ECサイトやSNSなど、多くの販売手法が乱立する時代となった。自社に合った販売手法を選び、効率的な販売を実現するために、経営者が押さえておくべきことは何か。この記事では、販売戦略を立てる際に役立つフレームワーク、今の時代に網羅しておきたい販売手法、販売活動に役立つツールを紹介する。

目次

  1. 販売戦略とは?
  2. 販売戦略で活かせる3つのフレームワーク
    1. 1. 3C分析
    2. 2. SWOT分析
    3. 3. VRIO分析
  3. すぐに取り組める!販売手法6つ
    1. 1.ネットショッピングを活用する
    2. 2.口コミ情報を充実させる
    3. 3.他サイトで広告を掲載する
    4. 4.ダイレクトメールやチラシを送る
    5. 5.取引先や知人から紹介をもらう
    6. 6.セミナーや勉強会を開催する
  4. 最適な販売手法の選ぶときの3つの視点
    1. 1. ターゲットとなる顧客を考える|新規or既存
    2. 2. 自社商品の特性を考える|オンラインorオフライン
    3. 3. 予算と販売効率を考える
  5. 販売手法の幅を広げるために使えるツール
    1. 1.DSP
    2. 2.ターゲティング広告
  6. ツールを活用し、スマートな販売を

販売戦略とは?

販売手法には何がある?6つの販売手法と販売戦略の考え方
(画像=William W. Potter/stock.adobe.com)

販売とは、対価を得て商品・サービスを顧客に提供することだ。販売は企業と顧客をつなぐ活動であり、どのように販売活動を行うかは企業の売上や利益に直結する。

販売戦略とは、効果的に商品・サービスを顧客に届けるために、企業が立てる計画や方策のことだ。

無限にニーズのあるマーケットが広がっていたり、同様の商品・サービスを提供する競合が一つもなかったりすれば、戦略などなくても販売が成立するかもしれない。しかし、現実はそうではない。

マーケットのニーズは有限で、時代によっても変遷していく。また、多くの競合他社としのぎを削り、商品・サービスを顧客に届けなければならない。

マーケットのニーズを正しく把握し、競合他社とは異なる自社の強みを見つけ、顧客に商品・サービスを届ける。そのためには、販売戦略を立てることこそが重要なのだ。

販売戦略で活かせる3つのフレームワーク

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販売戦略を立てようと思っても、まず何から始めたらいいかわからないという経営者は多いだろう。続いては、販売戦略を立てる上で活用できる3つのフレームワークを紹介する。

どれも有名なフレームワークだが、実際に自社に当てはめて考えてみたことのある経営者は少ないのではないだろうか。具体的なやり方を紹介するので、ぜひ活用してみてほしい。

1. 3C分析

3C分析とは、Company(自社) ・Competitor(競合)・Customer(顧客)をそれぞれ分析するためのフレームワークだ。

分析の例をいくつか下記に記した。自社の状況を3つの視点からとらえ直すことで、自社がとるべき販売戦略が見えてくるかもしれない。

Customer(顧客) ・顧客のニーズは? ・地域の人口動態は? ・市場の成長性は? ・顧客はどのように商品・サービスの情報収集をしているか?

Competitor(競合) ・競合の商品・サービスの特徴は? ・競合のシェアは? ・競合の成長性は? ・新規参入の可能性は?

Company(自社) ・自社の商品・サービスの強みは? ・外部からの評価は? ・ヒト・モノ・カネ・情報といった経営資源は豊富か? ・財務状況は?

2. SWOT分析

SWOT(スウォット)分析は、内部・外部環境、プラス・マイナス要素という軸で情報を整理するフレームワークだ。

次のような表をもとに、強み・弱み・機会・脅威を洗い出す。

プラス要因 マイナス要因
内部環境 強み 弱み
外部環境 機会 脅威

それぞれ、例を記載する。

強み:地域に根差したロングセラー商品がある。 弱み:新商品を開発してもヒット商品が出ない。 機会:商品に注目が集まる社会的出来事があった。 脅威:働き手の減少。

すべて書き出したら、続いてクロスSWOT分析に移る。

強み 弱み
機会 積極戦略 改善戦略
脅威 差別化戦略 回避戦略

先ほどの例をもとにすると、下記の通りだ。

積極戦略(強み×機会)……SNSを使ってロングセラー商品の認知度を高める。 改善戦略(弱み×機会)……新商品をロングセラー商品とセット販売する。 差別化戦略(強み×脅威)……ロングセラー商品は人手を介さない広告活動に切り替えていく。 回避戦略(弱み×脅威)……人手を割いて開発するのは休止し、新商品の認知度向上に努める。

3. VRIO分析

VRIO(ブリオ)分析とは、自社の持つ経営資源にフォーカスし、競争優位性を明らかにするフレームワークだ。分析する前に、まずは自社の経営資源を洗い出す。続いて、4つの視点で順番に分析していく。

  1. Value(経済価値)……その経営資源があることで、企業の売上が増えているか。
  2. Rarity(希少性)……その経営資源は、業界で希少性があるか。
  3. Imitability(模倣可能性)……その経営資源は、模倣される可能性があるか。
  4. Organization(組織)……その経営資源を活用できる組織力があるか。

分析の流れと、競争優位性の判断は下記の通りだ。

Value(経済価値) Rarity(希少性) Imitability(模倣可能性) Organization(組織) 競争優位性
NO 競争劣位
YES NO 競争均衡
YES YES NO 一時的な競争優位
YES YES YES NO 持続的な競争優位
YES YES YES YES 経営資源の最大活用

すぐに取り組める!販売手法6つ

フレームワークを活用して販売戦略の大枠が見えてきたら、販売手法の検討に移る。販売手法とは、販売戦略に沿って販売を促進するための具体的な方法のことだ。

ここでは、令和の時代に注目しておきたい販売手法を6つ紹介する。

1.ネットショッピングを活用する

新型コロナウイルスの影響で、ネットショッピングの需要が急速に高まっている。商品・サービスを販売する上で、インターネットを通じた導線は早急に整備しておきたい。

ネットショッピングを活用することで、国内の需要だけでなく、海外の需要を取り込める可能性もある。

ネットショッピングを活用する方法には、Amazonや楽天などのモール型ECを活用する方法と、自社で独自のECサイトを作る方法がある。

前者は手軽で集客も比較的容易だが、出店には手数料がかかる。また、価格競争が起きやすく、ブランディングも難しい。

後者は手数料がかからないことから利益率が高く、ブランディングや販売情報の分析も可能だ。一方で、集客が難しい、成果が出るまでに一定の期間を要するといった課題がある。

2.口コミ情報を充実させる

店頭で商品を手に取ってすぐに購入するという人は減ってきている。

最近では、SNSやクチコミサイトで情報収集し、目星をつけた上で店舗に向かう人がほとんどだ。そのため、オンラインに利用者の口コミをのせる工夫は、販売において欠かせないポイントだ。

自社でSNSを運営し、コメント欄を通じて顧客と交流すれば、購入を検討している人にとっては口コミ情報となる可能性が高い。

また、大手口コミサイトなどがある場合、口コミを書いてくれた人にお礼をするといったキャンペーンを実施するのも効果的だ。

3.他サイトで広告を掲載する

自社サイトでいくら商品・サービスについて詳しく解説したとしても、そもそも自社サイトにたどり着いた人にしか情報を届けられないことになる。

そのため、有名サイトに広告を掲載したり、タイアップ記事を作成したりといった方法を組み合わせていく必要がある。

こういった他サイトでの広告によって、商品・サービスを認知していなかった人が顧客となる可能性が高まるだろう。

4.ダイレクトメールやチラシを送る

人間は、繰り返し情報にふれることで、自然と好意が増していくことがわかっている。

そのため、ダイレクトメールやチラシを活用して、定期的に情報に触れる機会を作ることは非常に重要だ。何度も目にするうちに、親しみがわき、ふとした瞬間に購買行動へとつながるだろう。

5.取引先や知人から紹介をもらう

第三者からの紹介は、口コミ以上に強力だ。相手も紹介者の顔を立てたい心理が働くことから、一般的な営業活動よりも販売が成功する可能性が高くなる。一方で、紹介者が紹介したくなるだけの商品・サービスを提供する必要がある。

大切なのは、何が紹介につながるかわからないという意識で、取引先や知人に対して誠実に接することだ。また、本人が自社の商品・サービスに誇りを持つことで、それが自然と相手に伝わり、紹介につながるという可能性もある。

社員が自社の商品・サービスに誇りを持てるような社内教育も重要だろう。

6.セミナーや勉強会を開催する

商品・サービスをアピールできる機会を作りたいなら、セミナーや勉強会が効果的だ。セミナーや勉強会自体は無料にするか、数千円程度の料金設定でかまわない。

大切なのは、参加者の満足度を高め、自社の商品・サービスを知ってもらい、セミナーや勉強会後の無料相談につなげることだ。

セミナーや勉強会を受けた直後の参加者は、商品・サービスの魅力や意義を十分に理解し、購買意欲が高まった状態だ。この機会を逃さずに営業することで、販売にいたるケースは多い。

最適な販売手法の選ぶときの3つの視点

6つの販売手法を紹介したが、自社にどの手法が合っているかわからないということもあるだろう。続いて、販売手法を選ぶときの視点を紹介していく。

1. ターゲットとなる顧客を考える|新規or既存

まず、ターゲットとなる顧客が新規顧客か既存顧客かを明らかにしよう。

新規顧客をターゲットにするなら、モール型ECや他サイトの広告、セミナーや勉強会が効果的だ。商品によっては、これらの販売手法で接点を持った上で、ダイレクトメールやチラシを定期的に送り、関係性づくりに努めることも重要になる。

既存顧客をターゲットにするなら、自社のECサイトを見やすくしたり、SNSで商品・サービスの情報を定期的に更新したりすることが大切だ。

2. 自社商品の特性を考える|オンラインorオフライン

商品によって、オンライン・オフラインをどのように取り入れるべきかは異なる。

例えば住宅などの高額商品なら、きっかけがオンラインだったとしても、オフラインで実際に対面した上で意思決定したいと考える人がほとんどだろう。逆にインテリア小物なら、オンラインで完結することを望む人が多いかもしれない。

一般的に価格が高かったり、身につけるものだったり、人と人の相性が重要だったりすると、どこかでオフラインにつなげることが望ましい。

逆に価格が安かったり、ビジュアルが重要だったりすると、オンラインで完結するほうが顧客にとっても購入しやすくなるだろう。

3. 予算と販売効率を考える

販売手法を選ぶ上で、費用対効果の視点も避けては通れない。

SNSは初期費用こそかからないが、運用に人手を要することから人件費がかかるかもしれない。逆に自社のECサイトを作ると、初期コストは発生するが、その後はある程度自動化して運用していけるかもしれない。

ダイレクトメールとチラシなら、前者のほうがコストはかからない。ただし、ターゲットとなる顧客の年齢や販売する商品の特性によっては、チラシのほうが反応率がいい可能性もある。

さまざまな側面から販売効率を考え、予算も踏まえて販売手法を選ぶことが大切だ。

販売手法の幅を広げるために使えるツール

販売活動を促進するには、複数の販売手法を組み合わせることが大切だ。続いては、販売手法の幅を広げていく上で活用できるツールを2つ紹介する。

1.DSP

DSPとは、インターネット広告の一種で、DSP(Demand Side Platform)を通じて配信されるディスプレイ広告のことを指す。広告主が獲得したい属性のターゲットユーザーに対して、リアルタイムで広告枠の入札を行うことができるのが特徴だ。

属性を絞らず掲出するアドネットワークとは対照的で、狭く属性の高いユーザーにアプローチしたい場合に向いている。様々な企業によって提供されているが、ADMATRIX DSP(アドマトリックス)やMicroAd BLADE(ブレード)などが主要なサービス提供元だ。

インターネットにおける認知度向上を図りたいが、何から手をつけるべきかわからない人や、きちんとデータに基づいた広告運用を行い効果検証も行いたい人に適している。

2.ターゲティング広告

ターゲティング広告とはユーザーやコンテンツの情報を分析して、ユーザーにとって適切と思われる広告を配信するものだ。性別・年代・住所やサイト閲覧履歴等を組み合わせ、希望する条件でターゲットをセグメントしてアプローチできる。

ユーザーが今ほしいものや興味関心の高い分野の広告が配信されるため、高い訴求効果を特徴としており、商品・サービスに対する顧客の理解度を深め、販売へとつないでいく効果がある。

ツールを活用し、スマートな販売を

販売戦略を考える上で役立つフレームワークや、今の時代に押さえておきたい販売手法、販売活動に役立つツールを紹介した。

まずはフレームワークを活用して自社を客観的に分析し、販売戦略を練った上で、効果的な販売手法を組み合わせながら販売活動を行うようにしたい。

今は販売手法が多様化する時代だ。ツールを活用し、必要な部分は外注することで、スマートな販売活動を行えるだろう。

文・木崎涼(ファイナンシャルプランナー)