富裕層の嗜好品投資と言うと、アートやクラッシックカー、ワインが思い浮かぶが、近年、新たに加わったのがレアウィスキーだ。過去10年間で564%という驚異的なリターン率の背景とともに、富裕層を魅了する理由、初心者向きの銘柄などをご紹介しよう。

目次

  1. 平均の約4倍のリターン率 レアウィスキー投資動向
  2. レアウィスキー投資の魅力とは?
    1. 1.ワインより保存に手間がかからない
    2. 2.選ぶ楽しみがある
    3. 3.長期的に価値の高い安全資産?
  3. マッカラン1926年物のレアボトルが、2本120万ドルで落札
  4. レアウィスキー投資初心者向けの銘柄5選
    1. 1. カリラ 12年シングルモルト
    2. 2. タリスカー 10年
    3. 3 バルヴェニー14年カリビアン・キャスク・シングルモルト
    4. 4 レッドブレスト12年シングルポット・スティル・アイリッシュウイスキー
    5. 5 カバラン・クラシック台湾シングルモルト
  5. 育てる楽しみ、学ぶ楽しみもあるウィスキー投資

平均の約4倍のリターン率 レアウィスキー投資動向

富裕層を魅了する「レアウィスキー投資」 初心者向きの銘柄は?
(画像= Igor Normann/stock.adobe.com)

英不動産コンサルタント、ナイトフランクがラグジュアリー投資市場の最新動向をまとめたレポート『ラグジュアリー・インベストメント・インデックス』によると、レアウィスキーは2019年第四半期までの過去10年間で、564%という驚異的なリターン率を叩き出している。アート、ワイン、高級車、宝石、時計など全11の対象カテゴリーの平均141%を、遙かに上回るパフォーマンスだ。

また、世界経済の減速がラグジュアリー市場に影響を与えた2019年、宝石や高級車の過去1年のリターン率が7%減であったのに対し、レアウィスキーは5%増と堅調な伸びを記録した。このような追い風を受け、ロンドンでは投資適格ウィスキー樽やワイン専門の投資企業や仲介業者が、存在感を増している。中でも、投資価値が急上昇しているのは、シングルモルトのスコッチウイスキーだ。

レアウィスキー投資の魅力とは?

富裕層がウィスキーに投資する主な理由として、以下の3つが挙げられる。

1.ワインより保存に手間がかからない

温度や湿度、光、振動など、品質の維持に手間やコストのかかるワインに比べ、ウィスキーは未開封の状態であれば、直射日光や気温差の激しい場所を避けるといった基本的なルールを守るだけで、長期間保存しても品質にほとんど影響しない。つまり、手間がかからず大きなリターンを狙える投資対象というわけだ。

2.選ぶ楽しみがある

モルト、アイリッシュ、ライ、ブレンドなどさまざまな種類のウィスキーの中から、希少価値の高い銘柄をオークションで落札したり、将来価値が上がりそうな銘柄を見つけたりする楽しみが味わえる。また、自分が投資したウィスキーの歴史を詳しく調べたり、蒸留所を訪ねるといった楽しみもある。

3.長期的に価値の高い安全資産?

市場の変動に影響を受けにくく、元本の減るリスクの小さい安全資産として、金(ゴールド)や国債が挙げられるが、レアウィスキーも過去10年にわたり、手堅い成長を維持している。そのため、「ワインやクラシックカーより、長期的に価値の高い投資対象になる」と見なす専門家もいる。

また、世界の多数の国・都市が封鎖され、経済活動が著しく低下した2020年第1四半期、レアウィスキー市場はそれほど深刻な影響を受けなかったことから、レアウィスキーを「最悪の世界的危機さえも乗り切ることができる安全な資産」との見方もあるようだ。

マッカラン1926年物のレアボトルが、2本120万ドルで落札

本格派なレアウィスキーコレクターに人気のブランドは、スコットランドの北ハイランド地方で蒸留されるシングルモルト「ダルモア」、スコットランドの南部キャンベルタウン地方で蒸留されるシングルモルト「スプリングバンク」、スコットランド西部に位置する、ウィスキーの聖地アイラ島で蒸留されるシングルモルト「ラガヴーリン」「アイラアードベッグ」「ボウモア」「ブローラ」などだ。

マッカランも人気が高く、2018年のサザビーズのオークションでは、1926年物のレアボトルが1本120万ドル(約1億2,490万円)というウィスキー史上最高値で落札された。

レアウィスキー投資初心者向けの銘柄5選

「気軽にウィスキー投資をしてみたい」という初心者は、知名度が高いブランドの手頃な価格の銘柄から始めるとよいだろう。以下、ウィスキー専門小売店ウィスキー・エクスチェンジの共同設立者で、著名ウィスキーコレクターでもあるスキンダー・シン氏が初心者向けにセレクトした銘柄を5つ紹介する。日本でも5,000~1万円前後という手頃な価格で販売されているので、1本は自分で楽しむ用、もう1本は長期投資用に保管してみてはいかがだろう。

1. カリラ 12年シングルモルト

アイラウィスキー初心者に最適な「究極の1本」だ。フルーティな風味の中にもパンチのきいた味わいが癖になる。アルコール度は43%である。

2. タリスカー 10年

アメリカンオーク樽で最低10年間熟成された、スモーキーな風味に沿岸の塩辛さや海藻の香りが漂うモルトウィスキーだ。ワールド・ウィスキー・アワードの「ベスト・アイランズ・シングルモルト賞」など、数々のアワードを受賞している。アルコール度は45.8%である。

3 バルヴェニー14年カリビアン・キャスク・シングルモルト

スペイサイドウイスキー蒸留所(スコットランド北東部のストラスペイで製造された、シングルモルトスコッチウイスキー)バルヴェニーの逸品だ。独特の甘さとまろやかな風味の秘密は、オーク樽で熟成させた後、ラム酒の樽で仕上げるという手法にある。バニラとトフィー(キャラメルに似た英国の菓子)、フルーツの香りのバランスが絶妙である。アルコール度は43.0%だ。

4 レッドブレスト12年シングルポット・スティル・アイリッシュウイスキー

ウィスキー通に愛される伝統的なアイリッシュブランド、レッドブレスト。モルト(大麦麦芽)と未発芽の大麦で作られているため、シングルモルトとは少し異なるトロピカルフルーツのような風味が特徴である。複数のアワードを受賞している。アルコール度は40.0%だ。

5 カバラン・クラシック台湾シングルモルト

台湾の宜蘭県に蒸留所を有するカバランが、2008年に発売した初のシングルモルトウイスキーである。2005年に創業されたばかりのカバランの名を、世界に知らしめた1本だ。軽い口当たりに甘い香りとオーク、シナモンなどが絶妙なハーモニーを醸し出す。アルコール度は40.0%だ。

育てる楽しみ、学ぶ楽しみもあるウィスキー投資

レアウィスキー投資は富裕層だけのものではない。手頃な価格のものを長期間寝かせて、「レア」に育てる楽しみは、誰でも味わうことができる。もちろん、ウィスキーについて学び、十分な知識をつけることも、将来のレアものを判断する上で重要だ。シン氏 の言葉を借りると、「購入するだけではなく学び続けること」が成功するウィスキー投資の秘訣である。

文・BUSINESS OWNER LOUNGE編集部