「子どもの習い事や趣味は、親の所得と比例する」という、複数の調査結果が報告されている。今回はその真相と共に、親の所得が子どもの趣味に影響する理由や富裕層の子どもの趣味の共通点などを見てみよう。

目次

  1. 富裕層の子どもの趣味の共通点とは?
  2. 親の所得が子どもの趣味に影響する理由
  3. 親の趣味も子どもに影響する?
  4. 富裕層が子どもの教育で重視する「感性・情操・教養」
  5. ポジティブな行動を起こすための「モチベーション」が重要

富裕層の子どもの趣味の共通点とは?

親の所得が子どもの趣味に影響する?富裕層の子どもの趣味の共通点とは
(画像=kegfire/stock.adobe.com/)

年収300万未満と年収1,500万以上の世帯の子どもの趣味や娯楽33項目を比較したデータ(総務省「社会生活基本調査2011年版」に基づき、各項目の実施率をグラフ化/President掲載)では、子どもの趣味と親の所得の関連性が明白になっている。

富裕層の子どもはスポーツや映画・美術・音楽・演劇鑑賞などの体験を通して感性や情操の教養を育むものが多いのに対して、低層家庭の子どもはゲームやカラオケなど、その瞬間を楽しむものが多いのが特徴だ。

米ピュー研究所が2015年、18歳未満の子どもがいる約1,800世帯を対象に実施した調査にも、同様の傾向が見られる。

こちらは世帯年収を3万ドル(約314万円)未満、3万~7.5万ドル(約314万円~785万円)未満、7.5万ドル(約785万円)以上の3つのグループに分け、スポーツ、ボランティア活動、音楽・アート・ダンス、ボーイ/ガールスカウト(あるいは同等の活動)の4つのアクティビティへの子どもの参加率を調べたものだ。

その結果、全カテゴリーで富裕層の子どもの参加率が最も高く、所得が低くなるほど参加率が低くなることが分かった。

親の所得が子どもの趣味に影響する理由

調査結果を見る限り、「親の所得が子どもの趣味に影響する」という根拠はあるようだ。それでは、なぜ親の所得が子どもの趣味に影響するのだろうか?

富裕層の子どもは課外授業を含め、カリキュラムの充実した私立校への進学率が高い傾向がある。プライベートでもお金のかかる習い事や海外旅行など、さまざまなことを体験するチャンスに恵まれている。

一方、低所得層は共働き家庭が多く、「子どもの体験のためにかける時間もお金もない」という声が少なくない。

親の趣味も子どもに影響する?

「親の趣味が子どもに影響する」という調査結果も報告されている。

米国国勢調査局と米労働統計局が毎年実施している調査「アメリカン・タイム・ユーズ・サーベイ(ATUS)」では、所得による成人の趣味・趣向の違いが明らかになった。この調査は2017年、さまざまな所得層の成人を対象に実施されたもので、各層の実施率をランキング形式で作成したものである。

年収5万ドル(約523万円)以上の層に人気の趣味・趣向はゴルフやテニス、ランニング、スキー、美術・映画鑑賞などのお金がかかるものが多く、健康管理や体験を重視している。それに対して年収5万ドル以下の層は、テレビ鑑賞やラジオ視聴、喫煙、ゲームなど、あまりお金がかからず、室内で楽しめるものが多いようだ。

富裕層が子どもの教育で重視する「感性・情操・教養」

感性とは価値あるものを感じ取る知覚的能力だ。感性の高い人は、周囲の気持ちや場の空気を敏感に察知でき、想像力と表現力に優れているといわれている。

情操は美しいものや素晴らしいものに触れることで沸き上がる感情で、価値のあるものを見極める能力を育む。近年は精神的にゆとりがあり、円滑な人間関係を築くスキルを身に付ける目的で「情操教育」なども盛んに行われている。

教養は個人が習得する、創造的な理解力や知識のことだ。音楽や美術は感性や情操の発達に役立ち、スポーツは心と体の成長、そしてコミュニケーションスキルの向上にもつながる。

前述した通り、富裕層の子どもの趣味には「体験を通して感性や情操、教養を育む」ことを目的とするものが多い点が共通する。これは富裕層が子どもの教育において、重視する要素でもある。

なぜなら子どもの教育は富裕層にとって未来の後継者を育成するための重要な投資だからだ。親が裕福、エリート校出身という理由だけでは子どもは立派な大人に成長しない。それどころか親の資産に過度に依存してしまうと、ろくに仕事もせず浪費を繰り返すなど、子どもの人生を破滅させる原因となりかねない。

子どもが社会で成功するために、そして充実した人生を送るために、必要なスキルや能力を育むことが教育の軸となるのである。

ポジティブな行動を起こすための「モチベーション」が重要

一方、低所得世帯だからといって子どもが能力やスキルを伸ばすチャンスを得られないわけではない。経験はお金をかけなくても意識次第で、様々な手段で体験させることができる。たくさんのお金と時間を投資して、子どもに複数の習い事をさせていたとしても親の押し付けで子ども自身が嫌々参加して、結果的に興味がもてないようではせっかくの投資の価値が半減するし、場合によっては教育上、マイナス影響を与えてしまうこともある。

重要なのは経験を通して「充実した時間を過ごす」「達成感を得る」「新しいことを学ぶ」など、ポジティブな行動を起こすというモチベーションなのである。 そんなこともあり、習い事だけではなくボランティア活動へ参加させる機会も、富裕層の子どもは多いことが明らかになっている。

「どんなことに興味があるのか?」「どうすればモチベーションが上がるのか?」など、子どもの気持ちや得意・不得意をくみ取り、今何が必要なのかを観察しながら、それぞれの個性に適した習い事や趣味を通して子どもの可能性を上手に伸ばしてあげるようにしたい。

文・BUSINESS OWNER LOUNGE編集部