新型コロナウイルスの影響で、世界中の人々の外出が以前より制限されるようになった。それは超富裕層にとっても同じことだ。ただ、超富裕層の場合は外出できないにしても、莫大な「動かせる資金」を保有している。そして超富裕層が暇になったいま、その莫大な資金が実際に動き出しているようだ。

目次

  1. コロナ禍によって人々の外出が制限される
  2. アフターコロナの好景気で超富裕層はさらにリッチに?
  3. 中には大きな社会貢献を果たした超富裕層も

コロナ禍によって人々の外出が制限される

暇になった超富裕層…保有マネーの行き先は?
(画像=Victor Moussa/stock.adobe.com)

新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐためには、人々が外出を控えることが有効な手段の1つとして挙げられる。日本では感染拡大が顕著になった際、国が緊急事態宣言を出したり、都道府県が独自に外出自粛要請を出したりし、住民に外出自粛を呼び掛けるなどしている。

これは海外においても同じだ。欧州では10月下旬から第2波が起き、イギリスでは政府が再び国民に外出自粛を呼び掛けた。米カリフォルニアでは11月19日、約1ヵ月間にわたる午後10時から午前5時までの外出禁止を決定した。

その決定を受け、仕事などで仕方なく外出しなければいけない場合を除いて、プライベートな多くの時間を自宅で過ごさざるを得ない人が増えている。そしてそれは超富裕層にとっても同じだ。海外旅行に自家用ジェットで出掛けていたアクティブなお金持ちたちも、今は海外に出掛けることができず、在宅時間が長くなっている。ゴルフもクルーズも楽しみにくく、行動範囲が極端に狭まってしまっているのだ。

莫大な「動かせる資金」を実際に動かす超富裕層が増加

このように、超富裕層を含む多くの人の在宅時間が長くなっているが、冒頭でも触れたように、超富裕層の場合は自宅にいても莫大な「動かせる資金」を保有している。

そして現在は、インターネットの普及とネット証券の登場によって、株式や債券、投資信託への投資や売買がいとも簡単にできる時代となった。そのような状況の中、いま超富裕層たちは「動かせる資金」を実際に動かし始めているというわけだ。

事実、シティグループやJPモルガンなどの米大手銀行では富裕層による取引が活発となっており、取引手数料といった銀行の収入が押し上げられているという。超富裕層の取引額は億単位が当たり前だ。銀行側にとっては大型売買をしてくれるほど収入が増える。

また、すでに東証株価指数やダウ平均株価などの主要な株価指数はビフォーコロナの水準を上回っているが、銘柄によっては極端に値下がりしているケースもある。しかし将来的には、株価が回復する可能性も高く、資金に余裕がある超富裕層がこうしたお買い得銘柄を「爆買い」するケースも増えているとみられる。

アフターコロナの好景気で超富裕層はさらにリッチに?

このような動きは、今後さらに顕著になってくると思われる。

米ファイザーなどによる新型コロナウイルスのワクチン開発が急ピッチで進み、ついに12月、イギリスでワクチン接種が始まった。今後さまざまな国でワクチンが承認され、2021年には世界中の相当数の人が接種を終えるとみられる。

ワクチン接種によって経済が回復し、景気も回復し始めれば、株価がさらに上がっていく可能性が高い。そのような状況においては、資金をより多く保有している富裕層がより多く富を増やすことができ、世界の超富裕層たちがそのチャンスを逃すわけがない。

例えば、A株が1株1,000円だとする。ある超富裕層はその株を10万株(1億円分)買った。ある庶民はその株を100株(10万円分)買った。そしてその株価が2倍になったあとで株式をそれぞれ売却すると、超富裕層の方は1億円の売却益を残せるが、庶民は10万円の売却益しか残せない。

<売却益の計算方法> 売却額 − 購入額=売却益

<超富裕層のケース> 2億円 − 1億円=1億円

<庶民のケース> 20万円 − 10万円=10万円

投資においては、より多くの資金を保有している人が強い。つまり、超富裕層と庶民の格差は新型コロナウイルスをきっかけにさらに広がっていくことが考えられる。

中には大きな社会貢献を果たした超富裕層も

ただし、新型コロナウイルスにおける富裕層の動きについて分析するとき、富裕層の中にはその資金力で大きな社会貢献を果たした人がいることも忘れてはならない。

例えば、ソフトバンクグループの孫正義会長は、医療施設や介護施設に対して100万枚規模のマスクの寄付や抗体検査キットの無償提供を発表している。Facebook創業者のマーク・ザッカーバーグと妻のプリシラ・チャン氏は、夫妻の慈善団体を通じて1,360万ドル(約15億円)を新型コロナウイルス関連の調査プログラムに寄付することを宣言している。

7月には世界の富豪たちによる団体「ミリオネアズ・フォー・ヒューマニティー」が、富裕層に対して大幅な増税を行うよう、各国の政府に対して要望を行った。多くの超富裕層がお金を増やすことだけに執着しているというわけではないのだ。

このように「新型コロナウイルス×超富裕層」という切り口でも、さまざまな見方ができるということを知っておきたい。

文・BUSINESS OWNER LOUNGE編集部