多くの経営者は多忙を極めており、一分一秒たりともムダに費やしたくないはずだ。一方で、人脈をさらに増やしてビジネスチャンスを広げていくことにも意欲的だろう。そういった観点から、経営者向け交流会を積極活用している人は少なくない。

経営者向け交流会とは?

経営者向け交流会の目的とは?その活用方法と注意点を解説
(画像=Pitchayaarch/stock.adobe.com)

経営者向け交流会は「経営者交流会」や「異業種交流会」とも呼ばれ、企業の社長や重役の社交場だ。たとえば、日本最初の社交クラブである交詢社は1880年(明治13年)に福澤諭吉によって設立されたもので、その成り立ちから慶応義塾関係の実業家が多い。もちろん、他校出身者でも会員になることは可能だ。今日も銀座の交詢社ビル内の専用ラウンジで活発な交流が行われている。

また、ビジネス誌や単行本の発行で知られるダイヤモンド社が1993年に創設したのが「ダイヤモンド経営者倶楽部」だ。次世代の日本経済のけん引役となる中堅・ベンチャー企業の経営者を多面的にサポートすることを目的に、600社を超える会員数を誇っている。毎月開催の定例会以外にも勉強会や新春賀詞交歓会、新会員懇談会、ゴルフコンペなどの企画が実施されている。

ただし、企業の経営者なら誰でも入会できるというわけではない。各々の会によって独自の入会基準が設けられており、そう簡単には参加できないケースもあるようだ。

経営者向け交流会に参加する目的とメリット

多くの企業オーナーが経営者向け交流会に求めているのは、異業種のビジネスを営んでいる人との出会いだ。同業者同士の集まりもあるが、競合関係にあるだけに腹の探り合いになりがちで、本音の語り合いは中々難しい。

その点、異業種の交流会に参加してくる経営者の多くは、自分が属する業界では得がたい情報を求めている。また、業種を問わず卓越した手腕を持つ経営者に出会って刺激を受けることで、自らを研鑽したいと考えている。

何度か顔を合わせるうちに意気投合して個別にも交際を重ね、唯一無二の友人となるケースも少なくない様子だ。さらに、出会うまではまったく気づかなかった新しいヒントをつかみ、実際にビジネスでもアライアンスを組むというパターンも出てきている。

また、出会ったのは経営者向け交流会だが、しばらくはビジネスの話に発展せず、もっぱら共通の趣味であるゴルフ仲間としての付き合いだったというケースも珍しくないようだ。ある日、いつものようにコースを回っているうちに新規ビジネスの話になり、「いっしょに取り組んでみようか?」という流れになったと語る経営者もいる。

会によって、参加者の顔ぶれには傾向が見られるようだ。たとえば、「アークヒルズクラブ」は名だたる企業の経営者や政財界の超大物などが会員名簿に名を連ねる組織で、東京・赤坂のアークヒルズ最上階にラウンジがある。満30歳以上の個人もしくは日本法人、組合、社団法人で、会員2名からの推薦を受けて審査にパスすることが入会条件となっている。

これに対し、「六本木ヒルズクラブ」はもっぱらIT企業などの若手経営者が集う会となっているようだ。そのほかにも、スタートアップの経営者が互いに情報を交換し合ったり、すでにIPO(株式新規公開)を果たしている経営者から教えを受けたりする会が催されている。

経営者向け交流会をうまく活用するには

「単なる名刺交換会にすぎず、世間話に終始して具体的な仕事に結びついたことがない」

経営者向け交流会に何度か参加した人がこのような不満を漏らすケースも見受けられる。そういった人たちは、こうした集いが商談会やある種のマッチングサービスだと取り違えている部分もあるだろう。

取引先や販売代理店の開拓など、目の前のビジネスに直結することを求めて参加しているという人は、まずいないと考えたほうが無難だ。名刺を交換してその場で話が盛り上がったからとしても、すぐさま相手から連絡が入って具体的な商談が進むという展開はまず期待しないほうがいい。

そもそも、いくら馬が合いそうだと思っても、出会ったばかりの人物にいきなり商談を持ちかけることは、かなりのレアケースだといえよう。あくまで経営者向け交流会での出会いは、新たな人脈作りの出発点にすぎない。

大量に配った名刺のごく一部だけが貴重な関係を育むきっかけとなってくる。こうしたことを念頭に置いた上で、自社製品・サービスの優位性よりも経営者としての自分の技量や気質をアピールすることに専念したほうがいいだろう。

これぞと思う相手と名刺を交わしたら、自分自身の人間性に興味を示してもらうように努めながら、少しずつ付き合いを深めていくわけだ。いわば経営者同士の面接試験のようなものなので、自分の長所や強みをさりげなくアピールできるようにあらかじめ頭の中で整理しておきたい。

もちろん、とにかく経営者向け交流会なら選り好みせず積極的に参加すればいいという話ではない。各々の会によって、参加者の顔ぶれにかなりの違いが見られる。

たとえば、前出のダイヤモンド経営者倶楽部は情報通信業や商業、不動産・建築業の経営を担っている人の参加が多く、それら3業種で過半数を占めている。設立年は10〜19年、資本金は1,000〜2,000万円、社員数は50〜100名、会員年齢は45〜49歳が中央値となっている。

まずは、交流会に集っている主な業種や活動の内容、特徴が自分自身の目的とマッチしているかどうかをきちんと見極めておくことが肝心だろう。

もしも、あなたが自分の興した事業を拡大するために、出資者を求めて交流会に参加したいと考えているなら、ストレートに起業家と投資家のマッチングを目的としている会に的を絞ればよい。そういった意味でも、集まりの趣旨や目的をしっかりと確認しておきたい。

経営者向け交流会に参加するときの注意

繰り返しになるが、経営者向け交流会は取引先や販売代理店の開拓といった営業(売り込み)の場ではない。自社の事業概要や製品・サービスについて簡潔にわかりやすく説明することも求められるが、それに終始するのではなく、最も訴求すべきは自分自身の人間性や器の大きさである。

無論、だからといって自分を露骨にアピールしすぎると、単なる自慢話と受け止められかねない。自分自身を売り込みつつも、あくまで自己紹介は簡潔にまとめ、嫌味のないように配慮すべきだ。

会話の端々に、「この人はなかなか……」と相手を感心させるような話をさりげなく盛り込むというテクニックも必要だろう。自分自身が「この人は切れ者ではないか?」と感じた相手に対しては、特に入念な心配りが求められる。

加えて、性急に結果を求めず、気長なスタンスで臨むことも肝要だ。「機が熟す」という言葉があるように、出会った時点では関係性に発展が見られず、それから何年も音沙汰がなかったにもかかわらず、急に連絡が来るというケースもある。

名刺を交換して談笑した際に、相手があなたのことに関心を抱いたものの、その際にはビジネスに直結するようなことは思いつかなかった。その後、目の前で新たな事業を立ち上げようとした際に、「そういえば、あのときの……」と思い出すというパターンだ。

一方で、こうした出会いの場においては「見切り」も重要となってくる。何度か参加しても顔ぶれに変化がなく、ほとんど進展性がうかがえない場合は、退会して別のところに籍を移すのも一考だろう。

積極的に大勢の経営者と言葉を交わせば盟友との出会いも

人を率いて事業の拡大を追求する上では、いくつもの困難と直面してそれを乗り越えていくことになる。そういった立場は共通しながらも、自分とは違う領域でビジネスを成功させている異業種の経営者は、様々な気づきを与えてくれることだろう。

経営者向け交流会を通じて、公私ともに深く関わり合う盟友と出会えたという人も、少なからず存在するはずだ。そういった貴重な巡り合わせが現実となるためにも、積極的に集まりに参加し、とにかく大勢の経営者と言葉を交わすことが大事だ。

文・大西洋平(ジャーナリスト)