資金調達のためにクラウドファンディングを利用する企業が増えてきた。お笑いコンビのキングコングの西野亮廣氏は、今まで自身の運営するオンラインサロンなどを通じて様々なプロジェクトを企画運営してきた。その2億円を超える運転資金は、クラウドファンディングで調達していることが話題になった。

クラウドファンディングは、企業だけでなく個人でもネットを通じて簡単にボーダーレスに資金調達ができる「仕組み」である。プロジェクトの「起案者」はやりたいことをアピールし、資金を提供する「支援者」は小口からでも資金拠出が出来る。そこにはWIN-WINの関係が成立している。クラウドファンディングの概要、歴史、現状に簡単に触れ、目的別のおすすめサイトを紹介しよう。

目次

  1. クラウドファンディングとは?
  2. クラウドファンディングの4つのタイプと市場規模
    1. 1.寄付型
    2. 2.購入型 
    3. 3.融資型 
    4. 4.株式型
  3. クラウドファンディングの市場規模
  4. クラウドファンディングのメリット・デメリット
    1. クラウドファンディングのメリット
    2. クラウドファンディングのデメリット
  5. 目的別、あなたにおすすめのクラファンサイトはどれ?
    1. 購入型のクラウドファンディングを選ぶ場合
    2. 寄付型
    3. 融資型
    4. 株式型 
  6. 手数料率だけでなく、サイトごとの強みを理解しよう

クラウドファンディングとは?

悩む
(画像=Andrey Popov/Adobe Stock)

クラウドファンディングはネット時代の新しい形の資金調達の仕組みだ。スタートアップや新製品開発における資金調達は従来、企業や銀行、ベンチャーキャピタルに出資を仰ぐのが一般的だった。クラウドファンディングでは、ウェブ上のプラットフォームを通じて、「起案者」と「支援者」をマッチングさせて、不特定多数の人からボーダーレスで簡単に資金調達をすることが可能となった。

起案者は企業でも個人でも構わない。プロジェクトは、起業、新製品開発、新サービス提供、出版、CD作成、建造物の改修など何でも構わない。支援者から共感を得られて、資金援助を受けられて、資金調達額が目標に達するかどうかが重要なのだ。群衆(crowd)から資金調達(funding)することからクラウドファンディング名付けられた。

こうした仕組みは、米国では自由の女神の補修、日本では東大寺の補修の資金を寄付で集めるといった形で昔から存在した。その仕組みが、初めてインターネットを介しておこなわれたのは97年で、英ロックバンドが全米ツアーの費用6万ドルをファンからの寄付で集めた。01年には米ArtistShare社が、アーティストのレコード製作などの資金をファンから資金調達するプラットフォームとして「ファンファンディング」のサイトを立ち上げた。この仕組みが後に「クラウドファンディング」と呼ばれるようになる。米国で普及したのは、08年から09年のリーマンショックの後だ。世界的な信用収縮から資金調達が難しくなり、新しい資金調達手段として一気に拡大した。

日本では11年に、「Readyfor」「CAMPFIRE」などのプラットフォームが次々とローンチした。米国ではリーマンショックがきっかけとなったように、日本では東日本大震災がきっかけとなり、被災者への寄付や新たな資金調達の仕組みとして注目度が一気に高まった。

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クラウドファンディングの4つのタイプと市場規模

クラウドファンディングは、目的によって大きく以下の4タイプに分けられる。

1.寄付型

  • 認定NPO法人や、自治体、学校法人など、非営利活動を行う団体へのボランティア、支援などが多い
  • 支援者の資金は被害者やプロジェクトに対する寄付でありリターンはない
  • 東日本大震災後の支援で一気に市場が立ち上がった
  • 新型コロナウイルスに対しても支援額が拡大している
  • 寄附者は寄附金控除を受けることができる

2.購入型 

  • 新型電動バイクの開発など新商品や新サービスのプロジェクトを応援する
  • アニメの制作、コンサートなど趣味的な支援も多い
  • 応援の対価としてお金でなく、その新商品や新サービスを得る
  • プロジェクトに企画から参加出来るような喜びがある
  • 金融商品ではないため参入しやすくプラットフォーム数も取扱金額も最も伸びている

<金融商品として扱われるクラウドファンディング>
15年の法改正で融資型と株式型は金融商品として金融庁の管轄下に入った。

3.融資型 

  • 一般的にはソーシャルレンディングと呼ばれるもの
  • 出資金に対して利子でリターンを受け取る
  • リスクは高く償還されない可能性があるが高利回り(4〜7%程度)は高い
  • 個人マネーが高利回りをもとめた投資する

4.株式型

  • 未公開株式投資である
  • プロジェクトに対するファンドに投資するパターンもある
  • 会社やプロジェクトで利益が出れば配当としてリターンを受け取る

クラウドファンディングの市場規模

独・Statista社によると、世界のクラウドファンディングの20年の取扱金額は、前年比23%増の約85億ドル(約9,100億円)となる見込みだ。今後3年間は年平均約12%の成長で23年には約120億ドル(約1兆2,800億円)に達すると予想している。富士キメラ総研によると、日本のクラウドファンディングの19年の取扱金額は1,775億円だった。現状では、取扱金額の大半をソーシャルレンディングが占めている。

購入型のクラウドファンディングが拡大期を迎えている。購入型最大手のMakuakeによると、同社の応援購入金額の20年9月期の予想は前年比7割増94億円を見込んでいる。Makuakeは大手IT企業サイバーエージェントの子会社で、19年12月に東証マザーズ市場にIPOした。IPOで知名度があがったことで、会員数、ユニークユーザーのアクセス数、掲載開始件数などが大きく増えた。これから、さらに購入型クラウドファンディングの注目度が上がりそうだ。

融資型の国内市場も高利回りを求める金融商品して伸びている。融資型最大手でSBI系のSBIソーシャルレンディングでは、20年3月末の提供資金の総額は14%増の421億円と19年12月末の371億円から3カ月で13%増加した。

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クラウドファンディングのメリット・デメリット

クラウドファンディングは、起案者にとって資金調達がしやすいだけでなく、支援者にとっても相応のリターンが期待できる、もしくは。社会支援として満足度が高いことが特色だ。両者にWIN-WINの関係が成立しており、前述のMakuakeの実績ではリピート率が7割を超えており満足度の高さが見て取れる。具体的にメリットとデメリットを見ていこう。

クラウドファンディングのメリット

  • クラウドファンディング以外では実現できなかったような企業やプロジェクトが資金調達可能
  • ものづくりを盛り上げる(購入型)
  • 高利回り(融資型)
  • 魅力的な商品・サービスのリターン(購入型)
  • ボランティア・社会貢献・支援の喜び(寄付型) 
  • 趣味性が高く双方向のコミュニケーションがあるためよいコミュニティが形成されるケースがある(購入型)
  • 小口でも起案を支援が出来る夢が追える(株式型)
  • 寄附者は寄附金控除を受けることができる(寄付型) 

クラウドファンディングのデメリット

  • プロジェクトの資金が集まらずプロジェクト自体が執行されないことがある(購入型)
  • 資金が集まったとしてもプロジェクトが完遂しないリスクがある(購入型)(寄付型) 
  • 利払いが行われないリスクがあり、元本も保証されていない(融資型)
  • 倒産などの信用リスクがある(株式型)
  • 詐欺などにも狙われやすい

目的別、あなたにおすすめのクラファンサイトはどれ?

タイプ別におすすめ主要クラウドファンディング会社と購入型、寄付型の手数料を比較する。

購入型のクラウドファンディングを選ぶ場合

○マクアケ

  • 購入型最大手 東証マザーズ上場 サイバーエージェント系
  • ガジェットや飲食系に強い
  • ニュースやまとめなどで商品が紹介されるなど人気がある
  • 手数料 15%+5%決済手数料=20%

○CAMPFIRE

  • 11年開始の老舗サイト 
  • 有名人も多く利用しメディアへの露出も多い
  • 音楽、本・漫画、アート、映画などオールラウンダー 
  • グループで寄付型「Good Morning」も運営
  • CAMPFIRE手数料 12%+5%決済手数料=17%

○Readyfor

  • 11年開設の国内初の購入型サイト 
  • NPO、自治体、学校法人など、非営利活動のプロジェクトが多い
  • 寄付型「Readyfor Charity」も運営
  • 大手の中では手数料がもっとも安い
  • 手数料 シンプルプラン 7%+5%決済手数料=12%
  • フルサポートプラン 12%+5%決済手数料=17%

寄付型

○CAMPFIRE

  • 購入型大手CAMPFIREが運営するの社会貢献特化型寄付型サイト
  • サイト名「Good Morning」
  • GoodMorning手数料 9%+5%決済手数料=14%

○Readyfor

  • 購入型大手Readyforが運営する寄付型サイト「Readyfor Charity」
  • 手数料 シンプルプラン 7%+5%決済手数料=12%  
  • フルサポートプラン 12%+5%決済手数料=17%

○朝日新聞

  • 朝日新聞が運営する寄付と購入型の「A‐port」 
  • 新聞社としての情報発信力を活かしつつ幅広い読者へリーチ力出来る
  • 手数料 15%+5%決済手数料=20%

融資型

○SBIソーシャルレンディング 

  • 融資型最大手 SBI系 
  • 20年3月末の融資残高421億円 登録完了数51,539人
  • 融資先不動産デベロッパー28.9%
  • バイオマスブリッジ18.3%
  • メガソーラー15.8%

○日本クラウド証券

  • 19年12月末融資残高概算170億円 元本償還率100%
  • サイト名「クラウドバンク」

○クラウドクレジット

  • 新興国向け融資に特色
  • 19年12月末融資残高概算146億円               

    株式型 

○日本クラウドキャピタル

  • 株式投資型国内取引量No.1
  • 設立間もないスタートアップ企業への投資に特色
  • 借り手企業側は年間1億円未満
  • 投資家は1社につき50万円までの制限がある
  • サイト名「ファンディーノ」 

手数料率だけでなく、サイトごとの強みを理解しよう

クラウドファンディング市場には、高い成長が望めるため、多くの会社が参入している。特に購入型は、参入障壁が低いため、市場が盛り上がる一方、競争は厳しくなっている。利用するにあたっては、手数料率だけでなく、サイトごとの強みや利用手順をチェックし、自分にもっとも適したサイトを見つけよう。

文・平田和生(ストラテジスト)