効果的な広告を打ち出したい企業にとって、ブランドリフト調査は必須といえるだろう。マーケティングが多様化した現代では、費用対効果を意識して広告を配信しなければならない。調査から結果を経営に活かす方法まで、必要な知識をしっかりと身につけよう。

目次

  1. 現代のブランディングに欠かせない「ブランドリフト調査」とは?
  2. ブランドリフトは消費者の態度変容を測る指標
  3. ブランドリフト調査に取り組む3つのメリット
    1. 1.業界内での自社の立ち位置を把握できる
    2. 2.商品・サービスに適したターゲット層を再確認できる
    3. 3.収集したデータをもとに、より効果的な広告戦略を考えられる
  4. ブランドリフト調査の進め方とは?経営者が押さえたい基本的な方法
    1. 【STEP1】ブランドリフト調査の項目を決める
    2. 【STEP2】調査方法を決める
    3. 【STEP3】調査を実施し、結果をアウトプットする
  5. ブランドリフト調査は、次の広告配信に活かすことが必須
  6. ブランドリフト調査はますます重要視される時代に

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現代のブランディングに欠かせない「ブランドリフト調査」とは?

ブランドリフト(態度変容)をマーケティングに活かす方法
(画像=PIXTA)

ネット広告や動画広告などが台頭したことで、現代では多くの企業がさまざまな方法でブランディングに取り組んでいる。その影響でブランディング広告の効果測定は複雑化しており、特にインターネット上の広告からは消費者の行動や心理状態を読み取りにくくなっている。

そのような状況下で注目を浴びているのが、今回解説する「ブランドリフト調査」だ。ブランドリフト調査とは、広告に関する間接的なコンバージョンを推測するための調査のこと。売上などの直接的なコンバージョンではなく、売上や来店につながる認知度や好感度などを分析する。

すでに多くの調査会社がブランドリフト調査をサービスとして提供しているが、正しい方法や手順を理解すれば第三者の力を借りることなく実践できる。外部に依頼する場合であっても、調査の概要や流れを押さえておくと理解が深まるので、ブランディングやマーケティングを実施するならば基礎知識を身につけておきたい。

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ブランドリフトは消費者の態度変容を測る指標

ブランドリフト調査は、発信した広告の対象者を「接触者」と「非接触者」の2グループに分け、それぞれのグループの心理的な変化を表す態度変容(または心理変容)を分析するかたちで行われる。具体的には、企業・商品に対する知名度や関心度、好感度などの違いを両グループで比較し、「広告を流すことで消費者にどのような変化があったか?」を分析する。

例えば、ネット広告を通して企業・商品に対する知名度を調査する場合は、広告の後にアンケートを表示させることが多い。このアンケートは「インバナーサーベイ」と呼ばれており、動画広告を流している企業の多くはインバナーサーベイによって調査に必要なデータを集めている。

ブランドリフト調査では、他にも広告想起率や購入意向、検索上昇率などがチェックされ、分析の際に使用されるこれらの効果指標は「ブランドリフト」と呼ばれている。ブランドリフトは、来店・購買などを分析する際の中間指標として機能するため、ブランドリフト調査を行えば広告のさまざまなコンバージョンを把握できる。

ブランドリフト調査に取り組む3つのメリット

ブランドリフト調査には時間やコストがかかるので、収集したデータは経営に最大限活かしたいところだ。そのため、調査を実施する前にデータを収集・分析することで得られるメリットも理解しておきたい。

ブランドリフト調査で得られるメリットの中で、経営者が特に押さえておきたいものを確認していこう。

1.業界内での自社の立ち位置を把握できる

ブランドリフト調査を実施すると、広告効果が客観的なデータとしてアウトプットされるため、業界内での自社の立ち位置が明確になる。特にインバナーサーベイなどで認知度や好感度を調査すれば、よりわかりやすいデータを収集できるだろう。

また、商品・サービス別の認知度などを把握できることも、ブランドリフト調査の大きなメリットだ。ブランドリフト調査を通して「どの商品のニーズが高いか?」「競合に負けている要素は何か?」などが判明すれば、今後力を入れるべき事業や研究開発の方向性が見えてくる。

2.商品・サービスに適したターゲット層を再確認できる

自社のターゲット層を改めて再確認できることも、ブランドリフト調査のメリットといえるだろう。例えば、アンケートを通して自社に関心をもって持っている年齢層や性別を把握できれば、今後狙うべきターゲット層が明確になる。

ニーズの移り変わりが激しい現代では、時代とともにターゲット層が変化することもあるので、定期的にターゲット層を再確認できるメリットは想像以上に大きい。

3.収集したデータをもとに、より効果的な広告戦略を考えられる

ブランドリフト調査の最大のメリットは、分析結果を今後の広告戦略に活かせることだ。ターゲット層を意識した広告を配信できれば、消費者に対する訴求力が強くなるため、売上や来店数などの直接的なコンバージョンをぐっと増やせる可能性がある。

マーケティングの知識は必要になるが、心理的なプロセスを分析する方法はいくつかある。
以下の記事も併せてチェックしておきたい。

あわせて読みたい
アイドマ(AIDMA)の法則で消費者の心理的プロセスを分析する

ブランドリフト調査の進め方とは?経営者が押さえたい基本的な方法

ブランドリフト調査を経営に活かすためには、正しい手順で調査・分析を進める必要がある。手順や方法を誤ると、調査結果や分析方法にズレが生じる恐れがあるので注意したい。

ここからは具体的な実施方法を含めて、ブランドリフト調査の基本的な進め方を解説していく。なお、マーケティングプランの策定段階でつまずいている場合は、以下の記事も参考にしながら読み進めてもらいたい。

【STEP1】ブランドリフト調査の項目を決める

まずは、ブランドリフト調査を通して収集・分析したいデータを意識して、調査項目を決める必要がある。基本的に調査項目は自由に決められるが、実際の調査で使われることの多い項目を簡単に紹介しよう。

・ブランドリフト調査の主な項目

・認知度 商品やサービス、または会社のことを知っているか。
・好感度 商品や会社に対してどのようなイメージを持っているか。
・理解度 会社や商品の特徴を理解できたか。
・購入意欲 広告によって購入意欲が高まったか。
・広告の訴求力 広告の内容を覚えているか。

ブランドリフト調査の項目は、消費者が目にする広告の内容とリンクさせる必要がある。例えば、広告内で商品の特徴を紹介しておかないと、商品の理解度をデータとして収集することは難しい。調査項目は、できるだけ広告内容と紐づけるようにしよう。

【STEP2】調査方法を決める

ブランドリフト調査の方法に、「リードバナーアンケート」と呼ばれるものもある。これは、アンケートの回答を受け付ける専用ページを開設し、そのページを通してデータを収集する手法だ。

前述のインバナーサーベイとどのような違いがあるのか、チェックしておこう。

・インバナーサーベイとリードバナーアンケートの違い

インバナーサーベイ リードバナーアンケート
・回答方法 広告内で回答 専用ページで回答
・質問数 少ない 自由
・回答率 高い 低い
・コスト 低い 高い

とにかく多くのデータを収集したい場合は、ディスプレイ広告内で回答できるインバナーサーベイが適している。一方、リードバナーアンケートは質問数や内容の自由度が高いため、精度の高い回答を集めたい場合に最適だ。

ネット広告などにこれらのアンケートを埋め込むには、専門知識やスキルが必要になる。そのため、プログラミングやWeb制作に明るくない企業は、調査会社や広告配信プラットフォームの利用を検討したい。

【STEP3】調査を実施し、結果をアウトプットする

ブランドリフト調査を実施したら、調査によって得たデータを収集・分析し、結果をわかりやすい形でアウトプットする必要がある。例えば、広告の内容を覚えているネットユーザーが多く、かつブランドの好感度も高まっている場合は、「広告によって会社の好感度が増している」という結果をアウトプットできるはずだ。

結果をアウトプットする際は、上記の例のように複数の分析データを組み合わせることがポイントになる。わかりやすい形で結果をアウトプットしておかないと、今後の広告戦略に活かすことが難しくなるので、分析後のアウトプットにはしっかり時間をかけたい。

ブランドリフト調査は、次の広告配信に活かすことが必須

ブランドリフト調査によって得た結果は、次の広告配信に活かさなければ意味がない。例えば配信した広告が売上につながっていないと感じたのであれば、「どんな広告を配信すれば店や購入を促せるか?」をしっかり考える必要がある。

認知度や好感度が高いにもかかわらず売上が伸びない場合は、前述の「理解度」や「広告の訴求力」に課題がある可能性が高い。このケースでは商品に対する理解度が深まり、かつインパクトが強い広告を配信する必要があるうだろう。

また、効果的な広告は時代とともに変わるため、ブランドリフト調査では「PDCAサイクル」を実践することも重要だ。新たに作成した広告の効果も比較検証しなければ、せっかくのブランディング手法も数年で陳腐化してしまうだろう。

したがってブランドリフト調査は1回だけではなく、できれば期的に実施したいところだ。

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ブランドリフト調査はますます重要視される時代に

本格的なIT時代が到来した現代において、ブランドリフト調査の重要性は高まる一方だ。現在は多くの企業が広告に工夫を凝らしているため、単に広告を流すだけではコンバージョンにつなげることは難しい。

逆にいえば、優れた広告戦略を打ち出せば生き残れる可能性がぐっと高まるはずだ。広告効果に不安を感じている経営者は、これを機にブランドリフト調査を実施することをおすすめする。

文・片山雄平(フリーライター・株式会社YOSCA編集者)