株式と債券、両方の特長を持った投資商品である転換社債。本来は社債であるものを株式に転換することができる。投資といえば株式や債券をイメージする人が多いが、ほかの投資手段として転換社債を検討してみてはいかがだろうか。

目次

  1. 株式に転換できる権利が付いた社債「転換社債」(CB)
  2. 「債券」と「株式」。二つの特徴を持つ「転換社債」(CB)
    1. 債券
    2. 株式
  3. 「普通社債」(SB)と「転換社債」(CB)にはどんな違いがあるのか
  4. 転換社債(CB)は長期的視点でも好パフォーマンスを示す傾向にある
  5. 転換社債(CB)を運用する5つのポイント
    1. 1:転換するのはどのタイミング?株式に転換する際の判断基準
    2. 2:転換社債(CB)の利回り基準
    3. 3:償還までの期間は銘柄によってさまざま
    4. 4:値動きはどうやって確認する?
    5. 5:転換社債(CB)はどこで購入できる?
  6. 長期的にはパフォーマンスは良い傾向、しかしそうでない場合も

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株式に転換できる権利が付いた社債「転換社債」(CB)

転換社債(CB)とは?投資する上で知っておきたい特徴を解説
(画像=alexskopje/stock.adobe.com)

転換社債とは、一言でいうと「株式に転換できる権利が付いた社債(債券)」のこと。英語でConvertible Bond(コンバーチブル・ボンド)、ゆえにCB(シービー)とも呼ばれている。2002年4月の商法改正の際に名称変更され、一般には「転換社債」「CB」の名称が用いられるが正式名称は「転換社債型新株予約権付社債」という(以下CBで呼称)。

債券に「新株予約権」、つまり一定の条件でその社債を発行した企業の株式を取得できる(転換する)権利を付けた形態で発行したものが「CB」となる。

一定の条件とは、権利を行使できる期間(転換請求期間)と株式に転換できる価格(転換価格)などのこと。転換価格は「株式1株をCBの額面いくらと交換できるか」を示す価格であるため、転換価格によって取得できる株式数が決まる。CBをもとに株式を取得することを「新株予約権を行使する」というが新株予約権を行使すると株式を取得できる代わりに社債がなくなってしまう。

これが「転換」といわれる理由で、いったん株式へ転換した後に社債へ戻すことや新株予約権を分離譲渡することはできない。新株予約権は、あくまで権利であることから株式に転換せずに社債のまま保有し続けることも可能だ。利付債として定期的に利子を受け取ることができるほか、償還日には額面金額が払い戻されるのは一般的な債券と同様である。

株式と債権の二つの特徴を持つ転換社債。投資する上で理解しておきたい重要な「債権」と「株式」について解説する。

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「債券」と「株式」。二つの特徴を持つ「転換社債」(CB)

本来は社債であるものを株式に転換できるCBは、1つの資産で債券と株式の両方の特徴をあわせ持っている。ここでは債券や株式のそれぞれがどんなものかを解説する。

債券

債券は償還期限が来る前に価格が購入時よりも上がれば売却することも可能だ。しかし「半年ごと」「年1回」など一定期間ごとに決められた利息(クーポン)を受け取ることができる。また債券の発行企業が倒産しない限り償還期限がくれば額面金額(通常は100万円)を受け取ることが可能だ。

そのため債券価格が下落している場合には売却せずに償還期限まで保有することで価格変動リスクを免れることができる。株価が下落し始めるとCBの時価も下落する傾向にあるが、ある一定の水準で下がりにくくなる。これは償還日まで保有すると額面金額で償還される債券としての価値が下支えしているためだ。

株式

CBは、一定の条件で株式に転換する権利が付いているため、その値動きは転換対象となる株式に連動する傾向がある。よって株価上昇局面では、CBの価格自体も株価に連動して値上がりが期待できる。具体的な数字で見てみると仮に転換価格1,000円のCBを額面100万円で購入したとする。
※額面100円あたり100円で手数料などは考慮しないものとする
この場合、CBは100万円÷1,000円=1,000株となり1,000株に転換できる権利を保有していることになる。株価が1,000円であれば市場でCBを買っても直接株式を1,000株購入しても取得費用は同じく100万円ということになり、市場での転換価格の価値は100円が妥当である。しかし仮に株価が1,100円に上昇した場合、株式を直接購入するには110万円必要だ。

しかし転換社債は1,000円で株式に転換できるため、理論上CBの価値が1割上がることになる。株式転換の有無にかかわらずCBの価格自体も1割増の110万円になるということだ。

「普通社債」(SB)と「転換社債」(CB)にはどんな違いがあるのか

普通社債は英語でStraight Bond(ストレートボンド)「SB」と呼ばれる。事前に設定された日まで投資家に対して利息が支払われる仕組みで、ほとんどの場合は固定利率となる。CBは、株式への転換権が付いている分、普通社債に比べると利率小さく設定されているのが一般的。取得価格や償還までの期限などその他の条件が同じであれば、償還まで保有する場合は利回りは普通社債のほうが良くなる。一方転換権の部分は転換対象の株価の動きに合わせて上下。転換対象の株価が上がればCBに付いた転換権部分の価値が上がり結果としてCB全体の価値も上昇する。逆に株価が下がればCBの転換権部分の価値も下がるが、CBの元本(額面金額)および利息の部分がクッションとなりCB全体の価値の下落は抑えられるのだ。
CBが債券と株式の両方の性格を発揮することで値下がりリスクを抑えつつ値上がり利益を期待できるのは投資家にとっては好ましい。CBと普通社債の最も大きな違いは、「転換権があるかないか」である。

転換社債(CB)は長期的視点でも好パフォーマンスを示す傾向にある

長期的な観点から見るとCBは転換対象の株式や同じ発行企業の債券に比べてパフォーマンスが良くなる傾向がある。これは、CBが持つ「下値抵抗感」と「株価連動性」という性質によるものだ。先ほどCBが債券の性格と株式の性格の両方をあわせ持っていること述べたが、株価下落局面ではCBの下値はある一定の水準で留まり限定的となる。これを下値抵抗感という。

また株価上昇局面では転換対象の株式の値動きに連動するという「株価連動性」が発揮される。株価の動きは、発行企業の業績や業界全体の動き、市場環境などさまざまな要因で変動するが長期的な視点で見ると下値抵抗感と相まってCBは長期的に好パフォーマンスが期待できるのだ。

転換社債(CB)を運用する5つのポイント

1:転換するのはどのタイミング?株式に転換する際の判断基準

投資家にとって気になるのが「株式に転換したほうがいいのか」「転換するならどのタイミングで転換するのがいいか」ということだろう。そこでCBを株式に転換するときの判断基準としてパリティについて知っておこう。パリティは「株価から見てCBがこれだけの価値を持っている」という理論価格のこと。具体的には「額面100円に対していくら」という金額で示される。

パリティは次の計算式に当てはめることで算出することが可能だ。

・パリティ(円)=株価÷転換価格×100

判断ポイントは「パリティが100円を超えるかどうか」だ。パリティが100円を越えていれば株価が転換価格を上回っているため、株式に転換することで利益を得られる。逆に100円を下回っていれば転換社債のまま保有するほうがいい。ただしパリティが100円を越えていても実際には手数料や税金などがかかるため、期待通りに利益を得られるかどうかは分からないことは押さえておきたい。

また実際にCBの売買ではパリティ通りに行うとは限らない。そこでパリティとCBの市場価格(時価)の差である「乖離(カイリ)率」についても知っておくといいだろう。

・乖離率(%)=(CBの時価-パリティ)÷パリティ×100

乖離率は、CBの時価がパリティに比べてどれくらい高いか低いかを示すものだ。乖離率が小さいほど時価と理論価格との差が少ないことを示し株価連動性は高いといえる。

2:転換社債(CB)の利回り基準

CBの債券的な価値を重視する場合は「利回り」に注目。「投資した金額に対してどれだけ利益(利息)を受取ることができるか」という割合を表すものを「直接利回り」といい以下の式で計算できる。

・直接利回り(%)=利率(クーポン)÷投資元本×100

利率の高いCBを選ぶことで直接利回りは良くなるのはもちろんだが利率が同じでもCB自体の市場価格(時価)が低ければ直接利回りは上がる。市場で流通しているCBを購入する際の尺度としてチェックが必要だ。またCBを償還日まで保有する場合の年平均利回りを表したのが「最終利回り」である。CBを長期的に保有する場合の尺度として必ずチェックしたい。

最終利回りは、以下の計算式に当てはめて計算することができる。

・最終利回り(%)={利率+(額面-購入価格)÷償還までの年数}÷投資元本×100

3:償還までの期間は銘柄によってさまざま

償還までの期間は、2~15年など銘柄によりさまざまだ。銘柄によっては、コールオプション条項が付いている場合がある。これは、一定期間にわたってパリティがあらかじめ決められた水準以上であった場合に発行会社の任意で当該社債の全額を繰り上げて償還(期限前償還)することができる権利のことだ。コール水準や何日連続すれば繰り上げ償還されるかなどは銘柄により異なり、CBを購入する前に確認しておくことが必要だ。ただしオプションが付いていてもオプションを行使するかどうかは発行会社の任意である。償還期間が予定と変われば最終利回りも変わることになるため、注意が必要だ。

4:値動きはどうやって確認する?

CBの購入価格は、転換社債を取り扱っている証券会社で確認できる。流通している転換社債なら株価の値動き同様に上場されている証券取引所のホームページや日本経済新聞などでも確認することができるのでチェックしてみよう。

5:転換社債(CB)はどこで購入できる?

CBは、証券会社経由で取引するため購入の際は証券会社に確認しよう。ただしすべての証券会社が転換社債を取扱っているわけではなく、また証券会社によって取扱いしているCBの銘柄も異なる。CBを購入してみたい場合は、まずいくつかの証券会社のホームページを確認するといいだろう。

長期的にはパフォーマンスは良い傾向、しかしそうでない場合も

債券と株式の2つの特長をあわせ持つCBは、価格変動リスクを抑えつつ株価連動性によって値上がりの期待ができる。長期的な観点から見るとCBは、同一企業の株式および債券に比べてパフォーマンスが良くなる傾向だ。一方でCBの償還期間は銘柄によりさまざまでパフォーマンスの良さを充分に発揮できないまま償還日を迎える可能性もある。

また「株式に転換しないまま償還されて最終的に普通社債を購入していたほうが利回り的に良かった」という可能性があることも知っておこう。CBでの投資を検討する際には、パリティや乖離率などの指標をチェックするとともに途中償還のリスクと残存期間を考慮しできるだけ乖離率の低いものを選ぶとよいだろう。

文・續恵美子(日本FP協会認定CFP(R))