ビジネスの成長を加速させるには、従業員の貢献やモチベーションが不可欠である。モチベーションを引き出すには、福利厚生を充実させることも有効な手段の一つだ。今回の記事では、人気がある福利厚生の制度や福利厚生の制度を導入するポイントを徹底解説していく。

目次

  1. 福利厚生とは?
    1. 福利厚生の種類(法定と法定外)
    2. 福利厚生を導入するメリット
    3. 福利厚生を導入する際の注意点は?
  2. 福利厚生の人気ランキングTOP5
    1. 1位:食堂、昼食補助
    2. 2位:住宅手当・家賃補助
    3. 3位:余暇施設やレジャー施設などの割引制度
    4. 4位:財形貯蓄制度
    5. 5位:法定外の健康診断
  3. 福利厚生の制度を導入する3つのポイント
    1. 従業員の希望を聞いたうえで行う
    2. 費用対効果を考える
    3. アウトソーシングを有効活用する
  4. 事前に従業員の意見を聞いて導入を

福利厚生とは?

>>会員登録して限定記事・イベントを確認する

福利厚生ではどんな制度が人気?ランキングと導入のポイントも解説!
(画像=dzmitrock87/stock.adobe.com)

福利厚生とは、企業が従業員に対して与える給与・賞与以外の報酬やサービスである。この章では福利厚生の種類や導入するうえで知っておくべきメリットとデメリットを確認しておこう。

福利厚生の種類(法定と法定外)

福利厚生は、大きく「法定福利厚生」と「法定外福利厚生」の2種類に大別される。

・法定福利厚生 法定福利厚生とは、法律で導入が義務付けられている福利厚生だ。導入しないと法律違反となるため、基本的にはどの企業でも法定福利厚生を受けられる。

法定福利厚生には、社会保険3種(健康保険、介護保険、厚生年金保険)や労働保険2種(雇用保険、労災保険)、子ども・子育て拠出金を含めるのが一般的だ。

・法定外福利厚生 法定外福利厚生とは、企業が任意で導入する福利厚生である。法律で義務付けられたものでないため、「どの制度を導入するか」「全く導入しない」といったことも企業の自由だ。

法定福利厚生は導入が必須であるため、企業によって差は生じない。福利厚生の充実度で差別化を図るには、いかに人気の法定外福利厚生を導入できるかが重要となるだろう。

福利厚生を導入するメリット

福利厚生の導入では主に3つのメリットが期待できる。

・従業員の満足度やモチベーションの向上 1つ目のメリットは従業員の満足度やモチベーションの向上である。社員にとってうれしい人気の福利厚生を導入すれば、その会社で働くことに対する満足度を高められる。また、快適な環境で働けることでモチベーションの向上にもつながるだろう。

満足度やモチベーションが向上すれば従業員一人ひとりのパフォーマンスが高まり、結果的に業績アップにもつながり得る。

・企業イメージの向上 2つ目のメリットは、企業イメージの向上だ。福利厚生の制度を導入している企業は、「従業員を大事にしている会社」というイメージを外部に対して発信できる。社外の人が持つイメージが良くなることで取引先との商談で有利になったり、優秀な人材の獲得にもつながったりしやすくなる。

・従業員の健康を維持できる 3つ目のメリットは、従業員の健康を維持できる点だ。健康に関する福利厚生の制度(健康診断など)を導入すれば、従業員の健康を定期的にチェックでき、問題があれば早期に対処できるようになる。常に従業員の健康を管理することで、突然の疾病で休職や退職されてしまい、事業運営に支障が出る事態を防げるだろう。

福利厚生を導入する際の注意点は?

メリットの多い福利厚生の制度だが、一方でいくつかのデメリット(注意点)もある。最大のデメリットは、なんと言っても費用が余分にかかる点だ。

制度によって差はあるものの福利厚生を導入すると本来従業員が支払う費用を会社が負担することになる。そのため導入しない場合と比べて多額の費用が発生し資金繰りを悪化させる可能性があることはリスクだ。

また、一度導入すると制度を廃止しにくい点も福利厚生を導入するにあたっては注意すべき点である。例えば、住宅補助や昼食補助などの人気の福利厚生を廃止すると、従業員とその家族の家計や生活プランを大きく狂わせかねない。

万が一廃止すると大きな反発を招きかねないため、資金繰りの悪化等の理由があるとしても急には廃止しにくいだろう。

福利厚生の人気ランキングTOP5

>>会員登録して限定記事・イベントを確認する

法定外福利厚生にはさまざまな制度があり、絶大な人気を集めるものもあればコストがかかるわりに歓迎されないものもある。少ないコストで最大限のメリットを得るには、人気の福利厚生を導入することが重要だ。

どのような福利厚生が人気かを把握するには、人材サービス業を営むマンパワーグループが2015年4月に公開したアンケート結果が参考となる。

同社では、過去・現在において仕事をしたことがある972人(18~60歳の男女)を対象に「実際にあった福利厚生でよかったと思うもの」についてのアンケート調査を実施した。アンケートの結果、実際にあった福利厚生で良かったものの上位5つは以下の通りだ。

1位:食堂、昼食補助

実際にあった福利厚生として最も回答数が多かったのは「食堂、昼食補助(17.1%)」であった。具体的には、比較的安い値段でおいしい食事を楽しめる「社員食堂」を導入したり昼食代の一部を補助したりする施策などが該当する。

従業員にとって毎回の昼食代は、生活費を圧迫する大きな要因の一つとなり得るだろう。そんな昼食代の負担を軽減でき、かつおいしい食事を外出せずに食べられる点が絶大な人気を集めていると考えられる。

2位:住宅手当・家賃補助

福利厚生の人気ランキング第2位は、「住宅手当・家賃補助(16.7%)」だ。家賃や住宅ローンの一部を補助する施策や社宅を安い家賃で提供する施策などが該当する。住まいには毎月必ず数万円以上もの費用がかかるため、従業員にとっては非常に重い負担となる。家賃や住宅ローンを1〜3割負担するだけでも従業員は数万円の出費を減らせる。

家計の大幅な負担軽減につながるからこそ住まいに関する福利厚生は人気が高いと言える。

3位:余暇施設やレジャー施設などの割引制度

福利厚生の人気ランキング第3位は、「余暇施設、宿泊施設・レジャー施設などの割引制度(14.5%)」である。宿泊施設やテーマパーク、スポーツジムなどと契約し従業員が通常よりも安い値段で利用できるようにする施策だ。

食事や住まいに関する福利厚生と比べると、生活に必須でないため重要度は低い。ただし、近年は休暇の過ごし方を重視する従業員が、若い世代を中心に増えている。そういった時代背景を考慮すると、今後ますます人気が高まる可能性があるだろう。

4位:財形貯蓄制度

財形貯蓄制度が人気の福利厚生ランキングの第4位となった。財形貯蓄制度とは、企業が従業員の貯蓄をサポートする制度だ。貯蓄の目的が指定されていない「一般財形貯蓄」や老後の生活資金を貯める目的で行う「財形年金貯蓄」、住まいに必要な資金を貯める目的で行う「財形住宅貯蓄」の3種類に大別される。

一般的には、従業員の給与から貯蓄したい金額を天引きする形で行う。住宅の購入や出産などのライフイベントに備えて確実に貯蓄できる点が人気の理由と言えるだろう。

5位:法定外の健康診断

実際にあった福利厚生として良かったものとして5番目に多かったのは「法定外の健康診断」だ。企業が義務として行う定期的な健康診断とは別に、より検査内容が充実した健康診断を社員に受けてもらう福利厚生の施策である。

近年は健康を意識する人が増えているため、数ある福利厚生の中でも人気度が上昇傾向だ。ただし一人ひとりの健康診断の費用を肩代わりするため、他の福利厚生と比べてコストがかかる点がデメリットである。

※1福利厚生の人気は「住宅手当・家賃補助」48.3%、「食堂、昼食補助」33.9% マンパワーグループ

福利厚生の制度を導入する3つのポイント

福利厚生の制度を機能させるには、ただ単に制度を導入するだけでは不十分だ。福利厚生の制度で従業員のモチベーションを高めるには、以下の3つのポイントを踏まえて導入することが重要である。

従業員の希望を聞いたうえで行う

一般的に人気の福利厚生だからといって、自社の従業員からも人気を集めるとは限らない。なぜなら、従業員の家族構成や年齢、ライフスタイルなどにより需要のある福利厚生は異なるからだ。

そのため、前述したようなアンケートや口コミは参考程度に留め、必ず自社の従業員から希望を聞き、最も多くの従業員から人気がある福利厚生を導入するのがベストである。思いこみや世間の一般的な人気を真に受けると導入効果が低く、費用が無駄になる場合もあるため、注意が必要だ。

費用対効果を考える

人気のある福利厚生を導入しても、多額の費用がかかって資金繰りが悪化しては元も子もない。福利厚生を導入する際には、費用対効果の高い施策かどうかを検討することが重要だ。

簡単な例だが、従業員のモチベーションを2倍にできる施策が2種類ある場合、より少ないコストで実施できる福利厚生を選ぶべきである。

また、従業員のモチベーションを2倍にできても、高コストで資金繰りが悪化するような福利厚生は導入すべきではない。福利厚生は長期的に行う施策であるため、コストと効果のバランスは慎重に検討すべきである。

アウトソーシングを有効活用する

アウトソーシングの有効活用も、人気が高い福利厚生を導入するうえでは不可欠の考え方だ。自社で福利厚生を導入するとコストだけでなく労力や人員も必要となる。外部の業者が提供するサービスを利用すればあまり労力や人員をかけずに質の高い福利厚生を従業員に与えられる。

また、自社では実現困難な福利厚生を比較的少ないコストで実施できるため、費用対効果も高くなる傾向だ。

事前に従業員の意見を聞いて導入を

数ある福利厚生の中でも「食堂、昼食補助」や「住宅手当・家賃補助」など生活の負担を軽減できる制度が特に人気だ。しかし、従業員の年齢やライフスタイルなどによってどのような福利厚生を望んでいるかは異なる。そのため事前に従業員の意見を聞いたうえで福利厚生を導入することが大切だろう。

文・鈴木 裕太(中小企業診断士)