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(写真=PIXTA)

国土交通省は、地方自治体が個別に運営する空き家バンクの情報を一元化する方針を固め、2018年からサイトの本格運用がはじまった。地方の人口減少により、空き家は今後も増え続けるとみられている。国交省は、空き家購入の希望者がインターネット上で条件に合った物件を見つけやすくして、民間の不動産ビジネスを拡大させるとともに、地方移住の促進にもつなげたい考えだ。

目次

  1. 全国のデータをインターネット上で公開
  2. 空き家が全国で急増し、全住宅の13%強に
  3. 一元化は移住者受け入れ推進に追い風

全国のデータをインターネット上で公開

国土審議会は今後、本格的な人口減少時代の到来に伴い、空き家の増加がさらに進む一方、ビッグデータなどを活用した不動産ビジネスが進展すると予想している。そこで土地政策の新たな方向性として空き家など住宅の創造的な活用を打ち出した。 その具体策として、

・ 空き家バンク登録物件を集約し、全国に情報発信が可能なシステムの整備
・ 行政や住民、不動産業者の団体などを通じ、空き家を地域全体で活用する取り組みの促進
・ 市町村が空き家を計画的に活用するため、所有者と行政、民間事業者の間に介在する組織の枠組み検討
・ クラウドファンディングを通じて資金調達し、空き家や空き店舗を再生、活用する取り組みの推進
などを挙げた。

国交省はこれを受け、空き家バンクの一元化に取り組む方針を固め、2017年度予算の概算要求に盛り込んだ。空き家バンクは持ち主に物件の情報を登録してもらい、購入や賃貸の希望者に情報を提供する仕組みで、全国自治体の70%近くが開設しているが、大半がその自治体内のデータしか検索できない。

このため、国交省は各自治体の仕様を統一し、空き家の利用を検討している人が希望する地域や条件を入力すると、全国の対象物件を一覧できるシステムが必要であると考えた。国交省不動産業課は「空き家の活用は重要な課題だけに、利便性の高いシステムを構築していきたい」と語っている。

空き家が全国で急増し、全住宅の13%強に

一元化計画が動きだした背景には、空き家の急増がある。国の住宅・土地統計調査によると、2018年の全国の空き家は846万戸。住宅総数6,424万戸に占める空き家の割合は13.6%で、5年前の前回調査に比べ、0.1%上昇し過去最高となっている。

住宅総数は3.0%増えた。空き家は1993年から5年間で398万戸増加していたのに比べると、2013年からの5年間は26万戸にとどまっている。ただ、増加幅が小さくなったのは事実だが、依然として急増が続いていることに変わりない。

国内は首都圏など一部を除き、本格的な人口減少時代に入った。だが核家族化や単身世帯の増加などから、人口減少にもかかわらず、世帯数が増加している地域も多い。このため、空き家の増加には一定の歯止めがかかってきた。

しかし、今後さらに人口減少が進むと、空き家が爆発的に増加すると予想されている。自治体にとって空き家の活用は避けて通れない課題に浮上してきたわけだ。

特に、人口減少が深刻で、空き家が多いのが四国地方。4県とも別荘などを除く空き家率が17%台に達し、住宅・土地統計調査の都道府県別ワーストランキングで2~6位に入っている。

徳島県は2016年1月に開設した住宅対策総合支援センターで空き家売買やリフォーム相談を受け付け始めた。自治体の委託で空き家が利用可能か判定する県独自の資格・空き家判定士制度もスタートさせている。

一元化は移住者受け入れ推進に追い風

空き家の有効活用で期待されているのが移住者の受け入れだ。過疎地域を抱える自治体のほとんどがU、Iターンの促進を総合計画に盛り込み、最重要課題の1つに位置づけている。

徳島県神山町や美波町は古民家を改修して都会のIT企業のサテライトオフィスを誘致した。新潟県十日町市、山形県尾花沢市などではシェアハウス、島根県松江市や京都府綾部市などではカフェがオープンし、地域に活力を与えている。

空き家に対するビジネスチャンスが広がりつつあることは間違いないが、購入や賃貸の希望者はこれまで、個別に不動産業者に紹介を依頼するか、自治体ごとの空き家バンクで地域内の物件を探すしかなかった。

移住の際には、仕事とともに住まいが大きな問題となる。空き家バンクの全国一元化で、より簡単に住まいを見つけることができ、移住受け入れの推進にも追い風となりそうだ。

文・高田泰(政治ジャーナリスト )