ビジネスの効率化に役立つという法人カードだが、未だ普及が進まない現状がある。2020年時点のわが国の法人クレジットカード普及率は約34%で全体の3分の1程度だという。経営者にとって法人カードの活用は様々なメリットを生み出すので導入を検討したい。

目次

  1. 普及が進まない法人カードの現状
  2. 電子マネーの普及が法人カードの普及につながる
  3. 法人カードの導入で得られるメリットとは
    1. 経理業務の効率化
    2. ポイント・マイルが貯まる
    3. 付帯サービスが利用できる
    4. 付帯保険が利用できる
  4. 法人カード導入の際に注意すべきこと
    1. 決済にまとまった現金が必要
    2. 不正利用されるリスク
  5. 法人カードを選ぶ際に確認すること
    1. 年会費
    2. 追加カードの発行上限枚数
    3. ポイントやマイルの内容
  6. おすすめの法人カードベスト3
    1. セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス®・カード
    2. 楽天ビジネスカード
    3. 三井住友ビジネスカード for Owners
  7. 法人カード導入で経理業務の効率化を実現しよう

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普及が進まない法人カードの現状

法人カードでビジネスを効率化。経費管理からトラブル対策に活用する
(画像=Rido/stock.adobe.com)

法人向けクレジットカード情報サイト「法人カード調査部」を運営する株式会社LITEは法人クレジットカードの利用状況に関する調査を行っている。2020年5月に行われた最新の調査によると、調査対象となった企業・個人事業主のうち「法人クレジットカードを利用している」と答えたのは全体の34.2%で65.8%が「利用していない」と回答している。

また、法人カードを利用しない理由としては「必要性を感じない」が最も多く「個人カードを使っている」「年会費がかかる」が続いた。一方で「カードの審査に通らない」「申し込みが面倒」「不正利用のリスクがある」「紛失するリスクがある」という回答もあった。これらを踏まえると、法人クレジットカード利用のメリットが十分に浸透しておらず、逆にデメリットの印象が強い実態が浮き彫りになった。

法人クレジットカードの普及が進まない理由は、上述した調査の回答が示す通りだろう。多くの経営者が法人カードに「必要性を感じない」と考えており、クレジットカードをビジネス用途で使う必要が生じた際は、「個人カードを使っている」のが実情といえる。

また、同調査で「法人カードの年会費で許容できる金額」についても問われており、回答結果は以下の通りだ。

・無料:61.6%
・3万円以下:32.9%
・10万円以下:5.5%

個人カードには年会費が無料のカードも多くある。法人カードの年会費の負担を重いと感じる経営者が多いことも法人カード普及を妨げる要因になっているようだ。

実際、一般社団法人日本クレジット協会が年次で発表している「クレジットカード発行枚数調査結果一覧※2では、2019年3月末時点のクレジットカード発行総枚数のうち、法人カードのシェアはわずか3.5%にとどまっている。

※2 一般社団法人日本クレジット協会「クレジットカード発行枚数調査結果一覧」

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電子マネーの普及が法人カードの普及につながる

電子マネーなどの電子決済の普及が、法人カードへの普及にもつながるともいわれている。近年、各種キャッシュレス決済など多くの電子決済手段が登場しており、当然ながら法人による電子決済の利用も広がっている。

例えば以下のようなケースで電子決済が増加傾向にある。

・コンビニなどの店舗での支払い
・鉄道やタクシーなど交通費の支払い
・ETCによる高速道路料金の支払い
・通信費の支払い など

電子決済の多くは、クレジットカードとリンクしており電子決済が広がるほど法人カードの普及をも促進させる形になる。また、ECの普及も法人カードの利用を後押しするだろう。例えばAmazonで自社製品を販売する場合、運営費などを決済するためにクレジットカードの登録が求められる。実際、多くの企業で代表者の個人カードなどを登録しているケースが散見される。

しかし、ビジネスの規模が拡大した場合、個人カードでは対応しきれなくなるケースも生じてくる。Amazon以外でも、例えば決済でPayPalを利用する場合、入出金のためのクレジットカード登録が必要だ。さらに、取引の電子化の加速も法人カードの普及を後押しすると考えられる。

電子帳簿保存法の改正により、キャッシュレス決済にかかる経理業務の効率化が進んだ。キャッシュレス決済を行った場合、わざわざ領収書を発行してもらったり、スキャンして保存したりする必要はない。決済データそのものが領収書代わりとなる。法人カードと会計ソフトを紐づけることにより、 経理業務の負担を大きく減らせるだろう。

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法人カードの導入で得られるメリットとは

ここであらためて法人カード導入のメリットを確認しておこう。

経理業務の効率化

法人カード導入の第一のメリットは、経理業務の効率化だ。多くの企業では、交通費や会議費、接待交際費などの経費の精算を現金や銀行振込で行っている。しかし、その業務は煩雑だ。社員が経費を現金で立て替えた場合などに申告漏れをしたり、金額や計算を間違えたりするなどのミスをする可能性も少なくない。経費を法人カードで支払えば、「いつ誰が何にお金を使ったのか」が明確になりミスも防止できる。

しかも支払いを一括で行うため、申告漏れもない。さらに前述した通り一部の会計ソフトではクレジットカード精算と連動しているため、明細などを自動的に取り込むことも可能だ。

ポイント・マイルが貯まる

法人カードの中には、利用に応じてポイントやマイルが貯まるものもある。特に出張が多い企業の場合、法人カードの利用によりポイントやマイルを大きく稼げる可能性があるだろう。法人カードの中には、貯まったマイルやポイントをAmazonギフト券やTポイントなどに交換できるものもある。現金で支払っている場合は、こうしたメリットは享受できない。

付帯サービスが利用できる

法人カードの多くは、各種の付帯サービスを提供している。ホテルやレストランを優先予約できるコンシェルジュサービスのほか、空港からのリムジンサービスを提供している法人カードも少なくない。中には、空港ラウンジの利用や手荷物の無料宅配サービスが利用できる法人カードもある。

付帯保険が利用できる

法人カードの多くは、旅行傷害保険やショッピング保険などの付帯保険が利用できる。ショッピング保険とは、国内外でクレジットカードを利用して購入した物品が、偶然の事故により損害を被った場合に補償される保険だ。個人の過失によるものは補償対象とはならない。また、補償の対象になる物品は各社異なるので確認が必要だ。

旅行傷害保険は旅行期間中に傷害を被った場合に対象となる保険だ。特に海外出張などが多い会社の場合、旅行傷害保険が付いた法人カードを保有することで出張ごとに旅行傷害保険をかける必要がなくなるだろう。また、カードの不正利用があった場合も損害を補償してくれる点は大きなメリットだ。詳細はこちらも各社異なるので確認が必要となる。

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法人カード導入の際に注意すべきこと

では、法人カードを導入する場合、どのような点に注意すればいいのだろうか。

決済にまとまった現金が必要

法人カードのデメリットは、決済時にまとまった現金が必要なことだろう。法人カードの多くは一括決済が基本となるため、決済日には現金が必要だ。実際の支払いから決済日まである程度の期間があるものの、会社の資金繰りの状況によっては支払いが厳しくなるケースもある。

特に資金繰りに余裕がない会社の場合、法人カードの「決済日」が厳しい日になる可能性も否めない。

不正利用されるリスク

法人カードを社員に不正利用されるリスクがあることもデメリットの一つだ。特に精算項目が多いケースでは、社員が法人カードを私的に利用しても把握できない可能性がある。また、会議費や接待交際費などを必要以上に使うなど、気のゆるみが生じる可能性にも注意したい。

法人カードを選ぶ際に確認すること

ところで数ある法人カードの中から、適切な法人カードを選ぶにはどのような点に注意すればいいのだろうか。

年会費

年会費は、無料~数万円、中には10万円を超えるものまで多岐にわたる。支払う年会費により受けられるサービスも異なるため、年会費と得られるメリットを検討してベストな法人カードを選ぶことが必要だ。

追加カードの発行上限枚数

法人カードを複数の社員で使う場合、追加カードの発行上限枚数にも注意しておきたい。特に個人事業主や自営業者を対象にしたビジネスカードの中には、追加カードが発行できないものもある。社内で法人カードを使う人を明確にして、人数に応じた追加カードを発行できる法人カードを選ぶ必要がある。

ポイントやマイルの内容

法人カードでポイントやマイルを貯める場合、貯めたいポイントやマイルが獲得できる法人カードを選ぶことが必要だ。また、法人カードによりポイントやマイルの還元率が異なるため、法人カードごとにチェックする必要がある。

おすすめの法人カードベスト3

ここでは、ここでは、中小企業経営者・個人事業主におすすめの法人カード3つを紹介する。

セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス®・カード

「経営者のためのプラチナカード」と思うという調査でプラチナビジネスカードのナンバーワンに選出された(ショッパーズアイ調べ)。仕入れやインターネットの各種サービスの決済はもちろん、法人税、固定資産税、自動車税から国民年金の支払いでも有効期限のない永久不滅ポイントが貯まる。そのポイントはオフィスの備品購入時に使用することも可能だ。航空会社のマイルに交換すれば出張時の航空券の購入にも活用できるので、様々なシーンでクレジットカードを経費削減に役立てることができる。

楽天ビジネスカード

個人事業主や自営業者におすすめなのが、楽天ビジネスカードだ。年会費が2,200円(税込み)と安く、手軽に利用できる。また、楽天市場で商品を購入すると最大で5倍のポイントを獲得することが可能だ。仕入れなどで楽天市場を利用することが多いケースではうってつけだろう。

三井住友ビジネスカード for Owners

三井住友ビジネスカード for Ownersは、中小企業の代表者または個人事業者のためのビジネスカード。「クラシック」「ゴールド」「プラチナ」から選択でき、最も安い「クラシック」の場合、年会費は1,375円(税込)と非常にお手頃だ。

法人カードとしては珍しく、キャッシング機能が利用できるのもうれしいポイントだろう。また、コンビニやマクドナルドでの利用でポイントが獲得できるほか、各種福利厚生代行サービスなども非常に充実している。

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法人カード導入で経理業務の効率化を実現しよう

日本国内の法人カード普及率は今のところ低い数字ではあるものの、今後は増加することが予測される。法人カードを導入することで、経理業務の効率化につながることはもちろん、付帯保険や付帯サービスの利用も可能となる。

法人カードを活用していない企業や個人事業主においては、今こそ法人カードの導入を検討すべきだろう。

文・前田 健二