マスターカード最上位クラスのクレジットカードである「ラグジュアリーカード」。さまざまなシーンで頼れるコンシェルジュをはじめとした優待サービスが、富裕層を中心に高い支持を得ている。そろそろステータスカードを持ちたいステージになった際には、選択肢の一つに入れておきたい。
目次
さまざまなベネフィットがあるラグジュアリーカードとは

ラグジュアリーカードをご存じだろうか。ラグジュアリーカード(Luxury card)は、2008年に米国のブラックカード合同会社が発行を開始したプレミアムクレジットカードだ。マスターカードの最上位クラスのクレジットカードとされ世界中の多くのセレブリティが利用している。日本では2016年11月から発行が開始され2018年には中国でも発行が開始された。2021年2月現在、米国、日本、中国、ヨーロッパで発行されている。
ラグジュアリーカードは「自分や友人が使いたいと思えるワールドクラスのクレジットカードを作りたい」という創業者スコット・ブラムの強い思いから生まれた。「好きな人と好きなものに囲まれ、自分らしく生きる」ことをサポートしてくれる、まさにラグジュアリーを体現できるクレジットカードなのだ。
ラグジュアリーカードは、個人用クレジットカードとして使えるだけでなく法人や個人事業主のためのビジネスカードとして利用することも可能。ビジネスカードとしてのラグジュアリーカードも個人用のラグジュアリーカードと同様のサービスやベネフィットを享受できる。
デザイン性も高い金属製のカード
一般的なクレジットカードは、プラスチック製だが、ラグジュアリーカードは金属製。金属素材をもとに職人が1枚1枚、丁寧に作っている。パラジウム製のICチップが埋め込まれたカードは重量感があり見た目もメタル特有の高級感がある。製造には、46の特許技術が使われており製造技術の実現に2年を有したという。
またゴールドカードには24金のコーティングがなされ、これまでのクレジットカードの常識を大きく覆した仕上がりだ。
ラグジュアリーカードの種類は3つある
ラグジュアリーカードの種類は「チタンカード(Titanium card)」「ブラックカード(Black card)」「ゴールドカード(Gold card)」の3つだ。
チタンカード
ラグジュアリーカードのエントリーレベルカード。エントリーレベルとはいえステンレススチールにブラッシュド加工が施された本格的な金属製カードだ。重量感がありラグジュアリーカードの雰囲気を十分に味わうことができる。年会費5万円(税抜)でキャッシュバック還元率1%、ギフト券交換還元率は最大2.2%だ。
ブラックカード
ラグジュアリーカードのミドルクラスのカードだ。マットブラック金属製で見た目がまさしくブラックカードである。年会費10万円(税抜)でキャッシュバック還元率1.25%、ギフト券交換還元率は最大2.75%だ。
ゴールドカード
ラグジュアリーカードの最上位クラスのカード。24金のコーティングが施されたカードは、ゴールドカードの呼び名にふさわしくインビテーション制で発行されるため、自分からの申し込みはできない。ラグジュアリーカードのゴールドカードを手に入れるには、チタンカードやブラックカードで利用実績を積みインビテーションが来るのを待つしかない。
年会費20万円でキャッシュバック還元率1.5%、ギフト券交換還元率は最大3.3%。いずれのカードも獲得したポイントをJALやANAのマイルなどに交換できる。
富裕層に親しまれているラグジュアリーカード
ラグジュアリーカードのユーザー層はどうなっているのだろうか。ラグジュアリーカードの林ハミルトン社長によると2020年時点での日本のラグジュアリーカードのユーザーは「平均年収1,700万円で6割が経営者、東京のユーザーだけで見ると3割が港区、世田谷区、渋谷区在住」。東京の高級住宅地に住み東京でビジネスをしている富裕層が中心ユーザー。
一方でラグジュアリーカードユーザー全体の44%を20~30代前半のいわゆるミレニアル世代が占めている。他のプレミアムクレジットカードのユーザー層よりも比較的若い世代がラグジュアリーカードを利用しているようだ。
また、ラグジュアリーカードユーザーにおける女性ユーザーの割合は、わずか1割程度だった。全世界のラグジュアリーカードユーザーの半分が女性であることを踏まえると日本では女性ユーザー増加の伸びしろが相当あるといえるだろう。
ラグジュアリーカードは個人による利用に加え法人による利用が増えている。2020年2月現在、直近1年間で法人会員は2.7倍に増加し成長が著しい。法人によるラグジュアリーカードの利用は、今後さらに進む可能性があるだろう。
ラグジュアリーカードのメリット
充実のコンシェルジュサービス
ラグジュアリーカードで評判なのが充実したコンシェルジュサービスだ。24時間365日電話とメールで対応してくれる。例えば以下のようなさまざまなニーズに対応することが可能だ。
・旅行の手配
・レストランの予約
・ギフト・プレゼントの手配
・ゴルフの予約
・チケットの手配
・プライベートショッピングのアレンジなど
コンシェルジュサービスの利用にクレジットカード番号などは必要なく、簡単でつながりやすいことも特徴的だ。
豊富な優待制度
豊富な優待制度が用意されているのもラグジュアリーカードのメリットだ。ダイニング系の優待制度では、指定レストランのコース料理のアップグレードやウェルカムドリンクなどのサービスが受けられる。またラグジュアリーカードラウンジやラウンジアワーなども利用可能だ。宿泊系の優待制度では、世界各地のホテルでのアップグレードや無料ブレックファーストなどが利用できる。
以下のような一流ホテルで部屋をアップグレードすることが可能。
・リッツカールトン
・マリオット・インターナショナル
・ペニンシュラ
・ウォルドーフ・アストリア
・コンラッド
また国内13空港、ハワイ・ダニエル・イノウエ国際空港、韓国・仁川国際空港内の空港ラウンジが利用できるほか、世界1,200ヵ所以上のラウンジが利用できるプライオリティ・パスも無料で発行してくれる。旅行系の優待制度では、国際線手荷物無料宅配サービス、空港リムジンサービス、海外レンタカー割引サービス、リムジン送迎サービス、ゴルフ場優待予約サービスなども利用可能。
さらに指定国立美術館無料鑑賞、映画無料鑑賞、スーパーカーシェアリング、プライベートジム優待、バイリンガル・ベビーシッターなどのサービスも利用できる。
手厚い付帯保険
手厚い付帯保険もラグジュアリーカードのメリットの一つ。最高1億2,000万円まで補償される障害死亡・後遺障害保険金や賠償責任保険金、航空機遅延費用などがカバーされている。家族特約対象者も保険金支払いの対象だ。また国内・海外を問わずラグジュアリーカードで購入した商品については、破損・盗難などの損害を年間最大300万円まで補償してくれる。
ラグジュアリーカードコミュニティ
ラグジュアリーカードがラグジュアリーカードコミュニティと呼ぶコミュニティの存在もメリットだ。例えば以下のような各種イベントが定期・不定期で開催されている。
高級ホテルやバーラウンジでの ワインテイスティングイベント |
・ラグジュアリーソーシャルアワー |
経営者向けビジネスイベント | ・法人ソーシャルアワー ・ワインメーカーズディナー ・プレミア日本酒を楽しむ会 ・レザンティカのオリーブオイル特別販売会 ・プロテニスプレーヤーとのレッスン・チャレンジマッチ |
ラグジュアリーカードのユーザーは富裕層が多いため、ビジネスでの人脈づくりにおおいに活用できるだろう。
高いポイント還元率
高いポイント還元率もラグジュアリーカードのメリットだ。チタンカード1%、ブラックカード1.25%、ゴールドカード1.5%、それぞれに還元される。また他のクレジットカードではポイント対象にならないケースが多いSuicaのチャージでもポイントを貯めることが可能。特に国内での出張が多く鉄道料金の支払いをSuicaで行っている人の場合、高いポイント還元率は大きなメリットになるだろう。
その他の特典満載のハイステータスカードも選択肢に入れたい
これまではラグジュアリーカードのメリットを紹介してきたが、カードを選ぶ以上はその他のハイステータスカードの特徴を理解した上で進めたい。ハイステータスカードは年齢や安定した収入、カードによってはインビテーションが必要となってくる。もちろん年会費も高額だ。しかしそれに見合った優れた特典ががあり、ステータスの象徴とされている。ラグジュアリーカード以外のハイステータスなカードをいくつか見てみよう。
年会費10万以上でもそれに見合う特典あり
・アメリカン・エキスプレス・プラチナ・カード
いわゆるアメックスは、年会費は143,000円(税込)。スタイリッシュなメタル製のカードで、それにふさわしい充実した特典が付いてくる。「2人以上で予約すると1人分のコース料金が無料になる」「ラグジュアリーホテルでの優待」「充実したポイントプログラム」などがある。
・ANA アメリカン・エキスプレス・プレミアム・カード
年会費は165,000円(税込)。ANAとの提携カードであり、国内線のANAラウンジを無料で利用可能。「プレミアム・サービス・デスク」は24時間利用可能だ。その他、空港内免税店での優待や空港内での優待などANAとの提携カードならではの特典も用意されている。
・ダイナースクラブ プレミアムカード
ダイナースクラブの招待制カード。年会費は143,000円(税込)。利用可能枠は一律の制限がなく会員一人ひとりに個別に設定される。レストランの予約や旅行の手配、記念日のプレゼントなど、さまざまな要望に応えてくれる24時間対応のコンシェルジュ。銀座の中心部にあるダイナースクラブ 銀座プレミアムラウンジ」など特典が豊富。
使い勝手も抜群でバランスのいいハイステータスカード
コスパのよいハイステータスなカードも紹介しておこう。
・MUFGカード・プラチナ・アメリカン・エキスプレス・カード
年会費は22,000円(税込)。プラチナ・コンシェルジュサービスや空港ラウンジサービス、各種優待プログラムがある。特徴的なのはMUFGならではの金融取引サービスだ。優遇適用期間中ならば「三菱UFJ銀行の同行ATM利用手数料無料(回数上限なし)」といったサービスもある。
・三井住友カード プラチナプリファード
年会費 33,000円(税込)。カード番号を裏面にするという新しいデザインが特徴。このカードのウリはポイント特化型であること。新規入会&利用特典 40,000ポイント。また通常ポイントに加え、特約店での追加ポイントなどポイントが貯まりやすいシステムだ。
・セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カード
年会費は22,000円(税込)。新規入会で最大1万円相当のポイントがもらえる。また各種税金や年金などを支払うことでもポイントとして還元される。コンシェルジュサービスや優待サービスなども充実したカードだ。
ライフスタイルに合わせたカード選びをしたい
前に紹介したような年会費が10万円以上のカードは、もちろんサービスも優れている。余裕があれば、ぜひ手にしたいカードだ。しかしそこまではいかなくとも、年会費2万~3万円ほどのハイステータスなカードでも十分によいサービスを受けることができる。ステータスはもちろん、実用性を考えるならどれも十分なスペックを兼ね備えているといえるだろう。
会員数が増えるラグジュアリーカード
ラグジュアリーカードの基本や種類、ユーザー層、メリットなどについて解説してきた。ラグジュアリーカードの会員数はカード発行開始の2016年11月から3年で3倍となる躍進ぶり。ラグジュアリーカードでは、会員増加とブラック・ゴールド会員の割合増加の勝因は、同社が展開してきた5つの戦略だとしている。
・ミレニアル世代の取り組み
・個人事業主・中小企業経営者への舵きり
・高いロイヤリティ
・動きの速いチーム
・飽きさせない新規優待の数々
特に「ミレニアル世代の取り組み」を最大の成功要因に挙げている。一般的にプレミアムクレジットカードの主たるユーザー層は40~50代が多いとされるが、ラグジュアリーカードは、ミレニアル層という「ブルーオーシャン」の開拓に成功した。クレジットカード選びの選択肢が、一つ増えたといえるだろう。
文・前田 健二