法人として営業活動を続けていく上で、確定申告は避けて通れないイベントといえる。法人における申告作業は、個人で行う確定申告より時間や手間がかかる可能性が高く、自社で作業を進めると本業に支障をきたすなどのリスクを負いかねないだろう。

しかし、税理士に申告業務を依頼すれば、記帳や申告書の作成に時間や手間をとられず、本業に集中できるなど大きなメリットがある。確定申告を税理士に依頼する際の費用やメリット・デメリットを知り、どうすればよいのか検討する参考にしよう。

目次

  1. 確定申告とは?
  2. 税理士に確定申告を依頼する際の4つのメリット
    1. 1.本業に専念できる
    2. 2.期限までに申告ができる
    3. 3.正確な仕訳が期待できる
    4. 4.節税対策ができる
  3. 税理士に確定申告を依頼する際の2つのデメリット
    1. 1.費用がかかる
    2. 2.必要書類を送付する手間がかかる
  4. 税理士にかかる費用と税理士選びのポイント
    1. 料金表が明確かどうか
    2. 経験豊富かどうか
    3. 相性が良いか
  5. 確定申告が不安なら税理士に依頼しよう
    1. プロフィール

確定申告とは?

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確定申告は税理士に依頼した方がお得?費用相場をチェック
(画像=PIXTA)

確定申告とは、税金の納税額を確定し、その根拠を示す申告書を提出することである。一般的には、税務署へ出す確定申告書の手続きをいうことが多い。法人の場合は、税金を納めることと、年間の営業活動を明らかにするために、確定申告をしなければならない。

法人が税務署で行う確定申告には、主に法人税と消費税の2種類があり、都道府県や市町村への申告も併せれば、計4種類の確定申告がある。ただし、地方税の申告書は税務署に提出する申告書とほとんど同じであるため、一般的には法人税と消費税の確定申告を、法人の確定申告とする場合が多い。

法人税の確定申告は、法人として営業活動しているなら、必ず行わなければならない。法人税は個人における所得税のような扱いではあるものの、税率などの点で大きな違いがある。また、前々年度の売り上げが1,000万円を超える消費税事業者なら、消費税の確定申告も行う必要がある。

税理士に確定申告を依頼する際の4つのメリット

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経営者や従業員が、自社の確定申告を行うことは可能である。しかし、税理士に依頼すれば、以下に挙げるようないくつかのメリットを享受できる。自社にとってプラスになり得るのか、一つずつチェックしながら検討しよう。

1.本業に専念できる

確定申告を行う場合、申告書の作成や記帳などの作業をしなければならないため、場合によっては膨大な手間や時間を割かれてしまうことになるだろう。さらに、記載ミスなどがあれば書類の再提出を求められることもあるため、法人の確定申告を初めて行う場合はそれなりに勉強することも必要である。

経営者自身がプライベートの時間を割いて作業や勉強ができるならともかく、従業員に申告作業を任せる場合は、その従業員が本来従事すべき業務は少なからず停滞することを覚悟しなければならないだろう。

しかし、確定申告を税理士に依頼すれば、基本的に書類の準備・作成・提出までの作業を全て請け負ってもらえるため、申告の時期になっても引き続き本業に専念することが可能だ。会社側で準備しなければならない書類があったり、口頭で確認しておきたい内容を話し合ったりすることはあっても、業務に大幅な支障をきたすようなレベルではないだろう。

2.期限までに申告ができる

法人の確定申告は、会計期間の末日の翌日から2ヵ月以内を期限とすることが基本である。期限内の申告は大原則であり、期限を過ぎても確定申告書を提出しない法人は、ペナルティが科されることになる。

期限後に申告する法人の事情としては、「うっかり忘れていた」「本業が忙しく会計処理にまで手が回らなかった」「領収書が多すぎて整理に時間がかかった」といったものが多いようだ。このように、自社で申告作業を進めようとすると、期限に間に合わなくなる可能性が高まる。

申告期限を守らなかった法人には、延滞税・無申告加算税・重加算税・青色申告の取消しなどのペナルティが、程度に合わせて用意されている。確定申告を税理士に依頼すれば、期限を過ぎてしまうリスクがなくなるため、このようなペナルティに対する不安を抱えることもないだろう。

3.正確な仕訳が期待できる

確定申告には正確性が求められ、些細なミスでも税務署から書類が突き返されることも少なくない。特に、記帳作業は自社の各種データを膨大に記入する必要があるほか、書き方にもルールがあるため、普段から記帳作業をしていない者が申告作業を担当した場合、自分の仕訳が合っているのか不安になることも多いだろう。

また、確定申告では、「経費として計上できるもの」を適切に選択することが大きなポイントとなる。必要経費に該当しないものを計上してしまった場合、税務署から修正を求められることになり、提出期限に間に合わなくなる恐れもある。前述したように、期限が過ぎるとペナルティを科されるため、申告作業における正確性は非常に重要な要素だといえるだろう。

税理士に作業を依頼すれば、正確な仕訳や経費計上が期待できるため、ミスが発生するリスクを大幅に軽減できることがメリットだ。万が一、税務調査が入った場合にも、税理士のサポートを受けながら対応できれば心強い。

4.節税対策ができる

法人税や所得税には数多くの特例が用意されており、有効活用すれば節税につなげられる。しかし、自社に適用できる特例を国から提案されるようなことはなく、あくまでも自分で見つけたり以前から知っていたりしなければ、大幅な節税対策ができる特例でも、活用できないという事態が起こり得る。

また、税制上の特例だけでなく、法人の節税対策に有効な方法はほかにも数多く存在する。例えば、役員報酬を見直したり、家族へ給料を支給し所得を分散したり、決算期を変えたりといった方法は、節税につながることを知らなければ、節税対策として実行に移すかどうかの検討段階にすら至らないだろう。

しかし、税理士に確定申告を依頼することで、これらの節税対策に関してもさまざまなサポートを受けられる。大幅な節税に成功すれば、税理士に支払う費用以上のリターンを得られる可能性も高い。特に、自社において節税につなげられそうな要素が多いと感じている経営者であれば、税金のプロに申告作業を依頼するメリットは大きいだろう。

税理士に確定申告を依頼する際の2つのデメリット

確定申告を税理士に依頼することで、さまざまなメリットを得られることは前述したとおりである。ただし、少なからずデメリットもあるため、以下の解説で確認しておこう。

1.費用がかかる

自社で実行可能な業務を外部のプロに依頼する場合、どのようなケースにおいてもそれなりに費用がかかるものである。税理士に確定申告を依頼する場合も、例に漏れず費用が発生する。自社でもなんとか申告業務を進められそうなら、税理士へ報酬を支払うことがデメリットになる可能性もあるだろう。

税理士との契約形態は、記帳チェックや税務相談などを恒常的に行える「顧問契約」と、確定申告や決算のみを依頼する「申告書作成」の2種類に大別できる。顧問契約の場合でも、申告書の作成には別途費用が発生することが多い。しかし、顧問契約にはメリットも多いため、確定申告の依頼を機に顧問契約を結ぶのもよいだろう。

2.必要書類を送付する手間がかかる

税理士に確定申告を依頼した後は、書類提出まで税理士との密な連携を保つことが重要である。特に、領収書や請求書など仕訳に必要な書類や、社会保険料控除などの証明書類は自社で用意しなければならず、税理士と約束した期限内に送付できなければ、その後の進捗に悪影響を及ぼす恐れもあるだろう。

このように、税理士へ申告作業を依頼しても、全ての関連作業を完全に丸投げできるわけではない。自社で行わなければならないことは少なからずあり、それらには時間や手間がかかることを理解しておく必要がある。

税理士にかかる費用と税理士選びのポイント

税理士にかかる費用の目安は、会社の年商により異なる。確定申告の作成のみを依頼する場合、年商1,000万円以下なら5~15万円、年商1,000~3,000万円なら10~20万円が相場の目安である。

記帳代行を追加で依頼する場合、年商1,000万円以下なら+5,000以上、年商1,000~3,000万円なら+5,000~1万円以上を目安と覚えておこう。

それでは実際に税理士を選ぶ際はどのような基準で選定するとよいのだろうか。

料金表が明確かどうか

税理士へ支払う報酬は、業界内で一律に決まっているわけではない。税理士ごとにさまざまな基準で設定されており、どの部分まで作業できるかということが料金表から判断できないケースもある。

例えば、料金体系がリーズナブルに見える場合でも、最低限の作業しかやってもらえず、記帳チェックや節税へのアドバイスなどは別料金である場合も多い。最低限の作業以外のことには対応していない税理士もいるだろう。

できるだけ料金表を明確に表示している税理士を選べば、電話やメールなどで依頼を相談する際も、どこまで対応してもらえるかについて詳しく説明してくれる可能性が高い。

経験豊富かどうか

人材不足により、税理士の平均年齢は高くなっている。ベテランの税理士は、確定申告業務自体の経験は豊富であるものの、IT業界など近年発展している業種に関しては、知識に乏しい可能性も高いといえるだろう。

確定申告においては、申告作業そのものに関する知識と併せて、業界ごとの知識が豊富であることも求められる。なぜなら、どのような費用が経費に計上できるかなど、業界に適した仕分けができなければ、節税対策としては不十分だからである。

したがって、税理士を選ぶ際は、得意な業種もチェックするとよいだろう。例えば、IT業界が得意な税理士は、ベテランより若手に多い可能性が高い。

相性が良いか

税理士を選ぶポイントとしては、「本当に信頼できる人かどうか」を確認することも挙げられる。確定申告では数多くの書類を扱うことになるため、相手のことを信頼し、安心して業務を任せられなければ、自社の情報を簡単に渡すことはできないだろう。

多くの場合、税理士へ依頼する際は、実際に会って面談できる。自分や自社との相性が良いかどうかは、対面で話すことで、より判断しやすくなるだろう。気軽に話しやすい雰囲気であることなどのほかに、メールの対応の早さなどもチェックしておきたい。

確定申告が不安なら税理士に依頼しよう

法人は、法人税や消費税などに関し、確定申告する必要がある。自社で業務を行おうとしても、時間や手間がかかるようなら、本業に支障をきたす恐れもあるだろう。

しかし、税理士に依頼すれば、自分で作業する手間が省けたり、正確に申告してもらえたりと、多くのメリットを得られる。節税対策へのアドバイスを受けられることも大きなメリットだ。

どのくらい費用がかかるのか、自社の業界には詳しいのかなどをしっかりとチェックし、安心して依頼できる税理士を探してみよう。

文・野口 和義(中小企業診断士・野口コンサルタント事務所代表)

プロフィール

確定申告は税理士に依頼した方がお得?費用相場をチェック
(画像=野口和義 氏)

野口 和義 (のぐち かずよし)

野口コンサルタント事務所代表。1983年生まれ。茨城大学情報工学科卒業。中小企業診断士、行政書士、経営革新等支援機関。 最大手ファーストフードチェーンでのマネジメント経験を活かし、組織改革・人事制度・事業計画策定を中心に中小企業の支援に奔走している。 持ち前のホスピタリティの高さから、顧客対応などの面でもお客様から高い評価を得ている。