SaaS(サース)とはインターネット上でソフトウェアを利用できる仕組み。それを経理業務へ導入することで業務の効率させることができる。現在さまざまなサービスがリリースされているので、自社に適したものを取り入れたい。

目次

  1. SaaSはインターネット経由で必要な機能を利用する仕組み
    1. SaaSの特徴は利便性の高さ
    2. SaaSを理解するにはIT用語の知識が不可欠
  2. 実は身近にあるSaaSの具体的なサービス
    1. メールサービスのGmail
    2. 会計ソフトのfreee
  3. PaaSやIaaSとの違いを知って最適なサービスを選択する
    1. PaaSはアプリケーションが稼働するための機能を提供する仕組み
    2. IaaSはシステムの稼働に必要なインフラ機能を提供する仕組み
    3. SaaSとPaaS、IaaSでは提供する構成要素の段階に違いがある
  4. 経理業務におけるSaaSサービス導入のメリット
    1. メリット1:帳票の作成から送付までを効率化できる
    2. メリット2:管理業務のミスを減らせる
    3. メリット3:お金の流れを見える化できる
  5. 導入する敷居が低いのもSaaSサービスの特徴
    1. ソフトウェアの管理を気にせずに経理業務に集中できる
    2. いつでも手軽に経理の業務を行える
  6. 経理業務でSaaSサービスを使う場合の注意点
    1. 情報漏えいのリスクがある
    2. サービスが停止した場合に業務が停滞するおそれがある
    3. カスタマイズして利用するのは難しい
  7. SaaSサービスを導入して業務の効率化を図ろう
鈴木 裕太
鈴木 裕太(すずき・ゆうた)
横浜国立大学在学中に中小企業診断士を取得(現在は休止中)。Webメディアの立ち上げ〜売却に携わり、SEO対策をはじめとしたWebマーケティングを幅広く経験。現在はビジネスの分野に特化したライター業と、他社のメディアサイトの立ち上げ支援を行っている。また、情報サイト”BizLabo”の運営も行っており、会社経営に役立つ知識・ノウハウを伝えることにも力を入れている(月間1.5万PV:2020年1月時点)。

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SaaSはインターネット経由で必要な機能を利用する仕組み

SaaSで経理業務を効率化。サービスを導入するメリットを解説
(画像=ra2 studio/stock.adobe.com)

SaaSは、Software as a Serviceの略称であり「サース」と呼ばれる。サーバ側で稼働しているソフトウェアをインターネット経由で利用する仕組みだ。ソフトウェアを購入・導入する場合と比べて利便性が高く、業務の効率化につながる。

SaaSの特徴は利便性の高さ

SaaSが持つ最大の特徴は、利便性の高さだ。インターネットにつながる環境さえあれば利用できるため、移動中のタクシーや出張先など場所を問わずいつでも利用できる。

また、ソフトウェアをデバイスにインストールするわけではないため、どのようなデバイスでも利用することが可能だ。さらに、複数人でデータを利用したり編集したりできるため、業務の効率化やテレワークの円滑化にもつながる。

SaaSを理解するにはIT用語の知識が不可欠

SaaSの機能を理解する上で不可欠なのが、IT用語の知識である。最低でも以下に挙げた用語については理解しておきたい。

ソフトウェア コンピュータを動かすためのプログラムなどを記述したデータの集まり
サーバ 要求に対してサービスを提供するコンピュータ、またはアプリケーションのこと
クラウドコンピューティング(クラウド) インターネットを経由して、ソフトウェアやハードウェアなどの機能を利用するサービスの総称

上記の用語を用いてSaaSを説明すると、「クラウド上のサーバを介してソフトウェアを利用するサービス」となる。

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実は身近にあるSaaSの具体的なサービス

多くの人にとって聞き慣れない用語であるSaaSだが、実はメールサービスや会計ソフトなどSaaSに分類されるサービスは世の中にたくさんある。今回は例として「Gmail」と「freee」の2つのサービスを取り上げる。

メールサービスのGmail

Gmailは、Googleが提供する無料のメールサービスであり、多くの人にとっては最もなじみのあるSaaSといえる。Googleアカウントとインターネット環境さえあれば、誰でも簡単にメールを送受信できるため非常に利便性が高い。

会計ソフトのfreee

経理業務に役立つSaaSの代表格といえるのが、会計ソフトのfreeeだ。簿記や会計の知識がなくても使いこなせるデザインとなっている。また、追加料金不要でメールやチャットによる相談ができるため、誰でも手軽に使えるサービスといえるだろう。

さらに、クレジットカードやネットバンキングの情報を自動で取得・記帳してくれるため、経理業務にかかる時間や負担を大幅に軽減できる。

PaaSやIaaSとの違いを知って最適なサービスを選択する

インターネット上で便利な機能を提供するサービスは、提供する要素によって「SaaS」「PaaS」「IaaS」という3種類に大別される。これらの違いを理解しておくと、目的に応じて最適なサービスを選べるだろう。

PaaSはアプリケーションが稼働するための機能を提供する仕組み

PaaS(パース:Platform as a Service)とは、アプリケーションの動作に必要なプラットフォーム一式(OSやミドルウェアなど)をインターネット上で利用する仕組みである。主にシステム開発を目的に用いるものであり、「Microsoft Azure」が代表的なサービスだ。

最大のメリットは、面倒な開発環境を準備せずに済む点といえる。ただし開発言語やデータベースの設定に制限があるため、開発の自由度は低い。

IaaSはシステムの稼働に必要なインフラ機能を提供する仕組み

IaaS(イアース:Infrastructure as a Service)とは、サーバやネットワークといったシステムの稼働に必要なインフラをインターネット経由で提供するサービスである。具体的なサービスとしては「Amazon EC2」や「Google Compute Engine」が有名だ。OSやハードウェアを自由にカスタマイズできる点やインフラの運用を少ないコストで外部に任せられる点がメリットである。

ただし、管理する範囲が広くなるため、管理者にはOSやサーバなどに関する高度な知識が求められる。

SaaSとPaaS、IaaSでは提供する構成要素の段階に違いがある

以上をまとめると「SaaS」「PaaS」「IaaS」の違いは「どの段階までサービスを提供するか」にある。具体的な提供範囲は以下のとおりだ。

・IaaS:ネットワークやサーバなど、システムの構築に必要な最低限の機能を提供
・PaaS:IaaSの範囲に加えてミドルウェアも提供
・SaaS:ネットワークからアプリケーションまでをまとめて提供

つまり提供する範囲の広さは、SaaS>PaaS>IaaSとなるわけだ。提供範囲が狭いほどユーザー側でカスタマイズできる部分は広がり、管理する要素は多くなる。反対に提供範囲が広いほどカスタマイズ性は下がるものの、管理する要素が減るため容易に利用しやすい。

「経理業務の手間を削減したい」「経理で使うツールを安い費用で導入したい」といったニーズには、SaaSの経理サービスが適している。

経理業務におけるSaaSサービス導入のメリット

経理業務にSaaSを導入すると、コスト削減や簡便で手軽な作業の実現を図ることができる。現在リリースされている、さまざまなサービスはそれぞれ特徴が違うので必要なものを適宜取り入れるようにしたい。以下はその一例だが、見積書や請求書などの帳票データをWEB上で連動させて一元管理させることでき、それによって「帳票作成」「請求書の送付」「入金管理」に関する業務が大幅に効率化させられるサービスもある。また、お金の数値化や流れも一目瞭然で管理できるようになる。つまり経理部門はもちろん、経営者にとっても財務状況の把握や経営判断にもSaaSを活用するメリットは大きい。サービスにより、機能は違うので自社の業務で補いたい部分に取り入れるとよいだろう。また、場合によってはそれらを組み合わせて使用することもできる。

メリット1:帳票の作成から送付までを効率化できる

雛形になる帳票を作成すれば、他の帳票にワンクリックで変換させることが可能だ。さらにスケジュールを設定することで、作成の自動化をできる機能もある。また、帳票管理をクラウド化させることで部署のメンバーや部署間の連携も容易になり、承認などの作業も大幅に短縮できる。さらには作成した帳票を郵送代行やメール送付機能がついたサービスもある。

メリット2:管理業務のミスを減らせる

経理業務で大きな手間となる入金確認や消込の作業。銀行口座と連携すれば、それらも解決することができる。混在してしまいがちな情報も一括で確認でき、照合の作業を効率化させることができる。

メリット3:お金の流れを見える化できる

データをクラウド上で一括管理できれば、お金の流れを把握することができる。その時々でレポート作成をする必要する手間も省けて、瞬時に経営判断もしやすくなる。

導入する敷居が低いのもSaaSサービスの特徴

一から経理業務に用いるソフトウェアを開発する場合、多額の初期費用がかかってしまう。一方でSaaSサービスの大半は、利用を開始した時点では課金されない。毎月一定額または利用した分だけ料金を支払う体系であるため、初期費用を大幅に抑えることが可能だ。

ちなみに新しい社員が増えても大抵のサービスでは、追加料金なしでアカウントを共有・追加する形で利用できる。そのため、買い切り型の会計ソフトを都度購入する場合と比べてもコストを抑えられるだろう。

ソフトウェアの管理を気にせずに経理業務に集中できる

自社開発のソフトや買い切り型のソフトを利用する場合、バックアップやセキュリティ対策などは自社で行う必要がある。ソフトウェアの管理に膨大な時間やコスト、労力を要するため、本業に投入すべきリソースが奪われる事態になりかねない。

一方でSaaSのサービスを利用すれば、サービスを提供する事業者側がバックアップなどの管理業務を行うことになる。

ソフトウェアの管理に要する手間や時間を大幅に削減できるため、経理の作業に集中できるようになるだろう。また、本業に投入している人材や予算を割かずに済む点も安心だ。

いつでも手軽に経理の業務を行える

自社開発または買い切り型のソフトでは、基本的にインストールしたデバイスがないと経理業務を行えない。一方でSaaSのサービスならば、ログインすればデバイスに関係なく利用できる。そのため、出張中や移動中など時間が空いた時に手軽に経理の業務をこなすことが可能だ。

人付き合いや商談などで忙しい経営者にとって、スキマ時間で手軽に経理を行える点は大きなメリットだろう。

経理業務でSaaSサービスを使う場合の注意点

情報漏えいやサービス停止による業務の停滞は、SaaSを活用する上で無視できないリスクだ。また、カスタマイズ性の低さにも注意を要する。必ずメリットだけでなくデメリットも十分検討した上でSaaSを経理業務に導入するのが好ましい。

情報漏えいのリスクがある

経理業務でSaaSのサービスを利用する際、注意すべきなのが情報漏えいのリスクだ。「インターネット経由でいつでも・どこでも利用できる」という仕組み上、SaaSのサービスには情報が漏えいしやすい要素がいくつかある。

たとえば、外出先で経理業務を行うとWi-Fi経由で情報を抜き取られたり後ろから機密情報をのぞき見されたりする可能性も否めない。

また、デバイスの紛失などでパスワードが漏えいし、それが原因となって不正アクセスされる危険もある。SaaSのサービスを使って経理業務を行う際には、情報漏えいを防ぐためのルールを厳密に定めておくことが望ましい。

サービスが停止した場合に業務が停滞するおそれがある

メンテナンスやシステム障害などが原因で、サービスが突然利用できなくなる可能性にも注意が必要だ。自社開発または買い切り型のソフトを使っていれば、自社のエンジニアが対応することで早期に復旧できる。一方でSaaSの場合、サービスを提供する会社が復旧作業を完了させない限り経理業務を行えなくなってしまう。

確定申告や決算などの時期とサービスの停止が重なった場合、深刻な事態にもなりかねない。復旧に時間がかかることを想定し日々の経理業務はこまめに行っておくと良いだろう。

カスタマイズして利用するのは難しい

SaaSを利用する場合は、カスタマイズが困難である点も理解しておく必要がある。SaaS型の経理サービスでは、基本的に提供されている機能しか使うことができない。そのため、利用期間が長くなるにつれて何かしらの不便を感じる場面が増える可能性がある。

また、利用当初は使いやすいと感じていてもデザインの大幅な変更や機能の改善などにより使いにくいサービスとなる事態も考えられる。現在はさまざまなサービスがリリースされているので、自社に合ったものを取り入れるようにしたい。

SaaSサービスを導入して業務の効率化を図ろう

利便性の高さが魅力のSaaSは、経理業務をはじめとしたあらゆるビジネスシーンで重宝する。カスタマイズ性の低さや情報漏えいのリスクこそあるものの、初期費用の安さや業務量の軽減などメリットが上回っているといえる。

経理業務の効率化を図るならSaaSの導入を積極的に検討してみてはいかがだろうか。

文・鈴木 裕太(中小企業診断士)