資金繰りは経営者の悩みの種の一つである。資金調達の目処が立っているものの必要な取引までに資金の用意ができない場合もあるだろう。そうした際に利用できる融資に「ブリッジローン」がある。具体的にはどのような融資なのだろうか。

目次

  1. ブリッジローンとはどんな融資?
    1. ブリッジローンの特徴
    2. ブリッジローンが使われるケース
    3. ブリッジローンが使われた過去の例
  2. ブリッジローンのメリット・デメリットは?
    1. ブリッジローンのメリット
    2. ブリッジローンのデメリット
  3. ブリッジローン利用の流れ
  4. ブリッジローンは慎重に利用しよう

ブリッジローンとはどんな融資?

緊急時の資金調達方法ブリッジローンとは?融資の特徴を解説
(画像=wutzkoh/stock.adobe.com)

企業・個人問わず、資金調達の目処が立っている一方で必要な取引までにその資金が間に合わないことがある。企業の場合ならたとえば、新しい機械やシステムの購入のため補助金を申請し、交付は決定したものの、実際の購入日までに交付が間に合わない場合などがそれに当たる。個人の場合なら、住宅の住み替えをするにあたって、前の住宅を売却し、資金が確保される前に新しい住宅を購入する場合などが挙げられるだろう。

ブリッジローンとはそのような場合において、予定している資金が実際に調達されるまでの間、短期的に利用する融資のことだ。ブリッジローンで緊急に資金を準備することで、ビジネスチャンスを逃すことなく、気に入った不動産物件をほかの買い手が見つかる前に購入することができる。

ブリッジローンは「橋渡しをする融資」を意味している。個人の場合には「つなぎ融資」と呼ばれることが多い。

ブリッジローンの特徴

ブリッジローンの特徴は、まず短期間に限定された融資であることだ。一般に3ヵ月程度がブリッジローンの融資期間となる。それに伴い、通常の融資と比較して金利が高めな点もブリッジローンの特徴だ。金融機関にとっては、長期の融資なら金利が多少低くても十分な利益を上げられる。それに対して融資が短期間の場合には、金利を高くしないと利益が少なくなるからだ。

また、保証人が不要な場合も多く、融資の決定が短期間で行われることもブリッジローンの特徴といえるだろう。審査に時間を要する通常の融資と比較して、ブリッジローンはすぐに多額の融資を受けることができる。

また、ブリッジローンの場合は一括返済が基本だ。ブリッジローンの返済は、将来の長期的な利益によって行うものではない。予定されていた資金が調達された時点で、その資金により行うものだからだ。

したがって、ブリッジローンは単に「運転資金が不足している」などの理由で融資を受けることはできない。ある目的のためにすでに資金調達の目処が立ち、その資金が調達できればブリッジローンの一括返済が可能であることを、金融機関に対して明確に説明する必要がある。

ブリッジローンが使われるケース

ブリッジローンがどのようなケースで使われるのかを見てみよう。

【企業の場合】
企業においては前述した例のように、資金調達の目処は立っているものの、その資金が実際に必要となるタイミングに間に合わない場合にブリッジローンが利用される。製造業であれば資金が必要となるのは、前述のとおり新しい機械やシステムなどの購入のためだろう。不動産業であれば不動産物件を購入する場合だ。

特に不動産物件の場合には、良い物件が見つかったらすぐに購入しないと、別の買い手が付いてしまう可能性が高い。また、物件価格が予算を上回っても「どうしても買いたい物件がある」というケースもあるだろう。そのような際の資金不足をブリッジローンで補うことができる。

卸売業の場合なら、新規の契約が決まり在庫を入手しなければならないとき、手元に資金がないことがある。売掛金が入っても実際に支払いがされるのは数ヵ月先になることも多い。そのような際にブリッジローンで資金調達をして在庫が入手できれば、ビジネスチャンスを逃さずにすむだろう。

ゲームソフト会社などでもブリッジローンが使われるケースは多い。ゲームの開発には一般に長い期間が必要だ。ゲームが完成するまで、会社には売上は入ってこない。その期間の資金繰りについては通常の融資で行うものの、ゲームなどのソフトウエアは開発中に予期せぬ不具合が発生し、それにより完成が遅れることは多々ある。そのような緊急事態を乗り切るためにブリッジローンが利用されることがある。

また、M&Aにおいてもブリッジローンが利用される。M&Aの場合通常は、買収資金を十分に準備して実行される。しかし、買収先企業が多額の手元現預金を持っている場合などには、準備した資金では足りなくなるケースがある。M&Aの買収では不動産の買付と同様、条件のよい売り手が見つかった場合には、すぐに契約しないとほかの買い手が現れるケースが多い。

そこで、すぐに融資が受けられるブリッジローンを利用して買収を実行する。ブリッジローンの返済資金には、買収先企業の現預金や発行した新株が充てられる。

【個人の場合】

個人の場合には、ブリッジローンは主に不動産の売買において使われる。第1のケースは、土地を購入し、自分で戸建ての住宅を建てる場合だ。

住宅の購入には住宅ローンの利用が一般的だ。ところが住宅ローンは、住宅の建物が完成しないと借り入れを実行することができない。しかしそれでは、土地の購入や建物工事の手付金などの支払いができなくなる。そこで、ブリッジローンを利用してそれらの支払いを行うようにする。ブリッジローンの返済は、住宅ローンの借り入れが実行された時点で行うことになる。

個人が不動産売買でブリッジローンを利用する第2の例は、住宅の住み替えを行うケースだ。

住宅の住み替えでは、現在住んでいる住宅を売却し、資金を得てから新しい住宅を購入するのが一般的だ。しかしその場合には、現在の住宅を売却してから新しい住宅を購入するまでの期間、仮住まいをする必要が出てくるため、引っ越し代や仮住まいの家賃などの余分な出費が発生する。

また、現在の住宅を売却する前に、「どうしても逃したくない」と思える優良な物件が見つかることもある。優良な不動産物件の場合、見つかったらすぐに購入しないと別の買い手が現れることは、前述したとおりだ。

そのような場合にブリッジローンを利用すれば、現在の住宅を売却する前に新しい住宅を購入することが可能となる。返済は、現在の家が売却された時点で、その売却益をもって行う。ブリッジローンの金利や手数料は、仮住まいへの引っ越し代や家賃とそう大きく変わらないケースが多い。

ブリッジローンが使われた過去の例

ブリッジローンが使われた過去の有名な例として、日本航空(JAL)の事例がある。

経営破綻した日本航空は経営を再建するため、官民出資ファンドである企業再生支援機構による支援を要請した。ところが、この企業再生支援機構による支援が決定するのが2010年1月以降となるにもかかわらず、日本航空は2009年11月にも運転資金が不足する見込みとなった。そこで日本政策投資銀行と企業再生支援機構によって6,000億円におよぶ融資枠のブリッジローンが、企業再生支援機構による支援が決定するまでの期間、日本政府の保証付きで実行された。

ブリッジローンのメリット・デメリットは?

ブリッジローンには、そのほかの融資と同様にメリット・デメリットがある。

ブリッジローンのメリット

ブリッジローンのメリットは、資金調達の見込みが立っているものの、資金が実際にまだ入金されていない時点において、資金の使用をともなう経営判断が下せる点だ。前述した例のとおり、優良な不動産物件を逃すことなく購入したり、M&Aを実行したりすることがブリッジローンを利用すれば可能となる。

ブリッジローンは保証人が不要で、融資は即座に実行される。また、多額の資金調達も可能だ。したがって、資金不足でビジネスチャンスを逃すことを極力減らすことができる。

ブリッジローンのデメリット

ブリッジローンのデメリットは、単に「運転資金不足」などの理由では借り入れできない点だ。一括返済をしなければならないため、融資の申し込みに際しては一括返済が可能な根拠を明確に示す必要がある。

また、一般にブリッジローンは、通常の融資と比較して金利が高いのもデメリットといえるだろう。事務手数料も高額になることがあり、さらに返済期日を遅れた場合の遅延損害金も高額になるのが一般的だ。

したがって、ブリッジローンの利用は慎重に行うことが大切だ。仮にブリッジローンを利用して、不動産物件の売却や売掛金の回収、買収企業の株式発行などが不調に終わり、予定していた資金調達ができなかった場合には、高額な金利と遅延損害金を支払い続けなければならなくなる。ブリッジローンは将来の「見込み」に基づいて資金調達するものであるために、「綱渡り」の側面があることはよく理解しておこう。

ブリッジローン利用の流れ

ブリッジローンを利用する流れを、「個人が土地を購入し、戸建ての住宅を建てるケース」を例にとって説明しよう。

まず、土地の売買契約を締結した段階で、金融機関に住宅ローンとともにブリッジローンの融資を申し込む。住宅ローンとブリッジローンの融資先が異なる場合も多いが、ブリッジローンの融資が先行して実施されるため、それによって得た資金で土地の購入代金および建物工事の手付金などの支払いを行う。

次に住宅ローンの融資は、建物が完成した時点で担保設定が可能となり実行される。住宅ローンで得た資金でブリッジローンを一括返済し、あとは住宅ローンを毎月返済していく。

上記の例は個人のケースであるが、企業におけるブリッジローンの利用の流れもこれと基本的には同じである。

ブリッジローンは慎重に利用しよう

短期間で多額の融資を受けることができるブリッジローンの利用により、ビジネスチャンスを逃さずつかむことが可能となる。ブリッジローンの機動的な利用は、ビジネスを拡大していく上で不可欠なものといえるだろう。

ただし、ブリッジローンはあくまでも将来の見込みにより資金調達するものだ。見込みが甘かった場合、大きな負債を抱え込むことも十分あり得る。ブリッジローンの利用は慎重に行うことが重要だ。

文・高野俊一(ダリコーポレーション ライター)