企業規模が大きくなってくると、決算処理が大変になり、日常的な経理・税務業務においても、資金調達や節税対策を行うにあたっては、専門家のアドバイスが必要となるだろう。そのようなときに検討したいのが、特定の税理士と顧問契約を結ぶことである。

顧問税理士に頼める業務は多く、活用することで経営者・経理担当の負担を大幅に減らすことができる。今回は顧問税理士に依頼できる業務内容について詳しく解説しよう。

目次

  1. 顧問税理士とは
  2. 税理士に依頼できること
    1. 記帳代行
    2. 確定申告代行
    3. 経理業務全般
    4. 税務申告
    5. 節税対策
    6. 資金調達
    7. 税務調査の立ち合い
    8. 会計ソフトの導入
    9. コンサルティング
  3. 税理士を選ぶポイント
    1. 依頼内容をはっきりさせておく
    2. 報酬の内容を細かくチェック
    3. 得意分野を確認する
    4. 相性が良いかどうか
  4. 税理士との契約までの流れ
    1. 相談
    2. 選定
    3. 面談
    4. 契約
  5. 顧問税理士は費用こそかかるが利用するメリットは大きい!ただし選定の際は慎重に
    1. プロフィール

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顧問税理士とは

顧問税理士にかかる費用は?選ぶポイントについても紹介
(画像=PIXTA)

顧問税理士とは、法人や個人事業主などと顧問契約を締結した税理士のことである。税務指導をはじめ、経営面でのサポートを幅広く、継続的に受けることができるので、顧問税理士を置くメリットは大きいといえる。特に中小企業や創業間もないベンチャー企業にとっては、頼れる存在となるだろう。顧問契約を結んだ場合、顧問料である報酬は月単位もしくは年単位で支払うことになる。

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税理士に依頼できること

税理士に依頼できる業務内容は多岐にわたる。記帳代行や確定申告の代行、節税対策、監査の立ち合いなど幅広い税務を任せることができる。また、経営上のコンサルティングや資金調達、会計ソフトの導入、経理業務全般など、日常的な経営・会計に関する助言を受けることができるので、経営者にとっては心強い相談相手となる。

記帳代行

記帳とは出入金の記録を帳簿につけることである。しかし、一口に記帳といっても、仕訳日記帳や総勘定元帳、売掛帳、買掛帳など多様な書類があり、適切に行うには簿記・会計に関する専門知識が求められる。法人や個人事業主が独力で行うという場合はかなりの労力や時間が必要となるため、顧問税理士に任せるというケースは多い。

確定申告代行

確定申告の代行業務は税理士の独占業務の一つである。具体的な代行内容としては、各種確定申告書の作成および提出、各種控除制度の活用、記帳などがメインとなる。実際に確定申告の代行を依頼する場合は、税理士と事前に面談を行った上で必要な書類を税理士側に送付する必要がある。しかし、確定申告書の作成と提出はすべて任せることができるので、経営者側の負担は大幅に軽減できる。

経理業務全般

経理業務とは、領収書と請求書の整理、売掛金や買掛金の管理、現金出納帳の管理、銀行口座の残高管理などの業務を指す。中小企業の場合だと経営者がすべて一人で行っているケースも多いが、本来の事業に打ち込む時間がその分減ることになる。税理士に経理業務を任せることで、経営者・経理担当者の負担が一気に軽減され、専門家による適正な会計処理を行ってくれる。

税務申告

税務申告の代行業務は税理士の独占業務の一つである。具体的には、各種確定申告書の作成および提出、各種控除制度の活用などがメインとなる。

節税対策

税理士が提案する節税対策は、制度化されたものを活用するケースや、各種経費の計上の仕方に関わることまで多岐にわたる。税務知識に乏しい経営者・個人事業主が節税を行おうとすると、法的に問題がある行為をするケースも生じかねない。税金を抑えるための対策が適法な内容であれば「節税」となるが、法に反すると「脱税」となる。顧問税理士は、専門知識に基づいて適切な形で最適・合理的な節税対策の提案を行う。

資金調達

税理士は税務にのみ携わる専門家と思われがちだが、事業を進展していくための資金調達に関する相談もできる。資金調達を行う場合、特に慎重を期すのが銀行からの借入時である。顧問税理士がいることで、融資を申請する際に必要となる事業計画の立案と事業計画書の作成、事業計画に基づいた資金繰り・必要資金の算出、金融機関への紹介などのサポートを受けることができる。

税務調査の立ち合い

税務調査とは、納税者が適正に税務申告をしているかどうかを確かめるために行う調査のことで、毎年国内全法人の数%程度は受けているため、「うちは大丈夫」という確信を持つのは難しいといえる。顧問税理士がいるとこうした調査を受けた場合に立ち合いを行ってくれるので、税務署の調査官から説明を求められたときに適切に対応できる。

会計ソフトの導入

近年ではクラウド会計ソフトが多数登場しているが、実際に導入を行う場合、どのような対応・準備を法人・事業所内で行うべきなのかわかりにくい面もある。顧問税理士に相談すれば、おすすめの会計ソフトを紹介してくれたり、最適な活用方法を提案してくれたりする。税理士が対応している会計ソフトを利用すれば、税務をよりスムーズに行うこともできる。

コンサルティング

税理士は税務・経理だけでなく、経験に基づく経営に関する多様な知識を有していることが多い。創業間もない中小企業の場合、経営者自身に経験・実績が少ないことから、どのような形で経営を行っていくべきなのか、方針や戦略が見えないことも少なくない。しかし、顧問税理士がいれば、財務状態を踏まえた上で、専門知識に基づいた経営全般に関わるアドバイスを行ってくれるので、経営者にとっては頼もしい助言者となる。

税理士を選ぶポイント

通常、税理士事務所は地域内に複数あり、知り合いの税理士などが特にいない場合、経営者・個人事業主は自分で税理士を見つけなければならない。税理士選びにはいくつかポイントがあるので、以下で順次紹介していこう。

依頼内容をはっきりさせておく

税理士が対応できるサポート業務は、記帳代行や各種届け出の代行、節税対策、資金調達、経理業務全般、コンサルタントなど多種多様である。そのため税理士に顧問を依頼する場合は、どのような支援をしてほしいのかを明確に伝えることが重要となる。あいまいな形での依頼だと、先方も重要性・緊急性が低いと判断し、本来してほしい対応を十分に行ってくれない恐れもある。

報酬の内容を細かくチェック

税理士は料金表を常に持っていて、契約を結ぶ前に顧客に見せるのが一般的である。事前に料金を顧客に対して明確に提示できない税理士は、やや信用に欠けると判断してよいだろう。また、実際に契約を結ぶ際に、改めて金額の確認をしておくことも大切である。

得意分野を確認する

法人・個人事業主はそれぞれの業界の中で、業界内特有の様々な慣例に従いながら日々業務を行っている。医療福祉やITなど、税理士ごとに得意とする業界を持つ場合もあるため、顧問契約を結ぶ際は事前にチェックしておくことをおすすめする。

また、税理士は税理士になるまでのプロセスによって得意分野が変わることも多い。税務署に勤務した後に税理士になっている場合、税務署職員時代に担当していた税目によって得意不得意が決まりやすい。たとえば、所得税や法人税は得意でも、相続税や固定資産税などについては経験が浅いという場合もあり得る。税理士試験受験時に選択した受験科目の違いによっても、得意不得意が変わることも多い。

相性が良いかどうか

顧問税理士とは、節税や資金繰り、役員報酬の額のことなど、お金に絡んだ深い話し合いをしなければならない。つまり、経営者・事業主は、税理士と腹を割って何でも相談できる関係を作ることが必要なのだ。

その際、「税理士と相性が合うかどうか」は重要な要素といえる。たとえば、経営者・事業主側が踏み込んだ徹底した節税対策を望んでいるが、税理士がその気持ちをくみ取らずに、一般的な節税対策に終始することもある。正式な顧問契約を結ぶ前に、税理士側と事業内容や財務状態に関してじっくりと話し合いをしておくことが大事である。

税理士との契約までの流れ

続いて、税理士と顧問契約を結ぶまでの具体的なプロセスを紹介しよう。全国どこの税理士事務所であっても、契約に至るまでの基本的な流れとしては、相談→選定→面談→契約が基本である。

相談

初回の相談を無料で受け付けている税理士事務所は多い。また、近年ではホームページ上にある相談専用フォームから相談できるケースも増えている。相談後、税理士が直接会社・事務所に訪問して、相談内容について詳しく尋ねることもある。その際は、過去の決算書(2期分程度)を用意しておくよう求められることもある。相談は複数の事務所で行っておくと、自分に合った税理士を見つけやすい。

選定

相談への対応内容などから、顧問をお願いしたい税理士の選定を行う。また、相談の際に見積もりを提出してもらっているなら、それも選ぶうえでの判断材料にする。選定にあたっては、先述の税理士を選ぶポイントを参考にするとよい

面談

顧問契約を締結したい税理士を絞り込んだら、今後のサービス内容のあり方と毎月支払う料金などについて話し合う面談を行う。税理士事務所としてどのようなサポートを行えるのかについて具体的な内容を相談し、疑問点がある場合はこの段階ですべて解消しておくことが大事である。

契約

サービス内容に納得できたら顧問契約を締結する。面談まで行ったからといって、必ずその税理士事務所と契約する必要はない。相談~面談までのプロセスの中で、腑に落ちない点や不安点が残る場合は、他の税理士事務所も検討した上で最終的な判断を下すことが大切である。契約は面談時、もしくは後日郵送されてくる書類への署名などで行われる。

顧問税理士は費用こそかかるが利用するメリットは大きい!ただし選定の際は慎重に

顧問税理士とは法人や個人事業主と顧問契約を締結した税理士のことであり、利用することで経理・税務のことから経営上のアドバイスまで幅広いサポート・サービスを受けることができる。

経営者が一人で経理を行っているという中小企業や創業間もないベンチャー企業の場合、顧問税理士を活用することで本来の事業に集中できるという利点もある。費用面で問題がなければ、利用を検討してみてはいかがだろうか。

文・福薗健(公認会計士・税理士)

プロフィール

顧問税理士にかかる費用は?選ぶポイントについても紹介
(画像=福薗 健 (ふくぞの たけし))

福薗 健 (ふくぞの たけし)

公認会計士税理士福薗事務所所長 公認会計士・税理士。1970年生まれ。監査法人、上場会社を経て開業。監査法人時の法定監査、M&Aのための財務調査・企業評価、上場会社経営企画時のIR、グループ間の調整などの経験を踏まえ、会社設立から上場会社に並走しながら会計、税務を中心に会社に日々対応している。