日本郵政の傘下である日本郵便が、2021年3月期第2四半期決算で赤字に転落したと報じられた。新型コロナウイルスの感染拡大の影響等により、郵便の取扱数量が減少したことなどが理由に挙げられている。しかし、問題の本質はそれほど単純ではなさそうだ。

目次

  1. 中間期で赤字に転落した日本郵便
  2. 足を引っ張る国際物流事業
  3. 国際物流事業は売却も
  4. 郵便事業は「構造不況業種」
  5. 郵便局の「再国有化」も

中間期で赤字に転落した日本郵便

3年ぶり中間決算で赤字・日本郵便が迎える未来とは?
(画像=naomi1219/stock.adobe.com)

2020年11月13日に発表された日本郵政の2020年度上半期決算で、傘下の日本郵便が中間期では3年ぶりに純損益が赤字に転落した。

発表によると同期間中の営業収益は、約1兆8,495億円(前年同期比-1.2%)、経常利益は約155億円(前年同期比-69.8%)、純損益約△65億円となっている。取扱量では、対前年比でゆうパックが21%増加、ゆうパケットも34.7%増加した。

一方で郵便が9.1%のマイナス、ゆうメールも9.5%の大幅なマイナスとなった。郵便においては、特に普通郵便と国際郵便が大きく減少する結果となった。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大による郵便事業の低迷と、巣ごもり需要の増加による物流需要の拡大が、それぞれにそのまま映し出された結果だ。

足を引っ張る国際物流事業

一方、同期間中の国際物流事業の営業収益は約3,736億円で前年同期から約554億円増加した。しかし、営業損益は約62億円の赤字で前年同期から約15億円赤字が拡大した。

国際物流事業においては、ロジスティクス事業が比較的健闘しているもののエクスプレス事業が赤字で全体の足を引っ張る形となっている。また、国際物流事業の赤字がそのまま日本郵便全体に反映され、結果的に日本郵便に赤字を計上させているのが現状だ。

国際物流事業は売却も

日本郵便の国際物流事業については、その主たる事業者であるオーストラリアの物流会社トール・ホールディングスを売却する準備に入った、という情報が出ている。トール・ホールディングスは、オーストラリア国内の配送や国際貨物・物流を手がける物流会社で、日本郵便が2015年に約6,200億円で買収した。

日本郵便は、当初トール・ホールディングスを買収することで国際物流のノウハウを手に入れ、新たな事業展開の基礎とする狙いがあった。しかし、買収後のトール・ホールディングスの業績は低迷して日本郵便の足を引っ張り、2020年3月期において国際物流事業の営業損益を赤字に転落させた。

国際物流のノウハウを手に入れるどころか、日本の本業の儲けを食いつぶす厄介者を手に入れてしまったというわけだ。

郵便事業は「構造不況業種」

日本郵便の業績低迷の主な原因として日本郵政は、「新型コロナウイルスのパンデミックによる郵便需要の低迷」などを挙げている。しかし、本当にそれだけが原因だろうか。

郵便事業は実は構造不況業種であり、その実態が数字として表れ始めた可能性も考えられる。日本郵便が発表した資料によると、全国の直営郵便局の数は、2012年10月1日~2020年11月末までに111局減少している。

また、全国の簡易郵便局の数も2012年10月1日~2020年11月末までに281局減少している。両者を合わせると392局の減少で、減少率は直営郵便局が-0.5%、簡易郵便局が-6.9%だった。マイナス幅は、簡易郵便局のほうが大きく特に北海道・東北・関東・信越・東海・近畿・中国・九州の簡易郵便局の減少が際立っている。

少子高齢化や人口流出に伴う過疎化など、地方が直面する構造的課題に日本郵便そのものも直面している現実が見えてくる。さらには、現在政府が進めている国のデジタル化戦略なども日本郵便にとっては向かい風になるだろう。

加えて、メールやSNSなどの普及による郵便離れの消費トレンドの浸透も逆風になっている。日本郵便の経営は、今後かなり難しい舵取りを迫られることになるのは間違いないだろう。

郵便局の「再国有化」も

2020年11月末時点で日本全国には、2万3,841の郵便局がある。その約8割が赤字経営を余儀なくされており、日本郵便に課せられたユニバーサルサービスを維持するため、日本郵政傘下のゆうちょ銀行とかんぽ生命保険が拠出金を負担してきた。

しかし、かんぽ生命保険の不正販売問題などの影響もあり、ゆうちょ銀行とかんぽ生命も厳しい経営環境下に置かれている。

両者ともに郵便事業に対して従来通り拠出金を負担することが難しくなってきているのだ。ある関係者によると、現在のスキームで郵便事業を維持し続けることは事実上困難だという。郵便事業を維持するには「再国営化するしかない」という声もある。

2007年10月、小泉総理大臣の肝いりで日本郵政グループが誕生、民営化が実現した。それから13年の時を経て日本郵便はさまざまな課題や問題を抱えた経年劣化の状態にあるようにも見える。

情報通信のパラダイムシフトの真っただ中にある現在、「郵便とは何か」「郵便は何のためにあるのか」「郵便局の存在意義は何か」という根本的な問いかけをする必要がありそうだ。

文・BUSINESS OWNER LOUNGE編集部