多様化する消費者ニーズやグローバリゼーション、情報化社会の急速な拡大、技術革新により企業を取り巻く経営環境は目まぐるしく変化している。そのような変化に対応し新たな事業領域に踏み出すために、これからの経営者には今までの経営者とは異なった経営感覚が必要だ。では、特に若手経営者に求められていることとはどのようなことであろうか。失敗する若手経営者と成功する若手経営者の特徴から考えてみよう。

目次

  1. 失敗しがちな若手経営者の特徴
    1. 経営に関する知識がない
    2. 失敗の原因やリスクを検討せずに勢いで乗り切ろうとする
    3. 過去の成功体験や栄光にすがっている
    4. トラブルを想定していない
    5. お金の計算ができない
  2. 成功する若手経営者の特徴
    1. 小さな失敗から学び、原因を考えて今後に活かす
    2. 先を見据えて行動する
    3. 負けず嫌い
    4. 冷静な判断ができる
  3. 若手経営者に求められることとは?
    1. 撤退するラインを決めている
    2. トラブルを想定しておく
    3. すぐに軌道修正する
    4. 会社のコンセプトを言語化して従業員全員に認知させる
    5. 人材の採用・育成・従業員の働き方を設計する
  4. 経営に関する知識と冷静な判断力で成功へ

失敗しがちな若手経営者の特徴

若手経営者に求められることとは?失敗する経営者、成功する経営者それぞれの特徴
(画像=metamorworks/stock.adobe.com)

事業承継における二代目や三代目社長、起業後まもない会社のいずれにおいても、失敗しがちな若手経営者には共通する特徴が見られる。それは、企業経営を行う上での知識やスキルが乏しいことが原因である。具体的にどのような特徴があるのか紹介しよう。

経営に関する知識がない

経営者は会社の経営に関して、最終的には全て自ら判断を下さなければならない。正しい判断を下すためには、判断するための知識が必要である。事業に失敗した若手経営者には、特に以下の分野に関する知識が無かったために、経営判断を誤ってしまうケースがあるようだ。

・企業会計に関する知識
決算書作りは税理士に任せたとしても、経営者は決算書の貸借対照表や損益計算書などの数字の意味を知っている必要がある。決算書は会社の成績表とも言われ、会社の全ての活動を数字に表した情報である。経営者は、決算書の数字から自社の経営状態を把握し、経営戦略や経営判断に活かさなければならないのだ。

・法律に関する知識
会社が事業を行うには、民法や会社法、労働基準法などさまざまな分野の法律を遵守する必要がある。経営者が、それら全ての法律を細部まで把握するのは現実的ではないが、ポイントを押さえて知っておかなければならない。

何か法律違反が起きた時には経営者としてその責任を負わねばならず、知らなかったでは済まされないからだ。たとえ業績が順調であっても、法律に違反していることが報道されると、一気に社会的な信用を失い経営が傾くことも珍しくない。

・マーケティングに関する知識
企業活動にとってマーケティングは重要である。限られた経営資源の中で、効率的な経営戦略を立てるためにはマーケティングに関する知識が必要不可欠だ。このマーケティングの方向性が間違っていると、最適な販売戦略や広報・宣伝戦略を実行することが難しくなり、いくら商品やサービスが良くても事業目的を達成することはできないだろう。

失敗の原因やリスクを検討せずに勢いで乗り切ろうとする

経営では常に成功するのが理想であるが、どんなに緻密な事業計画を立てても時には失敗することもある。この時に失敗の原因や継続するリスクを検討せずに、「何とかなるだろう」と勢いだけで乗り切ろうとするのが失敗する若手経営者によく見られるケースである。

勢いは若手経営者の良さでもあるが、失敗した時には一度立ち止まって、その原因を分析し撤退するリスクと継続するリスクを冷静に判断する必要がある。

過去の成功体験や栄光にすがっている

ビジネスにおいては、成功体験より失敗体験の方が役に立つと言われている。これは、成功体験で得られたノウハウは、経営環境や顧客のニーズが変化すると全く通用しなくからだ。若手経営者は、何らかの実績を上げたからこそ、若くとも経営者になっているのであろうが、いつまでも過去の成功体験にすがっていては、会社も経営者自身も成長することができないのである。

トラブルを想定していない

経営者に必要なスキルとして、リスクマネジメントがある。経営者は、会社を経営していくうえで予測されるリスクに対して、予防策を取ったり適切に対応したりする必要がある。会社を取り巻くリスクは、社会環境の変化により日々異なる。経営者がこれらのリスクを想定していない場合には、対応を誤ったり対応が遅れたりして失敗してしまうことも多い。

お金の計算ができない

経営者にとって企業会計に関する知識が必要であると説明したが、それ以前にお金の計算ができない若手経営者は必ず失敗する。お金の計算といっても、きっちりと金額を計算するということではない。資金の流れを把握して、会社の成長のために会計データを経営判断に活かすことだ。

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成功する若手経営者の特徴

一般的に、企業経営を行う上での知識やスキルが乏しいとされる若手経営者であるが、その不足するものを補って成功する人もいる。では成功する若手経営者には、どのような特徴があるのだろうか。

小さな失敗から学び、原因を考えて今後に活かす

失敗しがちな若手経営者の特徴として、「過去の成功体験や栄光にすがっている」と解説した。反対に成功する若手経営者は、小さな失敗体験を見逃すことなく、その原因を考えて改善することで成功につなげている。

事業を行う上で失敗やリスクはつきものである。これを恐れていては、行動を起こすことができずに、チャンスが来ても勝機を逃すことになりかねない。ビジネスの現場では、PDCAサイクルを回し続けることが大切とよくいわれる。常に失敗の原因をチェックして、次のアクションに活かすことが成功の秘訣なのである。

先を見据えて行動する

若手に限らず成功する経営者は、常に先を見据えて行動している。目まぐるしく変化する経営環境の中、次に何が起こりえるかを予測しつつ、同時に数手先を読んで行動している経営者が成功を収めているのである。

負けず嫌い

成功する若手経営者のほとんどは、性格的に負けず嫌いのようだ。ビジネスの世界で勝ち続けるということはかなり困難である。とは言え、損失が出ても「仕方ない」と思ってしまうようでは、生き残ることはできないのである。失敗した時も「なにくそ!絶対に成功してやる」というような気持ちが必要だ。

冷静な判断ができる

経営者には「論理的思考」「知識」「冷静な判断」が必要である。若手経営者というと、若さを活かして情熱的に会社を経営しているイメージが強いが、成功している若手経営者は、意外に冷静な判断が行えるのである。

若手経営者に求められることとは?

これまで失敗しがちな若手経営者と特徴と成功する若手経営者の特徴を見てきた。では、それらの特徴を踏まえ、経営者には何が求められているのかまとめてみよう。

撤退するラインを決めている

事業を行っていれば、成功することも失敗することもある。相場の格言には、「見切り千両、損切り万両」という言葉があるが、経営者として一番大切なことは、事業が上手くいかなかった時に、適切なタイミングで事業撤退の判断を行うことができるかどうかである。この判断を誤ると、損失を広げ一気に経営が傾くこともある。

事業撤退を適切に判断するために重要なのは、事業撤退の判断基準とタイミングである。判断基準としては、事業単体の損益を正確に把握することが必要だ。これにより損益悪化の兆候を素早く捉えることができる。事業利益が赤字であり、売上拡大やコスト削減の余地がない状況であれば、すぐにでも撤退を判断した方がよい。

トラブルを想定しておく

会社が事業を行う上で、情報漏洩や製品事故、不祥事による社会的信用の失墜など、必ずトラブルは生じると経営者は考えておく必要がある。もしその対応を誤れば会社は重大な損失を被り、場合によっては経営破綻の危機に陥る可能性がある。

そのため経営者は、あらゆるトラブルを想定して、予防策や対応策を考えておくことが大切であり、それには法律に関するある程度の知識が必要である。トラブルの内容によっては、少しの判断の遅れが重大な結果を招くこともある。実際にトラブルが起こってから、対応策を考えるのでは遅いのだ。最も大切なことは起こりうるトラブルを想定して、トラブルが発生しないように予防策を講じることである。

すぐに軌道修正する

企業を取り巻く経営環境は、日々急速に変化している。この変化に素早く柔軟に対応できない企業は、これから生き残っていくことが難しい。従業員は、経営者の方針によって事業を行うので、軌道修正の判断を素早く行うのは経営者の重要な役目である。

軌道修正をすぐに対応するためには、事業撤退の判断同様に常に自社の会計がどうなっているかを正確に把握していることが大切である。今、行っていることが経営目標の達成に貢献していないのでれば、すぐに軌道修正の判断をする必要がある。

会社のコンセプトを言語化して従業員全員に認知させる

会社のコンセプトを企業理念や経営理念という形で言語化して、従業員全員に認知させることは、会社を経営する上で非常に大切なことだ。

企業理念とは、「会社のあり方や存在意義や目的」であり、経営理念とは「経営の目標や方針、手段」である。企業理念や経営理念を定めることで、会社の将来像を共有することができるので、社員は今後の展望を見据えて業務を遂行することができるようになる。

企業理念と経営理念が社員と共有されていない場合には、社員は何のために事業を行っているのか、事業の目的は何かなど理解することができないため、それぞれバラバラな考えで業務を行うことになる。それでは力が分散してしまい、会社全体の力を発揮することができなくなる。経営者は、事あるごとに「何のために事業を行っているのか」「事業の目的は何か」を社員に話して理解してもらうことが重要だ。

人材の採用・育成・従業員の働き方を設計する

労働人口の減少や好調な日本の経済環境により、ここ数年は正社員だけでなくアルバイトやパート社員も売り手市場が続いている。そのため大手企業も含め多くの企業では、採用コストや人件費の高騰に苦労している。

また、新卒で採用した人材が、3年以内に約3割が離職するというデータがある。そのような状況の中、経営者は事業に必要な能力のある人員を確保して定着させなければならない。そのためには、人材の採用や育成の方針、待遇など従業員が意欲的に働ける環境を整えて、従業員に示す必要がある。

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経営に関する知識と冷静な判断力で成功へ

今回は、失敗しがちな若手経営者の特徴と成功する若手経営者の特徴から、経営者には何が求められているのかを考えてみた。企業を取り巻く経営環境の変化は激しい。若手経営者は、常に正確に状況を判断して素早く対応する経営判断が必要である。

文・Business Owner Lounge編集部