経営者はいろんな場面で「成功者」として見られる。また、事業を経営していると、いろいろな話が飛び込んでくる。もしかするとその中に、経営者を狙う「詐欺」があるかもしれない。経営者を狙う詐欺にはどのようなものがあるのか。昔からあるケースから、最新の事例まで、経営者をターゲットにする「詐欺」について解説する。

目次

  1. 経営者は詐欺のターゲットになりやすい?
  2. 戦後からある経営者向けの詐欺「M資金」とは?
  3. 新型コロナで助成金詐欺が横行?
  4. 詐欺にあわないための心構えとは?
    1. 信頼できる相談相手を見つける
    2. おいしい話はない、と理解する
  5. 経営者は「詐欺にあいやすい」と理解し、注意していこう

経営者は詐欺のターゲットになりやすい?

経営者は詐欺のターゲットになりやすい?新型コロナで横行する助成金詐欺とは
(画像=photobyphotoboy/stock.adobe.com)

現代社会において、最も多い犯罪の一つが「詐欺」だ。実際、2019年においても16000件以上、金額にして300億円以上の詐欺事件が起きている。人の心につけ込む犯罪は、決してなくなることがないだろう。

詐欺の被害者の多くは高齢者だが、経営者も高齢者同様、詐欺のターゲットになりやすい。その大きな理由の1つが、経営者は「成功者」として見られることが挙げられる。成功者、つまり財産を持っている者を詐欺師はターゲットにする。さらに経営者は、いろいろな種類の新しい情報が入ってきて、それを判断するのが仕事だ。詐欺師からみれば、詐欺の情報を提供しやすい、格好のターゲットといえるだろう。この点からも、経営者は、詐欺のターゲットになりやすいのだ。

戦後からある経営者向けの詐欺「M資金」とは?

では、経営者を狙う詐欺には、一体どのようなものがあるのだろうか。最も有名なものは、「M資金詐欺」だろう。

M資金詐欺とは、「M資金」と呼ばれる、終戦後、連合国軍最高司令官総司令部が占領下の日本から財宝や資産を接収し、その一部を今でも極秘に運用しているといわれる秘密資金を使った詐欺を指す。その資金を融資・提供する代わりに念書などを書かせ、仲介手数料として数億円をだまし取るというのがその手口だ。

古くは1970年に、航空会社の社長が被害にあったと報じられた。その後も、さまざまな経営者や芸能人などがM資金の詐欺の被害にあったと言われている。最近では、2020年の6月に、M資金詐欺を持ち掛けた疑いで逮捕者が出るなど、戦後70年以上たってもなくならない詐欺だ。

アポなしで直接訪問し、「選ばれた人間にしかできない話のため、他言無用」「最終的には金融庁が審査をする」「親子〇代にわたって免税される」など甘い言葉でだますケースが多いそうだ。はたから見ればいかにも怪しいと思うかもしれないが、経営者の自尊心をうまくくすぐるため、令和の時代になってもだまされる人がいるのだろう。

新型コロナで助成金詐欺が横行?

他の手口として多いのが、助成金や給付金を狙った詐欺だ。助成金や給付金については種類が多く、経営者がすべて把握するのは難しい。そのような制度を悪用する詐欺師も多い。

このコロナで一躍有名になったのは、給付金詐欺だろう。新型コロナの持続化給付金を不正に獲得しようとして、多くの人が逮捕されている。中には約100件もの不正受給に関わった詐欺師もいるようだ。他にも、雇用関連の助成金を不正に獲得しようとした疑いで、労働局に公表されるという案件は、毎年のように起きている。

助成金や給付金の場合、経営者が直接お金を取られることはない。しかし、安易にコンサルタントと呼ばれる人の提案を受け、詐欺の片棒を担いでしまう可能性もある。最悪の場合、経営者が逮捕されるケースもあるだろう。経営者向けの助成金や給付金にはさまざまな種類があるため、このような詐欺も起きやすいのだ。

詐欺にあわないための心構えとは?

では、これらの詐欺にあわないためには、どのような対策をとればいいのだろうか。

信頼できる相談相手を見つける

まず1つ目は、信頼できる相談相手を見つけておくことだろう。高齢者が詐欺にあいやすい要因の一つとして、「自信過剰バイアス」がある。つまり、自分は詐欺にあうわけがない、と思っており、逆にそれにつけ込まれて被害者になるケースが多いようだ。

経営者に関しても同じである。成功した経営者は、えてして自信過剰になりがちだ。よくわからない話を持ちかけられたとき、深く考えずに「自分は大丈夫」と過信してしまう。これが最も危険だ。

このような状況で最も大事なのが、信頼できる人に相談することだ。普段から何でも話せる相談相手を見つけておくとよい。時に厳しい意見をくれる人のほうがなおよいだろう。少しでもわからないことがあったときに、冷静な意見を聞くことで、自身もいったん頭を冷やすことができるのだ。

おいしい話はない、と理解する

もう一つは、「おいしい話はやってこない」と自分に言い聞かせることだろう。人間には、損失回避バイアスというものがあり、損失を回避するような行動をとってしまうと言われている。詐欺の中には、この損失回避バイアスをうまく活用したものも多い。これを理解したうえで、「おいしい話には乗らない」というルールを持っておけば、詐欺にあうケースも減るだろう。

経営者は「詐欺にあいやすい」と理解し、注意していこう

経営者は、成功者として見られることも多く、そのため、有象無象の話が舞い込んでくる。もちろんその中には、上記のような詐欺の話も多くあるだろう。自分は安全という思い込みを捨て、経営者は詐欺にあいやすいものと理解することがまず重要だ。そのうえで、何かあれば相談できるパートナーを見つけておくなど、対策をとっていくのが良いだろう。

文・BUSINESS OWNER LOUNGE編集部