(写真=Thinkstock/Getty Images)
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目次

  1. 常にお金の将来価値を意識する
  2. 1,000円札の価値は1,000円ではない
  3. 将来価値と現在価値とは?
  4. ローンは本当に損なのか?
  5. お金の価値を知れば使い方も変わる

常にお金の将来価値を意識する

成功者の多くは資産運用を行っているが、資産運用においてはお金の現在価値と将来価値を意識することが必須だ。投資家なら当たり前の考え方なのだが、普段の消費行動から意識できているだろうか。

もちろんお金の価値を見直して節約する、といった意味合いでも重要かもしれないが、それ以上に投資で成功するためには必要不可欠な考え方なので、ぜひ思考回路を習慣化しておきたい。普段から意識的に現在価値と将来価値を比較する思考を身に付けておけば、投資でも合理的な判断ができるだろう。

1,000円札の価値は1,000円ではない

昨日の昼食代としてあなたが使った1,000円の価値は本当に1,000円なのだろうか。答えは否である。1,000円札の価値は1,000円とは限らない。1,000円が1万円の価値を持つこともある。そのように考えると、実は今日あなたが昼食代として支払ったのは1万円だったという解釈もできるということになる。ではなぜ、1,000円が1万円の価値を持ちえると考えることができるのだろうか。

ファイナンス理論で学ぶ重要な考え方に「将来価値」と「現在価値」というものがある。私たちは日常生活でお金を紙幣や硬貨に記されている金額でしか意識していないが、ファイナンス理論ではこれに「時間」という軸を加える。時間軸を加えることで、お金は様々な価値を持つようになり、1,000円も1万円の価値を持つことが可能になるのだ。

普段私たちが意識していない時間とお金の関係を知れば、これからのお金の使い方が変わるかもしれない。では、将来価値と現在価値とは一体何だろうか。

将来価値と現在価値とは?

将来価値と現在価値がわかりやすくなるように単純化した例を見てみよう。たとえば、銀行に預金すると金利が年間10%つく世界を考えてみる(今の水準からは考えられないが便宜的に)。

この世界では銀行に預金した1万円は1年後には1万1,000円になる。つまり、現在の1万円は1年後の1万1,000円ということになる。これが将来価値である。逆に言えば1年後の1万1,000円は現在の1万円ということになり、これが現在価値ということになる。このように、時間軸に金利などを加えることでお金の価値は大きく変わってくる。ファイナンス理論ではこの金利のことを割引率という。単純に式にすると以下のようになる。

現在価値=将来価値÷(1+割引率)
将来価値=現在価値×(1+割引率)

この式を先ほどの例に当てはめてみると以下のようになる。

1万円(現在価値)=1万1,000円(将来価値)÷(1+10%)
1万1,000円(将来価値)=1万円(現在価値)×(1+10%)

これは単純に1年後を想定した場合であるため複数年になる場合は割引率を乗じていくことになるが、基本となる考え方は同じである。割引率を考慮に入れることで、お金の価値は変わってくるのだ。

つまり、同じ1万円なら1年後にもらうよりも今もらったほうが1年という時間の中で利息がつくためお得ということになる。あるいは、いま1万円をもらうか1年後に1万1,000円をもらうかという問いに対しての答えは割引率(金利や利回り)次第ということになる。

ローンは本当に損なのか?

将来価値と現在価値を学べばお金に関する見方が変わってくる。たとえばローンについて考えてみよう。よく耳にする話としてローンを組むと利息を支払う必要があるからローンは損だというものがある。これは半分正しく半分間違いである。

たとえば、自分が資産運用をするつもりが全くなかったり、運用利回りがローンの金利よりも低ければローンを組むのは損である。ローンを組んで支払いを先延ばしにするコスト(利息)のほうが得られるメリット(支払いを先延ばしにしている間に資産運用できる)よりも高いからである。しかし、運用利回りがローンよりも高いのであれば、ローンを組むことはむしろ損ということになる。

ローンの年利が2%、自分の資産の年間運用利回りが5%だったとすると、ローンを組んで資産を運用することで金利差の約3%分が自分の収入になる。もし利息が嫌でローンを組まずに現金一括払いにしてしまえば資産運用でせっかく得られたであろう収入も得られなくなってしまうのだ。

現在のような低金利時代においてはローンを組むコスト(金利)も低下しているため、資産運用を積極的にする人ならばローンを組んだほうが有利になることも十分考えられるのだ。

お金の価値を知れば使い方も変わる

今回はお金の価値についてファイナンス理論の側面から考えてみたが、普段の私たちのお金の価値に対する認識とは異なったものだったのではないだろうか。お金の価値はいま見えているものだけではないのだ。今日使うお金の将来価値を意識すれば、お金の使い方も変わってくるのではないだろうか。

たとえば、300万円の自動車を購入したとしよう。300万円を年5%で運用できれば、25年後には1,000万円になる。本当にその車には25年後の1,000万円の価値があるのだろうか。単純に比較して考えることは難しいかもしれないが、将来の価値を意識していれば自然と無駄遣いや浪費も減ってくる。

お金を使う時はこのお金の将来価値はいくらあるのか、そして自分が購入しようとしている商品やサービスはその価値に見合うものなのかをぜひ考えてみてほしい。

文・樟葉空(アナリスト)