新型コロナウイルス感染症の影響により、自宅にいながら稼げるオンラインビジネスに注目が集まっている。そもそもオンラインビジネスとはどういうものがあるのだろうか。今回はメリット・デメリットのほか、5つのビジネスモデルと成功のための手順について見ていこう。

目次
オンラインビジネスとは?

オンラインビジネスとは、文字通りオンライン上で行う事業のことだ。以前はオンラインビジネスを実践しようとしても、システム構築にコストがかかるなど高い障壁があった。しかし近年はSNSの普及やスマートフォン・タブレットといった簡単に使えるデバイスの増加、クラウドやビッグデータの活用などにより、オンラインビジネスは誰にでも着手しやすいものとなっている。
最近は個人が1からECサイトを立ち上げ、成功する例も増えた。コロナ禍で人と人との交流が非接触型になりつつある今、オンラインビジネスの需要は高まっている。
ただし逆の見方をすれば、参加者が増えた分だけ競争が激しくなったともいえる。以前のように「ネットなら誰でも成功できる」というわけではなく、コツを押さえて行動しなければ成功することが難しくなってきたのだ。
オンラインビジネスのメリット・デメリット
オンラインビジネスのメリット・デメリットについて見ていこう。
オンラインビジネスの3つのメリット
オンラインビジネスには次のようなメリットがある。
1.比較的低コストでスタートできる
オンラインビジネスの最大の強みは、低コストで始められる点だ。対面のビジネスだと地代家賃という固定費がかかる。備品や設備を整えなくてはならないことに加え、人を雇うなら人件費もかかるだろう。遠方にオフィスを構えるなら通勤費も必要だ。
その一方で、オンラインビジネスにかかるコストはパソコンやスマホ、タブレットなどのデバイス代と通信費、ウェブサイトの開設代程度だ。自宅でも行えるため、人件費もかからない。費用の支払いにエネルギーを取られることなく、売上を上げることに注力することができる。
2.時間と場所に縛られない
オンラインビジネスは、業種によって好きな場所、好きな時間で行うことができる。朝9時から18時までといった時間の縛りがないため、深夜でも早朝でも仕事をすることができる。自宅にいながら稼ぐことも可能だ。家族の協力を得たり、仕事の仕方を工夫したりすれば、育児や介護の合間に稼ぐこともできるだろう。
3.世界中が市場になる
「時間と場所に縛られない」という点を別の角度で見ると、「世界中に顧客がいる」ということになる。オンラインならば地理的条件に縛られたり時間的制約を受けたりすることなく仕事をすることができる。販売するモノやサービスが日本人に好まれなくても海外の人から高い評価を得ることができれば、それが収益につながるのだ。
また、日本が真夜中のときに昼間を迎えている国の人とビジネスをすることもできる。オンラインビジネスに切り替えた瞬間、商圏は日本という狭い国土から一気に世界に広がる。
オンラインビジネスの3つのデメリット
メリットがある反面、オンラインビジネスにはデメリットもある。
1.収益を得るまでに時間がかかる
オンラインビジネスのデメリットは、収益化までに時間がかかる点だ。オンラインは現在、競争相手があふれかえっているため、自分の提供するモノやサービスを見つけてもらうのは容易ではない。
また、見つけてもらっても購入までに至らなければ収益にはつながらない。開始してからマネタイズに至るまでは、耐える必要がある。
2.ITスキルが求められる
オンラインでビジネスをするためには、ITスキルがある程度備わっていることが求められる。素早くキーを打てることやウェブサイトを構築する能力、SNSといったコミュニケーションツールや決済システムを難なく扱うスキルが必要だ。エンジニアやデザイナーなら専用のソフト・アプリ、プログラミング能力なども求められる。
3.広告宣伝のスキルが必要
オンラインビジネスは、世界中が商圏となる反面、世界中に競合相手がいる。この状況で自分の提供するモノ・サービスを買ってもらうためには、広告宣伝を上手に行う必要があるだろう。具体的にはコピーライティングやマーケティングのスキルが求められる。また、SNSなど様々なオンラインツールを駆使して売り込んでいかなくてはならない。
オンラインビジネスの成功に必要な5つのステップ
競争相手の多いオンラインビジネスで成功するためには、次の5つのステップを押さえておくとよいだろう。
1.オンラインビジネスの目的を明確にする
オンラインビジネスで最も重要なことは、目的の明確化だ。目的といっても売上や利益、販売数量といった目に見えて分かりやすい達成目標ではない。「なぜこのビジネスをオンラインで行うのか」という自分なりの意味付けや意義のことだ。
この目的を明確化するには、「なぜわざわざオンラインでこんなことをしようと思ったのか」と自分に問いかけるとよいだろう。「対面でもできるのではないか?」「オンラインでなくても別の方法だってあるのではないか?」といった具合だ。あえて否定的に問うことで、自分の中で確たる理由が明確になるはずだ。
ちなみにジェフ・ベゾスはAmazonを始めるにあたり、「お店の在庫にとらわれず、ありとあらゆる本を届けたい」「ベストセラーもマイナー本もワンクリックで買えるようにしたい」という目的を持っていたという。対面やリアル店舗ではできないサービスを実現できるのはオンラインビジネスの強みだ。
2.マーケティング戦略を策定する
次に重要なのがマーケティング戦略を作ることだ。インターネットが人々の重要なインフラの一つになった今、競争相手は無数にいる。2000年前後はオンラインでありさえすればすぐ収益を上げることができたが、今はそれだけで成功するほど甘くない。事前に自分の勝負する業界について調査を行い、競合他社や需要、ニッチなニーズ(スキマ需要)があるかどうか、などを分析した上で戦略を立てることが重要だ。
3.商品やサービスの価値を明確にする
マーケティング戦略を策定しても、販売する商品やサービスの価値が顧客に伝わらなければ意味がない。ユーザー視点に立って商品やサービスの強み・弱みを分析し明確にした上で、自社のウェブサイトでその価値を具体的に表現することが成功のカギとなる。
4.ホームページの作成とSEO対策
オンラインビジネスを行うためにはホームページが必須だ。しかし単に作成すればいいというものではない。外部から検索したとき上位に上がるようにしなくては、自分の提供する商品やサービスを見つけてもらうことはできない。SEO対策をしっかりと行い、顧客に見つけてもらう工夫が欠かせない。
5.SNSを活用したソーシャルネットワークの構築
商品・サービスをホームページで告知しただけでは不十分だ。いくらSEO対策を施したとしても、店舗を駅近くなど分かりやすい場所に設けたに過ぎない。より多くの人に知ってもらうためには広告宣伝が必要だ。
オンラインの広告宣伝で今最も有効点なのがSNSである。TwitterやFacebook、LINEやInstagramといったSNSをフル活用し、できるだけたくさんの人の目に触れ、関心を惹きつけるようにしよう。
オンラインビジネスによくあるモデルケース5つ
ではここで、オンラインビジネスの主なモデルを5つ紹介しよう。
1.コンサル・コーチング型ビジネス
コンサル・コーチング型ビジネスというのは、顧客の問題解決をコンサルティングやコーチングでサポートするビジネスだ。元々相談業としての要素を持つ士業のほか、コンサルタント・コーチ・セラピスト・カウンセラー・ヒーラーなどが該当する。このほか、ダイエットや筋トレをサポートするタイプの職種も最近注目を集めている。
このビジネスの強みは元手がかからない点だ。独自のノウハウや経験があれば誰でも始められる。しかし、競争相手が多いため、より個性的な要素や強い需要がないとなかなか収益が上がらない。
2.オンラインショッピング型ビジネス
オンラインショッピング型ビジネスとは、オンライン上にモノ・サービスの提供プラットフォーム(ECサイト)を設けて販売を行うビジネスだ。Amazonや楽天市場がこれに当たる。販売手法としては魅力の高い商品を限定して販売する方法や特定の商品・サービスの魅力を強く訴えるもの、あるいはECサイトそのものの魅力を高める方法などがある。
商品やサービスの魅力はもとより、サイトのデザインの見やすさや選びやすさ、決済手段といった点でいかにユーザビリティを高められるかが勝敗を分ける。
3.サブスクリプション型ビジネス
サブスクリプション型ビジネスとは、商品ごとに支払うのではなく、一定のサービスの利用について定期的に課金していくタイプのビジネスを指す。利用度合いに左右されず毎月一定額が収益になる点が強みだ。ただし、プラットフォームの管理などに手間がかかる。
Amazon PrimeやNetflix、MicrosoftのOne Driveといったサービスがこれに当たるが、最近は服や飲食、自動車の利用などでもサブスクリプション型が登場している。
4.イベント企画型ビジネス
イベント企画型ビジネスとは、セミナーやライブなどを企画し、オンラインで告知するタイプのビジネスだ。以前は対面が主流だったが、新型コロナウイルス感染症の影響により、ZOOMやYouTubeを利用したオンライン型イベントが急増している。オンラインイベントやウェビナーの場合は対面よりも室料を低く抑えられるほか、地理的制約を受けないため、より多くの集客を行うことができる。
5.広告収入型ビジネス
広告収入型ビジネスとは、自分のウェブサイトに広告のバナーを掲載し、広告料を企業から受け取るタイプのビジネスだ。アフィリエイトのほか、一部のマッチングビジネスでも行われている。
モノ・サービスを企業の代わりに広告宣伝するだけでお金がもらえるため、在庫を抱えずコストがかからない点が魅力だ。その反面、収益化が難しいのがネックだ。収益を得るためには、SEO対策を含めマーケティングを研究しなくてはならない。
自分に合ったスタイルが長続きする
オンラインビジネスはコストがかからず誰でも参入しやすい点が強みだが、その反面、収益化に時間がかかる。そのため、忍耐強さが成否を分けるといっても過言ではない。また、「儲かるかどうか」だけでジャンルを決めると挫折しやすいので注意が必要だ。「お金が入らなくても続けられるのは何か」「必死になって研究したいものは何か」といった視点で選ぶと成功する確率が上がるだろう。
文・鈴木まゆ子(税理士・税務ライター)