企業と人、企業同士をつなげるマッチングビジネスに今注目が集まっている。今回は、マッチングビジネスの特徴やメリット・デメリット、成功のポイントについて見ていく。

鈴木まゆ子
鈴木 まゆ子(すずき・まゆこ)
税理士・税務ライター。税理士・税務ライター|中央大学法学部法律学科卒業後、㈱ドン・キホーテ、会計事務所勤務を経て2012年税理士登録。「ZUU online」「マネーの達人」「朝日新聞『相続会議』」などWEBで税務・会計・お金に関する記事を多数執筆。著書「海外資産の税金のキホン(税務経理協会、共著)」。

目次

  1. マッチングビジネスとは?
    1. マッチングビジネスの特徴と流れ
    2. アフィリエイトとの違い
  2. マッチングビジネスのメリット・デメリット
    1. マッチングビジネスのメリット
    2. マッチングビジネスのデメリット
  3. マッチングビジネスモデルの報酬体系4つ
    1. 掲載報酬
    2. 仲介報酬(成果報酬)
    3. オプション報酬
    4. 広告収入
  4. マッチングビジネスを成功させるために必要な3つのポイント
    1. 勝負するジャンルを正しく選ぶ
    2. 高単価商材を選ぶ
    3. 集客力を上げる
  5. マッチングビジネスの成功事例
    1. クラウドワークス
    2. メルカリ
  6. 工夫が成功を生む

マッチングビジネスとは?

マッチングビジネスとは?成功に必要なポイントを解説
(画像=Vittaya_25/stock.adobe.com)

マッチングビジネスとは、自社の商品やサービスを販売するのではなく、モノ・サービスを提供したい事業主の代わりに顧客を集め、運営者として「サービスを利用したい人」と「サービスを提供したい人」をつなぐことで報酬を得るビジネスモデルのことを指す。

直接モノやサービスを扱うのではなく、情報を提供して人を仲介することから「情報仲介ビジネス」ともいわれている。

マッチングビジネスの特徴と流れ

マッチングビジネスは一般的なモノ・サービスの提供と異なり、仕入が発生しない。そのため、「売上≒利益」となりやすい。また、「提供者の代わりに集客をする」だけであり、実際の交渉は当事者が行うため労力がほとんどかからない点が特徴だ。 マッチングビジネスの流れは以下のとおりだ。

  1. オンライン上で集客を行う
  2. 自社サイトでモノ・サービスを提供する事業主(提供者)を1で集めた顧客に紹介する
  3. 提供者と利用者の契約成立などで成果が生じた場合、一定の報酬額を事業主から受け取る

アフィリエイトとの違い

このように書くと、マッチングビジネスと似た「アフィリエイト」を思い浮かべる人もいるだろう。両者は「集客を行い、企業から一定額を手数料として受け取る」という点では同じだ。何が違うのだろうか。

アフィリエイトは特定の事業主の代わりにモノ・サービスの良さを宣伝し、売れるとその一部が報酬として支払われる仕組みになっている。紹介するのはあくまでもモノ・サービスであって事業主そのものではない。

一方、マッチングサービスでは複数の事業主を顧客に紹介する。サイトを訪れたクライアントが自分の好みに合う事業主を選択し、契約するという流れだ。つまり、アフィリエイトは「優良なモノ・サービスを紹介する」のに対し、マッチングビジネスは「優良な事業主を紹介する」という点で大きな違いがある。

マッチングビジネスのメリット・デメリット

事業主そのものをクライアントに紹介するマッチングビジネスだが、メリット・デメリットももちろんある。それぞれについて見ていこう。

マッチングビジネスのメリット

マッチングビジネスには以下のメリットがある。

1.元手がほとんどかからない

マッチングビジネスには仕入が発生しない。また、オンラインで人と人をつなぐため、通常の仲介業のような人件費や地代家賃といった固定費がほとんどかからない。かかる費用はパソコンなどの購入費や通信費、ウェブサイトの構築・管理費用くらいだ。そのため、売上をほぼ利益として受け取ることができる。

2.損失が出にくい

マッチングビジネスは、成功報酬を受け取るだけのため損失が出にくい。通常のモノ・サービスの提供では不良在庫や不良品の返品、売上を上回る人件費などで損失が生じるリスクがある。このようなリスクがほとんどない状態で収益を得られるのはマッチングビジネスの強みといえるだろう。

3.評判やクレームで左右されにくい

モノ・サービスを直接提供する場合、クレームや風評被害はつきものだ。日本の顧客は口コミやネットの情報で悪評を広める傾向がある。そのため、原因が分からないまま、いつのまにか自社の商品やサービスの購入率が下がっていることも少なくない。

一方、マッチングビジネスの場合は、オンラインで紹介するだけのため、このようなリスクを最小限に抑えることができる。

マッチングビジネスのデメリット

ただし、マッチングビジネスには次のようなデメリットもある。

1.収益化に時間がかかる

マッチングビジネスは収益化に時間がかかる。ウェブサイトの構築のほか、検索流入を増やし、サイトに訪れてもらうまでだけでもそれなりの時間が必要だ。

2.安定化しにくい

マッチングビジネスは、基本的に収入が契約の成立数に比例するため事業収益が安定しにくい。月額課金にすれば多少は安定するが、「絶対に収益が減らない」とはいえない。

マッチングビジネスモデルの報酬体系4つ

マッチングビジネスには「掲載報酬」「仲介報酬(成果報酬)」「オプション報酬」「広告収入」の4つの報酬体系がある。ここではそれぞれについて見ていこう。なお、モノ・サービスをマッチングサービス内で提供する事業主を「提供者」、マッチングサービス内で提供されたモノ・サービスを利用する顧客を「利用者」、マッチングサービスを運営する事業主を「運営者」とする。

掲載報酬

掲載報酬とは、マッチングが成立したかどうかに関係なく、運営者の提供するモノ・サービスを掲載する時点で掲載料が発生するビジネスモデルだ。多くは月額課金制とし、最低契約期間を設けている。

運営者としてのメリットは、契約の成否に関係なく毎月一定額の収益が得られるため安定している点だ。その反面、一度利用し始めると定期的に掲載料が発生するため、最初は敬遠されやすい。無料期間を設けてサービスを試してもらうなど、収益を得るまでに手間とコストをかける必要がある。

仲介報酬(成果報酬)

仲介報酬とは、マッチングが成立したときに報酬を受け取るビジネスモデルだ。課金の方法としては、利用者が提供者に支払う報酬の一部を運営者が受け取るタイプや利用者・提供者双方から手数料を受け取るタイプがある。マッチングビジネスの報酬体系としては、もっともポピュラーなスタイルだ。

報酬が生じるまでは掲載料が無料なため掲載数を増やしやすいという点がメリットとして挙げられる。その一方、マッチングが成立しない限り報酬が発生しない上、報酬料がマッチング数に左右されるため、思うような収入が得られないというデメリットがある。軌道に乗るまでは後述する広告収入と併せて運営していくとよいだろう。

オプション報酬

オプション報酬は、サイト内に掲載したサービスに付加価値を加えることで課金するビジネスモデルだ。月額の掲載報酬ならば、単一の課金体系を用意するのではなく、「無料」「ライト」「スタンダード」「スペシャル」といった具合にコースを設け、「募集広告の作成代行」「電話サポート」といった特典をつけるかつけないかで各コースの課金額を変えることになる。

この方法は柔軟性が高いため、利用者のニーズに応えやすいというメリットがある。当初無料でサービスを体験してもらい、「信用できる」「急に業務拡大が必要になった」となった時点でより高い課金のコースに変えてもらうことが可能だ。その反面、オプションの管理や実施に手間やコストがかかるというデメリットがある。

広告収入

広告収入は、サイト内にバナー広告やテキスト広告を表示させることで収入を得るビジネスモデルだ。利用者の掲載をより目立たせるべく広告を表示し、その都度あるいは一定期間に渡って課金するスタイルを取ることが多い。

広告収入のメリットは、導入が簡単であること、そしてマッチングビジネスによる収益に対する不安を減らせることが挙げられる。ただし、月に数百万以上のアクセスがないと事業として成立しにくいこと、また大量のアクセスがある分だけインフラの管理にコストがかかる点がデメリットとなる。広告収入はあくまでもサブ収入にしかならないと心得ておこう。

マッチングビジネスを成功させるために必要な3つのポイント

マッチングビジネスは、低コストで始められる一方、収益化に時間がかかる。これを軌道に乗せ、成功させるためには次の3つのポイントを押さえることが大切だ。

勝負するジャンルを正しく選ぶ

最初に重要なのがジャンル選びだ。「需要があって儲かりやすいものを選べ」というのがセオリーだが、それが自分にまったく合っていないものだとビジネスは継続しにくい。ニーズはあるが競合他社がひしめき合うジャンルよりもニッチな分野の方が自分に適していることもある。

マッチングビジネスを軌道に乗せるまでに時間がかかることを考えると、収益がなかなか得られなくても自分が続けられるものを選んだ方がよいだろう。

高単価商材を選ぶ

次に大事なのが単価だ。仲介報酬型ならば特に、商材そのものが高単価である方がよい。手数料を1%とした場合、商材が100万円なら1万円が手数料収入となるが、商材が5万円だと500円しか手元に入らない。少額報酬で事業を成り立たせるためには、数をこなさなくてはならない。しかしながら、ビジネスが小規模ならこれは難題だ。そのため、なるべく単価の高い商材を選ぼう。

集客力を上げる

最後に大事なのが集客力だ。オンラインで集客力を上げるためには、検索順位を上げたり、滞在時間の長いサイトに構築するといった工夫が必要になる。そのためには、ITの知識だけでなくSEOを含めマーケティングのスキルを身に着けておくことが重要だ。プラットフォームを設けるなら、ユーザビリティを重視しながら構築する必要があるだろう。

マッチングビジネスの成功事例

最後にマッチングビジネスの成功事例を見ていこう。

クラウドワークス

クラウドワークスは、在宅ワーカーと企業をつなぐマッチングビジネスを展開している。強みは報酬体系を複数設けている点だ。プラットフォーム内で在宅ワーカーが請け負った仕事については、成果報酬の5~20%を仲介報酬として受け取るほか、大企業から直接業務を請け負い、プロジェクトに関する進行手数料を受け取っている。

また、企業から広告掲載の依頼があれば広告収入を得ることも可能だ。このように、複数の収入源がクラウドワークスの成功につながったといえる。

メルカリ

メルカリは、オンラインのフリーマーケットプラットフォームだ。出品者と購入者をマッチングし、課金は出品者から販売額の10%を出品手数料としている。出品される中古品の価格から考えると1回当たりの取引成立による収入は低いが、プラットフォームの質の高さから、多数の参加者が大量の取引を行うため莫大な収益を得ている。

売れると「SOLD」がすぐに表示されるため出品者からは「メルカリに置けば売れる」という印象を与える。そのほかのフリマサービスに比べて出品と料金設定が簡単で登録料不要、スマホ一つですぐにモノが売れる。

支払金もいったんメルカリが預かり、商品が購入者の手元に届いてから出品者に支払われる仕組みになっている。「安心感」「お手軽さ」「分かりやすさ」という仕組みがメルカリを成功に導いたといえるだろう。

工夫が成功を生む

マッチングビジネスは誰でも取りかかりやすい反面、忍耐と工夫がなければ成功しにくい。そのため、ユーザーが求める価値と自分のできる努力、収益化しやすい仕組みをすり合わせることが大切だ。いきなり取りかかるのではなく、まずは構想を練るところから始めるとよいだろう。

文・鈴木まゆ子(税理士・税務ライター)