経営を効率化するためのマネジメントサイクルでよく使われるのがPDCAだが、ほかにもいくつかの種類がある。今回は、マネジメントサイクルの基本と種類を紹介しながら、それらをうまく回していくために必要なポイントと注意点を5つ紹介する。

目次

  1. マネジメントサイクルとは、どのようなことを指すのか?
    1. マネジメントサイクルの定義
    2. なぜマネジメントサイクルが必要なのか
  2. マネジメントサイクルの種類とその概要の解説
    1. PDCAサイクル
    2. OODAループ
    3. CAPDサイクル
    4. PDRサイクル
    5. STPDサイクル
  3. マネジメントサイクルの種類はどのように使い分けるか
  4. マネジメントサイクルをうまく回していくために必要なポイントと注意点5点
    1. 1.目標を明確にする
    2. 2.プロセス・活動内容を記録する
    3. 3.評価を数値などで客観的に行う
    4. 4.改善し、継続する
    5. 5.うまくいかないときは原因を徹底的に追求する
  5. 適切なマネジメントサイクルを使い分けることが大切

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マネジメントサイクルとは、どのようなことを指すのか?

マネジメントサイクルで経営を効率化 うまく回すための5つのポイント
(画像=opolja/stock.adobe.com)

マネジメントサイクルを考える上で、まずはマネジメントの意味を押さえておこう。

マネジメント(management)を英訳すると、「経営・管理・経営力・経営方法・経営学・経営陣・経営者側・取り扱い・統御・操縦」など、おもに経営に関わる広義の意味で使われることがわかる。

一方、サイクル(cycle)を英訳すると、「一連の現象が完成する循環期・周期・ひと回り・循環・サイクル」という意味になる。

つまり、マネジメントサイクルとは広い意味での経営における循環(サイクル)ということになる。たとえば、「経営の循環」「経営方法の循環」「取り扱いサイクル」という意味になり、使われる場面においてマネジメント同様広義の意味で使われることになる。

マネジメントサイクルの定義

マネジメントサイクルは、ビジネスにおいて、企業の目標を達成するためのツール(フレームワーク)として活用されることが多い。

そのため、「経営の循環」「経営方法の循環」「取り扱いサイクル」という意味をふまえて、ビジネスにおけるマネジメントサイクルは下記のように定義される。

「マネジメントサイクルとは、企業の目標を達成するために計画・実行し、計画通りに実行できたかを評価し、その結果を次期の計画へ活かす、企業が目標を達成するための管理システム」

また、略して「目標達成のための管理システム」という表現も多く使われている。

なぜマネジメントサイクルが必要なのか

ビジネスにおいて、なぜマネジメントサイクルが必要なのだろうか。ここでは、マネジメントサイクルの必要性を紹介する。

・市場価値を高めるためには改善が必要

ビジネスで成功するためには、市場において自社が選ばれることが重要である。そのため、現在の市場価値がある商品やサービスを市場に提供する必要がある。

つまり、企業は商品やサービスの市場価値を高めるために常に改善していくことが重要なのだ。改善のためのフレームワークとして、マネジメントサイクルは最適といえるだろう。

・社会環境の変化に対応するため

VUCA(変動性・不確実性・複雑性・曖昧性)という言葉がビジネスの世界でも使われるようになって十数年たった。

現在は何の違和感もなく企業をとりまく社会環境の中にVUCAを感じ取れるようになったが、近年はさらにグローバル化、IT化が加わり社会環境の変化はスピードを増している。

企業は社会環境の変化に対応する必要があり、そのためには、計画・実行し、結果を評価・改善、また計画していくという経営方法の循環をスピーディーに回す必要があるのだ。

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マネジメントサイクルの種類とその概要の解説

経営を効率化するためのマネジメントサイクルでよく使われるのがPDCAだが、ほかにもいくつかの種類がある。ここではそれぞれのマネジメントサイクルの特徴と、どのように使い分けるか、どのような場面で有効かについて解説する

PDCAサイクル

PDCAサイクルとは「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(評価)」「Action(改善)」を1つのサイクルとして循環を継続していくマネジメントサイクルだ。

・PDCAサイクルの特徴

PDCAサイクルは、日本企業でもっとも活用されているマネジメントサイクルのひとつで、「マネジメントサイクル=PDCAサイクル」と捉えられる場面も多い。そのため、企業経営の場面ですでに使われているケースが多い。

・どのように使い分けるか 、どのような場面で有効か

PDCAサイクルは、製品やサービスの品質管理など、既にPDCAサイクルを使って成果を出している場合や、計画・評価基準が比較的明確化しやすい場合に使う。たとえば、既存商品やサービスの改訂、継続している社員の育成といった場面で有効だ。

OODAループ

OODAループとは、「Observe(観察)」「Orient(状況判断・方向づけ)」「Decide(意思決定)」「Act(行動)」でスピーディーにマネジメントを実行するマネジメントサイクルだ。

・OODAループの特徴

計画を立ててから行動に移すのではなく、観察・状況判断から意思決定を下し行動に移るため、スピーディーにマネジメントサイクルを回すことができる。社会環境の変化のスピードが加速している中で、注目されている。

・どのように使い分けるか 、どのような場面で有効か

PDCAサイクルのように計画を立ててから実行するマネジメントサイクルでは、対応が間に合わないスピード感が重要な場面ではOODAループを使うべきだろう。たとえば、新たな商品やサービスで新規事業に参入する場面では、状況に合わせてスピーディーに対応ができる。

CAPDサイクル

CAPDサイクルとは、「Check(現状把握・計測)」「Action(改善)」「Plan(計画)」、「Do(実行)」を1つのサイクルとして循環を継続していくマネジメントサイクルだ。

・CAPDサイクルの特徴

PDCAサイクルはPlan(計画)からスタートするが、CAPDサイクルは、Check(現状把握・計測)からAction(改善)へ進むため、改善スピードが速く、繰り返しの改善効果が期待できる。

・どのように使い分けるか 、どのような場面で有効か

CAPDサイクルは、短いサイクルで繰り返し改善が必要なときに使うのが効果的だ。たとえば、Plan(計画)を立てる段階で滞ってしまった場面で有効になる。

PDRサイクル

PDRサイクルとは、「Prep(準備)」、「Do(行動)」「Review(評価)」を1つのサイクルとして循環を継続していくマネジメントサイクルだ。

・PDRサイクルの特徴

PDRサイクルの特徴は、「Prep(準備)」、「Do(行動)」「Review(評価)」3つのプロセスでサイクルが回るためシンプルかつスピーディーに活用できる。

・どのように使い分けるか 、どのような場面で有効か

PDRサイクルは、シンプルかつスピーディーに活用できるため、ほかのマネジメントサイクルでは当てはまらない業務においても使うことができる。たとえばデイリー、ウィークリー、マンスリー業務の場面で「Prep(準備)」、「Do(行動)」「Review(評価)」を取り入れるのは有効だ。

STPDサイクル

STPDサイクルとは「See(事実を見る)」「Think(よく考える)」「Plan(計画する)」「Do(実行する)」を1つのサイクルとして循環を継続していくマネジメントサイクルだ。

・STPDサイクルの特徴

Plan(計画する)の前にSee(事実を見る)とThink(よく考える)のプロセスが入っており、しっかりした計画を立てた上でマネジメントサイクルを回す。

・どのように使い分けるか 、どのような場面で有効か

評価基準が明確化しにくい場合、See(事実を見る)とThink(よく考える)が必要でありSTPDサイクルを使うと効果が期待できる。たとえば、今までになかった新たな取り組みを開始する場面で有効だ。

マネジメントサイクルの種類はどのように使い分けるか

マネジメントサイクルは、ビジネスにおいて、企業の目標を達成するためのツール(フレームワーク)として活用されることが多く、「経営の循環」「経営方法の循環」「取り扱いサイクル」などさまざまな意味合いや場面で活用が可能だ。

「マネジメントサイクル=PDCAサイクル」という考え方が定着している一方で「PDCAサイクルはもう古い」ともいわれている。

今回はPDCAサイクルを含め5つのマネジメントサイクルを紹介したが、それぞれの特徴とどのように使い分けるか 、どのような場面で有効かを考慮し、自社の目標、課題・問題点に最適なマネジメントサイクルを使い分けていくことが重要だ。

マネジメントサイクルをうまく回していくために必要なポイントと注意点5点

マネジメントサイクルをうまく回すためにはどうすればよいのだろうか。ここでは、マネジメントサイクルをうまく回していくために必要なポイントと注意点を5つ紹介する。

1.目標を明確にする

マネジメントサイクルを回す最初の段階で注意しなければならないのが、目標を明確にすることだ。

今回のテーマである経営の効率化が大きな目標であれば、そのために必要な現状をふまえたシンプルで達成が可能な具体的な目標を明確にする必要がある。目標設定は現状の分析・課題点を把握してから設定するように注意しなければならない。

2.プロセス・活動内容を記録する

マネジメントサイクルを機能させるためには、行動過程であるプロセス・活動内容の記録をする必要がある。

プロセス・活動内容の記録があれば、目標に対しての進捗度合いを確認し軌道修正が可能だ。そのため、大きく軌道を外れマネジメントサイクルがうまく回らなくなってしまう前に改善することが可能となる。

3.評価を数値などで客観的に行う

マネジメントサイクルを継続的に回していくためには、アクションを実行した後の評価が重要になる。評価は数値などで客観的に行い、経過や結果が明確にわかるようにする。評価を記録に残すことで、マネジメントサイクルの効果を正確に知ることができるのだ。

4.改善し、継続する

マネジメントサイクルは、評価した内容をふまえた上で改善目標を立てる。そして、再びマネジメントサイクルを回すプロセスを継続していくことで、効果が出る経営管理システムである。マネジメントサイクルを途切れないように注意することが重要だ。

5.うまくいかないときは原因を徹底的に追求する

プロセスの途中や、評価した結果を見て、マネジメントサイクルがうまく回っていないと気付いたときには、プロセス・活動内容の記録や評価の記録を検証して原因を徹底的に追及し改善することが重要だ。

適切なマネジメントサイクルを使い分けることが大切

マネジメントサイクルは、経営を効率化するために有効なフレームワークだ。もっとも有名なPDCAサイクルのほかにも、場面に応じて特徴を活かし使い分けが可能なマネジメントサイクルが提案されている。

どのような場面で有効かを考慮し、自社の目標、課題・問題点に最適なマネジメントサイクルを使い分けることが重要だ。マネジメントサイクルをうまく回すためには、目標を明確にし、プロセス・活動内容を記録して、評価を数値などで客観的に行った上で改善し、継続していくことが必要である。

文・小塚信夫(ビジネスライター)