土地や建物を購入する際には固定資産税がかかってくる。毎年4月~5月ごろ送られてくる課税明細書を見れば、固定資産税の税額は書いてある。しかし、納税時や不動産売買の際に慌てないようにするために、税額を事前に知りたいケースもあるだろう。

そこで、この記事では固定資産税の計算方法、および便利に使える固定資産税計算のためのフリーソフトを紹介する。この記事を読めば、固定資産税の計算で困ることはもうなくなるだろう。

目次

  1. 固定資産税とは
    1. 土地・建物
    2. 償却資産
  2. 固定資産税の計算に必要な情報
    1. 課税明細書
    2. 固定資産税課税台帳
  3. 固定資産税の計算方法
    1. 土地の場合
    2. 一戸建ての場合
    3. マンションの場合
  4. 新型コロナ拡大による固定資産税の軽減措置
    1. 減税の対象
    2. 減税率
  5. 固定資産税をシミュレーションするメリット
    1. 納税時や不動産売買がスムーズ
  6. 固定資産税が計算できるフリーソフト(ツール)
    1. 東京都主税局
    2. HALの「失敗しない理想の家づくり」
  7. エリアから固定資産税の目安がわかるサイト
    1. LIFULLの「固定資産税シミュレータ」
  8. 固定資産税は事前に計算してしっかりと備えよう
    1. プロフィール

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固定資産税とは

固定資産税の計算方法は?便利なフリーソフト(ツール)を紹介
(画像=PIXTA)

それでは最初に、固定資産税とは何かからみていこう。

固定資産税とはその名のとおり、所有する固定資産にかかる税金のことである。固定資産は土地や建物のほか、事業者については償却資産も対象とされている。課税は、固定資産の所在地となる市区町村、東京23区の場合は都税事務所によって行われる。

土地・建物

土地は、宅地のほか田や畑、山林、牧場、原野などが該当する。建物については、住宅家屋や店舗、工場、発電所や変電所、倉庫などが該当する。

償却資産

償却資産は、門や塀、看板などの構築物、パソコンやコピー機、製造設備、医療機器などの機械・装置、工具や器具、デスクや応接セットなどの備品、船舶や飛行機などで、時間の経過とともに資産価値が減少する減価償却資産が該当する。ただし、自動車税・軽自動車税の対象となる自動車、軽自動車、および特許権などの無形固定資産は含まれない。

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固定資産税の計算に必要な情報

固定資産税の計算をするにあたって、どのような情報が必要かをみてみよう。

課税明細書

自身や自社で所有している土地と建物の固定資産税は、課税明細書で確認できる。課税証明書は納税通知書といっしょに、毎年4月~5月ごろに送られてくる。課税明細書には、土地や建物の所有者や所在地、家屋の種類や構造のほか、固定資産税および都市計画税の課税標準額(固定資産税計算の基礎となる金額)および固定資産税額が記載されている。

固定資産税課税台帳

固定資産税の計算に必要な情報は、固定資産税課税台帳を縦覧することによっても得られる。固定資産課税台帳は市町村(都税事務所)に備えられており、土地や建物および償却資産について、所在地や所有者および基準年度の価格が記載されている。

納税に備え、課税明細書が送られる前に固定資産税の計算をしたい場合には、この固定資産課税台帳を縦覧しよう。縦覧期間は自治体により3月または4月に設けられている。

固定資産税の計算方法

固定資産税の計算方法をみていこう。固定資産税の計算方法の基本は、課税標準額に税率をかけたものとなる。式で表せば次のとおりだ。

固定資産税 = 課税標準額 × 税率

課税標準額は、土地と建物・マンション、および償却資産のそれぞれで求め方が異なっている。したがって、固定資産税を計算することは「課税標準額を求めること」が大部分の作業となる。課税標準額が求められれば、あとは上の式にしたがって税率をかければ、固定資産税が求められる。

土地の場合

土地の課税標準額は、課税台帳に登録された土地の価格にたいして、「特例」および「負担調整措置」を適用することにより求められる。

  1. 特例の適用 住宅地に関して、以下の特例による割引が設けられている。

・小規模住宅用地(1戸につき200平方メートルまでの部分)… 価格 × 1/6 ・一般住宅用地(小規模住宅用地以外の住宅用地)… 価格 × 1/3

商業地の場合には、特例による割引はない。特例が適用された土地の価格を「本則課税標準額」と呼ぶ。

  1. 負担調整措置 負担調整措置とは、土地の価格変動による課税標準額の変化をなだらかにするための措置である。今年度の本則課税標準額が前年度の課税標準額を大きく上回った(つまり今年度土地が大きく値上がりした)場合には、課税標準額の値上がりを抑える措置が取られる。

【土地の固定資産税の計算例】 以下のケースについて、土地の固定資産税を計算してみよう。

・土地の種類 …住宅地 ・土地の面積 …170平方メートル ・土地の価格 …6,000万円 ・前年と比べて土地の価格は下落傾向

住宅地である土地の面積が170平方メートルだから、「小規模住宅用地」の特例が適用され、本則課税標準額は、以下のように計算され、結果は「1,000万円」となる。

本則課税標準額 = 土地の価格 × 1/6 = 6,000万円 × 1/6

土地の評価額が下落傾向の場合には、負担調整措置による調整は行われないから、課税標準額は本則課税標準額がそのまま適用される。したがって、この場合の固定資産税は、以下のように計算され、結果は「14万円」となる。

固定資産税 = 課税標準額 × 税率1.4% = 1,000万円 × 1.4%

一戸建ての場合

建物の場合には、課税標準額は原則として、固定資産課税台帳に記載された価格がそのまま適用される。ただし、建物を新築した場合には、一定の床面積要件を満たす一戸建て住宅は3年間、マンションなどの場合は5年間にわたり、固定資産税の税額が1/2に減額される。

【一戸建て住宅の固定資産税の計算例】

下の例について、一戸建ての固定資産税を計算してみよう。

・新築住宅 ・建物の価格 …4,000万円

前述のとおり建物の課税標準額は、土地の価格4,000万円そのままだ。ただし、新築住宅であるため、固定資産税額は1/2に減額される。したがって、固定資産税は、以下のように計算され「28万円」と求められる。

固定資産税 = 課税標準額 × 税率1.4% × 1/2 = 4,000万円 × 1.4% × 1/2

マンションの場合

マンションの場合にも、土地と建物のそれぞれの固定資産税を、上で見た一戸建ての場合と全く同じように計算することになる。

【マンションの固定資産税の計算例】 下の例について、マンションの固定資産税を計算してみよう。

・新築物件 ・専有面積 …100平方メートル ・土地の価格 …3,000万円 ・建物の価格 …2,000万円

土地の固定資産税は、小規模住宅用地の特例により価格の1/6が課税標準額となるから、以下のように計算され「7万円」となる。

土地の固定資産税 = 土地の価格 × 1/6 × 税率1.4% = 3,000万円 × 1/6 × 1.4%

建物の固定資産税は、新築であるために5年間にわたって1/2に減額されるから、以下のように計算され「14万円」となる。

建物の固定資産税 = 2,000万円 × 1.4% × 1/2

マンションの固定資産税は、土地と建物の固定資産税を合計すれば求められるから、以下のように計算され「21万円」であることになる。

マンションの固定資産税 = 7万円 + 14万円

新型コロナ拡大による固定資産税の軽減措置

新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、売上(事業収入)が低下している中小企業や個人事業主のため、2021年度に関する固定資産税および都市計画税の減税が行われることになっている。

減税の対象

減税の対象となるのは以下のとおりだ。

・事業用の建物および償却資産に対する固定資産税 ・事業用の建物にたいする都市計画税

減税率

減税率は「2020年2月~10月までの任意の連続した3ヵ月間の、前年同期と比較した場合の売上減少率」により、以下のとおり決められる。

・売上減少率が50%以上の場合 …全額 ・売上減少率が30%以上50%未満の場合 …1/2

申告は市町村(または都税事務所)まで、2021年2月1日を期限として行うことになっている。新型コロナ拡大の影響を受けている中小企業は、忘れずに申告しよう。

固定資産税をシミュレーションするメリット

固定資産税は、さまざまなフリーソフトであらかじめ計算し、シミュレーションが可能である。シミュレーションすることによりどのようなメリットがあるのだろうか。

納税時や不動産売買がスムーズ

固定資産税は一般に、4月~5月に課税明細書が届けられて始めて金額がわかり、納税することになる。しかし、固定資産税が多額の場合は資金繰りの計画を立てるため、あらかじめ固定資産税がわかっていた方が良いこともある。また、不動産売買をする際にも、固定資産税がいくらになるのかわからないと困る場合も出てくるだろう。

そのような場合には、フリーソフトを使用して、固定資産税の計算をすることが可能である。

固定資産税が計算できるフリーソフト(ツール)

固定資産税が計算できるフリーソフトを紹介しよう。

東京都主税局

フリーソフトとしてまずあげられるのは、東京都主税局が提供している「不動産取得税計算ツール」だ。土地の売買などにともない発生する不動産取得税を手軽に求められる。土地の不動産取得税の計算は、土地の地積と価格、取得持ち分などを入力することにより、また建物の不動産取得税の計算は、建物の床面積や価格、取得持ち分などを入力することにより行える。

※参考:https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/shisan/syutokuzei.html

HALの「失敗しない理想の家づくり」

HALの「失敗しない理想の家づくり」は、構造・種類を選択し、床面積を入力するだけで、建物の固定資産評価額および固定資産税・都市計画税の税額についておよその額を計算してくれる。正確ではないものの、目安額を知りたいときには便利だろう。

※参考:https://think-prosupport.com/koteishisanzei-keisan-simulation/

エリアから固定資産税の目安がわかるサイト

エリアから固定資産税の目安がわかるサイトもあるので紹介しよう。

LIFULLの「固定資産税シミュレータ」

LIFULLの「固定資産税シミュレータ」は、エリアを指定することによりマンションの固定資産税・都市計画税の税額を計算してくれる。入力するのは大まかな物件情報だけなので利用も手軽だ。マンションの物件探しをする際には便利だろう。

※参考:https://lifull.com/news/11861/

固定資産税は事前に計算してしっかりと備えよう

納税や不動産売買をスムーズに行うためには、固定資産税の税額をあらかじめ知ることは重要だ。固定資産税の税額を計算するために必要な情報は、固定資産課税台帳を縦覧することにより課税明細書が送られてくる前に入手できる。計算は、自分自身でやることも、フリーソフトを利用することによっても行える。固定資産を事前に計算し、納税や不動産売買にしっかりと備えよう。

文・福薗健(公認会計士・税理士)

プロフィール

固定資産税の計算方法は?便利なフリーソフト(ツール)を紹介
(画像=福薗 健 (ふくぞの たけし))

福薗 健 (ふくぞの たけし)

公認会計士税理士福薗事務所所長 公認会計士・税理士。1970年生まれ。監査法人、上場会社を経て開業。監査法人時の法定監査、M&Aのための財務調査・企業評価、上場会社経営企画時のIR、グループ間の調整などの経験を踏まえ、会社設立から上場会社に並走しながら会計、税務を中心に会社に日々対応している。