年末調整や確定申告の時期には、後日「還付金」を受け取れる。しかし、適正な額の還付金を受け取るには、正しい方法で手続きを済ませることが必要だ。

そこで今回は、必要な手続きや受け取り時期など、還付金に関する基礎知識をまとめた。

目次

  1. 還付金とは?受け取れる理由や発生する仕組みを解説
    1. 還付金は事前に把握できる?簡易的な計算方法
  2. 還付金の受け取りに確定申告は必須?
  3. 還付金を受け取るための手続きとは?受け取り方もチェック
  4. 還付金はいつ受け取れる?年末調整・確定申告、それぞれの受け取り時期
    1. 年末調整で還付申告をした場合
    2. 確定申告で還付申告をした場合
  5. 有効期限はいつまで?還付金で注意しておきたい3つのポイント
    1. 1.還付金の申告期限は5年以内
    2. 2.申告時の計算を間違えたら?期限内に「更正の請求」を
    3. 3.年末調整や確定申告の結果、追加徴収を受けるケースも
  6. 過去の申告内容を見直せば、還付金を受け取れる可能性が

還付金とは?受け取れる理由や発生する仕組みを解説

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確定申告の還付金はなぜ発生する?計算方法や手続き、受け取り時期など、還付金の基礎を徹底解説
(画像=崇正 魚谷/stock.adobe.com)

還付金とは、源泉徴収によって所得税等を支払い過ぎた場合に、納税者に後日返還される税金のことだ。日本国内では、基本的に毎月の給与等から概算の源泉徴収額(所得税や復興特別所得税などの合計額)が差し引かれるため、税金の支払い過ぎ、もしくは支払い不足がたびたび生じる。

源泉徴収額が「概算」となる要因は、個々人に適用される控除制度にある。たとえば、国内には医療費控除や雑損控除、配偶者控除などの控除制度があるが、これらの制度はすべての個人に適用されるわけではない。また、適用される個人によって控除額も変わってくるため、毎月の給与が支払われる時点(=源泉徴収される時点)では、細かい税額を算出することが難しいのだ。

つまり、収入が同じであっても課せられる税額は個人によって変わるので、源泉徴収だけでは納税額の過不足が生じてしまう。今回解説する還付金は、まさにこの点を解決するための制度と言える。

ちなみに、源泉徴収により納税額が不足している場合には、所得税等を追加徴収されるケースもある。

還付金は事前に把握できる?簡易的な計算方法

納税者が受け取れる還付金は、以下の式によって計算されている。

還付金額=すでに収めた税額-本来納めるべき税額(所得税や復興特別所得税など)

上記のうち「すでに収めた税額」は、会社員であれば給与明細に記載された源泉徴収額や、源泉徴収票から確認できる。経営者に関しても、役員報酬からは基本的に源泉徴収を行うため、源泉徴収簿や給与明細からすでに収めた税額をチェックできるはずだ。

一方で、「本来納めるべき税額」については、医療費控除や住宅ローン控除などの控除額を計算し、そこから所得金額を算出する必要がある、さらに、その所得金額に税率をかける必要もあるため、ケースによっては細かく計算することが難しいだろう。

どうしても計算が難しい場合は、国税庁が公式サイト上で公開している「年税額の計算」を参考にする方法もひとつの手だ。このページでは、本来納めるべき税額の計算方法が細かく解説されているため、還付金額を細かく把握したい経営者はぜひ活用してみよう。

還付金の受け取りに確定申告は必須?

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国から還付金を受け取るには、確定申告もしくは年末調整によって「還付申告」を済ませることが必須だ。いずれかの機会で還付申告をしておかなければ、本来支払うべき税額が再計算されないので、必然的に還付金を受け取れなくなってしまう。

また、医療費控除や住宅ローン控除(初年度)の適用を受ける場合は、年末調整・確定申告の両方が必要になる点も理解しておきたい。これらの控除制度の還付申告は、確定申告でしか手続きができない決まりとなっている。つまり、このケースに該当する個人が確定申告を怠ると、医療費控除もしくは住宅ローン控除分の還付金を受けられなくなるのだ。

還付申告には一定の猶予(※後述で詳しく解説)があるものの、あまりにも遅れると申告内容を忘れてしまうなどの弊害が生じるため、基本的にはその年の年末調整、または翌年の確定申告できちんと還付申告を済ませることが望ましい。

還付金を受け取るための手続きとは?受け取り方もチェック

還付金の手続きや受け取り方は、年末調整・確定申告のどちらで還付申告を済ませるのかによって若干変わってくる。

年末調整で還付申告をする場合は、申告書に本人や家族、適用される控除に関する情報などを記載して会社に提出する。その記載内容をチェックした会社側が、給与と一緒に還付金を振り込む流れが一般的だ。なお、還付金の支払い方については特にルールは設けられておらず、なかには手渡しで還付する企業も見受けられる。

次に、確定申告で還付を受けるケースでは、申告書に還付金の受け取り方を記載する必要がある。たとえば、預貯金口座に振り込んでもらいたい場合は、申告書の「還付される税金の受取場所」の欄に申告者本人名義の金融機関名や、預貯金の種別および口座番号を記載する。一方で、ゆうちょ銀行や郵便局窓口での受け取りを希望する場合は、受け取りを希望する郵便局名等を記載しなければならない。

つまり、確定申告によって還付申告を済ませると、会社ではなく国(管轄の税務署)から還付金が支払われる形となるので、年末調整との違いは正しく理解しておこう。

還付金はいつ受け取れる?年末調整・確定申告、それぞれの受け取り時期

年末調整・確定申告のどちらで還付申告をするのかによって、実は還付金の「受け取り時期」も変わってくる。還付金はときに高額にのぼることがあるので、できれば受け取り時期についてもしっかりと把握しておきたい。

そこで以下では、「年末調整」と「確定申告」の2パターンに分けて還付金の受け取り時期をまとめた。

年末調整で還付申告をした場合

年末調整で還付申告をした場合は、早ければ12月中、遅ければ翌年の2月に還付金が支払われる。受け取り時期(※会社側から見た支払い時期)に関するルールは特に設けられていないが、会社側は翌年1月31日までに源泉徴収票や給与支払報告書などの書類を役所等へ提出しなければならない。

ちなみに、還付金の受け取り時期に差が生じている理由は、企業によって年末調整の完了時期が異なるためだ。たとえば、従業員数が少ない影響で年末調整の事務処理が早く完了した企業では、申告書の提出から短期間で還付金が支払われることもある。

なお、多くの企業では年内に業務を清算するために、年内最後の給与と一緒に還付金を支払っている。ただし、従業員の家族構成が変わった場合など、年末調整のやり直しが必要になるケースに関しては、1月以降に還付金を支給することが多い。

確定申告で還付申告をした場合

確定申告の場合は、還付申告の方法によって還付金の受け取り時期が変わるため注意が必要だ。

郵送もしくは持参によって申告書を提出するケースでは、提出から1ヶ月~1ヶ月半後に還付金が振り込まれる。一方で、e-Taxを利用して電子申告をすると、申告から3週間程度で還付金が振り込まれることが多い。

つまり、還付金の受け取りを急いでいる場合は、e-Taxによる電子申告を選ぶと効率的だ。ただし、e-Taxの利用時には、利用者識別番号の取得や電子証明書の取得が必要になるため、早めに準備に取りかかることを意識しておきたい。

有効期限はいつまで?還付金で注意しておきたい3つのポイント

ここまで紹介した以外にも、還付金に関してはいくつか注意しておきたいポイントがある。そこで以下では、還付金の有効期限や追加徴収など、納税者が特に注意しておきたいポイントをまとめた。

1.還付金の申告期限は5年以内

前述でも触れたように、還付申告には一定の猶予がある。そのため、翌年の確定申告を忘れても還付申告は可能だが、「申告期限から5年以内」に申請をしなければ過去分の還付金は受け取れない。

また、数年前の還付申告をする場合であっても、通常の確定申告と同様に領収書類が必要になる。心当たりがある方は、その当時の領収書類をきちんと整理した上で、早めに還付申告を済ませるようにしよう。

2.申告時の計算を間違えたら?期限内に「更正の請求」を

年末調整や確定申告の計算を間違えたときには、「更生の請求」の手続きをすれば支払い過ぎた税金を取り戻すことができる。ただし、更生の請求にも期限があり、原則として申告期限から5年以内に手続きを済ませなければならない。

ちなみに、「法人税にかかる純損失等の金額」に関して更生の請求をしたい場合には、申告期限から9年以内が期限となる。なお、個人・法人のいずれのケースでも、更生の請求をすると税務署に申告内容を調査されることになるため、領収書や証明書類などはきちんと用意しておくことが重要だ。

3.年末調整や確定申告の結果、追加徴収を受けるケースも

前述でも軽く触れたが、年末調整や確定申告を済ませたからと言って、必ずしも還付金を受け取れるとは限らない。税金の支払い過ぎが発生するのと同様に、ケースによっては支払い不足が生じることもあるので、なかには追加徴収を受ける納税者も見受けられる。

たとえば、年末のボーナスが想定よりも多く、毎月の源泉徴収だけでは所得税等を徴収できなくなった場合には、年末調整の段階で会社から追加徴収が実施される。また、年内に扶養家族が減ったなど、これまで適用されていた控除を受けられなくなった場合にも、その個人は追加徴収を受ける可能性がある。

「追加徴収」と聞くと損をするように見えるかもしれないが、もともと追加徴収分の税金は納税者が支払うべきものだ。つまり、還付金・追加徴収のどちらが発生する場合であっても、それは納税者の税金を適正に計算した結果であるため、追加徴収によって納税者が損をすることはない。

しかし、企業側の立場から見ると、特に年末調整後の追加徴収は従業員からのクレームにつながる恐れがある。「還付金を受け取れるはず」と期待している従業員も多いため、追加徴収が発生する場合にはしっかりと経緯を説明し、従業員に納得してもらった上で対応を進めていきたい。

過去の申告内容を見直せば、還付金を受け取れる可能性が

なかには追加徴収が発生するケースもあるが、基本的には経営者・従業員ともに還付金を受け取れるケースが多い。ただし、適正な額の還付金を受け取るには、年末調整や確定申告でしっかりと手続きを済ませることが必要だ。

また、還付金は過去5年間まで遡って請求することが可能であり、更生の請求を利用すれば過去の申告内容も修正できる。正しい手続きを踏めば、高額な還付金を受け取れる可能性もあるため、思い当たりのある方は過去の申告内容を見直してみよう。

文・BUSINESS OWNER LOUNGE編集部