。」という感じでお話しするので、切り口がほかのファンドと違っていると思います。

最終的に受益者にとっても、日本の企業、社会にとってもいい方向へ向かうようにしています。マネックス・アクティビスト・ファンドって、運用成績もずいぶんよくて、「日本の未来」という愛称をつけてやっております。

司会 いい名前ですね。
ぜひぜひ松本さんには、日本の企業がすごく成長できるようにいろいろとご活躍していただきたいと勝手に思ってしまいました。ありがとうございます。

個人の経済活動を後押しし、グローバルに認知される会社へ

司会 最後に、今後の松本代表の目標についてお聞かせください。

松本 目標と言っても、今までやってきたことを続けるだけです。今まで投資を主に案内してきました。結局、投資をしても、最後は何かを買ったりされるわけですよね。だから、個人の方が何かをやりたい、自己実現を助けるのが、我々の仕事だと思っています。それは投資に限りません。教育とか健康という部分もあるかもしれない。私は個人の経済活動全般を、もっと応援できるような、そういうビジネスをもっと推進していきたいと思っています。

あとはグローバルにちゃんと認知される会社になる。その2つですね。しっかり続けて、目指してがんばっていきたいと思っています。

司会  最後に今一度、ひと言お願いします。

松本 今のマーケットとか経済って、見ようによってはチャンスがいっぱいあります。いろいろと辛いこともあり、厳しい状況もありますけど、チャンスもいっぱいあるので、我々もいろんな形でサポートできればと思います。ぜひ、チャンスをつかんでください。

司会 松本さま、ありがとうございました。