毎年かかる固定資産税。どんな基準で税額を決めているのか、疑問に思っている人は多いだろう。特に不動産投資を行っている人には、大きなランニングコストになるので見逃せないはずだ。 そこで、固定資産の評価基準のポイント等を解説し、何が固定資産税の税額に反映されているのかを理解したい。

目次

  1. 固定資産税の評価基準とは?
    1. 固定資産の評価は3年に1度
    2. 固定資産の評価は専門家が行う
  2. 固定資産税の評価基準、ポイントや調べ方
    1. 1. 家屋
    2. 2. 土地
    3. 固定資産評価基準や価格の調べ方
  3. 土地はさまざまな評価がある。「一物四価」に注意
  4. 固定資産税を計算する方法
    1. 計算例(宅地)
  5. 固定資産の価格がどう変化しているかを確認する
中村 太郎
中村 太郎(なかむら・たろう)
中村太郎税理士事務所所長・税理士。1974年生まれ。和歌山大学経済学部卒業。税理士、行政書士、経営支援アドバイザー、経営革新等支援機関。税理士として300社を超える企業の経営支援に携わった経験を持つ。税務のみならず、節税コンサルティングや融資・補助金などの資金調達も得意としている。中小企業の独立・起業相談や、税務・財務・経理・融資・補助金等についての堅実・迅速なサポートに定評がある。

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固定資産税の評価基準とは?

固定資産税の評価はどうやって決まる?基準や計算方法を解説
(画像=NaMaKuKi/stock.adobe.com)

土地や家屋などを所有している人に毎年かかる固定資産税は「固定資産の価格」から計算されている。 この固定資産の価格は、市町村長が「固定資産評価基準」により決定しなければならないと定められている(地方税法第403条第1項)。「固定資産評価基準」とは、固定資産税の課税対象(土地、家屋、償却資産)の評価の基準や方法、その手続を定めたもので、市町村が固定資産税を公正に課すために用いられる基準だ。固定資産を評価するために、市町村は主に登記情報をもとに土地や家屋の実地調査を実施している(同法第403条第2項)。その調査の結果から、市町村は固定資産の価格を決定。市町村が決定した固定資産の価格は、市町村が保管する固定資産課税台帳に登録される。

固定資産の評価は3年に1度

土地と家屋の評価は、原則3年に1度実施される。評価を行う年度は「基準年度」。その翌年度は「第二年度」、翌々年度は「第三年度」と呼ばれ、第二年度、第三年度における固定資産の価格は、通常は基準年度の価格のまま据え置きとなる。よって固定資産税は変わらない。ただし、地目の変更や家屋の改築、損壊等の事情などがある場合や、市町村が固定資産税の課税上著しく均衡を失すると認める場合は、その土地や家屋に類似するものの基準年度の比準価格をその年度の価格とする。(地方税法第349条)

固定資産の評価は専門家が行う

固定資産を正しく評価するには、不動産に関する専門知識と経験が不可欠である。そのため、市町村では議会の同意を得て、固定資産の評価の知識や経験を持つ者の中から固定資産評価員を選任できることになっている(同法第404条)。固定資産評価員は、不動産鑑定士や不動産鑑定士補のうち、不動産鑑定業者での一定の実務経験がある者などを対象とすることが一般的である。

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固定資産税の評価基準、ポイントや調べ方

固定資産の評価は不動産に対する専門知識が必要であるため、正確な評価をすることはとても難しいといわれている。固定資産税の金額は基準となる評価額から算出されており、その基準は各自治体の評価次第で金額が変動するため予測が難しい。

しかし、ポイントをおさえれば、何を根拠に固定資産税が計算されているか、何が固定資産税に反映されているのか、といった疑問を解消することはできるだろう。

この項では、固定資産評価基準の内容に基づき、家屋と土地(宅地)の評価のポイントを解説する。

1. 家屋

家屋の評価ポイントは2点。 ・家屋に使われている資材や施工の態様で評点数が変わること ・経過年数や損耗による減額があること

家屋の評価は、まずその家屋を「木造家屋」か「木造家屋以外の家屋」(非木造家屋)に分け、個別の家屋の「評点数」を計算する。「評点数」は、まず家屋を再建築した場合の点数(再建築費評点数)を算定し、それを経年劣化や損耗を考慮して減らす。 <計算式> 評点数=再建築費評点数×経過年数に応ずる減点補正率 最終的な家屋の価格は、評点数に「評点一点あたりの価額」を乗じて計算する。 「評点一点あたりの価額」は、家屋の「提示平均価額」に総床面積をかけて総評点数で割って計算。「提示平均価額」は、国や都道府県がその地域の標準的な家屋から算定する。

・再建築費評点数のポイント 再建築費評点数は、その家屋の構造に応じて、適用する評点基準表が異なる。(例:専用住宅用建物、共同住宅及び寄宿舎用建物など)どの評点基準表を適用するかは、その使用状況ではなく、家屋の本来の構造から判定するものとされる。また、評点基準表には、「評点項目及び標準評点数」が示されている。建物の部分別(屋根、基礎、外壁等)に、その評点項目(使用されている資材や施工の態様等)にあてはまる標準評点数を選択する。たとえば、「木造家屋」の「専用住宅用建物」のうち、家屋の「基礎」の「評点項目及び標準評点数」は、次のとおりである。

鉄筋コンクリート基礎 地上高 60cm 16,510
地上高 45cm 13,980
地上高 30cm 11,450

※内容は最新のものと異なる可能性があります。

(出典)総務省:固定資産評価基準より

この中では、地上高60センチメートルの鉄筋コンクリート基礎がもっとも高額な評価となることがわかるだろう。「標準評点数」とは、基準年度の1月1日の属する年の2年前の7月現在の東京都特別区の区域における物価水準により算定した工事原価に相当する費用に基づいて、その費用の一円を一点として表しているものとされる。「標準評点数」には、これに標準量(各部分の単位あたり施工量。面積や個数など)をかけ、さらに「補正係数」をかけて調整する。補正係数については、たとえば先ほどの鉄筋コンクリート基礎で、3階建てのものは1.25倍になるなどの項目があり、補正係数による調整を終えたものが「再建築費評点数」である。これを部分ごとにすべての再建築費評点数を計算し、それを合計したものが、前掲の評点数の計算式にでてくる再建築費評点数となる。

・経過年数に応ずる減点補正率のポイント 経過年数に応ずる減点補正率は、固定資産評価基準に示される「経年減点補正率基準表」の「経年減点補正率」によって求めるものとされている。この補正率は、再建築費評点数と家屋の経過年数によって、0.80~0.20の間で変わり、経過年数が多くなるほど補正率の値は小さくなる。また、再建築費評点数が低い家屋ほど、0.20に達するまでの年数が短い。(=評価額が下がりやすい)たとえば、「木造家屋」の「専用住宅用建物」のうち、延べ床面積1㎡あたりの再建築費評点数が55,120未満(もっとも低い区分)のときの「経年減点補正率」は、経過年数15年で0.20に達しており経過年数に1年未満の端数があるときは、1年に繰り上げる。

2. 土地

土地(市街地にある宅地)の評価のポイントは2点。 ・路線価が高い道路に接していると価格が上がること ・宅地の形状によって減額・増額補正があること

土地の評価は、まずは下記の地目から判定する。

<土地の地目> ・田 ・畑 ・宅地 ・鉱泉地 ・池沼 ・山林 ・牧場 ・原野 ・雑種地

地目は、その土地の現況や利用目的に重点を置いて判定される。その後、個別の土地の「評点数」を計算し、「評点一点あたりの価額」を乗じて計算。宅地の場合、評点数の付け方は「市街地宅地評価法」「その他の宅地評価法」に分かれる。

今回は宅地の市街地宅地評価法について解説してみよう。市街地宅地評価法では、「路線価」を使った「画地計算法」を使って評価し、「路線価」は、地域や利用状況により選定した「標準宅地」の売買実例価額から求めた適正な時価より算定する。「画地計算法」とは一つの画地について、その形状から利便性を考慮して評価する方法である。具体的には、次の4つの方法がある。 ・奥行価格補正割合法 →奥行が長い宅地、著しく短い宅地は使い勝手が悪いため、「奥行価格補正率」を使って評点数を調整する方法。どの宅地にも奥行きはあるので、他の方法においても使うことに注意する。

・側方路線影響加算法 →正面と側方に道路が接している宅地について、その利便性の良さから「側方路線影響加算率」を使って評点数を加算する方法。

・二方路線影響加算法 →正面と裏面に道路が接している宅地について、「二方路線影響加算率」を使って評点数を加算する方法。

・不整形地、無道路地、間口が狭小な宅地等評点算出法 →形がいびつな宅地、道路に接していない宅地、道路に接しているもののその接道面が狭い宅地については、不整形地補正率、通路開設補正率、間口狭小補正率や奥行長大補正率といった補正率を使って評点数を調整する。

固定資産評価基準や価格の調べ方

「固定資産評価基準」を詳しく知りたい場合は、総務省のホームページで公開されているので参考にするのもおすすめだ。 総務省:固定資産評価基準

固定資産の価格について知りたい場合は、固定資産課税台帳を縦覧・閲覧したり、評価証明書を発行してもらったりといった方法で調べることもできるだろう。これらは申請が必要で、申請できるのは固定資産の所有者や同一世帯の家族や、委任を受けた人などになる。本人確認の書類などが必要になるため、あらかじめ各市町村のホームページ等で確認してから申請に行くとよいだろう。また、毎年送付される固定資産税の通知書に付された課税明細書にも、固定資産の価格が記載されているので忘れずに目を通しておきたい。

土地はさまざまな評価がある。「一物四価」に注意

土地には「固定資産税評価額」のほか「実勢価格」「公示価格」「相続税評価額」があり、これを「一物四価」と言う。

・実勢価格 →過去に取引が成立したときの価格

・公示価格 →国土交通省による地価公示。1月1日時点の標準地の正常な価格を表すもので土地取引の指標となる価格である。なお7月1日を基準に都道府県が示す基準値価格(基準地価)も同様の指標となる。

・固定資産税評価額 →固定資産評価基準による評価額。ちなみに宅地の標準宅地の価格は、公示価格と不動産鑑定士等による鑑定評価から求めた価格等の7割を目処に評定される。

・相続税評価額 →相続税や贈与税を計算するための価額。こちらの路線価は公示価格の8割になるよう評定される。

固定資産税を計算する方法

<計算式> 固定資産税の課税標準×1.4%

固定資産税の課税標準は、基本的に固定資産の価格のことである。ただし、課税標準の特例によって固定資産の価格よりも減額されるケースがある。(例:小規模住宅用地の特例)税率は標準税率であり、1.4%以外の税率を定める自治体もある。

計算例(宅地)

・固定資産の価格 4,200万円 ・住宅用地 200㎡

<計算式> 4,200万円×6分の1 ※×1.4%=9万8,000円 (※)小規模住宅用地の特例…200㎡以下については、課税標準となるべき価格の6分の1とする(地方税法第349条の3の2)

固定資産の価格がどう変化しているかを確認する

固定資産税の評価基準について、ポイントや固定資産税の計算方法等についてみてきた。次の評価の基準年度は、令和3年度となるので、課税通知書が届いたら、ぜひ固定資産の価格が前年とどう変わっているかを見比べるようにしたい。

文・中村太郎(税理士・税理士法人所長)