法人には、法人税や消費税をはじめとした多くの税金が課せられており、それぞれの税金について、還付されるケースがある。中でも、法人税は、赤字や欠損金が出た場合や、中間納付額が多過ぎた場合に、払い過ぎた税金が戻ってくる。

還付金自体は、大きな金額になることは少ないものの、しっかりと仕訳をして申請しなければ、申請が通らずやり直しを求められるケースも多い。法人税が還付される条件と、その際の具体的な仕訳例を解説する。

目次

  1. 法人税とは?
  2. 還付とは?
  3. 還付される条件
    1. 中間納付の還付金
    2. 災害などによる還付
    3. たばこ税などによる還付
  4. 還付加算金とは?
  5. 法人税の還付金における仕訳方法
    1. 中間納付をしていた場合
    2. 中間納付:還付加算金が生じた場合
    3. 納付と還付の両方が生じた場合
    4. 欠損金が生じた場合
  6. 制度や仕訳方法への理解を深めよう
    1. プロフィール

法人税とは?

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法人税の還付を受けたときの仕訳とは?還付の基本を解説
(画像=PIXTA)

法人税とは、法人が事業により収益を得た際、その所得に対して課される税金である。主な法人の種類には、株式会社・合名会社・合同会社・社会福祉法人・NPO法人などがあり、利益の獲得を目的としない「特定非営利活動」に関連する所得には、法人税は課されない。赤字の場合も同様である。

法人税は、個人の所得に対して課される所得税とは、税額の計算方法が異なっている。所得税は、所得が多いほど金額も高くなる「累進課税制度」を課税方式としている。一方、法人税は、事業所得金額にかかわらず、原則として一律23.2%である。ただし、中小企業の場合は、所得金額が年800万以下の部分に対しては、税率19%の軽減税率が適用される。

還付とは?

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払い過ぎた税金が戻ってくることを還付という。会社員の場合、源泉徴収により毎月の給与から所得税が天引きされるが、源泉徴収で引かれる所得税額はあくまでも概算であり、ほとんどのケースで払い過ぎているため、会社が還付申請を行い、年末調整で還付金が戻ってくる。

一般的に、所得税や法人税に限らず、どのような種類の税金でも、払い過ぎていれば請求申請することにより戻ってくる。また、還付により戻ってくるお金には、「還付金」と「過誤納金」の2種類があり、2つをまとめて「還付金等」という。

過誤納金は、さらに過納金と誤納金に分かれており、見込納付額が確定税額を上回っていれば、誤納金として還付される。誤納金は、法人税の納付でよく見られるケースである。また、過納金は、減額更正や不服審査の裁決により取消しなどがなされて還付されるものを指すが、法人税に絡んで頻繁に発生するものではない。

還付される条件

還付金等のうち、法人税における還付金には、どのようなものがあるのだろうか。よくあるケースと還付される条件を以下に解説する。

中間納付の還付金

前年に支払った法人税が20万円を超えている場合は、事業年度の中間に法人税を納付しなければならない。法人税の前払い制度のようなものであり、大半の会社に中間納付の義務が発生するだろう。中間納付制度は、納税時期を分散することによる負担軽減や、国・地方自治体にとっての安定税収などを目的とした制度である。

中間納付には2種類の方法があり、前年の法人税額の1/2を納税するか、事業年度の中間に決算を行いそれに基づいて申告するか、どちらかの対応をとる必要がある。どの方法で納付しても、中間納付額が確定税額を上回れば、差額が還付金として戻ってくる。

なお、法人税の中間納付について還付申告する場合は、法人住民税や事業税といった地方税や消費税などについても、同様に中間申告を行うことになるだろう。なぜなら、中間納付した法人税が還付されるなら、ほかに中間納付した税金も還付される可能性が高いからである。

欠損金繰戻還付

確定申告で青色申告書を提出する事業年度に欠損金が生じた場合、その欠損金額をその事業年度開始日前1年以内に開始したいずれかの事業年度に繰り戻し、法人税の還付を請求できる。還付申請できる金額は、還付対象となる事業年度の税額を限度額とする。

なお、法人住民税や事業税といった地方税については、このような制度は設けられていないため、還付も行われない。

災害などによる還付

災害などの被害により損害を被った法人に対しては、さまざまな救済措置が用意されている。災害損失金がある場合に還付を受けられることも、法人向け救済措置の1つである。この制度では、中間納付した法人税額から控除しきれなかった金額について、災害損失金額を限度に還付を受けられる。

また、青色申告書を提出する法人は、災害損失欠損金が発生した事業期間の前2年間において、災害損失欠損金に対応する法人税について還付を受けることも可能である。なお、白色申告の場合は、2年間ではなく1年間とする。

たばこ税などによる還付

たばこなど、国内で特殊な税金がかかる課税済みの物品を輸出した場合、還付申請することにより税金が還付される。

還付加算金とは?

還付金等には、還付金の支払決定日までの日数に応じ、「還付加算金」を合算して入金されることがある。還付加算金は、個人や法人に対して延滞税が課されるのと同じような意味合いで、還付金と一緒に戻ってくる利息のようなものだと考えれば分かりやすいだろう。

還付加算金は、法人税だけでなく消費税の還付金にも加算される可能性があり、それぞれで取り扱いが異なるため注意が必要である。また、還付金と還付加算金はまとめて入金されることがほとんどだが、法人税の還付金は「益金不算入」となり、還付加算金は「益金算入」となるため、内訳を確認し区別して処理しなければ、法人税の計算を誤ってしまう可能性がある。

法人税の還付金における仕訳方法

法人税の還付を受けた場合、どのような仕訳を切ればよいのかについて、主なケースを4パターン取り上げ、以下にそれぞれの具体例を記載する。 ※ただし、勘定科目や処理方法は他にもあるため、一般的な事例として紹介する。

中間納付をしていた場合

中間納付時に30万円支払い、決算において確定した納付額が20万円だった場合の、それぞれの仕訳は以下のようになる。

<中間納付時>

(借方)仮払税金等 300,000(貸方)現金預金 300,000

<決算時>

(借方)法人税等 200,000、未収金 100,000(貸方)仮払税金等 300,000

<還付時>

(借方)現金預金 100,000(貸方)未収金 100,000

中間納付時に仮払金として30万円を計上しているため、決算時には貸方の仮払税金を取り崩し、差額の10万円を還付予定の未収金とする。還付時は、未収金を消す仕訳を切る。

中間納付:還付加算金が生じた場合

前項「中間納付をしていた場合」で解説したケースにおいて、還付金10万円に加え、還付加算金が2,000円入金されていた場合、中間納付時と決算時の仕訳は前項と同様である。還付時の仕訳は以下のようになる。

<還付時> (借方)現金預金 102,000 (貸方)未収金 102,000、雑収入 2,000

通常、還付加算金を計上する際に用いられる勘定科目は、受取利息ではなく「雑収入」である。

納付と還付の両方が生じた場合

決算時に、税金の納付と還付が同時発生するケースがある。例えば、中間納付がなく、最終的に地方税5万円の納付、法人税は源泉所得税として源泉徴収された全部である2,000円の還付となったケースについては、以下のような仕訳となる。

<決算時>

(借方)未収金 2,000(貸方)仮払税金 2,000 (借方)法人税等 50,000 (貸方)未払法人税等 50,000

国税が還付され、地方税を納付する場合、それぞれを相殺できないため、行を分けて別々に計上する必要がある。1行目の法人税還付に関する仕訳では、源泉所得税として仮払いしていた分が全額戻ってくることになるため、未収金として計上する。決算書では、未収金と未払法人税のそれぞれにおける支払先が異なるため、相殺されることはない。

<納付時>

(借方)未払法人税等 50,000(貸方)現金預金 50,000

<還付時>

(借方)現金預金 2,000(貸方)未収金 2,000

納付時・還付時の両方とも、それぞれ通常の納付時や未収分と同様の処理を行う。

欠損金が生じた場合

期中に赤字が発生したことにより、還付を受けられる場合がある。例えば、中間納付で20万円支払っており、欠損金の繰り戻しにより還付を受けることが決定し、決算時に計算した結果、5万円の還付金を受け取れることが分かったケースの仕訳は以下のようになる。

<決算時>

(借方)未収金 50,000(貸方)法人税等 50,000 (借方)未収金 200,000(貸方)仮払税金 200,000

1行目は還付金について、2行目は中間納付についての仕訳である。1行目では、還付されることが決定しているため、決算時に還付のための仕訳を切る。また、中間納付分に関しても還付されることから、2行目のような仕訳を切ることになる。

<還付時>

(借方)現金預金 50,000(貸方)未収金 50,000 (借方)現金預金 200,000(貸方)未収金 200,000

還付時には、通常の還付金と同じように、未収金を消す仕訳を切ればよい。

制度や仕訳方法への理解を深めよう

法人税が還付される主な条件としては、中間納付額に比べ実際の確定額が少なかった場合、欠損金の繰り戻しが生じた場合、災害などの被害により損害を被った場合などが挙げられる。

また、還付金と併せて、利息の意味合いを持つ還付加算金が入金されることもある。還付加算金は、仕訳時に受取利息ではなく雑収入として扱わなければならないことに注意が必要である。

還付制度にはいくつかの種類があり、それぞれのケースで会計処理の仕方が異なるため、制度の内容や仕訳方法について理解を深めておくことが大事だといえるだろう。さらに、還付の仕組みを理解することは、中間申告を含めた法人税申告のスケジュールをしっかりと把握できることにもつながる。

文・福薗 健(公認会計士・税理士・福薗事務所所長)

プロフィール

法人税の還付を受けたときの仕訳とは?還付の基本を解説
(画像=福薗 健 (ふくぞの たけし))

福薗 健 (ふくぞの たけし)

公認会計士税理士福薗事務所所長 公認会計士・税理士。1970年生まれ。監査法人、上場会社を経て開業。監査法人時の法定監査、M&Aのための財務調査・企業評価、上場会社経営企画時のIR、グループ間の調整などの経験を踏まえ、会社設立から上場会社に並走しながら会計、税務を中心に会社に日々対応している。