IoT(モノのインターネット)、AI(人工知能)、ビッグデータなど、先端技術が新たな産業基盤と経済価値を創り出す「第四次産業革命」の波が広範囲な産業に押し寄せる中、新型コロナの影響がさらなる圧力となり、世界中で社会構造そのものが大きく変貌を遂げようとしている。このような変革期に高年収を維持している業界の最新動向と共に、「今後10年で大きな成長が期待できる業界」について見てみよう。

目次

  1. 業界平均年収ランキング 1位の平均年収は2位の2倍!
  2. ランキング上位の業界動向
    1. 金融業界
    2. 専門コンサルタント業界 
    3. 不動産業界
  3. 10年先まで伸びる業界とは?

業界平均年収ランキング 1位の平均年収は2位の2倍!

高年収業界ランキング 今後10年で成長する業界とは?
(画像= takasu/stock.adobe.com)

ランキングは転職サイト「マイナビ転職」が、2019年4月〜2020年3月に同サイトに掲載された全110業種の求人のモデル年収例を、集計・順位付けしたものだ。トップ10は以下の通りである。

1位 外資系金融 1,515万円
2位 専門コンサルタント 775万円
3位 不動産業界 764万円
4位 生命保険・損害保険 723万円
5位 環境関連設備 685万円
6位 金融総合グループ 676万円
7位 住宅・建材・エクステリア 648万円
8位 証券・投資銀行 642万円
9位 精密機器 635万円
10位 政府系・系統金融機関 631万円

ランキング上位の業界動向

トップ10の半分を占めたのは金融業種だ。外資系、生命保険・損害保険、金融総合グループ、証券・投資銀行 、政府系・系統金融機関と5つがランクインした。金融、コンサル、不動産業界の最新動向から、ランキング上位の業界にも、デジタル・トランスフォーメーション(DX)の影響が及んでいることが分かる。

金融業界

金融業界の中でも飛びぬけて高収入な外資系金融の年収は、2位のコンサルの約2倍というから驚きだ。しかし「成果主義」「残業時間が長い」など、職務へのコミットメントがそっくりそのまま給与に反映するシビアな世界でもある。

金融業務は銀行・クレジットカード・証券・生命保険・損害保険・リース系などに分かれているが、2008年のリーマン・ショック以降は金融規制が強化されたことで、コロナ以前から一部の銀行や投資ファンドは事業縮小を余儀なくされていた。さらに2020年は、コロナによる業績悪化や与信関連費用の増加などを理由に、全体的に減益の見通しだ。ゴールドマンサックスやJPモルガンチェース、ロイズバンクなど、すでに欧米では大手金融機関の大量リストラや支店閉鎖が加速している。

また、近年はテクノロジーを駆使したFintech(フィンテック)やInsuretech(インシュアテック)の台頭、業務の自動化、顧客行動の変化などにより、大きな変革期が訪れていることから、多数の金融機関がアフターコロナを見据えた新たな方向性を模索中だ。

専門コンサルタント業界 

前回の金融危機以降は堅調な成長を続け、モデル年収ランキングでは2位となったコンサルだが、M&A、戦略、財務アドバイザリー、総合など分野を問わず、景気の影響を最も受けやすい産業の一つである点が懸念される。主要クライアントである大手企業の利益が減少すれば、予算削減で真っ先に矛先が向く業界でもある。実際、案件が減少したことから提案単価やコンサル料金が低迷し、インセンティブ枠の撤廃や削減、リストラの実施などが相次いでいるという。

市場調査企業ソース・グローバル・リサーチは、世界のコンサル市場規模が2019年の1,600億ドル(約16兆6,434億円)から2020年第1四半期に1,300億ドル(約13兆5,228億円)に縮小し、第2、第3とさらに悪化すると予想している。

不動産業界

コロナの打撃は住宅用・商業用を問わず、賃貸から売買の仲介まで、不動産業界全体に広がっている。外出および営業自粛により、来店数や内見数、問い合わせ、売上が減少したほか、家賃減免措置を要請するテナント入居事業者が増加した。今後、失業や倒産が本格化した場合、家賃滞納やテナント撤退による空室の長期化が懸念される。リモートワークが拡大・定着すれば、オフィスの空室も深刻化するだろう。さらに景気停滞が長期化した場合、物件価格に影響を与える可能性も浮上する。

「衣食住」が生活していく上で不可欠な基盤であることを理由に、「不動産業界におけるコロナショックは一過性かつ限定的」という楽観的な見方があるが、コロナ終息の目途が立っていない現在、長期的な影響が気になるところだ。

10年先まで伸びる業界とは?

それでは、第四次産業革命とコロナを乗り越え、成長を遂げる「将来性のある仕事」とはどのような業種であろうか?ポイントとなるのは、「AIなどによる代替が難しい仕事」「生活に必要なサービス・商品を提供する仕事」「社会の変化に耐久性のある仕事」だ。そのような観点から見ると、医療・介護、通信などの分野は、今後も新たな技術や構造を取り入れながら、ますます発展していくものと予想される。

欧米、日本、韓国など、2050年CO2ゼロエミッション達成を目標に掲げ、再生エネルギーやクリーンエネルギー自動車の普及促進に取り組む国が増えている今、クリーンエネルギー・環境関連産業も飛躍的な成長が期待できるだろう。日本のように少子高齢化が進む国では、「住み替えるよりライフスタイルに合わせて現在の家をリフォームする」と考える人が増えている。需要の拡大を受け、野村総研はリフォーム市場が2030年にわたり、年間約6~7兆円規模の成長ペースを維持すると予想している。

また、エンタメ業界や広告業界は5Gの普及により、VR/AR/MR(仮想現実・拡張現実・複合現実)やIoTを活用した「体験型コンテンツ」の配信に移行し、そこから新たな価値観が生まれるはずだ。このような変化は、将来の高収入を得られる仕事にも影響を与えるだろう。5年後、10年後の高年収業界ランキング結果がどのようなものなっているのか、非常に興味深い。

文・BUSINESS OWNER LOUNGE編集部