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(写真=Thinkstock/Getty Images)

目次

  1. 米国と肩を並べた中国のユニコーン
  2. 世界のユニコーン時価総額トップ20
  3. 米国ユニコーンが盛り返すか?
  4. 成長著しいeコマース・マーケットプレイス産業
  5. ユニコーン企業は時価総額トップ26で3分の1を占める

米国と肩を並べた中国のユニコーン

CBインサイツの調査から、時価総額が高いユニコーンの割合が、米国からそれ以外の国・地域へと移行していることが明らかになった。

世界のユニコーンの割合では米国が過半数を維持しているものの、新たに生まれるユニコーンの数では、すでに米国以外の国・地域の方が多くなっている。2013年の調査では、新規ユニコーンは米国が全体の73%を占めていたが、2017年には43%まで縮小。代わって27%だった非米国が57%と逆転した。特に中国における勢力拡大が目覚ましく、米国と肩を並べている。

しかし2019年からは米中貿易戦争の影響で中国企業がやや存在感を落としている。2020年の最新版では米国が全体の48%、中国が24%で、ユニコーン企業の上位を占めている構図は変わりない。

米国と中国が競い合う世界のユニコーン企業分野の実情を見てみよう。

世界のユニコーン時価総額トップ20

世界のユニコーン企業の時価総額トップ20を見てみよう。データは2020年10月のCBインサイツのものだ。

20位 Global Switch(グローバル・スウィッチ) 118億ドル 英国
19位 Wish(ウィッシュ) 112億ドル 米国
18位 Robinhood(ロビンフッド) 117億ドル 米国
17位 Bitmain Technologies(ビットマン・テクノロジーズ) 120億ドル 中国
16位 JUUL Labs(ジュールラボ) 120億ドル 米国
15位 Samumed(サムメッド) 124億ドル 米国
14位 Grab(グラブ) 143億ドル シンガポール
13位 Chime(チャイム) 145億ドル 米国
11位 SHEIN(希音/シェイン) 150億ドル 中国
11位 DJI Innovations(大疆創新科技有限公司/DJIイノベーションズ) 150億ドル 中国
9位 DoorDash(ドアダッシュ) 160億ドル 米国
9位 One97 Communications(ワンナインティーセブンコミュニケーションズ) 160億ドル インド
8位 Epic Games(エピックゲームス)173億ドル 米国
7位 Instacart(インスタカート)177億ドル 米国
5位 Kuaishou(クアイショウ)180億ドル 中国
5位 Airbnb(エア・ビー・アンド・ビー) 180億ドル 米国
4位 Stripe(ストライプ) 360億ドル 米国
3位 Space X(スペースX) 460億ドル 米国
2位 Didi Chuxing(滴滴出行/ディディチューシン) 620億ドル 中国
1位 ByteDance(ウーバー)  1,400億ドル 中国

米国ユニコーンが盛り返すか?

CBインサイツのデータによると、世界のユニコーン数は2017年11月の時点で217社、2020年10月には491社に達している。累積価値は1兆5,550億ドルに膨れあがっている。

米国のユニコーンは3位のSpaceXを筆頭に、トップ10に6社、トップ20に合計11社がランクイン。総体的には世界のユニコーンの約半数(48%)を占めているものの、かつての勢いは影を潜めている。

こうした勢力の変化は、新たに生まれるユニコーンの数にも反映されている。2013年には新規ユニコーンの70%以上が米国で生まれていたが、その後徐々に失速し、2016年には半数以下に落ち込んだ。

代わって頭角を現したのが中国である。ディディチューシン、バイトダンス、クアイショウといった企業が、スペースXやエア・ビー・アンド・ビーといった米国の人気企業を抑え、1位と2位を独占した。トップ20には6社がランクインし、全体の24%を占めるまで成長した。

次点でユニコーン企業が多いのがインド、英国で23社、ドイツが12社、韓国が10社と健闘している。米国、中国以外でも新たなユニコーン企業が続々と誕生している。

成長著しいeコマース・マーケットプレイス産業

産業別に見てみると、1位はAI(バイトダンス)、2位は大手ライドシェア(ディディチューシン)だが、最も割合が大きいのは フィンテック(14%)。次いでEコマース(12%)、インターネットソフトウェア及びサービス(12%)という結果だ。

中国でネットショッピングやフィンテックが急成長した背景を考えると、ユニコーンの増加も当然だろう。第4次産業革命に向け、ベンチャーキャピタルを含むリスクマネー供給構造が改善されたことや、民間資本のインフラ分野への進出促進が活発化したことなども、後押ししているはずだ。

中国ユニコーンは米国などと比べ、電子商取引(EC)やフィンテック、共有経済などB2C(企業と消費者間の商取引)を基盤とするユニコーンが多く、ビッグデータやサイバーセキュリティー分野が弱いのが特徴だ。

ユニコーン企業は時価総額トップ26で3分の1を占める

勢力争いとともに、時価総額や調達資金が上位に集中している点が注目される。例えば時価総額1兆5,550億ドルのうち3分の1はトップ26の企業で独占している。

ユニコーン最大の投資家はカリフォルニアを拠点とするSVエンジェル(SV Angel)と世界最大規模のVCセコイア・キャピタル(Sequoia Capital)だ。これまでストライプ、エア・ビー・アンド・ビー、ドロップボックス、スナップチャットを含む各23件のユニコーン投資を行っている。

今後ますます国や産業の多様化が進むと見られるユニコーン企業。どんな新しい企業が登場するのか、まだまだ目が離せない。

文・アレン・琴子(オランダ在住のフリーランスライター)