経費削減とは文字通り、必要な費用を減らすことである。少しでも多くの利益を残したい経営者にとって、非常に重要なテーマだ。

目次

  1. 経費削減を行う際の大前提
    1. 経費削減の目的は利益を増加させること
    2. 利益に悪影響を与える経費削減策は本末転倒
  2. 効果的な経費削減・節減方法のアイデアは大きく2つ
    1. 1.一度変えれば効果絶大な抜本的経費削減策
    2. 2.現場で小さな努力を積み重ねる経費節減策
  3. やってはいけない!3つの経費削減方法
    1. 1.従業員のモチベーション低下につながる経費削減策
    2. 2.商品・サービスの品質低下につながる経費削減策
    3. 3.社会的信用を失う経費削減策
  4. 経費削減は経営者と従業員の二人三脚で!

経営者の中には、経費削減のためにいろいろと工夫している方も多いことだろう。しかし、厳しい経費節減に走りすぎて従業員の心が折れてしまったり、業務が上手く回らなくなってしまったりといった経験はないだろうか。

ここでは、そのような失敗をすることなく効果的に経費削減を行いたい方のために、経費削減の前提となる考え方から具体的な経費削減策のアイデアまでをご紹介する。

経費削減を行う際の大前提

経費削減を成功させるには?重要ポイントと効果的なアイデア
(画像=hakinmhan/stock.adobe.com)

経費削減をやみくもに行っても失敗するだけだ。経費削減を成功させるためには、前提として持っておくべき心構えがある。

経費削減の目的は利益を増加させること

経費削減を行う際に忘れてはならないのは、「経費削減はあくまで手段」ということだ。その目的は、「利益の増加」である。

利益とは、売上から費用を差し引いて残った金額のことだ。利益を増やすための方法としては、売上拡大と経費削減の2つの方向性がある。しかし、売上拡大は時間がかかったり、外部要因に大きく左右されて計画通りにはいかなかったりする場合が多い。

それに比べて、経費削減は短期間でより確実に効果を出すことができるため、経費削減を図るというわけだ。

利益に悪影響を与える経費削減策は本末転倒

経費削減を図るといっても、それ自体が目的化してしまうと、商品やサービスの質が低下するなどして売上が圧迫され、利益が減りかねない。それでは何のために経費削減に励んでいるのか、わからない状態である。

経費削減策を実行に移す前には、「本当に利益の増加に繋がるのか?」という観点でチェックすることが重要だ。

効果的な経費削減・節減方法のアイデアは大きく2つ

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それでは、具体的な経費削減策を見ていこう。ここでは、経費削減策を大きく2つに分類して考える。1つは経営的判断で固定費を大きく削る抜本的な経費削減策、もう1つは現場でコツコツと節約する経費節減策である。

前者は手っ取り早く大幅な経費削減が可能であり、多くの場合は効果も長期間にわたって続く。しかし、業務のプロセスや環境に影響を与えるため、リスクも大きい。

その一方で、後者は大きな経営判断を必要とせず、日々の業務の中で気軽に取り組み始めることができる方法である。しかし、多くの場合はある程度の手間や不便が伴い、従業員が一丸となって継続しなければ効果も薄い。

どちらにも一長一短があるので、一方に偏ることなく、両者を組み合わせて経費削減を図ることが重要だ。では、それぞれについて具体的に見ていく。

1.一度変えれば効果絶大な抜本的経費削減策

まずは経営的判断で固定費を大きく削る抜本的な経費削減策から考えていこう。

固定費とは、売上や生産量の変化にかかわらず一定の金額が生じる費用のことだ。具体的には、オフィスの家賃や人件費、水道光熱費などが挙げられる。

一定の金額を支払い続けるということは、一度削減してしまえば効果は絶大ということでもある。大きな経営判断が必要になってくるが、面倒がらずに検討してみよう。

具体的な検討項目には、例えば次のようなものがある。

・単純作業のアウトソーシングで人件費削減

一般的に、売上があってもなくても自社の社員には給与を支払うので、人件費は固定費である。これを変動費化することで、人件費を削減できる場合がある。

誰でもできる単純作業などに社員が従事しているのであれば、その作業を外注してみよう。 その業務が必要なくなった場合に社員を解雇することは難しいが、外注であれば簡単に止めることができる。

また、これにより社員の工数を付加価値の高い仕事に回すことができるようになるため、売上高の増加にもつながる。

・ITによる効率化で人件費削減

誰でもできる単純作業をシステムに任せることで、人件費を削減するという手もある。

デジタル複合機などの導入によるペーパーレス化も、印刷用紙代を節約できるだけでなく、生産性の向上による人件費の節約効果がある。

ただし、システムや電子機器への多額の投資が必要となることが多いので、長期的な投資対効果をしっかりと見極めたい。

・オフィスや店舗の周辺相場チェックで家賃削減

固定費の中でも家賃は、人件費に次いで大きくなりがちな項目である。

現在支払っている家賃が妥当な額なのかどうか、周辺の家賃相場を定期的にチェックしよう。その上で家賃が高すぎると判断したら、減額の交渉をしたり、場合によっては移転するといった選択肢がある。

・契約プランの変更で通信費削減

電話回線やインターネット回線といった、通信費の契約プランを見直してみよう。

契約当初とは会社の状況やプランの選択肢が変化していて、よりお得なプランが見つかるかもしれない。

・契約プランの変更で光熱費削減

2016年4月から電力が、2017年4月からは都市ガスが自由化されたことで、以前は地域ごとに決められていた電力会社やガス会社を選べるようになった。

各社は激しくなった競争に勝つために、お得なプランを出している。各社のプランを比較し、自社の状況に合ったものを選べば、光熱費が削減できる可能性は高い。

2.現場で小さな努力を積み重ねる経費節減策

コツコツと節約する経費節減策は、一見地味ではあるが、従業員一人一人が力を合わせれば大きな効果を発揮する。

経営者がリーダーシップをとり、協力してくれる従業員への感謝を忘れずに取り組むことが重要だ。

経費節減の具体的な方法を見てみよう。

・最短経路のチェックで交通費節減

従業員の交通費は、本人からの申請に基づいて支給している場合が多いだろう。

交通費を削減するためには、申請されたルートが本当に最短・最安なのか、チェックしてみると良い。遠回りなルートで無駄な交通費が発生しているのであれば、最短ルートに変更してもらおう。

トラブルを避けるために、あらかじめ「最短経路の交通費を支給する」というルールを従業員に周知しておくことをお勧めする。

・接待の必要性検討で交際費節減

接待は取引先との関係を保つために会社として必要な場合も多いが、無駄遣いにもなりやすい。その接待が本当に必要なのか、毎回よく検討することが重要だ。

節税の観点からも、交際費を節約する意義は大きい。法人の場合、接待飲食費の損金算入には制限がある(租税特別措置法第64条の4)。中小企業であれば800万円を超える接待飲食費は50%のみ損金算入、大企業であれば接待飲食費の50%のみ損金算入とすることができる。

・省エネにつながる行動の呼びかけで水道光熱費節減

誰もいない会議室の電気を切る、水道水は節約して使う、退社時に電子機器のコンセントを抜くなど、従業員に水道光熱費の節減を呼びかけよう。

このとき、節約よりも「省エネ」や「エコ」を動機としてアピールした方が、従業員のやる気も出やすいだろう。

地球温暖化による災害の多発などにより、環境保全への関心が高まっている。そうした中、企業として環境に配慮した責任ある行動をとることの意義は理解されやすい。

環境にやさしい行動が、結果として水道光熱費の節減にもつながるというわけだ。   

やってはいけない!3つの経費削減方法

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繰り返しになるが、利益に悪影響を与える経費削減策は、本末転倒なので避けるべきである。

避けるべき経費削減策とは、具体的には従業員のモチベーション低下、商品・サービスの品質低下、そして社会的信用の喪失につながる経費削減策だ。

1.従業員のモチベーション低下につながる経費削減策

度を超えた経費節減を推し進めることでオフィスが快適さを失ったり、仕事がやりづらくなったりすれば、従業員のモチベーションは低下する。

例えば、空調にかかる光熱費を節約しようとして暑い・寒いオフィスでの仕事を強要する、印刷用紙の使用は1人あたり1日1枚までなどの極端な制限をかけるといったことが考えられる。

これによって生産性が低下したり、退職者が出て余計なコストがかかったりする事態になれば、逆に利益を圧迫しかねない。

2.商品・サービスの品質低下につながる経費削減策

商品やサービスの品質は競争力の源泉である。それを軽視して経費削減を優先させてしまえば、やがて売上が低迷し、利益も低下してしまうだろう。

具体的には、現場の人員を減らして手抜きを誘発する、原材料の質を低下させるといった例が考えられる。あくまでも品質を維持できる方法で経費削減に取り組もう。

3.社会的信用を失う経費削減策

経費削減のために会社の看板が傷つくようなことをすれば、売上にも悪影響が出てしまう。

代表的な例が脱税である。脱税は立派な犯罪であるため、罰金などの刑事罰を受けることになる可能性もある。

また、行き過ぎた人件費削減にも気を付けたい。

長時間のサービス残業など過酷な働き方を強いたり、正当な理由もなく社員の給与を下げたりといったことがあると、いわゆる「ブラック企業」として悪い評判が広まってしまう可能性がある。労働基準法に違反してしまえば、罰金を取られるかもしれない。

このように社会的信用を失う経費削減を行っていれば、結果として、削減できた経費の金額よりもはるかに大きな金額を失うことになるだろう。

経費削減は経営者と従業員の二人三脚で!

経費削減を行うにあたって重要なことは、経営者と従業員が意識をひとつにしてお互いに協力し合うことである。経費削減には、経営判断によって固定費などを大きく削減する抜本的な経営改革と、従業員に日々の努力を求める経費節減策の両方が不可欠であるためだ。

経営者の一方的な命令に従業員が無理やり従うような形で経費削減を行っていては、従業員の心が離れ、会社の成長も止まってしまうだろう。

そうではなく、いわば経営者と従業員の二人三脚で、利益の増加という共通の目標を見据えながら経費削減を進めたい。

そのように全社一体となって行う経費削減は、会社の成長にもつながるに違いない。

文・BUSINESS OWNER LOUNGE編集部