さまざまな場面で耳にする「ベンチャービジネス」というワード。ベンチャービジネスの定義や特徴を解説。その代表例を紹介した上で、成功させるために必要な5つのポイントを紹介する。ベンチャービジネスに関心のある人は参考にしてほしい。

目次

  1. ベンチャービジネスとは?
  2. 中小企業・スタートアップとの相違点
    1. 中小企業とベンチャービジネスの違い
    2. スタートアップとベンチャービジネスの違い
  3. ベンチャービジネスの5つの特徴
    1. ベンチャービジネスの特徴1:最新技術
    2. ベンチャービジネスの特徴2:専門性
    3. ベンチャービジネスの特徴3:革新性
    4. ベンチャービジネスの特徴4:創造性
    5. ベンチャービジネスの特徴5:成長性
  4. ベンチャービジネスの代表例
    1. Facebook
    2. メルカリ
    3. バルミューダ
  5. ベンチャービジネスを成功させるための手順
    1. (1)自社の強みを明確にする
    2. (2)ターゲット市場を決める
    3. (3)事業計画を立てる
    4. (4)資金を調達する
    5. (5)人材を確保する
  6. ベンチャービジネスは起業の第一歩
木崎 涼
木崎 涼(きざき・りょう)
FP・簿記・M&Aシニアエキスパート。大手税理士法人で多数の資産家の財務コンサルティングを経験。多数の資格を持ちながら、執筆業を中心に幅広く活動している。

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ベンチャービジネスとは?

ベンチャービジネスはスタートアップと何が違う?特徴や企業を紹介
(画像=Vasyl/stock.adobe.com)

ベンチャービジネスとは、独創的な商品・サービスで事業展開する新興企業のことだ。ビジネスを直訳すると「仕事」という意味だが、ベンチャービジネスは一般的に企業のことを指す。そのため、ベンチャービジネスとベンチャー企業はほとんど同じ意味と考えてよい。

ベンチャービジネスという言葉の適用範囲はかなり広いが、少なくとも大企業はベンチャービジネスに含まれない。

新興企業と比べて長い歴史があり、資金力と組織力に優れる大企業と、新進気鋭の商品・サービスで市場に切り込むベンチャービジネスとは、まったく異なる存在といえるだろう。

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中小企業・スタートアップとの相違点

ベンチャービジネスとベンチャー企業は同じ意味だと説明した。では、中小企業やスタートアップとベンチャービジネスの違いは何なのか。

中小企業とベンチャービジネスの違い

中小企業とは、経営規模が中程度以下の企業を定義する言葉である。日本には『中小企業基本法』があり、中小企業と認められるための資本金や従業員数の上限が、業態ごとに定められている。例えば、サービス業ならば「資本金が5,000万円以下、従業員が100人以下」でなければ、中小企業とは認められない。つまり、ベンチャービジネスでも条件を満たせば中小企業に属する。

圧倒的な資金力を持つ大企業に対し、中小企業が市場で生き残りを図るのは難しい。そのため、日本では中小企業に対して、大企業とは異なる税制優遇や支援策を行うことがある。中小企業という分類は、企業支援政策を実施する上で必要な定義ともいえるだろう。

スタートアップとベンチャービジネスの違い

スタートアップを直訳すると、「行動開始」という意味だ。ビジネスの場では、主に革新的な商品・サービスを持ち、短期間で成長を果たす企業のことをスタートアップ、もしくはスタートアップ企業と呼ぶ。

スタートアップとベンチャービジネスは似ているが、目標地点が異なることから区別できる。

ベンチャービジネスは、独創的な商品・サービスが中長期的に世の中に浸透することを目指す。市場そのものを開拓するというよりも、既存の市場に新しい切り口で挑戦するのがベンチャービジネスだ。

一方スタートアップは、まったく新しい商品・サービスを創り出して世の中にこれまでにないイノベーションを短期間で起こし、急成長を遂げることを目的としているのだ。スタートアップは、市場を開拓するフェーズにあるともいえるだろう。

ベンチャービジネスの5つの特徴

ベンチャービジネスには5つの特徴があるが、すべてを満たす必要はない。ここで紹介する特徴の多くに当てはまる大企業以外の企業は、ベンチャービジネスの可能性が高い。

ベンチャービジネスの特徴1:最新技術

市場に新たな視点で切り込むベンチャービジネスは、最新技術との相性がいい。

例えば、情報技術の世界では日々新たな最新技術が登場しているため、必然的にIT業界ではベンチャービジネスが生まれやすい。2020年時点では、AI、クロステック(X-Tech)、ビッグデータの活用といった分野で、多くのベンチャービジネスが登場している。

ベンチャービジネスの特徴2:専門性

ベンチャービジネスの中には、高度な専門性を持つ企業が少なくない。大企業を含めた多くのプレイヤーが存在する市場に、新しく参入して商品・サービスを浸透させる上では、高度な専門性は強みとなる。

企業そのものが専門分野に特化しているケースもあれば、高度な専門性を持つ人材を有しているケースもある。

ベンチャービジネスの特徴3:革新性

「革新」とは、旧来の組織や方法を改めて、新しくすることだ。まさに、ベンチャービジネスを表す言葉としてふさわしいといえるだろう。

「革新的」の反対語は、「保守的」だ。大企業は、既存の商品・サービスのシェアを守るために、保守的な事業活動も必要となる。これに対して、新たな視点で市場に切り込むベンチャービジネスは、革新的な存在といえるだろう。

ベンチャービジネスの特徴4:創造性

創造とは、新しいものを創り出すこと。創造的な商品・サービスを生み出すことができれば、ベンチャービジネスが成功する大きな助けとなるだろう。

ベンチャービジネスの特徴5:成長性

高い成長性を持つのもベンチャービジネスの特徴。ベンチャービジネスは、高い成長性を持ちながら既存のマーケットに食い込んでいく。大企業と比べて成長スピードが速いことが、ベンチャービジネスの特徴といえるだろう。

ベンチャービジネスの代表例

ベンチャービジネスには、国内外でさまざま事例がある。誰もがよく知るサービスを提供する会社も、かつてはベンチャービジネスだった時代があるのだ。ここでは、ベンチャービジネスの代表例をいくつか紹介する。

Facebook

世界的なソーシャルネットワーキングサービスを開発した「Facebook(フェイスブック)」は、大成功を果たしたベンチャービジネスの一つだ。

創業者のマーク・ザッカーバーグ氏は、ハーバード大学在学中の2004年にFacebookサービスを立ち上げ、わずか16年で「GAFA」と呼ばれる米国の主要IT企業の一角となった。

「Instagram(インスタグラム)」や「WhatsApp(ワッツアップ)」といったサービス買収によってさらなる成長を遂げ、トータルユーザー数は32億人ともいわれている。

メルカリ

メルカリは、日本を代表するベンチャービジネス。メルカリは、誰もが簡単にオンラインで物を売ったり買ったりできる、オンラインフリーマーケットのプラットフォームを開発した。サービスが革新的というだけでなく、AIでの不正監視や独自の入金システムの開発など、最新のIT技術を活用した高度な専門性を持つ。

2013年の設立から毎年売上高を順調に伸ばし、2020年6月期には約762億円の売上高を達成した。成長スピードが速いことからも、まさにベンチャービジネスの特徴を備えているといえるだろう。

2016年からは、アメリカでも「Mercari」のサービスを開始。2019年には、スマホ決済サービス「メルペイ」もスタートしている。

バルミューダ

ハイセンスで高性能な家電を販売するバルミューダも、ベンチャービジネスのひとつ。創業者であり現社長でもある寺尾玄氏は、2003年にたった一人で自宅での創業を開始した。その後、苦労がありながらも数々のヒット商品を生み出している。

家電産業そのものが斜陽産業となりつつある時代に、「便利さ」だけでなく「高いデザイン性」「高機能」を軸に、感動や体験を届けるという切り口で、バルミューダは見事に成功をおさめた。バルミューダの製品は、グッドデザイン賞やiFデザイン賞など、数々の賞を受賞している。

バルミューダは、2019年に108億円の売上を達成した。バルミューダの製品は日本だけでなく、海外での売り上げも好調だ。そして2020年12月に東証マザーズに上場する。

ベンチャービジネスを成功させるための手順

ベンチャービジネスを成功させる秘訣はどこにあるのだろうか。ここでは、ベンチャービジネスを成功させるための5つの手順を解説していく。

(1)自社の強みを明確にする

ベンチャービジネスを成功させるには、自社の強みを明確にすることが大切だ。日本には多くの商品やサービスが溢れているため、類似した商品・サービスでは既存の市場に切り込むことはできない。これまでにない独自性や革新性があるか、自社の強みを研ぎ澄ます必要がある。

(2)ターゲット市場を決める

自社の強みを明確にすることで、創り出した商品やサービスを届けるターゲットも見えてくる。

ビジネスを展開する上では、プロモーション活動も大切。SNSの活用やオウンドメディア作成など、さまざまな切り口で、商品・サービスの情報をターゲットに届ける必要がある。そのためには、ターゲットの人物像(ペルソナ)を細部まで設定しておくことが効果的だ。

(3)事業計画を立てる

自社の商品・サービスの強みを明確にしてターゲットが決まったら、続いては事業計画の作成に移る。事業計画なくして、事業を成功に導くことは難しい。以下のようなポイントに着目して事業計画を作成することで、見通しを持って事業展開ができる。

・数年後にどのくらいの売上を達成したいか ・販売台数やサービスのユーザー数はどのくらいを目指すべきか ・設備投資が必要な場合は何年で費用回収できる見込みなのか

(4)資金を調達する

事業計画を建てたら、続いては資金調達だ。ベンチャービジネスを始めるにあたり、資金調達は1つの壁になるだろう。金融機関から融資を受けることが難しければ、ベンチャーキャピタルの活用も前向きに検討したい。ベンチャーキャピタルとは、ベンチャー企業に出資する投資会社のことだ。

また、ベンチャービジネスを対象とした補助金や助成金もあるので、公的な支援策も忘れずチェックしておこう。

(5)人材を確保する

最初のうちは、コストを抑えるためにも最小限の人員でスタートしたほうがいいだろう。しかし、商品・サービスの内容によっては、専門性を持つ人員が必要というケースもある。

どのような人材が何人必要かによって、人材確保のために動き始める時期も変わってくるはず。場合によっては、事業計画の作成前に人材を確保し、事業計画の作成にも加わってもらったほうがいいだろう。

ベンチャービジネスは起業の第一歩

ベンチャービジネスは、日常のふとした瞬間に湧く「こんなサービスがあれば便利なのに」という発想をから生まれることも少なくない。ベンチャービジネスのアイデアは、誰の胸にも眠っている。

ベンチャービジネスの発想が湧いた時、「難しいだろう」「大変だから」と諦めずに、ビジネスとして成功させるにはどうすればいいか追求し続けられる者が、ベンチャービジネスの成功者となるのかもしれない。

文・木崎涼(ファイナンシャルプランナー)