Uターン、Iターン
(写真=PIXTA)

目次

  1. はじめに
  2. 地方創生、国や地方自治体の取り組みでU・Iターンが盛り上がっている
  3. 暮らすなら地方がお得
  4. 転職には満足するも収入減の現実
  5. 自分の「優先順位」を明確に

はじめに

東京に一極集中の昨今、地方はすたれていくばかり。しかしそこには都会にない豊かな自然や、安くて広い土地や住居が残っている。「本当の豊かさとはなにか?」「子どもを自然豊かな場所で育てたい」そういった思いが頭をよぎったなら、これからの人生設計に田舎暮らしを一ついれてみてはどうだろうか?その計画のために考えたい、地方のライフスタイル、ビジネスチャンスについて特集する。

地方創生、国や地方自治体の取り組みでU・Iターンが盛り上がっている

いま、国全体での課題となっている「地方創生」。人口減少に悩む地方のまちを活性化させて人口流出を防ごうと、各地で官民連携のさまざまな取り組みが行われている。たとえば、総務省や文部科学省が主体となって、地方大学に進学する学生を無利子奨学金の「地方創生枠」へ推薦したり、地方自治体や産業界が協力して就職説明会や相談会を企画したりしている。

この流れは社会人にも派生しており、上京先から生まれ育った土地へ戻る「Uターン」や、出身地以外の場所に移住する「Iターン」での転職が盛り上がりを見せているのだ。

また、昨今では新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、在宅勤務やテレワークなど通勤しなくても仕事になる、という働き方が急速に増えたことから、「場所を問わず仕事ができるなら」と、住宅環境が豊かな地方移住を検討する人が増えているようだ。

地方自治体では、転職者などの移住者の受け入れ体制が整えられてきている。青森県は「あおもりUIJターン就職支援センター」というサイトで、UターンやIターン希望者を対象に転職支援マッチングを始めた。青森への企業説明会に訪れる方に、交通費も助成している。

2020年9月8日〜9月13日に移住移住研究所SMOUTが行なった調査によると(対象:SMOUT登録ユーザー)、新型コロナウイルス感染症の拡大で、50.3%の人が「勤務スタイルが変更になった」と返答。在宅勤務やテレワークができるようになったことを受けて引越や移住を考えているかという質問には、59.0%の人が「引越や移住を考えている」と回答。また、「引越はせず、時々好きな地域に滞在して勤務するスタイルを考えている」と答えた人は13.1%にものぼった。

暮らすなら地方がお得

2020年、福井県はファイナンシャルプランナーに委託して「ふくい暮らしライフデザイン設計書」を作成。より移住をリアルに感じてもらおうと、東京との生活費用の比較を算出。収入は東京の方が高いものの住宅購入費や食費が安いことから、両県とも「経済的な差はほとんどない」と強調している。設計書冒頭には「福井は、子育て・教育環境が充実しており、出生率が高く、子どもの体力・学力も全国トップレベルです。また恵まれた住環境を手に入れやすく、通勤時間も短いうえ、週末には海や山に1時間もあれば行くことができるなど余暇も充実している」との説明もある。県によると、23歳から60歳までの家計収支は東京を3000万円上回るそうだ。

また、法政大の調査で2011年には「幸福度日本一」に輝き、小中学生の学力テストで常に上位に入るなどしている。さらに先日報道された都道府県別の「子どもの貧困率」でも、全国平均の13.8%を大きく下回り5.5%と全国最下位を記録した。

山口県も就職するなら山口県!やまぐちライフデザイン設計書を2020年7月に作成した。資料から見ると、生涯の可分所得は都会生活者よりも多く、家賃が安い。2階建てマイホームも可能。趣味を楽しむ時間も取れ、施設も多く、広い。70歳時の貯蓄額平均は東京が3,369万円に対して山口は3,702万円。東京にも、大阪にも、四国にも、九州にも便利。とアピールポイントが満載だ。

転職には満足するも収入減の現実

2018年、電通は、地方創生によるUターンが加速する中、全国64都市に現在在住し、実際にUターン移住を経験した20〜60代の男女1,714人を対象に、「全国Uターン移住実態調査」を行なった。調査結果によると、Uターン移住のきっかけとして、ストレス、親、郷土愛と大きく3つの要因が影響していることが分かりました。「首都圏はずっと住める/住む場所ではない」(28.1%)などの、首都圏生活の魅力の低減とストレス。「両親の近くに住みたくて」(24.5%)などの親のこと。そして「離れてみて改めて地元の魅力を再認識して」(14.5%)という地元への愛着だった。

Uターン移住者の不安材料は「仕事」や「お金」に関することが挙がったが、移住後の具体化とともにその不安度が軽減されていくことがわかった。「上京時」「移住前」「移住直後」「現在」の4つのフェーズでそれぞれの生活満足度を10点満点で聞いたところ、「上京時」は満足度8~10の「かなり満足度が高い人」が4割もいたのが、東京にいる間に27.7%まで下降。しかし、移住後の「現在」を見ると満足度の高い人は48.2%と、多くの人がUターン後に生活満足度が高まっていることがわかった。

自分の「優先順位」を明確に

多くの人がUターン後に生活満足度が高まっているとはいえ、ただ「たくさん稼ぎたい」のであれば、U・Iターン転職は避けた方が賢明だろう。そして「場所よりとにかく仕事内容」という場合も、地方はリスクが高いといえる。東京近辺に比べて企業の絶対数が少ないことから、希望の職種・業種の求人が少なかったり、なかったりする可能性があるからだ。

しかし、それ以外のところに満足度を求めているのであれば、地方転職により人生が豊になる可能性は大いにある。

地方と都会、どちらで働くか。価値観は人それぞれで、この問いに正解はないだろう。仕事の内容なのか、収入なのか、家族なのか、生活環境なのかーー。転職や移住を検討しているビジネスマンは、まずはこの中での優先順位を明確にしたうえで、行動に移す必要があるだろう。

文・BUSINESS OWNER LOUNGE編集部