「セールスレップ」という職種を耳にしたことがあるだろうか。セールスレップとは、商品・サービスを提供するメーカーに所属する営業職や、従来の営業代行とは異なる新しいタイプの「営業のプロ」だ。この記事では、セールスレップの概要やメリット・デメリットについて解説する。

目次

  1. セールスレップとは?
    1. マーケティングやICTを取り入れている事業者が多い
  2. セールスレップを利用する3つのメリット
    1. 1:成果報酬なので無駄な固定費が発生しない
    2. 2:成果報酬なので結果を出すために動いてくれる
    3. 3:「売り方を学ぶ」と今後は自身での営業に活かせる
  3. セールスレップを利用するデメリット
    1. 人として信頼できる相手でないと損を被ることも
  4. セールスレップの人選は慎重に

セールスレップとは?

セールスレップは営業代行とどこが違う?営業に弱い事業主が上手に活用するには
(画像=naka/stock.adobe.com)

「セールスレップ」はセールス・レプリゼンタティブ(Sales Representative)のことで、日本語に直訳すると「営業代行」となる。

大辞林 第四版によると、セールスレップとは「販売代理人。メーカーと営業代行の契約を結ぶ、個人事業の営業マン。販路を新規に開拓してメーカーに取り次ぎ、販売実績に基づいた手数料を受け取る。欧米で一般的な販売システム。」と記されている。

説明の中でも「営業代行」とある通り、セールスレップは日本で従来から見られる営業代行や、営業支援といった業種に近い内容の事業、それを行う事業者だといえるだろう。

営業活動全般を請け負うことは営業代行・セールスレップいずれにも共通しているが、セールスレップの特徴として、いわゆる飛び込み営業は基本的に行わず、独自のネットワークやIT技術を活かした営業を行う点さが挙げられる。

ただ、このセールスレップに関する説明はやや「欧米で一般的な販売システム」のそれに寄っており、日本で活躍しているセールスレップの実態となると、また少し違っているようだ。

マーケティングやICTを取り入れている事業者が多い

日本国内において、営業代行や営業支援といった業種とセールスレップの定義や業務内容はどのように異なるのだろうか。JRM・セールスレップ販路コーディネータ協同組合は、日本のセールスレップを「独立自営の事業主であり、複数メーカーの商材を取り扱い、販売先(法人、店舗)に対して、提案型の販売を行う者のこと」と定義している。

「メーカーに代わって商品やサービスを販売する」という点では、セールスレップも従来の営業代行や営業支援と変わらないのだが、日本のセールスレップ特有のポイントは「販売先(法人、店舗)に対して、提案型の販売を行う」ことにある。

一般的な日本のセールスレップは、メーカーに委託された商品やサービスをただ販売するのではなく、販売するための戦略策定にマーケティングやICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)を取り入れ、これをもとにメーカーと販売先双方にコンサルティング・提案を行っていく。いわゆる従来の営業職よりも、より広い意味での営業活動に対応する新しいタイプの専門職なのだ。

例えば、商品・サービスを買ってもらう顧客に対して、セールスレップはマーケティング分析やメーカーからヒアリングした情報をもとに、商材の持つポテンシャルを顧客が活かすための提案・コンサルティングを行う。

一方、商品・サービスを売りたいメーカーにも、やはりセールスレップはマーケティング分析や顧客からヒアリングした情報などをもとにして、商材や事業の改善につながるコンサルティングを行う。

このように、直接的な商品・サービス売買の仲立ちをするだけではなく、商品・サービスに精通し、これらを通じてメーカーと顧客がWin-Winの関係となれるように橋渡し役を務めるのが、日本で独自に発展してきたセールスレップという仕事なのだ。

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セールスレップを利用する3つのメリット

まだ日本ではそこまで浸透していないセールスレップだが、利用にはどんなメリットがあるのか。考えられる3つのメリットを詳しく見ていこう。

1:成果報酬なので無駄な固定費が発生しない

営業代行や営業支援では、成果報酬型の契約を結ぶ場合と毎月定額の委託料などが発生する契約を結ぶ場合の両方が見られる。

セールスレップの契約は、その定義にもあったように基本的に成果報酬型となっている。(固定費型やスポット支援型などの体系もある)つまり、契約に沿った「成果」が発生しなければ、インセンティブ、いわゆる手数料の支払いも発生しない。

定額の委託料など成果の有無にかかわらずかかり続ける固定費は、平均的に成果が出ていれば問題ないが、そうでない場合は無駄な費用になってしまう。特に、スタートアップで重要とされるスモールスタートにおいては足かせにもなりかねない。

近年、個人消費にあたっては定額制(サブスクリプション)が浸透しつつあるが、サブスクリプションはこちらが欲しいだけの成果を得られるのでなければお買い得にならないのだ。

2:成果報酬なので結果を出すために動いてくれる

セールスレップの契約が成果報酬型であるということは、セールスレップ側が必要な売上を確保するためには、商品・サービスを売るなど、契約に沿った成果を目標達成するまで出し続けていく必要がある。強みとされる分析やコンサルティングをいくら重ねても、目論見が外れてばかりいては成果につなげることができない。

もちろん定額制の営業代行や営業支援でも、思うように成果が出なければ先の契約を打ち切られるリスクはあるわけだが、そもそも報酬が発生しない可能性もあるセールスレップとは、営業活動に取り組む緊張感がまるで違うといえるだろう。

3:「売り方を学ぶ」と今後は自身での営業に活かせる

セールスレップの活用法は「売ってもらうこと」や「売れる商品・サービスにすること」にとどまらない。委託された製品の強み・弱みをしっかり把握し、顧客に合う商品・サービスとその活用法を提案するセールスレップの営業スタイルには、まさに「営業の先生」として、メーカー側が学ぶべき部分が大いにあるのだ。

そもそも営業をアウトソース化するということは、メーカーに営業ができる人材がいないということだ。営業活動に長けた人材が他の業務に取られていて……という企業もあるにはあるだろうが、大体のメーカーは「社内の人材に営業のノウハウや人脈が足りていない」といったところではないだろうか。

そこで優秀なセールスレップにすべてお任せするのも悪くないが、せっかく営業のプロフェッショナルを投入するのだ。もともと営業の苦手な人材が、専門家のセールスレップに迫る勢いで売上を伸ばせるようになる……といったことは簡単ではないだろうが、少しでもセールスレップのノウハウを身につけることができれば、セールスレップとの合わせ技で営業力を徐々にアップさせることができるはずだ。

セールスレップは自社製品を売ってくれるのだから、自社製品に特化した、そのまま使えるオーダーメイドの営業トークを学ぶこともできる。それ以外にも、マーケティングデータの読み方、顧客へのクロージングの手腕、コンサルティングや提案のポイントなど、メーカーの人材自身が営業活動をする際に参考にできる部分は決して少なくない。

特にスタートアップ企業であれば、社長自らが社外へ出て会社や事業をアピールすることが多くなる。社長の営業力は、会社の行方を大きく左右するといってもいい。正面から契約内容にコーチングを含められるかはセールスレップ側次第のところもあるが、少なくともメーカー側に学ぶ意識があれば、コンサルティングなどを通じて副次的な形で学ぶことは十分可能だろう。

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セールスレップを利用するデメリット

セールスレップを利用することで、無駄な固定費が発生しない、売り方を学んで自分自身や社員の営業に活かしていけるなど大きなメリットが期待できる一方で、やはりデメリットもある。セールスレップを選ぶ際に気をつけるべき点も含めて、どんなデメリットがあるのかを見ていこう。

人として信頼できる相手でないと損を被ることも

セールスレップのデメリットを挙げるとすれば、選んだセールスレップが人として信頼できない人物であった場合に損をする可能性があることだ。

メリットとしても挙げた成果報酬型の契約に関連してくるが、セールスレップ本来の価値提供をなおざりにし、とにかく成果を出すために手段を選ばないようなタイプのセールスレップもいないとは限らない。

例えば、手当たり次第に強引な営業をかけても、商品・サービスの販売など契約通りの成果が出せれば報酬は発生する。そこで口八丁手八丁で無理やり商品・サービスを売り、継続的な取引につながらず、見込み客もいなくなれば次の営業先へ……といったやり口で売り続ける悪質なセールスレップに引っ掛かってしまうとタチが悪い。

そのセールスレップが出入りする方々で、セールスレップ自身だけでなく商品・サービスを提供するメーカーの企業イメージまで低下させてしまい、長期的には業績悪化につながる可能性も考えられる。

一方、レアなケースではあるが、他の案件で収入が確保できているなどして、結果を出すことにこだわらないセールスレップに当たってしまうと、「契約しているのにいつまでたっても売ろうとしてくれない」といった問題が起きることも考えられる。

また、資格認定制度があるにはあるものの、そもそもセールスレップとしてのスキルが足りないセールスレップとうっかり組んでしまえば「営業活動はしているのに、いつまでたっても結果が出せない」ということもある。直接的な被害ではないかもしれないが、営業における機会損失と考えると、無駄にするものの大きさが実感できるのではないだろうか。

セールスレップを選んで契約を結ぶにあたっては、自社に合う人脈を持っているか、マーケティング分析など確かな根拠を持って営業戦略を立てているか、そして可能であれば周囲からの評判なども確かめた上で、人として信頼できる相手を選びたい。

セールスレップの人選は慎重に

「営業活動をアウトソース化する」といっても、従来からの営業代行や営業支援を利用するのと、セールスレップを利用するのとでは、メリット・デメリットも、気をつけるべき点も大幅に異なる。

自社の事業内容や商品・サービス、現在の顧客層はもちろん想定される見込み顧客層なども勘案して、営業代行や営業支援を利用するのか、それともセールスレップを利用するのか慎重に検討したいところだ。

文・ライトアップ