1985年に男女雇用機会均等法が成立してから35年の月日が経ち、寿退社が一般的だった時代から出産・子育てをしながらキャリアを形成していく生き方が、ようやく当たり前のものになってきた。

少子高齢化が進行し労働力不足に直面する日本では、政府を挙げて「すべての女性が輝く社会づくり」を掲げ、ワークライフバランスを推進しながら、女性の活躍を後押ししようと試みている。

その一方で、組織のトップとなる女性はまだまだ少数派にとどまるのが現状だ。ここでは、女性経営者の適正や特徴について詳しく解説する。

目次

  1. 女性経営者の現状
  2. 女性経営者に向いている人の5つの特徴
    1. 1.チャレンジ精神が旺盛
    2. 2.フットワークが軽い
    3. 3.コミュニケーション能力が高い
    4. 4.数字に強い
    5. 5.精神的に強い
  3. 話題の女性経営者3名を紹介!
    1. 1.Readyfor株式会社代表・米良はるか氏
    2. 2. 株式会社Zaim代表・閑歳孝子氏
    3. 3.Wantedly株式会社代表・仲暁子氏
  4. 成功する女性経営者とは?
  5. 男性経営者が女性経営者から学べる点は数多くある

女性経営者の現状

女性経営者
(画像=polkadot/stock.adobe.com)

帝国データバンクの全国「女性社長」分析調査によると、2020年4月末時点での女性社長の割合は8.0%となっている。1990年の4.5%から右肩上がりで上昇してきたものの、依然として9割以上の企業のトップは男性が占めていることになる。

同調査によれば、女性社長が誕生する経緯としては同族継承が最も多い。内部昇格による社長就任の割合は男性より低く、「ガラスの天井」がまだまだ存在しているのが現実であろう。

業種別にみると、女性社長が最も多いのは「不動産」で、その割合は16.8%に上る。続いて「サービス」(10.8%)と「小売」(10.6%)、「金融・保険」(8.0%)、「運輸・通信」(7.0%)となっており、最も割合が少ない業種は「建築」で、4.8%にとどまる。

さらに業種を細分化してみると、「保育所」の女性社長の割合は42.9%、化粧品販売が35.1%、美容業34.1%となっており、育児関連や美容業界では多く活躍していることがわかる。

なお、起業活動に関する国際調査「グローバル・アントレプレナーシップ・モニター」の2012年のデータを見てみると、日本における女性の総合起業活動指数(TEA)は2.1となっている。これは世界的に見ても低く、比較対象として最も指数が高かったブラジルで14.7、中国11.0、アメリカ10.5などと大きく差が開いていることがわかる。

経営者が女性か男性かで、経営手法が異なるケースも見られる。会社では経営理念や事業ビジョンで従業員の士気を高めるとともに、企業の方向性を明確に示していく必要がある。豊かな感性やきめ細やかな心配りができるという点では、女性トップはチームでの一体感を大切にしながら目指すべきビジョンを示すのに長けている傾向がある。

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女性経営者に向いている人の5つの特徴

全体の数からすれば女性経営者はまだまだ少数派ではあるが、業種を問わず能力のある人材はチャンスを活かしてトップに上り詰めている。

どのようなタイプの人が女性経営者に向いているかはそれぞれに特徴が挙げられるが、共通してみられる要素もある。経営者の適性があると思われる人の特徴をみていこう。

1.チャレンジ精神が旺盛

仕事をする上で、失敗は避けることはできない。しかし、失敗のリスクを恐れていては新たなチャレンジに踏み出すこともできなくなる。

リスクをコントロールする意識が強く働いてしまうことが新たな挑戦を阻害してしまうこともある。また、男性が管理職を務めている組織が多数を占める中、少数派である女性が自ら積極的にさまざまな仕事にチャレンジしていくこと自体に勇気がいるかもしれない。

しかし、対等な立場で新しいことに挑む貪欲な姿勢を見せることが次なるチャンスを呼び込み、結果的に周囲の評価を得て昇進へとつながるケースも多いだろう。

2.フットワークが軽い

取引先とのトラブル、上司からの指示への対応など、ビジネスの世界では機敏性が従業員の評価を大きく左右する。

突然の呼び出しや決断した後に行動に移す際などにもフットワークを軽くして迅速に対応できるように、常日頃からいかなる状況にも準備を怠らないことが必要となる。

3.コミュニケーション能力が高い

経営者ともなれば、対外的に会社を代表する立場であると同時に、社内をマネジメントする責任者でもある。対外的には、会社のビジョンや将来性、あるいはトラブルが発生した際の危機対応などにおいて、取引先や顧客に適切なメッセージを発せられるかどうかがポイントになる。

また、社内では従業員とのコミュニケーションも欠かせない。残念ながら男性従業員の中には、女性経営者への妬みを抱く人もいるのは事実である。こうした従業員とも適切に対話をして、組織を引っ張っていく力が不可欠である。

4.数字に強い

経営者ともなれば、売上や利益、配当などさまざまな数字を常に頭に叩き込み、アップデートしながら会社の経営判断を下さなければならない。

優秀な女性経営者は数字を単に暗記するというよりも、各種の数字から事業の計画を展開しながら、経営者としても説得力あるビジョンを示す能力を兼ね備えている。

5.精神的に強い

経営者ともなれば、自らの判断が会社の行方を左右する局面に遭遇することになる。その先には、従業員、従業員の家族も含めた生活がかかっている。従って、経営者の肩に圧し掛かるプレッシャーは並大抵のものではない。

特に、事業が傾き経営状況が悪化している時期には、強心臓で乗り切らなければならない。こうしたピンチも会社を成長させるためのチャンスと捉えられるくらいのポジティブな思考を常に持つことが求められる。

経営者に覇気がなく弱みを見せれば、「やっぱり女性社長は…」と陰口を叩かれ、従業員が付いてこなくなることも考えられる。いかなる状況においても気丈に振舞う精神的な強さが鍵となるだろう。

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話題の女性経営者3名を紹介!

ここからは昨今話題のベンチャー企業などの女性経営者を紹介しよう。彼女たちのパワフルな姿勢から学ぶものがあるはずだ。

1.Readyfor株式会社代表・米良はるか氏

日本で初めてのクラウドファンディングサービスを提供した「Readyfor」を創業したのが、同社の米良はるか代表取締役CEOである。米良CEOが起業するきっかけとなったのは、自らの米国留学経験だった。資金を必要とする人とそれを支援したい人が繋がり、新たな資金提供の形に感銘した米良代表は帰国後、Readyforを立ち上げ日本最大級のクラウドファンディングサービスまでに成長させた。

現在は、日本国内でも浸透しつつあるクラウドファンディングだが、それには米良代表が果たした役割は計り知れない。その功績を称えるように、日本人最年少でダボス会議に出席するなど、世界からも注目を集める。同代表は、日本でも米国同様の仕組みを作ろうとしたチャレンジ精神、その実現に向けた軽快なフットワークが女性経営者への道を開いたとも言える。

2. 株式会社Zaim代表・閑歳孝子氏

国内最大級のオンライン家計簿サービス「Zaim」を提供するZaim社を率いる閑歳孝子代表も話題の女性経営者の1人である。出版社の記者・編集者としてキャリアをスタートさせた同代表は、29歳の時にエンジニアに転身し、自らZaimを開発し、ヒットに繋げた。その後サービスを法人化させ、代表の座に就いた。

30歳を目前に大企業から異業種へ転職という大きな決断が、後の成功に繋がったといえよう。サービスの中心に据えた家計簿は、同代表が一人暮らしのころから習慣的につけていたので、利用者の立場でサービスを展開することができたという。共働き世帯が増加した現在も、家計の管理は女性が担当しているという家庭も多く、女性の目線で事業を展開できる強みを生かした好例である。

3.Wantedly株式会社代表・仲暁子氏

ビジネスの情報収集、ネットワーキング、仕事の発見などビジネスSNSのサービスを提供するWantedlyを率いるのが仲暁子代表である。京大卒、ゴールドマン・サックス証券、Facebook Japanと輝かしいキャリアを積んできた仲代表は、Facebookを活用したビジネスSNSを開発。気になる企業や仕事を見つけた際、会社を訪問し、社員とコミュニケーションを取れるサービス「Wantedly」を提供する。

このサービスによって自らの価値観にあった仕事に巡り合うことができ、入社後のギャップを予防する効果が期待される。従来のエージェントを介した転職や、入社後ギャップが起こりやすい堅苦しい面接を離れ、雑談や面談を先に設けられることで、新たな転職活動の形を切り開いた先駆者として注目された。女性経営者の特質の1つでもある「コミュニケーション」をビジネスに展開して、新たなサービスに繋げている。

成功する女性経営者とは?

まだまだガラスの天井が存在する業界もあり、経営者に上り詰めようにも、女性従業員の前に立ちはだかるハードルは決して低くはない。しかし、経営者となって会社をさらに成長に導く手腕を発揮する人たちも少なからずいる。

彼女たちに共通するのは、常に向上心に溢れている点である。企業のトップの座に就いたとしても、そこであぐらをかくのではなく、貪欲にさまざまなことを学ぶ姿勢を堅持する。

成功する女性経営者ほど周囲への感謝の気持ちや気配りを欠かさない。こうした姿勢が好感を持たれ、部下が献身的に仕事に取り組んでくれるようになり、組織として好循環を生む。

単なる話題性だけの女性経営者に終わらないように、会社の現状をしっかりと把握した上で、明確な目標を持ち合わせていることも特徴付けられる。

男性と張り合うのではなく、女性ならではの視点や感覚を大切にしながら、自分にしかできない独自の視点を経営に取り組んで成功を収めている例も多い。

男性経営者が女性経営者から学べる点は数多くある

今後も増加していくことが期待される女性経営者の適性や成功を収める女性経営者の特徴をみてきたが、これらの特徴は男性の経営者にも当てはまるだろう。性別は関係なく、企業のトップとして果たすべき役割は同じである。

男性・女性どちらかの経営者に優劣をつけるということではなく、男性経営者も女性経営者の手法から学ぶべき点が多くあり、逆もまた然りというのが実態。また、真の経営者であれば性別は全く関係のない話題になってくるはずだ。

文・BUSINESS OWNER LOUNGE編集部