法人や個人事業者向けのETCカードは、上手に活用すればさまざまなメリットを享受でき、経費削減や業務の効率化につながるビジネスツールだ。事業で車を頻繁に使用する業種なら、導入を検討してみよう。

法人向けETCカードは、主に3つの種類に分けられ、その中でも、ETCコーポレートカードは、大口・多頻度割引制度が魅力的なタイプである。この記事では、特徴やメリット・デメリット、利用する際の注意点などについて解説する。

目次

  1. ETCコーポレートカードとは?
    1. 法人ETCカードとの違い
  2. ETCコーポレートカードのメリット
    1. 最大のメリットは大口・多頻度割引
    2. そのほかの割引サービス
  3. ETCコーポレートカードのデメリット
    1. カード1枚につき1車両のみ登録
    2. 契約までの準備が煩雑
  4. ETCコーポレートカードを利用する際の注意点
    1. 利用対象者とは?
    2. 利用対象車両とは?
    3. 利用可能な道路とは?
  5. 契約できないケース
    1. ETCシステムを利用できない
    2. 過去に通行料金などの支払いでトラブルを起こしている
    3. 過去に高速道路などで不適切な行為があった場合
    4. 他の事業実績が見受けられない
    5. 支払いの保証ができない
  6. 高速道路を頻繁に利用する場合はETCコーポレートカードの導入を検討しよう

ETCコーポレートカードとは?

ETCコーポレートカード
(画像=OATZPENZ STUDIO/stock.adobe.com)

法人・個人事業者向けに発行されているETCカードには、ETCコーポレートカード・法人ETCカード・クレジット機能が付帯した法人向けETCカードの3種類がある。このうち、ETCコーポレートカードは、東日本・中日本・西日本高速道路株式会社(通称NEXCO)が発行する、大口・多頻度割引制度が利用可能なタイプのカードだ。運送業者など、高速道路を多く利用する業種に向いている。

ETCコーポレートカードは、首都高や阪神高速道路を利用する際に、休日・平日朝夕・深夜割引などの時間帯割引を受けられる。利用料金によっては、さらに割引が適用されることもある。ただし、利用金額に応じてポイントを獲得できる「ETCマイレージサービス」には登録できない。1枚のカードで複数車を利用できず、1車両に限定されることにも注意が必要である。

法人ETCカードとの違い

法人ETCカードは、高速道路協同組合やETC協同組合などが発行する、法人・個人事業者向けのETCカードである。ETCコーポレートカードと同様にクレジット機能が付帯していないため、簡単な審査で発行してもらえる。

利用する車両を限定しないことが、ETCコーポレートカードと大きく違う点といえるだろう。ETC車載器さえ付いていれば、レンタカーなども含めどのような車でも利用できる。また、ETCマイレージサービスが適用されることもメリットだ。毎月の利用料金に応じてポイントが貯まり、一定量まで貯まったポイントは無料通行分に交換して利用できる。休日割引や深夜割引など、曜日や時間帯に合わせた割引制度も利用可能だ。

なお、法人向けETCカードのもう一つの種類である、クレジット機能が付帯した法人向けETCカードは、ETCコーポレートカードや法人ETCカードとは性質が異なり、法人クレジットカードを保有していることが前提のETCカードである。発行してもらうためには、比較的厳しい審査を経て、クレジットカードを発行してもらう必要がある。経費の管理を一元化できたり、発行にかかるコストを抑えられたりすることがメリットだ。

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ETCコーポレートカードのメリット

ETCコーポレートカードには、以下に挙げるようなメリットがある。内容をチェックし、自社への導入に適しているか判断する参考にしよう。

最大のメリットは大口・多頻度割引

ETCコーポレートカードの大口・多頻度割引制度は、高速道路と一般有料道路のそれぞれに制度が定められており、別々に計算される。

・高速道路

高速道路の場合は、ETCコーポレートカードによる高速道路利用額の合計に、車両単位割引と契約単位割引の2つを組み合わせて計算される。車両単位割引は、契約車両1台ごとに、1ヵ月の利用額に対し以下の割引率が適用される。

・5,000円超1万円以下:10%
・1万円超3万円以下:20%
・3万円超:30%

上記割引率は、ETC2.0を使用する事業用車両に限り、2021年3月まで適用される。当制度の終了後は、それぞれ10%ずつ減り、10%・20%・30%となる予定である。

また、契約者の1ヵ月あたりの高速道路利用額が合計500万円を超え、かつ車両1台あたりの1ヵ月の高速道路利用料金が3万円を超える場合は、契約単位割引が適用され、契約者の1ヵ月あたりの合計高速道路利用額に対し、10%の割引が適用される。

・一般有料道路

一般有料道路の場合も、高速道路と同様に、車両単位割引と契約単位割引の2つを組み合わせた割引率が適用される。車両単位割引の割引率は高速道路の場合と同じだが、契約単位割引に関しては、高速道路が割引率10%であるのに対し、一般有料道路は5%となっている。その他の条件は全て高速道路の場合と同じである。

そのほかの割引サービス

ETCコーポレートカードでは、深夜割引や平日朝夕割引も適用される。深夜割引は、午前0~4時の間にゲートを通過すれば、通行料金が30%割引される制度である。また、平日朝夕割引は、平日の午前6時~9時と午後17時~20時の間にゲートを通過すれば、最大50%割引される制度だ。

これらの割引制度は、大口・多頻度割引との併用も可能である。ただし、一般的なETCカードの場合と適用方法が一部異なることに注意が必要だ。一般的なETCカードの場合は、翌日20日以降に利用した分から差し引いて還元されるが、ETCコーポレートカードの場合は、請求した時点で減額される。

また、地方部に限り、普通車や軽自動車を利用する場合、土日祝日に30%の休日割引を利用できる制度もある。都市部や近郊区で利用する場合や、大型車両で利用する場合は、この制度は適用されない。

ETCコーポレートカードのデメリット

ETCコーポレートカードの主なデメリットもチェックしておこう。以下に挙げるデメリットを押さえておけば、導入前に対策を練ることが可能だ。

カード1枚につき1車両のみ登録

ETCコーポレートカードのデメリットとして、カード1枚につき1車両しか登録できないことが挙げられる。法人ETCカードやクレジット機能付きETCカードなど、他のタイプが車両を選ばず使えることに対し、車両が限定されることは大きなデメリットといえるだろう。タクシー会社や運送業者など、多くの車両を抱えている会社は、台数分のカードを発行しなければならない。

また、登録車以外の車両でカードを使用した場合や、利用対象者以外の人がカードを利用した場合は、最大1年間の割引停止措置や、1年以上の利用停止措置が課せられる可能性がある。道路法令違反を犯した場合にも、同様に割引停止や利用停止の対象となる恐れがあるため注意が必要だ。

契約までの準備が煩雑

ETCコーポレートカードを発行する際は、契約者の法人登記簿や印鑑登録証明書、保証人の印鑑登録証明書、車両ごとの自動車検査証、事業免許証の写しなど、さまざまな書類を用意する必要がある。さらに、それぞれを何度かやり取りしなければならない可能性もあるため、業務で忙しい場合はデメリットに感じることもあるだろう。

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ETCコーポレートカードを利用する際の注意点

ETCコーポレートカードは、利用する人や車両、道路が限定されている。規約違反を犯さないよう、以下に挙げる3点を確認しておこう。

利用対象者とは?

ETCコーポレートカードを利用できる人は、次のように定められている。利用対象者以外の人が利用した場合、割引停止や利用停止の対象となる可能性があるため注意しよう。

・ カード上に氏名または名称が表示された契約者
・ カード上に氏名または名称が表示された契約者の使用人その他の従業者
・ 契約者が事業協同組合である場合は、カード上に名称が表示された組合員、またはカード上に名称が表示された組合員の使用人その他の従業者

利用対象車両とは?

ETCコーポレートカードを利用できる車両は、窓口会社に対し、セットアップされた車載器の車載器管理番号の届け出がなされた車両に限られる。当該車両の自動車検査証の使用者欄(使用者欄の記載がない場合は所有者欄)の名義が、契約者(契約者が事業協同組合である場合は、当該事業協同組合またはその組合員)と同一でなければならない。ただし、登録車両は、東日本高速道路株式会社・中日本高速道路株式会社・西日本高速道路株式会社の3会社間で重複できないことに注意する必要がある。

利用可能な道路とは?

ETCコーポレートカードが利用可能な道路は、東日本高速道路株式会社・中日本高速道路株式会社・西日本高速道路株式会社の3会社が指定する高速道路と一般有料道路に限られる。また、首都高速道路や阪神高速道路など、他の道路管理者が指定する道路も利用できる。詳細は以下のリンクのP56~57をチェックしよう。

ETCコーポレートカード利用案内書

契約できないケース

以下のいずれかに該当する場合は、ETCコーポレートカードの契約ができない。申込時にチェックしておこう。

ETCシステムを利用できない

登録したい車両にETC車載器が搭載されていなければ、ETCシステム自体を利用できないため、カードの登録も不可となる。

過去に通行料金などの支払いでトラブルを起こしている

カードを運営する3会社の道路で悪質な方法により通行料金を免れていたり、3会社に原因者負担金の債務を有していたりする場合は、契約を認められない。

過去に高速道路などで不適切な行為があった場合

大口・多頻度割引制度の契約者資格が取り消された日から3年を経過していない場合や、過去1年以内に3会社などの道路で車両制限令に違反したことがある場合が該当する。

他の事業実績が見受けられない

カード割引のみを目的として設立された法人などが該当する。

支払いの保証ができない

カードの申込時には、窓口会社から最長2年間の保証期間を指定される。支払いの保証は、連帯保証人として銀行や農業協同組合などが発行した保証書を提出するか、窓口会社の指定銀行口座へ保証金の預託を行わなければならない。

高速道路を頻繁に利用する場合はETCコーポレートカードの導入を検討しよう

法人向けETCカードの中でも、ETCコーポレートカードは大口・多頻度割引制度が魅力的なカードだ。高速道路や一般有料道路を頻繁に利用する事業を展開しているなら、最大限に経費を削減できるETCコーポレートカードを導入すれば、より大きな効果を得られるだろう。

文・八木真琴(ダリコーポレーション ライター)